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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

【案内板】

黄昏の部屋(別館)

当サイト、『黄昏の部屋(別館)』へようこそ。
こちらでは某小説投稿サイトで、私TRcrantが投稿していた小説を掲載しています。
読まれましたら拍手や感想などをして頂けると執筆意欲向上に繋がったりします。
(『その力の先にあるもの』と『IS(インフィニット・ストラトス)~破門されし者~』は、本館の方にて掲載されています。)

*注意*
本サイトの小説はすべて二次創作です。
そのため、突然の削除などが行われる可能性がございます。
二次創作が苦手な方は、ご覧になられないことをお勧めいたします。
拍手または感想等を募集しております。
拍手コメントでレスが不要な方は、拍手コメント時にその旨をコメントに明記してください。
明記されてない場合は、HN共々雑記にてコメント返しにて表記されますのでご注意ください。
注意事項はこちらをご覧ください。
他、明記されていない細かい注意点は本館と同じですので、そちらの方をご覧ください。

それでは、ごゆっくりとお楽しみください。

===更新履歴(最新の3日分のみ表示)====
・2月19日
『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』外伝を掲載しました。
雑記を掲載

・2月17日
『To Loveる~二つの人格を持つ者~』第7話を掲載しました。
雑記を掲載

・1月21日
新作『涼風のメルト~土地神を補佐する者~』プロローグを掲載しました。
雑記を掲載
=======
掲載作品一覧

魔法少女まどか☆マギカ~革命を促す者~

魔法少女リリカルなのは~目覚めた力~

魔法少女リリカルなのはstrikers~失った力~

DOG DAYS~誤召喚されし者~

ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~

魔法少女リリカルなのは~目覚めた力~RB

To Loveる~二つの人格を持つ者~

けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~

二人の神と欲望に駆られた人間たち


カミカゼ☆エクスプローラー~無を司りし者~

プリマ☆ステラ~二人のコウスケ~

スズノネセブン!~魔法が使えない魔法使い~

涼風のメルト~土地神を補佐する者~

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRcrantです。

大変お待たせしました。
本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
今回は外伝という形となっており、浩介の過去について書かれています。
これからも不定期でこのような話を書いていく予定ですので、こちらも併せて楽しみにしていただけると幸いです。


それでは、これにて失礼します。

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外伝1 すべての始まり

――始まりはひょんなきっかけだった。

桜の木も散り、季節はゆっくりと夏に向かっている中、僕は教室で担任の先生からの連絡事項を聞いていた。
クラスメイト達は、先生の連絡事項にどこか浮き足立っている(そわそわしたような感じ)様子で聞いていた。
それもそうだ。
なにせ明日から4連休なのだから。
いわゆる”ゴールデンウイーク”なるものだった。

「みなさん、さようなら」
『さようならっ』

先生が挨拶をして、それに応える生徒たち。
それと同時に、まるで爆発したかのように教室に話し音が溢れかえり始めた。
彼らは友人たちと遊びに行くか行かないかの話で盛り上がっている。
そんな中、僕は手早く荷物をカバンに入れるとそのまま教室を後にした。
周りでがやがやとにぎわっていても、それがどこか別世界のような錯覚さえ覚えた。
僕の今の状態を簡単に例えるのであれば透明人間。
誰も僕のことを認識していない。
でも、僕は実際に認識されている。
大声を上げれば、その場にいる人が何事かといわんばかりにこっちを見てくるだろう。
そう、僕は孤独だった。










僕、高月浩介は現在小学2年生。
ただ違うのは、僕は人ならざる者が住まう世界である魔界から来たことだ。
1年前、魔法連盟(魔法使いを取り締まる警察のような組織)の連盟長でもある父さんに、突如おかしな任務を言いつけられてこの人間界にやってきていた。
任務の内容は、”魔法を使用せずに、栄誉を残す”こと。
魔法を使ってはいけないという条件が故に、僕はどのようにしてこの任務を達成するのかを1年かけて考えてきたが、なかなかそれが見つかることはない。
そうしているうちに、月日が流れていってしまったのだ。

(そもそも、どうしてこんな変な任務を与えたんだ?)

