健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第30話 狂気と危機

「あはははは!! どうしたどうした!」

地下の方で未だに続くのは、一方的な攻撃だった。
絶え間なく放たれ続ける無限の剣が、反撃を許そうとしない。

「くっそ、何なんだよ、あいつは!!」

アギトが思いっきりぼやく。

「ね、ねえ、あれ止めなくてもいいの?」
「あんた、あの中に飛び込む勇気ある?」

物陰に隠れていた新人の一人、スバルがティアナに聞くが、ティアナの問いかけに詰まった。
目の前には常に放たれ続ける剣。
貫かれれば怪我では済まない。
つまりは………。

「ないです!」

そういう事であった。
そんな時であった。
突然の爆音とともに、天井の一部が崩れた。

「捕えよ、凍てつく足枷!フリーレン・フェッツェルン!」

その中から現れたリインにより、アギトとルーテシアは捕えられた。

「ぶっ飛べー!!」

さらに巨大化したハンマーで、ヴィータはガリューを吹き飛ばした。

「ところで、何だこの状況は?」
「え、えっとですね………」

スバルは慌てて事情説明をした。
それを聞き終えたヴィータは、大暴れした人物を睨みつける。

「対象ロスト。気配を感じない」

睨みつけられている執行人はどこ吹く風とばかりに、そう呟いていた。

「何?」

しかし執行人の言葉に、ヴィータは表情を険しくすると、自分が吹っ飛ばしたガリューがいると思われる穴の開いた壁へと向かった。

「……ちっ」
「こっちもです……逃げられた、ですね」

誰もいないことに気付いたヴィータは舌打ちをし、二人が逃げたことを知ったり院は悔しげにつぶやくと自分の掛けていた魔法を止めた。
そこには地面に穴が開いているだけで、二人の姿はどこにもなかった。
そんな時、突然地震が起こった。

「なんだ!?」
「大型召喚の気配があります………多分、それが原因で」

エリオに寄り掛かりながら立ち上がったキャロが、今起きている現象の理由を言った。

「ひとまず脱出だ! スバル!」
「はい! ウイングロード!!」

スバルによってウイングロードが展開された。

「スバルとギンガが先頭で行け! あたしは最後に行く!」
「「はい!」」

ヴィータの指示を聞いた二人は脱出を始める。
そんな中、ティアナはキャロにある指示を出す。
それをよそに執行人も脱出を始める。










執行人の性格、それは自由気ままに尽きる。
マスターである真人から指示がなければ何もしない。
するのは必要最低限の事だけからも、よく分かることだ。
つまりは、新人たちがルーテシアたちを掴まえる間、彼は誰にも見えないように彼女たちの近くに立っていた。

