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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

【案内板】

黄昏の部屋(別館)

当サイト、『黄昏の部屋(別館)』へようこそ。
こちらでは某小説投稿サイトで、私TRcrantが投稿していた小説を掲載しています。
読まれましたら拍手や感想などをして頂けると執筆意欲向上に繋がったりします。
(『その力の先にあるもの』と『IS(インフィニット・ストラトス)~破門されし者~』は、本館の方にて掲載されています。)

*注意*
本サイトの小説はすべて二次創作です。
そのため、突然の削除などが行われる可能性がございます。
二次創作が苦手な方は、ご覧になられないことをお勧めいたします。
拍手または感想等を募集しております。
拍手コメントでレスが不要な方は、拍手コメント時にその旨をコメントに明記してください。
明記されてない場合は、HN共々雑記にてコメント返しにて表記されますのでご注意ください。
注意事項はこちらをご覧ください。
他、明記されていない細かい注意点は本館と同じですので、そちらの方をご覧ください。

それでは、ごゆっくりとお楽しみください。

===更新履歴(最新の3日分のみ表示)====
・7月18日
『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』第108話を掲載しました。
雑記を掲載

・7月14日
『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』第107話を掲載しました。
雑記を掲載

・7月12日
『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』第106話を掲載しました。
雑記を掲載
=======
掲載作品一覧

魔法少女リリカルなのは~世界からの来客者~

魔法少女まどか☆マギカ~革命を促す者~

魔法少女リリカルなのは~目覚めた力~

魔法少女リリカルなのはstrikers~失った力~

DOG DAYS~誤召喚されし者~

ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~

魔法少女リリカルなのは~目覚めた力~RB

To Loveる~二つの人格を持つ者~

けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~

二人の神と欲望に駆られた人間たち


カミカゼ☆エクスプローラー~無を司りし者~

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは,TRcrantです。

大変お待たせしました。
本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
今回より、原作での2羽の話へと移ります。
いったい何話で終わるのかはわかりませんがぼちぼちとやって行こうと思います。
ネタはそれほどないとは思いますが。

さて、拍手コメントへの返信を行いたいと思います

『200話は普通に超えるんですよね?』

コスモさん、コメントありがとうございます。
確かに、理系で200は確実に超えると思います。
現時点でも約110ほどありますので。


それでは、これにて失礼します。

拍手[0回]

第108話 寝言と掃除

新入生の勧誘をやめ、時期は早くも4月下旬となった。
5月の初めにはゴールデンウイークという、大型連休がある。
クラスメイトも、この連休はどうするのかという話しで持ち切りだ。
やれ遊びに行くとか、家族旅行だとかそういったのが主だったが。
もっとも部活がある人にとってはあまり意味がなかったりもするわけだが。
ちなみに軽音部もその例にもれず、部活は行うとのことだが、はたしてちゃんと練習をするのかどうかもわからない状況だ。
それはともかく、この日もいつものように放課後を迎えた。

「ムギ、浩介。早くいくぞ」
「わかってる」

律の催促に応じながら、僕は荷物を素早くまとめていくと鞄とギターケースを手に律たちのほうへと足を向けようとしたところで、ふと違和感を感じた。

「あれ、今日の日直はムギだったか?」

黒板に書かれている文字(6限が英語だったので、書いてあるのは当然英語だ)を消しているムギに、僕は首を傾げながら尋ねた。
僕の記憶が正しければ、この日の日直は唯だったはずだ。

「ううん。本当は唯ちゃんなんだけど」

僕の疑問に困ったような笑みを浮かべたムギが見ている方向に視線を向けると、そこには机に突っ伏して眠っている唯の姿があった。

「お昼からずっと眠ってるの」
「って、おい!」

眠ってる唯の姿を見た律が、盛大にずっこけた。

「さっきからずっと起こしてるんだけど、なかなか起きないのよ」

(後ろ側から聞こえていた寝息は、唯の物だったのか)

