今、俺達は閣下の走って行った方向に走っていた。
そして何やらクレーターのようになっている場所に、そこを飛び越えている閣下の姿があった。
「「させるかぁぁ!!!」」
「あ、こら待て!!」
俺は駆けだす二人を止めようとしたがそれを聞かずに特攻していく。
むやみやたらに特攻をしてもいいことは一つもない。
現に閣下は変な生き物から離れて二人の武器がかち合った所に砲撃を放った。
俺は急いで、二人の元に駆けよる。
「おい、大丈夫か………って」
今度は少女が下で少年が上になって倒れていた。
と言うより少女の服が一枚無くなってるんだが?
「勇者、お前は何なんだ! 戦いの邪魔をしに来たのか!?」
「いや、お前ら二人のミスだから」
言い合っている二人に、俺はそうツッコんだ時だった。
背後からエメラルド色の光が輝き始めた。
俺は慌ててその方向を見ると、そこには閣下の背後には何かのマークのようなものが浮かび上がっていた。
その体にはエメラルド色の輝きを纏っている。
「おりゃ!」
手に持つ何かを地面に振り下ろした瞬間、何かの模様があしらったものが現れた。
「な、何だよ、あれ?」
俺がそう呟いた瞬間だった。
「獅子王炎陣!」
閣下の言葉と同時に、地面から火柱が吹き上がってきた。
どう見ても危険な物には違いがない。
「のわぁ!?」
さらには上空からの溶岩まで飛んでくる始末だ。
俺は急いで逃げた。
「紋章術って、こんなことまで!?」
「レオ姫は桁が違う! 倒されたくなければ」
「「とにかく逃げる!!」」
二人は意味不明の単語を呟いて走って行く。
「お、おい!! これは一体なんだ!!」
俺の問いかけに答える人はいない。
「これはやばい!! 万物よ、我を守りし――――」
俺はとっさに日本の神剣を十字に掲げて防御術の詠唱をする。
だが……
「大爆破!!!」
閣下の一言によって、周囲が赤一色になる。
やがて、けたたましい爆音が響き渡った。
俺はそのあまりにもすごい威力に目を閉じた。
3人称Side
レオンミシェリの紋章砲、『獅子王炎陣大爆破』によって火玉と、衝撃波が辺りを襲う。
「爆破ぁ! レオンミシェリ閣下必殺の、獅子王炎陣大爆破!! 範囲内にいる限り、立っていられるものは誰もいないと言う、超絶威力の紋章砲。味方も巻き添えにしてしまうのが玉に傷ですが、それにしても強い」
そしてそれが止むと再び大きな声で実況された。
レオンミシェリも勝利を予想した時だった。
「おっと! その大技を受けながらも立っているものが一人います!!」
「何!?」
男性の声にレオンミシェリは驚きを隠せなかった。
そして土煙が晴れ、その人物の姿が露わになる。
「先ほど突然現れた謎の勇者です!! 謎の勇者がレオンミシェリ閣下の紋章砲を受けて無傷で立っています!!!」
そこにいたのは、渉であった。
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