「ここまでです!」

そんな中、リインによって二人はバインドで縛られた。

「子供を虐めてるみてーでいい気はしねぇが、市街地での危険魔法使用に公務執行妨害、その他諸々で逮捕する」

ヴィータは複雑な表情で二人にそう告げた。
そして事情聴取を始める。

「………」

そんなやり取りがあるにもかかわらず、執行人は全く関係ない場所を見ている。
………いや、睨みつけているの方が正しい。

「逮捕は良いけど……大事なヘリは……放っておいていいの?」
『っ!?』
「む?」

ルーテシアから呟かれた言葉に、執行人を除く全員が息をのんだ。
執行人は目を閉じた。

「あなたはまた……護れないかもね」
「っ!?」

『砲撃ヘリに直撃………そんなはずはない! ジャミングがひどすぎて状況確認できません』

通信で伝えられた絶望的な知らせに、全員が呆然としていた。

「てめぇ!!」
「副隊長、落ち着いて!」

怒り心頭でルーテシアの方を掴むヴィータに、スバルが落ち着くように促す。

「うるせえ! おい、仲間がいんのか!? どこにいる!? 言え!」
「エリオ君、足元に何か!」

そんな時、エリオの足元に指のようなものが出ているのに気付いたギンガが大きな声で叫び警告を出す。

「え? ……うわあ!?」
「いただき」

エリオが足元を見たのと同時に、青髪の少女、セインが飛び出し箱を奪う。

「くそ!」

ティアナの魔力弾も地面に潜ってしまった彼女には効かず、全員がその場所へと向かった。
その隙を突かれ、ルーテシアはセインに抱きかかえられて地面に潜った。

「くっ! ……ちくしょぉおお!」

最悪な状況に、ヴィータは地面にうずくまって叫んだ。

「ヘリは……ヘリは無事か!?」

そして、ヴィータははっと気が付きヘリの安否を聞いた。

『今確認中です』

通信で帰ってきた言葉に、ヴィータは焦りながら待つ。
そして………

『確認取れました、ヘリは………』

ロングアーチによってヘリの安否が告げられた。

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第31話 危機と奇襲

はやてちゃんの攻撃の射程範囲害に退避した私とフェイトちゃんは、ヘリの方に向かっていた。

「見えた!」
「よかった……ヘリは無事」

ヘリの近くには警護するように真人君がいた。
ヘリが飛んでいるのを見て、私たちは安堵した。
ですが、離れた場所から魔力のようなエネルギーを感じた。

【市街地にエネルギー反応!】

「「ッ!?」」

ロングアーチからの報告に、私たちは驚きのあまり息をのんだ。

【砲撃のチャージ確認! 物理破壊型、推定Sランク!】
「フェイトちゃん!」
「うん!」

私は一緒に飛んでいるフェイトちゃんに声をかけて速度を上げた。

(真人君がいるけど、あんなのを防いだら負担がかなり掛かる。でも、私達が行けば真人君の負担が減らせられる!!)

私は頭の中でそう考えながらヘリの方に向かう。
しかし………

「「なッ!?」」

私達の努力もむなしく、砲撃は私達が到着する前にヘリに向けて放たれた。

「真人君!!」

爆煙に覆われて真人君やヘリがどうなったかが分からない。
私が最悪な状況を考えた時だった。

【こちらスターズ5、砲撃との相殺に成功! ヘリおよび周辺地域に被害は無し】

真人君の報告が聞こえてきたのと同時に、煙が晴れて行った。
その体は黄色い光が纏っていた。

【真人!】
【真人君! 大丈夫なの!?】

私とフェイトちゃんは真人君に念話で真人君に聞いた。

【二人とも、そんなのは後だ! 早く行け!】

真人君の”行け”は、砲撃を放った人物の所へと言う意味だと私は直感で悟った。

【分かった!】

フェイトちゃんも同じだったようで、真人君に返事をすると素早く砲撃の放たれた方角へと向かって行った。
私もそれに続く。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「下の方に行かなくてもいいのか?」
「下には執行人がいるし、言ったらここを守るものがいなくなる」

俺はヴァイスと言葉を交わしながら周りの警戒をしていた。
何も起こらなければ良い。
だが、俺の中で何かが起こると言う予感がひしひしと感じていた。
そんな時、エネルギーを感じた。

【市街地にエネルギー反応!】

遅れてロングアーチから報告が入った。

【砲撃のチャージ確認! 物理破壊型、推定Sランク!】

(くそッ!)

「ヴァイス、念のために姿勢を低くして衝撃に備えて!」
「了解!」

俺は内心で毒吐きながら、ヴァイスに指示を出す。

(前のようにはならないぞ! 絶対に)

俺はそう誓い左手を前に………エネルギー反応がする方向へと掲げた。

「神性典・第1章………」

詠唱の途中に、砲撃が放たれたのか、ものすごい速度で膨大なエネルギーがこっちに向かってくる。

「無を促す光の環!」

直撃するよりも早く、詠唱は完了し、俺の前方に白銀の魔法陣が展開される。
そして、その魔法陣に砲撃が止められた。
それと同時に俺の方にそのエネルギーがまるで滝のごとく流れ込む。

「ッぐ!!」

その重圧に顔をしかめるが、なのはのSLBに比べれば大したこともない。
触れた衝撃で爆煙が立ち込めるが、少しずつ流れ込むエネルギー量が減ってくる。

(あと少しだ!)