どちらかというとこっちの方が不可解だった。

(やはり、”あの”答えが原因か?)

ふと浮かび上がったのは、それだけだった。
それは、任務を言い渡される直前に父さんから真剣な面持ちで投げかけられた物だった。
内容も”もし我が国を侵略しようとするものが現れた場合、おぬしはどうする”という、いかにもなものだった。
その問いかけにどのような意図があるのかがわからないまま、僕はその問いかけに”全員まとめて始末する”と簡単に答えて見せた。
自国を守るには、危険因子を少しでも排除することが最善の策だ。
お咎めなしでそのまま生かして帰せば、再び侵略するかもしれないのだ。
その返答に、父さんは表情を真剣な面持ちから険しいものへと変えた。
そして告げられたのがあの任務だったのだ。

(あれのどこが間違いなんだろう?)

自分でもいまだにそれがわからなかった。
それはともかく。
僕は現在魔法文化のない世界に来ているわけだが、大きな問題があった。
それが、クラスで孤立しているということだった。
理由ははっきりしている。
それは、僕がひととして必要な何かが大きく欠落しているからなのかもしれない。
小学校に入学してからというもの、誰も話しかけてくる兆しを見せない。
それどころか怯えているような感じさえ見受けられる。
それはまるで、化け物を見るようなものだった。

(まあ、話しかけられても困るんだけど)

自分の20分の1の年の子供に、一体なんて受け答えすればいいのかが僕にはわからなかった。

(まさか、ここまでだったなんて)

魔界にいるときから、コミュニケーション関連が大きく欠落していると言われ続け、それも自分で自覚はしていたがこうして実際にこの現状を目の当たりにすると、驚きを隠せずにはいられなかった。

(まあ、どうでもいいか)

結局そういう結論に達するあたり、僕は何かがおかしいような気もするが、それよりも僕の一番の問題は、やはり任務達成の手段だ。
なんとしてでも任務を成功させてこの茶番のような任務を終わらせなければいけない。

(でも)

どうしてだろうか?
一人でいればいるほど、任務のことを考えようとするほどに、胸が痛んでくるのは。





任務にあたっての、サポート体制は万全だ。
まずは小学校の教師に数人、魔法連盟の人間をもぐりこましている。
他にも医療機関や役所、金融機関に、治安維持組織にも同様に魔法連盟の物が潜入しており、僕の任務をスムーズに遂行できるようにしてくれている。
もっとも、これを行っているのが工作部隊なる者たちなのだが。
そして、生活費。
これに関しては僕の自費からねん出することになっている。
とはいえ、僕の場合贅沢さえしなければ向こう100年ほは働かずに暮らしていけるほどの財産があるのでこれについては問題はないだろう。
現に不自由したことはこれまでに一度もないのだ。
ただ、あまり使いすぎるとこの国の経済バランスを崩し(必然的に通貨の量を増やすことにもなるので)かねないのでやっていないが。
何事も程度ということだ。
次に、住まいだ。
これに関してはどいうわけかすでに用意されていた。
一面、白い外壁の一軒家で誰がそこに住んでいる人物が魔法などという非科学的な力を使えると思うだろうか?
それはともかくとして、今現在僕は自宅に食材がないため、鞄を自宅のほうに置いて買出しに出ていた。

(僕はいったい、なんでここにいるんだろう?)

買い出しをしている最中、僕はそんな答えのない疑問を自分に投げかけてしまう。
こういう時は魔法の練習をして力をつけておくようにすればいいのだが、それも満足にできない。
なぜならば、魔法連盟が定めた世界渡航に関する法律が存在するためだ。
それは、魔界から他の世界に向かう魔法使いたちが守らなければいけないことなのだが、そこの最初のほうにこう記載されている。

『魔法文化のない世界に渡航する場合、ライセンス課からの魔法使用許可を得ずしてのBランク以上の魔法の行使を禁じる。
ただし、生命に関わる場合はこの限りではない』

もちろん、この法律は魔法使いを取り締まったり秩序を保たせるのに重要なのは言うまでもない。
だが、僕にはこれ以上ないほどに楔のようなものになっていた。
ちなみに、ここに出てくる”ランク”だが、これは魔法の効果と難易度を示したものだ。
下がD、上がSSSまである。
例を挙げると、空を飛ぶ魔法はBランクで、姿形を変える魔法はSランクに認定されている。
他にも、A地点から一瞬でB地点に移動する転移魔法もSランクだ。