「ほら唯、起きろ。放課後だぞ」

律はは唯の席まで移動すると軽く唯の体をさすって起こそうとした。

「むふふー、ダメだよ、浩君。そんなところは~」
『…………』

唯の寝言に教室中が沈黙に包まれた。
そして自然と視線がこちらに集まってくる。

「な、なに?」
「お幸せに~」
「あらあら、まあまあ★」

視線に耐えかねて口を開いた僕にかけられるのは、ある意味罵倒されるよりもつらいものだった。

「そこ! 意味深な言葉を投げかけるな! それとうっとりとした表情で見ないで!」

なんだか最近自分のペースが乱されてばかりのような気がする。

「ヒューヒュー、この色おと―――――ごふぁ!?」

有無も言わせずにからかってくる慶介を黙らせた。

「というか、唯も起きろ! いったい何ちゅう夢を見てるんだ!!」
「大丈夫だよ。今日は日曜日」

体を先ほどよりも激しく揺らしても唯が起きる気配はなかった。

「浩介、ものすごくいい案を思い出した」
「一応聞くけど、目覚めのキスをしろとかじゃないよな?」

万策尽きたところで、律から頼もしい言葉がかけられた。
だが、その表情にある笑みが無性に気になった僕は、律に尋ねた。

「……もちろん」
「何、今の間は?」
「唯、ケーキだぞ!」

僕の問いかけに頷くまでに開いた間に僕は追究しようとするが、それを無視して律は”いい案”を実行した。

「そんなので起きるわけが―――」
「う……ん」

声掛けだけで起きる訳がないとたかをくくっていた僕の言葉を遮るように、唯は体をもぞもぞと動かすとゆっくりとした動きで上半身を起こした。

(お、起きた!?)

まさか起きるとは思っていなかったので、僕の驚きはとてつもないほどに大きかった。

「……ケーキない。嘘つき」

だが、寝ぼけたような目で周囲を見渡した唯は、ケーキがないことがわかるとそのまま眠りについてしまった。

「なっ!? ムギ、本物のケーキを!」
「ラジャー!」

(もう諦めろよ)

僕はため息交じりに心の中でつぶやいた。

「こうなったら、最終奥義だ。平沢さん、愛しのこう――「寝むってろ」――ありがとうございます!」

いつの間にか気を取り戻していた慶介が、馬鹿げたことを言おうとしていたため、僕は裏鉄拳で慶介を沈めた。

「あ、いたいた」

そんな中、ふと聞こえてきたのは担任であり顧問でもある山中先生の声だった。
すれ違うように教室を後にしていく生徒に声をかけながらこちらのほうに歩み寄るそのさまは、猫かぶりなのか、それとも巣なのかは言うまでもないだろう。
簡単に言えば、教師らしい教師の姿だった。

「あなたたち、この間化した着ぐるみなんだけど、そろそろ返してもらえないかしら。演劇部のほうで使うみたいなの」

(いったい何に使うつもりだろう)

何度も見た着ぐるみに、僕は純粋に疑問がわいた。
普通に考えれば演劇なのは間違いないが、どういった演劇の内容になるのかが非常に気になった。

「そういえば、この間の勧誘で使った後、どうしたんだ?」
「うーん……あれだったら、確か使わなくなったから部室のほうに置いてあったはずだけど」
「返せよ。借りものなんだから」

澪の問いかけにあごに手を添えて思い出すようにつぶやく律に、僕はため息交じりに言った。

「それじゃ、早く部室に行くわよ」
「あれ、山中先生もついていくんですか?」

先導する形で歩き出す山中先生に、澪が尋ねた。

「ええ。演劇部の子に渡さないといけないし、なんたって顧問だからね」

顧問の部分で胸を張る山中先生は、ある意味すごい教師かもしれない。

「それじゃ、部室へ出ぱーつ!」
「あ、待てよ律!」

ずんずんと進んでいく律の後を追うようにして、澪都立に山中先生は教室を去って行った。

「ムギはどうする? もしなんだったらこっちのほうで日直の作業を引き受けるけど」

本来は唯がやるべきだが、本人はおそらく起きないと思うので、誰かが代わりにやるしかない。
ならば、一応恋人である僕がやるのが筋というものだろう。

「ううん、大丈夫よ。私ね、友達の日直の作業を手伝うのが夢だったの。だからこんなに早く夢がかなってうれしいの♪」
「そ、そう」

ムギはいろいろな意味で幸せな人なのかもしれない。

「だから律ちゃんのほうに行ってて」
「……わかった」

テコでも意見を変えなさそうだったので僕は素直に頷くと、鞄の中からメモ帳を取り出すとそれを一枚破って、走り書きをしていく。

(『こら! 授業ぐらい、まじめに受けろっ。先に部室に行ってるぞ』でいいか)