俺はそう解釈するとさらに踏ん張った。
やがて、砲撃によるエネルギーが無くなった。
それは俺が耐え切れたことを示すものだった。

(ッと、そうだった)

俺は急いでこのエネルギーを放出する。
そうしなければ中から許容量を超えたエネルギーで崩壊するからだ

「クリエイト、フルパワーモード!」
『了解です。マスター』

俺の指示を聞いたクリエイトの応答によって、俺の体中に力が漲った。

【こちらスターズ5、砲撃との相殺に成功! ヘリおよび周辺地域に被害は無し】

俺はすかさずロングアーチに報告をする。

【真人!】
【真人君! 大丈夫なの!?】

するとなのはとフェイトの念話が聞こえてきた。

【二人とも、そんなのは後だ! 早く行け!】

俺は二人に砲撃を放った人物の所に行くように言った。

【分かった!】

その念話の瞬間、金色の光が飛んでいくのを見た。
しばらく遅れて桃色の光も飛んで行った。
俺はしばらくはその場で待機することにした。


★ ★ ★ ★ ★ ★


市街地のとある場所に、ボディースーツを着た三人の人物の姿があった。

「ふぅ、トーレ姉さま、助かりましたぁ」

白衣を身に纏い、栗色の髪にメガネをかけた女性……クアットロが横に立っている紫色の紙に、目つきが鋭い女性……トーレにお礼を言う。

「感謝……」

横にいる短めの栗色の髪をした女性……ディエッチは申し訳なさそうにお礼の言葉を呟いた。

「ぼうっとするな、さっさと立て! 馬鹿者共め」

そんな二人に鋭い視線を送りながら厳しく言い放った。

「監視目的だったが、来ていてよかった。セインはもうお嬢とケースの確保を完遂されたそうだ。合流して戻るぞ」
「はぁい、トーレ姉さ――――っぐぅ!?」

トーレの言葉に、答えようとしたクアットロは突然くぐもった声を上げるとその場に倒れた。

「クアットロ!?」

突然の事態に二人は慌ててクアットロに駆け寄る。

「がぁ!?」

その瞬間、次はディエッチがクアットロと同じように地面に倒れた。

「ディエッチ!?」

一瞬の出来事にトーレは混乱するが、すぐにそれに気が付いた。

「これは……矢?」

クアットロとディエッチの背中には、矢が突き刺さっていたのだ。
しかも人で言えば心臓がある位置だ。

(何と言う恐ろしいやつだ)

矢を放った人物に恐怖感を抱きつつ、トーレはすぐに周囲に視線を向ける。

(これを放った奴は、次は私を狙うはず)

だが………

「ッ!?」

突然の風切り音がする。
横を見ると、地面に倒れ伏すクアットロの背中………最初の矢のすぐ近くに二本目の矢が突き刺さっていた。
そして再び風切り音、次はディエッチだ。
すかさず風切り音が響く。

「一体どうなっているんだ、これは」










二人が市街地のとある場所に降り立ったころ、そこから離れた場所にあるビルの屋上に佇む一人の人物の姿があった。

「見事に隠れてたみたいだが、執行人の捜索網からは逃れることはできない」

その人物は、真人であった。
彼の目には三人組が佇んでいるのが見えていた。

「おいたと仲間を傷つけるとどうなるか、教えてあげる」

そう呟くと真人は弓状のクリエイトに普通の矢をセットする。

「第一射!」

そして真人はクアットロの背中に照準を合わせると矢を射た。
そこはちょうど心臓のある位置だ。

「続いて第二射」

すかさず真人はディエッチにも同じ位置に矢を射る。

「慌ててる慌ててる。警戒しているようだけど、これは魔力を使わないものだから、把握するのは難しいと思うけど………第三射」

周囲を警戒するトーレをあざ笑うように、真人はクアットロの背中に向けて再び矢を射る。
正確無比に狙撃できるのは、クリエイトのサポートと真人自身が持つ弓矢のスキルだった。
しかも本人は微妙な力加減をしており、致命傷にならないように手を抜いている。
真人はどんどんと矢を射る。
約20本の矢を射た時だった。

「毒矢、第一射」

それは矢の先端に毒が塗られている矢だった。
その矢を真人は容赦なく二人に向けて射る。
ちなみにその毒は記憶の混乱を引き起こすものだった。
具体的に言うとその場での記憶が狂い、本人では何があったのかが理解できなくなると言うものだ。
二本の矢は寸分たがわずに二人に命中した。

「ラスト一本、目には目を歯には歯を!」

そして真人はトーレの足元に照準を合わせると毒矢を射た。
それは命中し、トーレは足の痛みをかばいながら去って行った。

「………お遊びが過ぎたかな?」

真人はクリエイトを剣状にしながら、静かに呟いた。
本気であれば、真人は三人を捕まえることもできた。
それをしなかったのは、仲間を傷つけようとしたことに対する復讐であったのだ。

