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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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プロローグ

それはとある世界でのこと。
そこはまるで重役会議のような重苦しい雰囲気の漂う一室だった。

「やはりガレット獅子団の兵士たちは、ミオン砦を攻めに来るようですね」
「ガレットの連中、本気でこの城まで侵攻してくる気でしょうか?」

男性の言葉に、緑色の髪の少女が疑問を投げかけた。

「ガレット獅子団のレオンミシェリ閣下は勇猛な方ではあったが、かような無茶をされるような方じゃったかのう?」
「理由はどうであれ、この数戦はひたすら負け戦じゃ」
「せめてダルキアン卿やテンコ様がいてくれたらのう」

老人たちが次々に意見を出し合う。

「騎士ブリオッシュやユキカゼにも使命がありますれば」
「ともあれ、この戦をしくじれば最悪の場合このフィリアンノ城まで」

男性の言葉に老人が不安げに呟く。

「それは――――」
「させません!」

男性の言葉を遮り、緑色の髪をした少女は叫びながら立ち上がった。

「姫様の為にも、ビスコッティの民の為にも、この戦は我々が!」
「エクレ、今はその姫様の御前でありますよ」

栗色の髪をした少女がエクレと呼ばれた少女を咎めた。

「あ……失礼しました」
「ありがとう、みんな」

そんな中、上座の席についていた少女が沈黙を破った。

「我がビスコッティの苦しい戦況、よく分かりました。今回は本当に負けることはできない戦です。ですから、最後の切り札を使おうと思います」

ピンク色の髪の少女の言葉に、その場にいた者達がざわめく。

「ビスコッティ共和国代表、ミルフィオーレ・フィリアンノ・ビスコッティの名において、我が国に勇者を召喚します!」

それはどこでも見られる状況だった。
唯一異なると言えば、そこにいる者達の頭には”犬耳”が生えていたことであった。


DOG DAYS~誤召喚されし者~     プロローグ


天界、そこは周りが白面の世界。
言うなれば何もない世界だ。
そんな中、俺は何をするでもなくのんびりと過ごしていた。

「ここにいたのか」
「何の様だ? ノヴァ」

俺は声をかけてきた創造の神、ノヴァを睨みつけながら用件を尋ねる。

「そう睨まない。仕事の話じゃ」
「………」

俺はノヴァの口から出た”仕事”と言う単語に表情をこわばらせる。
俺の仕事、それは管轄の世界を安定させると言うものだ。
それは、世界の意志と言う存在であるからなのだ。

「前にも話したと思うが、ある世界で異常な時間経過の減少が発生しておる」
「ええ存じ上げております。地名は見滝原でしたよね。何か進展でもあったのですか?」

ノヴァの言葉に、俺は少し前にノヴァから伝えられた仕事の内容を思い出しながら答えた。

「そうじゃ。実は出発の日には世界移動用の次元空間の状態が悪いらしいのじゃ。よって比較的に安定している今向かって貰いたいのじゃ」
「随分と急ですね」

俺はノヴァの言葉に、皮肉交じりに答えた。
世界移動用の次元空間はどの空間よりも安定しており外部からの干渉は一切受け付けない。
但し、それも周期的に不安定となってしまうことがあるのだ。
それが出発予定日と重なってしまったらしい。

「わかりました。それではすぐに行くとしましょう」
「本当にすまない。お主の要望通りの武装だが、念の為に現地に到着したらすぐに確認するのように」

ノヴァの言葉を聞き流しながら、俺は支度を済ませる。

「あ、それと言い忘れたがお主の名前は、小野 渉じゃ。健闘を祈る」
「了解です。では世界の意志、小野渉任務に向かいます」

ノヴァから貰った名を手に、俺は次元空間を開くとそこに身を投じた。
世界移動用の次元空間は白とピンク色が合わさったような空間だった。
俺はそこを目的地に向けて只々降りて行く。