(ここに来るときに、父さんに子供の姿にされたけど、これって、地味に調子が狂うんだよな)

解呪を行うにはSランク相当の魔法を使わないといけない。
だが、それを行うにはライセンス課(僕のように魔法文化のない世界に向かった魔法使いに対して、魔法使用の許可を出したり、魔界内での魔法を使うための資格などを発行する部署)に許可をもらわなければいけないが、もらえることはないだろう。
現に数日前も却下されたばかりだし。

(ほんとにどうしよう)

結局、また振出しに戻ってしまう。
これまで結論らしい結論に達したためしがないのだ。
まるで永遠に続く迷路に迷い込んだような心境だった。

「ん?」

そんな暗い心境のまま、買い物を終えてスーパーから出た時、ふと音楽が聞こえてきた。

(そう言えば、このあたりってストリートミュージシャンが出没する場所だったっけ)

大型ショッピングセンターや、娯楽施設ができたことによって、人が多くなり始めているため、よく一発逆転を狙っている(かどうかは分からないが)ミュージシャンたちが駅前の一角でライブを行っていたりしている。
もっとも、中には珍妙なことを喚き散らす宗教勧誘や、子供じみた妄想しか口にしない政治家の幼稚なスピーチなども存在するが。
後者はいいとして前者は実に面倒くさい。
その面倒くささと言えば、宗教に入れとしつこく勧誘された時に、二度と口が開けないようにでもしてやろうかと思ったほどだ。
閑話休題。

「行ってみるか」

意外そうに見えるが、僕は音楽に興味を持っている。
昔、英才教育としゃれ込んだ父さんにピアノをやらされていた影響だが、ストリートミュージシャンが出没したときは、急いでいない時には毎回立ち寄ることにしているのだ。
この日も僕はそれほど大きくはない買い物袋を手に、ライブを行っているミュージシャンがいるであろう場所へと足を進めるのであった。










大型のショッピングセンターなどができているだけあり、駅前のロータリーにはタクシーやバスなどが数台停車していた。
周囲に建ち並ぶビルの外壁にはやや大きめなモニターが取り付けられており、そこには何らかの食料品のCMなどが映し出されていた。
駅のほうにもアイスクリーム屋やコンビニなどのお店が存在しているので、帰宅途中のサラリーマンや学生にとってはかなり重宝する場所だろう。
ちなみに、現在住んでいる場所から今いる場所は数駅ほど離れている。
というのも、地元のスーパーは品ぞろえが悪いのか、売り切れていることがしばしばなので売り切れがしにくい大型のショッピングセンターを利用することにしているのだ。
もっとも、ここでも売り切れるときは売り切れるがしょっちゅう売り切れ状態のスーパーよりはましだ。
そんなロータリーの一角にいたのはただのストリートミュージシャンというには似つかわしくない人物だった。
ピアノのようなものの前に立っているどこか自信がなさげで気弱そうな男性と、弦楽器を手にしている二人の女性という構成だった。
その横に控えている金髪の男の人も、おそらくはメンバーなのだろう。
弦楽器を手にする女性二人は対極的な印象を持った。
銀色の髪を後のほうでくくっている女性は、お花畑にいる令嬢のようなほんわかしたような印象に満ちている。
そしてその横に立っている短めの黒髪の女性は戦乙女のごとく堂々とした気迫に満ちていた。
そんな彼女たちの周辺には人は全く集まっておらず、それどころか彼女たちの前を通りかかる通行人が立ち止まるそぶりすら見せない。

「それじゃ、最後の曲『Only for you』です」

そんな中、黒髪の女性が静かに曲名を告げると、ピアノのような鍵盤楽器から始まり、続いて弦楽器の女性たちも演奏を始めた。
それを聞いていてなぜ人が集まらないのかがわかったような気がした。

(音程もリズムもめちゃくちゃ)