「さて、帰還しますか」

真人は最後にそう呟くと、その場を後にするのであった。

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第25話 突然舞い降りた休日

あの騒動から日が経った。
あれからティアナを始め、フォワードの動きがさらによくなった。
一度激しく衝突したのが、いい方向に動いたのだろう。

「はい、今朝の訓練と模擬戦も無事終了。お疲れ様」

そんなある日の早朝訓練も終わり、なのはが労いの言葉をかける。
フォワードたちは疲れている様子であった。
ちなみに俺はいつものお得横で書類の整理や訓練データのまとめをしていた。

「でね……実はなにげに今日の模擬戦が、第二段階クリアの見極めテストだったんだけど……」
『ええッ!?』

なのはの衝撃の言葉に、フォワードは驚きを隠せなかった。

「どうでした?」
「合格」
「「早ッ!?」」

なのはの問いかけに、即答したフェイトに、ティアナとスバルがツッコんだ。

「まぁ、こんだけみっちりやって問題あるようじゃ大変だって事だ」
「「あはは……」」

ヴィータの言葉に、エリオとキャロが苦笑いを浮かべた。

「私も皆いい線行っていると思うし……それじゃ、これにて二段階終了!!」

なのはの宣言に、フォワードたちが手を上げて喜んだ。

「デバイスリミッターも一段解除するから、後でシャーリーのところに行ってきてね」
「明日からはセカンドモードを基本形にして訓練すっからな」
『はいッ!!』

フェイトとヴィータの連絡事項を聞いて元気よく返事をする。
そんな中、キャロがヴィータの言葉に気が付いたようだ。

「え……明日?」
「ああ、訓練再開は明日からだ」

キャロの問いかけに頷き、ヴィータは再度説明をした。

「今日は私たちも隊舎で待機する予定だし」
「みんな、入隊日からずっと訓練漬けだったしね」

なのはとフェイトの言葉に、フォワードたちは顔を見合わせていた。

「ま、そんなわけで……」
「今日はみんな、一日お休みです!」

ヴィータの言葉を引き継ぐように、なのはがそう告げた。
実感が出てきたのか、フォワードメンバーの表情に笑みが溢れていた。

「町にでも出かけて、遊んでくると良いよ」
「はーい!!」

こうして、新人たちの休日が幕を開けたのであった。










「……以上、芸能ニュースでした」

俺と健司と隊長陣は、食堂で朝食を取っていた。
食堂では、テレビからニュースが流れている。

「続いて、政治経済。昨日、ミッドチルダ管理局地上中央本部において、来年度の予算会議が行われました。三度目となる再申請の税政問題に基づいて、各世界の注目が集まっています」

俺の周りで流れるのどかな雰囲気とは対照的に、ニュースの方ではやや重要なことが取り上げられていた。

「当日は、首都防衛隊の代表、レジアス・ゲイズ中将による管理局の防衛思想に関しての表明も行われました」

レジアス・ゲイズという名前が出た途端、皆がモニターを見上げた。

「魔法と、技術の進歩と進化……素晴らしいものではあるが、しかし! それがゆえに我々を襲う危機や災害も10年前とは比べ物にならないほどに危険度を増している! 兵器運用の強化は、進化する世界を守るためのものである!」

レジアスの演説に、それを見ていた局員たちが拍手を送る。

「首都防衛の手は未だ足りん。地上戦略においても我々の要請が通りさえすれば、地上の犯罪発生率も20パーセント、検挙率においては35パーセント以上の増加を、初年度から見込むことが出来る!」
「……このオッサンはまだこんなこと言ってんのな」

ヴィータは食事を再開し、呆れた様子で批判した。

「レジアス中将は、古くから武闘派だからな」

そんなヴィータに、シグナムはフォロー(?)をした。

「俺から言うと、少々浅はかではあるけど」
「………?」

俺の言葉に、全員が驚いた様子でこっちを見てきた。

「世界の平和を守るために兵器を投入する。それは一見いいことかもしれないけど、それは新たな争いの火種になる」
「………驚きだな、本局所属のお前からそんな言葉が出るとはな」