前半で戒めの言葉、後半で本当の要件を書いておいたメモを僕は唯の机に置いておくとそのまま教室を後にするのであった。










「あれ、浩介」
「着ぐるみは?」

部室に到着した僕に気が付いたのか、こちらのほうに視線を向けながら名前を呼ぶ澪に、僕は本地を切り出した。

「それだったら……」

僕の疑問に、澪は視線を横に移動させる。
その先にいたのは律だった

「あ、そうそう。ここに入れておいたんだった」

何かを考えている様子の律は、ぬいぐるみを置いていた場所を思い出したのか音楽室と部室をつなぐ連絡用の通路であるドアのほうに歩み寄っていく。
そしてドアを開けた瞬間、僕たちはその光景に言葉を失った。
別に、そこが異界化しているわけでもゾンビが群がっているわけでもない。
あるのは段ボールや本といったものが無造作に積み上げられている惨状だった。

「なにこれ?」

山中先生がそう問いかけたくなるのも当然だった。
そんな中に律は気にすることなく入ると、段ボールの山の一部に腕を突っ込んだ。

(なんだか、嫌な予感がするんだけど)

無謀さに積み上げられたダンボール。
そしてその間に手を突っ込む律。
まさかとは思うが、べたなことにはならないだろうと思いたいが、念のために一歩内側に下がった。

「あった!」

そう言ってぬいぐるみを取り出すと僕たちに見えるように掲げたた律だったが、取り出した拍子に積んでいた箱がバランスを崩して一気に崩壊を始めた。

「ぎゃああああ!!」

崩れ始めた瞬間に素早くドアを閉めた僕は、中から聞こえる断末魔をただただ聞いていた。
そして中の騒音が止んだところで、僕はゆっくりとドア開けると中から豚の置物が転がってきた。

「律、大丈夫か? 大丈夫なら返事しろ。大丈夫じゃないのなら言って」

段ボールに埋もれた倉庫と化した連絡通路内に向けて呼びかけた。

「それってどっちも同じ意味にならないか?」
「いや、わかってるから」

真剣な面持ちで指摘してくる澪に、僕は即答で答えた。
それはともかく、一刻も早くジャングルと化した連絡通路から目的のもの(プラス律)を探し出さなければいけない。

「おう?」
「見つかったのか?!」

段ボールの隙間から布のようなものが見えた僕は、それを引っ張った。

「ぬいぐるみが出てきました。とりあえずこれを返してもらっていいですか?」
「いいけど、律ちゃんは?」

山中先生が求めていた犬のぬいぐるみを手渡すと、山中先生は心配そうに尋ねてきた。

「はい。すぐに救出しますから」
「それじゃ、お願いね」

僕の答えを聞いて、山中先生はそう告げるとぬいぐるみを片手に部室を後にするのであった、

「さて、救出しますか」
「どうやってするんだ?」
「そんなの、決まってるじゃないか」

気合を入れる僕に不安そうな表情を浮かべて聞いてくる澪に、僕は当然だといわんばかりに答えると段ボールの一つを持ち上げる。
そしてそのまま部室のほうにもっていった。
さらに通路内にあるダンボールを持ち上げると部室に運ぶのを繰り返していく。

「なんというアナログな」

いったい何を期待しているのかが微妙に気になったが、僕は黙々と段ボールの運搬をしていく。

「出てきた」
「律?! 大丈夫か!」

とりあえず部室のほうに引きずり出すと、澪が慌てた様子で声をかけた。
だが、返事がない。

「浩介! 救急車を呼んで!」
「落ち着け、脈はある。ただ気を失っているだけだ。少し寝かせておけばすぐに気を取り戻す」

命の危機だと勘違いしたのか、取り乱した様子で迫ってくる澪に僕は安心させるように告げた。

「そ、そうなのか……よかった」
「………」

ほっと胸をなでおろしている澪の姿に、律と澪がどれほど仲がいいのかを狭間見たような気がした。

「さて、問題はどう運ぶかだけど」

さすがにここで寝かせるわけにはいかないのでベンチのほうに運ぶ必要がある。
だが、問題は僕が運ぶとなると完全にお姫様抱っこのような感じになることだ。
背負うとおろす際にものすごく面倒になる。
ただし、これをするとなると問題は