魔法使いが最初に行うのが、どういうわけか音感やリズム感覚などを鍛える練習なのだ。
この理由についてはいまだにこれだという解明されていない。
色々な説はある。
耳を鍛えて敵の攻撃の位置を把握するためやら、魔法の精度を上げるためなど挙げていけばきりがない。
なので、魔法使いは大抵が音感やリズム感覚などが優れているのだ。
僕の場合は、そのためのピアノであり絶対音感であると言われたことがあった。
もっとも、魔法使い全員が絶対音感だというわけではないが。
それはともかく、僕は今目の前で演奏している曲の音色が、まったく絡み合っていないような気がしていた。
ギターという弦楽器と鍵盤楽器が勝手にあちこちに飛び回っているため、ただの雑音でしかなくなっているような印象しか感じなかったのだ。

(歌声はいいのに残念だ)

恐らく黒髪の女性がボーカルなのだろう。
彼女の歌声は曲全体を一気に引き締めていくのに最適だ。
それだけにもったいなかった。
そんなことを思っていると、どうやら曲は終わったようで二人の女性は深々とお辞儀をした。
この時、自分のとった行動がとでも不思議でならない。

「下手くそ」

心の中でとどめておくつもりだったその言葉を、口に出してしまったということが。

「おい、坊主」

踵を返そうとしたところでよ認められた僕は、その相手の顔を見るとその男性は二人の女性の横で彼女たちを見ていた金髪の男だった。
その男の人は視線で人を殺せるのではないかというほど鋭い眼で僕を睨みつけていた。
どうやら僕のつぶやきがこの男の人に聞こえていたようだ。

「さっきの言葉、聞き捨てならねえな。もう一度言ってみろ」
「………」

完全にあっちの世界の人間のようににらみつけてくる男に、僕は無言で睨み返す。

(今ここで始末するのもいいが人が多すぎる)

母国とは違い、そういうことをする際には細心の注意を払わなければいけない。
人が大勢いる場所で事を構えるのは、後々の片づけが面倒になるからだ。

(それに)

こうしていれば、こっちにメリットがある。
目の前の男の視線など、僕にとってはただの子供の物だ。
それで僕をどうこうすることなどできやしない。
でも、この状況を客観的に見れば、大の大人が子供を脅しているという風に見えなくもない。
現に通行人の人たちも訝しむ様な目で男のほうに視線を向けているのをを横目で見ている。
どの道勝つのは僕だ。
そう思えば、この状況もおかしくなってくる。

「てめぇ、何笑ってやがんだ! 大人を舐めてんじゃ―――」
「はいはい。そこまでそこまで」

目を見開かせ胸倉をつかんできた男に、僕はついに実力行使に出るのかと自分でも驚くほどの他人事のように思っていると、手をたたく音と共に一人の男性が仲裁に入った。

「社長」
「子どもを相手にそれをやってはいけないよ。竜輝君」

社長と呼ばれた黒髪の男性は茶色のジャケットに黒のスーツをまとい、穏やかな口調で金髪の男を窘めた。
だが、穏やかな口調とは裏腹に、底知れぬ威圧感のようなものが関係ない(ある意味当事者だけど)僕まで飲み込み圧迫感を感じさせた。

「君も、人を怒らせるようなことは言ってはいけないってお父さんとお母さんに教えてもらったよね?」

(な、ナニコレ)

こちらに向けられただけで、これまで感じていた圧迫感がさらに増した。
それは目の前の紳士的な男性の本性は戦国時代に生きる武将かと思わせるほどの物だった。
余談だが、ここに来るにあたりこの世界の歴史は一般常識程度は把握している。
もっとも、かなり付け焼刃な状態だけど。
閑話休題。

「二人とも、ちゃんと謝るんだ。人を馬鹿にするようなことを君が悪いが、それに腹を立てて子供をにらみつける竜輝君も悪い」
「「すみませんでした」」

逆らえなかった。
僕からすれば、ただの独り言に反応した向こうが悪いので謝る気はもともとなかった。
それでもこの男性の言葉には逆らうことができなかった。
きっと僕にわからない何かがこの男性の言葉にはあるのだと思う。