俺の意見に、健司が皮肉を込めて言ってきた。

「俺は思ったことを口にしただけだ。まあ、さすがにこんなこと本人には言えないけど」

俺はそう言うと、周りの視線(特にはやての)に耐えられなくなり、誤魔化すように食事を再開した。
それは、急な休日の朝の風景であった。

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第27話 休日と答え

「さてと、クラナガンまで来たけどどこに行く?」
「うーん、そうだね。あそこなんてどうかな?」

そう言ってなのはが指さしたのは、どこでも見かける服屋だった。

「そうだね、俺もちょうど私腹を何着か買おうかなと思ってたんだし、行くか」
「うん♪」

嬉しそうに返事をするなのはと共に、服屋へと向かった。










「ありがとうございました」

俺は服を2,3着買った。
この服屋は料金が安いことが魅力的な事の一つだ。

「そう言えばなのははどこに行った?」

俺はいつの間にかいなくなっていたなのはを探す。
彼女は程なくして見つかった。
可愛らしい服が並ぶところで、なのはは二つの服を見て悩んでいた。

「うーん、こっちもいいし。でもこっちも捨てられないし……」

ものすごく真剣に悩んでいる。
俺が真横にいる事にも気づいていないのだから。

「真人君、これを着たら喜んでくれるかな?」
「その喜ぶと言うの分からないが似合うとは思うぞ」
「きゃあ!?」

俺はなのはの呟きに答えると、小さく悲鳴を上げながら飛び退いた。
そんな彼女のリアクションに驚きつつも、俺はなのはに軽く謝った。

「な、何でもないからね! なんでもないよ!?」

なのはは取り乱した様子で二回も同じことを言うと、表に出て行った。

「………」

俺はなのはが見ていた二着の服を見る。
両方ともジャケットだが、片方は青、もう片方は薄いピンクで、可愛らしい模様が描かれているものだった。
そして俺は少しばかり考えたのち、その二着を手に取った。










「……む~」
「だから悪かったってば」

服やを後にしてから、なのははずっと機嫌が悪かった。
どうやら驚かされたことがかなりいやだったらしい。

「お詫びのしるしに、はい」
「……何、これ?」

なのはは俺が手渡した袋の中身を、不思議そうに見た。

「こ、これって……」
「さっきなのはが買おうか買わないか悩んでいた奴だよ」

俺はあの後、二着の服を購入したのだ。

「い、いいの?」
「良いって、良いって。はやて曰くこれは”デート”何だから。男を見せないといけないだろ」

俺は軽い感じで言うが、デートと言う言葉を言うためにはやてをダシに使った。
後でばれたら報復が待っていそうで怖い。

「………あのね、真人君」
「何だ?」

改まって話し出したなのはに、俺は静かに答えた。

「この間、真人君私に、その……す、好きだって言ってくれたでしょ? でも、私答えを言ってなかったよね」
「………」

俺はなのはの言葉に、動揺を隠すので精一杯だった。

「私は……その……」

俺はこの時ほど緊張したことはなかった。
それほど緊張して、俺はなのはの答えを待った。

「真人君の事が、好きです」
「………」

そして俺は嬉しいはずなのに、声も出なかった。

「俺も、なのはの事が好きだ」

そうだと思えば自然にそんな言葉が、口を継いで出てきた。
それから、俺となのはの間で会話が無くなった。

「そ、そう言えば。こうしてのんびり過ごしたことなんて今までなかったよな?」
「そ、そうだね」

しかし、この会話もそれで終わった。
俺の出し方が悪かったのかもしれない。

「つ、次の所に行くか」
「う、うん。そうだね――――きゃ!?」

俺が慌ててベンチを立ちあがったのに続いて、なのはもベンチを立ち上がろうとする。
だが、お忘れかもしれないがなのはは運動音痴だ。
そのせいなのか、もしくは緊張していたのかは分からないが、足が引っ掛かったのかよろめいた。

「あ、危ない!」

そして、俺はそんななのはの体を支えることで、事なきを得たが、今度は別の意味でピンチを迎えることになった。

「あぅ………」

なのはが顔を赤らめるのも無理はない。
何せ、今の俺達の体勢は抱き合うような形になっているからだ。

「真人君」
「な、なのは?」

なのはは甘えるような声色で、俺の名前を呼ぶ。

「………」

そして目を閉じた。
それが何を意味しているのかは、いくら俺でも理解できた。
幸い、このあたりは人通りが少なかった。
なので、俺はなのはの体を掴み、顔を近づける。
それはいわゆる”キス”と言うものだった。
そしてあと少しで唇が合わさると言った所で。