『浩君、一体何をしてるのかなかな?』

満面の笑みを浮かべて詰め寄る唯の姿が浮かんだ。
不要なトラブルを避けるには、やらないことが一番。
だが、そういうわけにもいかないので僕がとった行動は

「澪、律を運ぶから足を持ってくれる?」
「わ、わかった」

澪に手伝わせることだった。
腕のほうであれば唯も妬きもちをやくこともないだろうし、見てはいけないものを見る危険性もなくなる。
まさに最善の策だった。
こうして、無事に律をベンチのほうに運ぶことができた。

「こんにちは……って、どうしたんですか!?」
「ああ、梓。実はな」

ちょうどいいタイミングで部室を訪れた梓が、部室の惨状に驚きをあらわにしたので、澪が一連の事情を説明してくれた。

(今のうちに、あそこの荷物を全部こっちのほうに持ってくるか)

これもいい機会なので掃除をすることにした僕は、連絡通路内の段ボールなどを部室に移動させることにした。










「――――ということで、これから掃除をします!」
「「えぇ……」」

それから少しして、ようやく起きたのか寝癖を付けた状態で部室にやってきた唯と、意識を取り戻した律に掃除をする旨を告げると嫌そうな表情を浮かた。

「そんなに掃除がいやなのか?」
「だって……」
「私たちは」

その言葉に、唯と律が手を取り合うとささっと窓際のほうに移動して、

「「三度の飯より掃除が嫌いだ!!」」
「どういう意味だっ!!」

二人の口にした妙な格言に澪が全力でツッコんだ。

「そもそも、ここの掃除は音楽室の掃除当番がするんじゃないのかよ?」

律の反論に唯も腕を上げて賛同した。

「それはそうなんだけど……」
「こんな私物だらけの掃除を頼めるわけないだろ」

律のもっともは反論にが弱くなる澪をフォローするべく僕が代わりに答えた。

「だらけというより、全部私物ですけど」

僕の言葉に反応した梓は、すでに掃除を始めていた。

「うん、確かにっ!」

腕を組んで頷く律の姿はあきれを通り越して清々しささえ感じた。

「しょうがない」

だが、ようやく律たちはやる気を起こしたようで律は段ボールの山を、唯はカエルの置物を手にすると連絡通路のほうへと向かった。

「せっかくしまっておいたのに」
「おいこら、何平然と元に戻そうとしてるんだ!!」

自然な動作で連絡通路に置こうとする二人に一喝した。

「ちぇ、何とかごまかせると思ったのに」
「……一遍、この世の物とは思えない痛みを味わった方がいいかな?」

律の悔しげな表情に、僕は笑みを浮かべながら問いかけた。

「しょうがない。まじめにやるか」
「最初からそうしてくれ」

ようやくやる気を起こしてくれた律に、僕は心の底から思いながら答えるのであった。

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんにちは、TRcrantです。

お待たせしました。
本日『けいおん!~軽音部と月の加護を受けしし者~』の最新話を掲載しました。
原作と同じ結果になりましたが、これで新入生勧誘の話はいったん区切りとなります。
次話からは、次の話にシフトしていきますので、楽しみにしていただけると幸いです。

さて、拍手コメントへの変身を行いたいと思います。

『久美がけいおん部に入るんですか。 いずれはバレるような気がします』

コスモさんコメントありがとうございます。
確かに、簡単に見破られてしまいそうですね。
とはいえ、その話をかくことができない(主に著作権的な問題で)のが残念です。
もしかしたら、大丈夫なのかもしれませんが、そうだったら一度書いてみたいところです。


それでは、これにて失礼します。

拍手[0回]

第107話 結果

新歓ライブも無事成功という、最高の結果で幕を閉じた。

「ぷはぁ! 今日のライブはとても良かったな!」
「梓と唯と浩介の絡みもばっちりだったしな」
「本当ですか!」

互いに労う中、僕はといえばあまり釈然としていなかった。

(唯のやつ、やるなといったのにやるんだもんな)

原因は唯が最後の曲である『ふわふわ|時間タイム』で行った演奏方法だ。

「まあ、肝心の唯が完全に燃え尽きているけど」

そんな律の指摘通り、机に突っ伏している唯の姿は、某ボクシング漫画の主人公のごとく真っ白に燃え尽きていた。

「ウィンドミルなんてするからだ」

ぐるぐると腕を振り回していた唯に、会場中がざわついたのは記憶に新しい。
それがいいのか悪いのかは定かではないが。
「だめですよ先輩。これからビラ配りに行くんですから」
「えぇ~!? あずにゃんの鬼ー」
抗議をするも梓に引っ張られていく唯は、そのまま部室から去って行った。。





