「ん……」
俺はうるさく鳴り響く花火の音で目が覚めた。
「いつつ……ここはどこだよ」
俺は毒ずきながら辺りを見回す。
そこは何の変哲もない森だった。
(確か不正ゲートに飲み込まれたんだよな? 俺)
状況を把握した俺は即座に行動に移した。
「コネクト」
俺はこの世界にアクセスすることにした。
俺が知りたいのは、ここがどこなのかという情報だ。
そして世界の因果情報や世界の根源を見れば、少しは分かるのだ。
しかし………
「弾かれた!?」
俺は驚きのあまりに思わず大きな声で叫んでしまった。
何と俺のアクセスを世界が拒否したのだ。
「管轄外の世界か。面倒な」
俺は状況の悪さに舌打ちをする。
俺の管轄する世界ではない場合、その世界をまとめる神にアクセス権を譲渡されなければいけない。
もちろんだが、ここに具現化している場合はそれがどの人物かを見分けるのは難しい。
まあ、理由の一つに力が弱いと言うのもあるが。
「それじゃ、まずは誰かがいる場所に行くとするか………ん? なんだあれは」
歩き出そうとした時、俺は地面に落ちている二本の短剣を見つけた。
「どうやら僕は運がいいらしい。ここに来て新たな武器が手に入るとは」
俺はその二本の短剣を手に取りながら呟いた。
自分の持つ武装に不安がないと言ったらうそになる。
少しでも武器は多い方がいい。
「にしてもこれはちょっとな………」
俺は短剣を観察する。
それはリーチが異様に短く、しかも刃には罅が入っていた。
おそらく二、三回打ち合えば折れてしまうような感じもする。
「まあ、いいか――――ッ!?」
俺は突如伝わってきた黒い波動に短剣を放り捨てた。
「………最終審判、レクリエム!!」
そして俺は超必殺技を使い、二本の短剣を破壊した。
「何ッ!?」
しかし、二本の短剣はまるで何事もなかったかのようにそこにあったのだ。
俺はこの時自分の運命と浅はかさを呪った。
「こいつは呪剣か」
――――呪剣
それはその名の通り呪われた剣の事を言う。
そのほとんどが持ち主に災いをもたらすもので、決して破壊も出来なければ手放すこともできないのだ。
「仕方がない。これを持って長い時間をかけて浄化するしかないか」
俺に出来る事はそれだけだった。
俺はそれを格納空間にしまうと歩き出そうとする。
「ッ!?」
その時、俺は何かを察知して後方に下がった。
その瞬間、俺の目の前を何かが通り過ぎたかと思った瞬間、まるでやわらかいものを切るように樹木が切り倒された。
「斧!? 敵か!」
俺はすぐに辺りに気を配った。
しかしその人物はすぐに姿を現した。
茶髪のおじさんだった。
「ほぅ、この俺の奇襲を躱すとは、只者ではないようだな」
「突然攻撃してくるとは………命知らずもいたものだ」
俺はそう言いながら己の武器である斧を取りに行くおじさんを見る。
そして気づいた。
「………は?」
「どうした小僧?」
俺は目を疑った。
目の前にいるおじさんの頭にはなんと猫耳がついていたのだ!
しかもしっぽまで!!
(なうほど、ここはそう言う世界か)
俺も色々な世界を見ているという自負がある。
なのですぐに納得がいった。
「何でもない、さてひ弱な物にこれを使うのも申し訳ないが、これしか武装はないのだ。許しておくれ」
「言いよるな小僧。くるがいい!」
俺は両手に神剣、吉宗正宗を展開する。
「おりゃ!!」
「っふ!」
おじさんが放ったのは、鉄球だった。
しかしそれを俺は難なく躱す。
「はぁ!!」
「甘い!」
次はこっちに向かって突進しながら斧を振り下ろそうとする。
俺はそれを躱しながら正宗の柄で軽く小突く。
「ぐぅ!?」
「不届き者よ、我が前にひれ伏したまえ! 拘束の壇上歌」
そして俺は痛みで動きを止めた一瞬のすきを突き、おじさんを白銀の光で縛りつけた。
「な、何だこれは!?」
「貴方との戦いは非常に心が躍りますが、今はその時間がない故これにてお開きとさせていただきます。では、失礼」
俺はおじさんにそう言い残すと、素早く走りながら森を立ち去った。
[1回]
PR