『こちらライトニング4! 緊急事態につき、現場状況を報告します!』
「のわぁ!?」
「きゃ!?」

突然全体通信でモニターが開いたので、俺となのはは目にもとまらぬ速さで離れた。

『F23路地裏にて、レリックと思しきケースを発見! ケースを持っていたらしき小さな女の子が一人!』
『女の子は意識不明です! 指示をお願いします!』

モニターには、エリオとキャロに抱えられている金色の髪をした少女が写っていた。

「………行くか」
「………うん、そうだね」

どうやら、俺達の休日は終了の様だった。
何とも言い難い雰囲気を残して。

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第28話 緊急事態

緊急連絡を受けた俺達は急いで指定された場所へと向かった。
たまたま近かったこともあり、フェイトたちと同時に到着することが出来た。

「……うん、バイタルは安定してるわね。危険な反応もないし、心配ないわ」

一通り検査をしたシャマルさんの結果に一同がほっと安心した様子だった。

「ごめんね皆。お休みの最中だったのに……」
「いえ」
「大丈夫です」

フェイトの謝罪に、エリオとキャロは笑顔で返事をした。

「ケースと女の子はこのままヘリで護送するから、みんなはこっちで現場調査ね」
『はい!』

なのはの指示にフォワードメンバーは返事をすると、駆け出して行った。

「執行人は、念のために新人たちのフォローをして」
「了解だ」

俺は執行人に指示を出した。
何が起こるかは分からないのだ。
下と上とに戦力を入れなければいけない。

「あ、それとだ」
「何だ?」

俺はその場を離れようとする執行人に声をかけた。

「マスター権限で状況A以上の際の能力解放を許可。水門を3段階開放、時間は5時間」
「……心得た、マスター」

俺の言葉に、執行人はいつもとは声色を変えて返事をすると、そのまま去って行った。

「よし、俺は上に行くか」
『ガジェット来ました! 地下水路に数機ずつのグループが少数! 16……20! 海上方面12機単位が5グループ!』

(どうやら来たようだな)

俺はそう呟くと背中に付けたステッキを手に持つとバリアジャケットを展開して、背中にステッキを上空にいるであろうフェイトとなのはの方へと向かった。

(そうだ。ついでにもう一フレーズ)

【執行人。マスター、山本真人の名の元、任務を与える。任務は敵(ガジェット)の完全消滅。徹底的に叩きのめせ!!】
【了解!】

俺の追加指令に、執行人はそれだけ答えた。

『なのは隊長とフェイト隊長、山本二等空佐は北西部に向かって貰ってええか? 山本二等空佐はヘリの警護とガジェットの破壊で、ちょい大変やどうけど、頼めるか?』

危なかった。
執行人との念話で危うく大事な事を聞き逃すところだった。

「任せて。少しは役に立たないと罰が当たるってところだ」

そして、俺はガジェットのいる方へと向かった。










「アクセルジュート!!」
「ブレイクイヤー・マルチショット!!」

なのはの誘導弾と、俺の矢がガジェットを次々に破壊していく。
今のでちょうど3グループ目だ

(快調だ)

俺はその感覚に酔いしれていた。
そしてふと気になった事を聞いてみた。

「そう言えば、健司はどうしたんだ?」
「ああ、健司だったら、はやて部隊長が大量の仕事を押し付けてるから、出動は無理だと思うよ」

俺の問いかけにガジェットを破壊しながら答えるフェイト。
と言うより、本当にかわいそうだな。

「ん? あれって増援か?」

そんな中、異変が起きた。
突然ガジェットの編隊が現れたのだ。
それは、さらに事態を深刻な状態に進めて行った。


★ ★ ★ ★ ★ ★


地下へと向かいやってきたガジェットを撃破していった僕達はレリックの入ったケースを見つけた。
だが、そこに突然襲撃者が現れた。
相手は子供。
だが、気は抜けない。

「ふっ!」

僕は右手に魔力を込めて、少女に肉厚する。
そして、一気に拳を振りかざそうとした時だった。

「がはぁ!?」
「執行人さん!!」

僕は、突然の攻撃によって吹き飛ばされた。
元々僕はバリアジャケットなどと言うものは着ていない
自衛手段は神性典か防御魔法のみ。
つまり、他の魔導師には大したことがない威力の魔法弾でも、僕にとっては瀕死レベルの物だ。

「執行人さん!!」

そんな誰かの声を聞きながら

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