それからさらに数日が過ぎた放課後。
この日も新入部員を獲得するべく、待っていたが来る兆しは一向になかった。

「来ませんね……」

机に突っ伏すように顔を載せていた梓が力なくつぶやいた。

「まあ、まだ時間はあるから」
「今月いっぱいは様子を見よう」
「そうですね」

澪と僕の言葉に、梓は力なく笑みを浮かべると席を立った。

「ビラ配り?」
「あ、いえ。ちょっとお手洗いに」

ムギの問い掛けにそう答えた梓は、そのまま部室を後にした。

「後でもう一度、みんなでビラ配りに行ってみるか」
「そうだな」
「行くんなら、普通の格好で頼むよ」

ビラ配りに行くことを提案した律に、僕は心からそう頼んだ。
あのぬいぐるみは確実に逆効果になるのは確実だ。

「うーん」
「どうしたんだ?」

そんな中、一人腕を組んで唸り続けている唯に、僕は問い掛けた。

「ちゃんと入ってきやすいようにしておいたんだけどな」
「………」

唯のボヤキに、僕は無性にやな予感を覚えた。
ろくでもないことをしているのではないかという、予感が。
自分の恋人にそのような疑いをかけてしまうのは少しばかり気が引けるが、唯ならばやりかねないのだ。
そんなことを思っていると、ドアが大きな音を立てて開け放たれた。
見ればお手洗いに行ったはずの梓が、血相をかいた様子で戻ってきいた。
その脇に抱えられている置物が、いやでも目に入った。

「唯先輩! これを片付けてください!!」
「あぁ~、私のケロ~」

それはカエルの置物だった。
お世辞にもかわいいとは言えない置物の首元には『ようこそ、軽音部へ!』と書かれたボードがかけられていた。
どうやらこれが唯の言う”入りやすい方法”らしい。

「唯、この置物はやめておけ」
「ぶーぶー、浩君とあずにゃんのケチ」

僕の指示に、唯が頬を膨らませながら抗議をしてくるが、僕はそれには取り合わなかった。

(あれ? そういえば梓はお手洗いに行ったんじゃ?)

そんな疑問が頭をよぎったが、さすがに聞くのはまずいので頭の片隅へと追いやった。
だが、梓はすぐさま部室を後にしたので、おそらくはお手洗いに行ったのだろう。





「そういえば、浩介先輩ってもしかして入部希望者の人を門前払いにしてませんか?」
「なに? 藪から棒に」

梓が戻ってきて少ししてから突然聞かれた言葉に、僕は首をかしげずにはいられなかった。

「実は純が”浩介先輩が、入部希望者を次々に切っている門番だ”みたいなことを言っていたので」
「どうやら彼女とは今一度、話をしなければいけないようだな」

梓の言葉を聞いた僕は、指の関節をぽきぽきと鳴らしながらつぶやいた。

「お、落ち着けって!」
「そ、そうですよ! いくら純でもそれは危ないですから!」
「冗談のつもりで言ってたんだけど」

冗談のつもりで言ったはずが、なぜか律たちがものすごい勢いで静止してきた。
この二人がふだん僕のことをどう思っているのかがわかりやすかった。

「それで、その噂って本当なの?」
「本当だけど」

そして麦の改めての問いかけに、僕は隠さずに答えた。

「あっさりと認めた!?」
「って、何をやってるんだよ!」
「そうですよ! せっかくの入部希望者なのに!」

すんなりと僕が認めたことに驚きをあらわにしている澪をよそに、律と梓が僕を問い詰めた。

「普通の入部希望者だったらいいんだけど、普通じゃない奴らばっかりだったから」
「どういうこと?」
「楽器経験もないくせに経験者だとか、明らかに特定人物と組むのを狙っているような嘘をつくし」