「目的地までの距離は502キロ………かなり離れた世界の様だな」

俺はモニターに出た残りの距離の長さに絶句した。
まあ、これでも12時間あればたどり着ける距離だが。

「まあ、長旅になりそうだし。気を楽にするか」

俺はそう呟くと、体中の力を抜いて、ただ前に進むことを考えた。










出発から5時間半が経過した。
俺はモニターをチェックする。

「残りの距離は270キロ………まだ半分にも行ってないな。次元空間の状態も良好」

ここまでノンストップで来ているので、さすがに疲れも出る。

「世界の意志と言うのも因縁な仕事だ」

俺はそう呟きながら移動を続ける。
もちろん不満があるわけではない。
俺のような愚か者を二度と作り出さないようにするべく、俺は今まで頑張ってきたつもりだ。
だが、時々考えてしまう。
俺も普通の人のように生活をしてみたい。
世界に縛られずに暮らしたいと言う願望が。
まあ、考えたらすぐに消すようにしている。
世界の意志にあるまじき思想だからだ。
しかし、その時は近づきつつあった。









それは6時間が経過した時だった。

「な、何だ!?」

突如として次元空間内にノイズが走ったかと思うと、流れがおかしくなった。

『渉! 聞こえるか!? 渉!!』
「おい、ノヴァ! これはどういう事だ!!」

突然頭に聞こえてきたノヴァの声に、俺は叫んで問いただした。

『強い空間干渉じゃ! ものすごいエネルギーの為にそっちの空間にまで影響が生じ始めているのじゃ! 早く戻るのじゃ!! さもないと二度と帰れなくなるぞ!!』
「なッ!?」

ノヴァの言葉に、思わず固まった。
この次元空間は、どのような干渉をも受け付けないはずだ。
それをも覆らせると言うことは、かなりの最上級レベルの術式のようだ。

『わしのミスじゃ。ともかく急いで脱――ザ――ザ――ザ――』
「お、おい!!」

ノヴァの声にノイズが走り出し、とうとう完全に聞こえなくなった。

(これって完全にやばいよな)

俺は本能で察すると、急いで方向を180度変えて進む。
帰る時はのぼりになるため霊力を使って加速しなければいけないのだ。
俺は最高速度で空間を突っ走る。
突然けたたましく鳴り響くサイレン音とともに、モニターが表示された。

『異常発生。後方29キロにて不正ゲート出現、拡大中』
「何だと!?」

俺は最高速度で進みながら下を見る。
そこにはピンク色の陣が出来ていた。
あれは、魔法陣か!?
しかも拡大中ということは、こっちに迫って来ていると言う事かよ!?
不正ゲートと言うのは次元空間内に外部から強引に生成された出入り口の事を言う。

『警告! 不正ゲート後方15キロまで接近!』

サイレン音はアラートへと変化する。
下を見ると確かにその魔法陣は大きくなってきていた。

(とはいってもこれが最高速度だっての!)

「天界まで残り100キロ。逃げ切れるか!?」

それは賭けだった。
展開にたどり着ければあの魔方陣の干渉は受けられないはずだ。
しかし、先ほどまで断続的に鳴り響いていたアラート音が連続して鳴り響き始めた。

『警告! 不正ゲート後方5キロまで接近!』

モニターに出てきた警告に俺は心の中で毒づきながら駆け抜ける。
そして天界まであと25キロと言うところまで来た時だった。

『警告! 不正ゲート後方1キロまで接近! 至急緊急離脱をしてください』
「っちぃ!」

俺は状況が悪化したことに舌打ちをした。
見ればもう目前にまで魔法陣が迫って来ていた。
ちなみに、緊急離脱と言うのは不正ゲートに飲み込まれる前に、どこかの世界に出ると言うものだ。
やってもいいのだが、出た世界が安全な世界であると言う保証はない。
最悪の場合には命まで取られかねない。
なので、俺は緊急離脱に踏み切れなかった。

「天界まであと5キロ。あと少しで――――」

俺の希望の心は、即座に消された。
そう、目の前に迫ったピンク色の魔法陣によって。

「うわあああああ!!」

そして俺はその魔法陣に飲み込まれた。
辺りは真っ黒でピンク色の稲妻の様なものが走っていた。
そこで俺の意識は途切れていた。


今思えば、これが俺にとって運命を変えるきっかけとなる事件の序章でもあった。

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