「それで君」

お互いに謝り、痛み分けという結果で今回は決着がついたと思った矢先、今度は男性が口を開いた。

「さっきの言葉、一体どういう意味か教えてもらえないかな?」

口調こそ穏やかなものだったが、その表情は答えなさいと告げているように思えた。
しかも答えるまでここを離れることはできないという可能性だってある。

(周りの目もないし)

男性が仲介してお互いに謝ったことで、周囲の人の目は一気に薄れていき、現在は誰もこちらの様子を気に掛ける者はいない。
周りから見ればお互いに謝って和解し、今現在は男性が親しげに話しかけているという、見方によっては優しいおじさんに戸惑う子供という状況と判断できる状態だ。
もしここまでを掲載んしているのであれば、この男性こそ非常に脅威なのではなかろうか?
僕は降参の意を込めてため息をつくと理由を告げることにした。

「弦楽器の二人の演奏と、ピアノみたいな楽器を弾いている人とのタイミングの差があった。厳密にはピアノのほうがワンテンポずれています」
「………続けて」

僕のその指摘に、男性は静かに続きを言うように促した。

「最後に音と音が絡み合っていない……恐らく、必要な楽器がないのかそれとも使用している楽器が間違っているのかのどちらかだと思います」

その僕の言葉に、金髪の男と二人の女性たちが表情をこわばらせた。

(これは、修羅場だな)

僕はその男たちの表情の変化を見て、いつでも攻撃できるように準備した。
後はカギにもあたる呪文を紡ぐだけで攻撃魔法を発動させることができる。

「君」
「……っ」

男性が声を上げたのを聞いて、僕はさらに警戒を高めた。

「頼みたいことがあるから、ちょっとおじさんと一緒についてきてもらってもいいかな?」
「……」

安心させるように柔らかい笑みを浮かべながら聞いてきた男性に、僕は少しだけ考えを巡らせる。

(このままついて行って大丈夫だろうか?)

表面上は穏やかで敵意のようなものは感じない。
だが、裏ではどうなっているのかまで分からない以上、下手について行けば命取りにもなりかねない。

(読心術も時間がかかるし)

心を読む読心術も考えたが、問題点があったため止めた。
読心術自体はすぐに行使することができる。
だが、相手の心を読み解くのにはかなりの集中力と時間(とはいえ、数十秒程度だが)を要する。
この状況でそれをするのに必要な時間がないのだ。
そう、ほんの数秒遅れただけでもややこしい事態になったりするのだから。

(まあ、大丈夫か)

このままついて行って何をされようとも、魔法という絶対の武器がある以上行こうが行くまいが関係がないことに気付いた。
何かがあっても切り抜けられる自信はある。
僕にかけられた楔も『命に関わる場合』には全く関係ないのは明らかだし。

「わかりました」

そんな結論に至った僕は、男性の誘いを受けることにした。

「そうか。それじゃ、早速で悪いけど移動しようか。君たちも移動の準備を」
「は、はい」

これまでのやり取りを静かに見ていた女性二人と男性に声をかけ、三人は手早く楽器を片付けていく。

「それじゃ、行こうか」

そして素早く片付け終えた三人と共に、僕達は男性の後について行くことにした。
そのあとに待ち受けているものを知らずに

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『To Loveる~二つの人格を持つ者~』最新話を掲載

こんばんは、TRceantです。

大変お待たせしました。
本日、『To Loveる~二つの人格を持つ者~』の最新話を掲載しました。
最新話の今回は、婚約関連の話の終わりという形になります。
次回はどのように進めていくのかはいまだ未定ですが、楽しみにしていただけると幸いです。

さて、ここからは話が変わりますが重大なお知らせがあります。
3月の1日と2日ですが、諸事情によって執筆のほうを停止させていただくことになりました。
また、この期間は運営自体も停止させますので、コメントへの返信や確認は行えません。
申し訳ありませんが、3日までお待ちいただけると幸いです。
なお、閉鎖をするということではありませんのであしからず。


それでは、これにて失礼します。

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第7話 話と日常の終わり

「ん………」

次の日、俺はいつものように目を覚ました。

「って、また寝てるし」

横を見るとまた裸で寝ているララさんの姿があった。
彼女には羞恥心と言うものがないのだろうか?