あまりにもわかりやすいウソのため、ため息すら漏れてくる。

「でも、それくらいだったら平気でやってるやつもいたぞ」
「…………」

誰がとは言わなかったが、視線を唯のほうに向けていたのでおそらくは唯だろう。

「そういうやつを簡単に言うと……」
「言うと?」
「”澪たん萌え萌え~”とか、”あずにゃんぺろぺろ~”とか言ってるような連中」
『……』

僕のたとえ話に、全員が目を細めて僕のことを見ていた。

「な、なに?」
「い、いやぁ~浩介の口からそんな単語が出てくるなんて思ってもいなかったから」
「一応念のために言うけど、例えであって僕が言っている言葉じゃないからな?」

苦笑を浮かべる律の言葉に、僕は念押しするように言った。

「それはともかく、こんな奴らと一緒に部活をしたいと思う?」
「「絶対にいや!(です)」」

答えはすぐに出たようだ。

「だからそうならないように、振り分けただけ」
「そうだったんですか」

事情を説明すると、梓は納得した様子で頷いていた。
結局この日は、入部希望者が来ることはなかった。










「なあ浩介」
「なんだ?」

数日後の放課後。
部室に行こうとした僕を呼び止めるように声をかけてきた慶介のほうに、面倒くさいと思いつつも顔を向けた。

「俺は今、とても重大な問題を抱えているんだ」
「問題? それはいったいなんだ?」

慶介の表情から、ふざけた内容ではなく真剣なものであると悟った僕は、慶介に詳しく話を聞尋ねた。

「それはだな」
「それは?」

かなりもったいぶっているが、それだけ緊張感が増していく。

「浩介が俺に構ってくれる時間が、日を追うごとに減っているということだ!!」
「……………」

慶介の言葉に、教室が一瞬凍りついた。
まるで氷点下の世界へと紛れ込んだような冷たさを感じた。

「新入部員獲得で忙しいのは分かるけど、もう少し俺にも構っても――「高の月武術・圧っ!!」――ゲボルビン!?」

慶介が言い切るよりも早く、僕は体術(正確には魔法を使用した体術だけど)で慶介を吹き飛ばした。

「何が重大な問題だっ!」
「な、なんだか、最近この鉄拳制裁が快感になりつつある、俺だった……ガクッ」

そんな背筋の凍りつく言葉を残して慶介は気絶した。

「そろそろ、こいつをどこかに隔離でもした方がいいかな」

腕を組みながら、そんなことを考えてしまう。

「この時、慶介とあのような関係に至ってしまうということを、彼はまだ知らないのであった」
「おいこらそこ! 勝手なナレーションを入れるな!!」

おかしなナレーションを入れてきた、明るい茶髪のロングヘアーのクラスメイト(確か立花さんだったような気がする)に、僕は声を上げた。

「本当に仲がいいよね、二人とも~」
「頼むから、変な目で見ないで。というか勝手な妄想は絶対にしないで、佐伯さん」

どういう縁か、今年も同じクラスになった佐伯さんに、僕は必死に懇願した。

「わかってるわかってる」

(絶対にあれは分かってない)

たぶん口だけだと思いながら、僕は部活に向かっていく佐伯さんを見送るのであった。

「お幸せに~」
「おいこら! にやにやしながら言うな! というか、慶介と僕の関係を勝手に解釈……ってこら、人の話を聞けっ!!」

にやにやと笑みを浮かべながら意味深な言葉を残して去って行く立花さんに、ツッコむがそれを聞くことなく立花さんは教室を去って行った。

「っと、そうだった。早く部室に行かないと」

なんとなく、変な目で女子に見られそうな気がしていた僕は、また律に文句を言われるのも嫌なので、早々に教室を後にするのであった。










「今日も来ないな」
「これ、今月中に来なかったらあきらめた方がいいぞ」

夕日が差し込む部室で、ぽつりとつぶやいた澪の言葉に、僕はいつの日にか言ったことを口にした。
梓は用があるのかまだ部室に来ていない。

「そうだな……にしても、何か悪いことをしたかな?」

(しまくりだろ)

律の漏らした言葉に、僕は心の中でツッコんだ。
不気味なぬいぐるみや、かなり違うがデート商法の手口のような勧誘方法などなど。

「でも大丈夫よ、きっとなんとかなるって」
「いつも前向きなのがすごいよなムギは」
「ありがとう、高月君」

いろいろな意味を込めて感心しながらつぶやいた僕の言葉に、ムギが笑顔でお礼を言ってきた。

「こうなったら、虫取り網大作戦で部員を獲得するか!」
「………律、それはどういう作戦だ?」

律が提案した作戦に、澪が内容を尋ねた。

「それはだな、新入生を虫取り網で捕まえて―――」
「それじゃ、ただの拉致だろ!」

作戦の内容を聞いた僕は、思わずツッコみを入れてしまった。

「それじゃ……――「私はこのままでもいいと思う」――はい?」

律の言葉をさえぎるようにして告げられた言葉に、全員が唯のほうへと視線を向けた。

「今はあずにゃんがいないけど、こうして6人で集まってお茶を飲んだりお話をしたり、練習をしたりするのってとても楽しいと思うんだ。だから、このままずっと6人でいいと思う」
「……放課後ティータイムは6人。それ以上でも以下でもない、か」
「それでいいか。1年のうちに部員のことは考えようぜ」

唯の言葉は、もしかしたらただの諦めた言葉にも聞こえるかもしれないが、もしかしたら最善の選択だったのかもしれない。
それは目には見えないものだが、いつの日にかはっきりとわかる日が来るはずだ。
とはいえ、このまま何もしないというのはだめだが。

「あなたたち、一年は短いわよ?」
「え? だって、365日もあるのに……あ、もう何日かすぎちゃった」

山中先生の重みのある言葉に反論する唯の言葉は、唯らしいものだった。
きっとそれがわかるのはかなり先になるような気がする。

「そういえば、ムギ今日のお菓子は?」
「タルトを持ってきたの」

律の問いかけに、ムギは笑みを浮かべながらケーキが入っている箱を取り出した。
中に入っていたのはイチゴやバナナなどの7種類のケーキだった。

「あ、あずにゃんはバナナだと思うんだ。だからバナナは取っといてあげよう」
「それじゃ、私は―――」

唯の言葉を受けて、全員が好きな味のケーキを手にしていく。
ちなみに僕は、狙っていたかのように用意されていたチーズタルトを選んだ。

(にしても、一体ドアの前にいる奴はいつになったら入ってくるんだろう?)

先ほど(とはいっても、唯が新入部員の勧誘をやめることを口にしたあたりだけど)から感じる梓の気配に、僕は心の中で首を傾げながらチーズタルトに口を付ける。
そこで、ドアが開いて梓が姿を現した。

「「っ!? げほっ! ごほ!」」

その梓の姿を目の当たりにした律と唯が、大きく咳き込んだ。
それは口の中の物を噴き出さないだけ、ましだったのかもしれないと思えるほどの驚きようだった。

「ご、ごめん! すぐにビラを配りに行くからっ」
「ムギ先輩、ミルクティーをください。後、バナナタルトも」

慌てて席を立った唯が、梓の横を通り抜けた時に、梓が珍しく自分から紅茶とお菓子の催促をした。

「私、今年はこの5人でやりたくなりました」
「梓……」

唯の話を聞いて、彼女の中で何らかの心境の変化でもあったのかもしれない。
それがどういったものかまでは、僕には分からないが。

「あずにゃ~―――」
「唯先輩、これからはもっと厳しくいきますからね」

そんな梓の言葉に感動したのか、いつものように抱き付こうとしたところで、唯のほうに振り向いた梓がきっぱりと宣言した。

「はい、ギター出して」
「え?」

その梓の言葉に、唯はぴたりと両腕を前に突き出した姿で固まった。

「そりゃそうなるわな」

新入部員の獲得をやめればそこから生じた時間が、練習に回されることになるのは当然のこと。

「こ、浩君?」
「その視線は、助けてとでも言いたいのか?」

僕に救いを求めるような視線を投げかけてくる唯に聞いてみると、必死に首を上下に振って頷いた。

「梓、せっかくなんだからケーキでも食べたらどうだ?」
「浩君!」

それを受けて僕の言葉に、唯が明るい表情を浮かべる。

「でも、浩介先輩」
「そのあとに練習をすればいいんだし」

あまり浮かない顔をする梓に、僕はそうつづけた。

「それもそうですね」

その僕の言葉を聞いた梓は、先ほどとは打って変わってすんなりと頷いた。
一方唯はといえば、裏切られたといわんばかりに固まっていた。
かと思えば、僕たちに背を向けて

「やっぱり、新入部員カモ~ン!!」

と、いう切実なる願望を口にしていた。
これが、新入部員獲得を目指していた僕たちの顛末であった。

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