(今なら、クーリング・オフができるチャンスなのではないか?)

無防備に眠っているララさんを見て、そんなことを考えてしまった。
だが、その考えをすぐに振り払った。

(それができなかったからこうなっているわけだし。それに)

今自分がやろうとしていることにものすごく抵抗を感じていた。

「あ、そういえば交換日記」

そこで俺は交換日記のことを思い出し、ララさんを起こさないようにベッドから出ると机の上に置かれた交換日記帳を開いた。
交換日記には、このどうしようもない状況をなんとかするべく突破口を聞いておいたのだ。

「………」

ノートを開いた俺は、そこに書かれている内容を見て愕然とした。

『美柑でもなくこの私に聞いたということは、非常に物事の通りをわきまえているとみる』

最初は称賛の言葉が綴られていた。
そしてその下の行にさらに続いていた。

『だったら分かるだろ? 竜介』

その文字の下にはやや大きめの文字で答えが書かれていた。

『諦めな』

と。

「ば、バッサリと切り捨てたな」

まあ何かをしてもらおうと考えていた俺に問題があるのは確かだが、もう少し言い方というものもあるだろう。

(そういえば、美柑のことを名前で書くようにしたんだ)

これまでは”あいつ”や”妹君”などだったが、今回はちゃんと名前が書いてあった。
どうやらいい方向に改善したようだ。
もっとも、それが今の状況に何の影響も与えないことは言うまでもないが。

「リュウスケー、おはよ~」
「うん、おはよう。そしてさっさと服を着てっ」

目をこすりながら上半身を起こすララさんに、僕は自然に挨拶をしながら服を着るように告げた。

「わかった。ペケ」
「はい、ララ様」

ララさんの言葉に応じたペケによっていつもの服装に変わった。

(本当にどうすればいいんだ)
残り時間はあと12時間ほど。
はたして、俺にクーリングオフをすることができるのだろうか?

(でも、やるしかないんだ)

そうでなければ俺の人生はとんでもないことになるかもしれないからだ。
いや、別に婚約が嫌なわけではないのだが。
だが、このまま成り行きでというのは後悔するような気がしたのだ。

「竜介~、ララさん。朝ご飯の支度が出来たよー!」
「ほーい。リュウスケも早く」
「あ、うん」

下のほうから聞こえてきた美柑の声に応えたララさんが俺にそう告げると、俺の腕をつかんで半ば強引に自室を後にするのであった。










(残り1時間)

夜。
夕食を終えた俺は、リビングのソファーの上に腰掛けながら時計を見ていた。
クーリングオフができるまでもう時間が残されていないのだ。
今、ララさんは食器を片付けている美柑の手伝い中だ。
ララさんはすっかり結城家に溶け込んでいた。
これはララさんがすごいのか、それとも美柑の心が広いのか。
恐らく両方だろう。

(もう、時間がない)

つまりは、今のうちに何とかする必要がある。
口で言うのは簡単だ。
相手に婚約解消を宣言すればいいのだから。
とはいえ、胸を揉みながらというのがそれを難しくしている。
それに何より……

『リュウスケはそんないい加減な人じゃないから』

少し前に言われたララさんの言葉が、手をこまねいている一番の理由だった。
もし、不意打ちにも近い形で胸を揉んで婚約解消をしたら、ララさんを裏切ることになる。
確かに俺は婚約を解消したい。
でも、それは誰かを裏切るような卑怯な真似をしてまでするべきことなのだろうか?

(こうなったら……)

「ララさん」
「何? リュウスケ」

だからこそ、俺は一世一代の大勝負に出る決意を胸に、ララさんに声をかけた。

「ちょっと話したいことがある。ついてきて」
「話したいこと? うん、わかったよ」

俺の誘いに、ララさんは何ら疑問を持った様子もなく答えると、最後のお皿だったのかそれを美柑に手渡してこちらのほうに駆け寄ってきた。
そして俺たちはそのまま自宅を後にするのであった。










俺が出した結論、それは直接真正面からララさんに話すことだった。
卑怯な手は使わずにちゃんと話したうえで婚約を解消する、
これが、今俺が考えている中で一番最善の策のような気がした。
まあ、そのあとにどのようなことが起こるかまでは予想ができないけれど。

(もし本当に地球消滅になったらどうしよう)

そんな不安に駆られるが、だからと言ってここで尻込みするわけにはいかない。

(よし、俺はやるっ。婚約解消を)

俺は自分に気合を入れる。
そうこうしているうちに近くの土手にたどり着いた俺は、そこに腰を落ち着かせる。

「ララさんもどうぞ」
「それじゃあ」

俺の促す言葉に、ララさんは静かに俺の隣に腰掛けた。
だが、そこで静寂が俺たちを包み込んだ。
俺が本題に入ればいいだけだが、それを口にすることを躊躇していた。

いざ本題を切り出そうとすると、口が凍り付いたかのように動かなくなってしまうのだ。
「婚約の件だけど」

そんな中、ようやっと紡ぎ出せたのはその一言だった。
だが、きっかけさえ作れば後は簡単なものだ。
俺はこの場の流れに任せることにした。

「嬉しかったよ」
「え?」

そんな俺の作戦も、ララさんの一言で止められてしまった。

「第一公女っていうのもなんだか窮屈なんだよね。お見合いとか会食とか、お父様がこう言ったとかって。誰も私の話を聞こうともしなくて」
「………」

どこか悲しげでそれでいてつらそうな表情を浮かべながら口にした言葉は、聞いているだけでも胸が締め付けられるような内容だった。

「だから、家出したんだ」

それが、家出の理由だった
理由を知った俺は、少しではあるが家出をしたくなる彼女の気持ちがわかったような気がした。
それが何故かはわからないが

「でもリュウスケは違った。突然現れた私の話を聞いてくれて、私を守ってくれた。だから、ありがとう」
「……」

柔らかい笑みを向けられた俺は、それ以上彼女の顔を見ていることができなかったため顔を逸らし川のほうへと視線を向ける。
水面には夜空がうつっていて、それを見ているだけでなぜか心が落ち着くような感じがした。

「それで、リュウスケの話って何?」
「それは……」

改めてララさんに切り出された俺は、肝心の本題を言えずにいた。
簡単なことだ。
ただ婚約を破棄することを告げればいい、それだけのはず。
なのに、どうして俺は何も言えないのだろうか?

(理由なんてわかってる)

それは俺の気持ち。
彼女との婚約を破棄すればララさんが悲しむことになる。
でも、俺には片思いの相手がいる。
二つの相反する思いが先の言葉を言うことを憚っていたのだ。
それを打ち破ったのは、けたたましく鳴り響くアラーム音だった。
音源は、ここに来る際に持ってきておいた時計だった。
これが意味することはただ一つ。

(お、終わった……)

婚約解消のクーリングオフ期間が終了したというとだった。
ふと体から力が抜けた俺はそのまま草むらに倒れた

「リュウスケ? 大丈夫? リュウスケー」

ララさんに呼びかけられるものの、俺はただただ苦笑するしかなかった。
これが、婚約解消作戦の顛末だった。










「婿殿とララ様の婚約を祝して、ばんざーい!」
「……」

作戦失敗という散々な結果に終わった翌朝、学園に向かおうと玄関を開けて表に出た瞬間に開けられたのが先ほどの声だったりもする。
ザスティンさんやボディーガードと思わしき屈強な人(宇宙人だけど)が数人程、玄関から門までの通路のわきに並んで両腕を上げて喜びの声を上げていた。

「お願いですから、声の大きさを落として。近所迷惑だから」

家の前に人がいなかったのが不幸中の幸いだった。

(だから昨日や一昨日はやらなかったんだ)

そんなどうでもいい謎が解決したところで

「リュウスケ~! またあとでねー」

と、ララさんの元気な声が後ろのほうから聞こえてきた。

(後でって何?)

ララさんの言葉に、無性に嫌な予感を感じながら、俺は彩南学園へと向かうのであった。





この時、俺はまだ知らなかった。
今までの日常は、もうすでに終わっているということを。
それがわかるのは数十分後の教室で

「ヤッホー、リュウスケ~! 私も来ちゃったよー!」

と、爛漫な笑みを浮かべながらそう言い放った時だった。

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