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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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大変遅れましたが……『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんにちは、TRcrantです。

ひと月以上遅れましたが、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
修学旅行編もいよいよ佳境に入りました。
唯のヤンデレもどきもいよいよ強くなりました。
このままヤンデレになって……行きませんので、ご安心を。

さて、拍手コメントへの返信に移らせていただきたいと思います。

『返信ありがとうございました!女の子がちょっと引いちゃう感じの男の子像がなかなか思いつかなかったので参考にしたいと思います。ありがとうございます』

ももさん、コメントありがとうございます。
数か月も放置してしまい大変失礼しました。
なんだかお役に立てたことを喜んでいいのか微妙な感じですが、ももさんの作品の参考になるのであれば、それもそれでいいのかなという気持ちには変わりありません。
ももさんの作品が完成するのを心から楽しみにしております。
上から目線のコメント、失礼しました。
お互い切磋琢磨して文章能力などを向上して行けるようになれれば幸いです。


それでは、これにて失礼します。

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第122話 観光

移動すること数十分。

「ここが嵐山か~」

目的地である嵐山に到着した律が、周囲を見渡しながら感嘆の声を上げる。

「お疲れさま、浩介君」
「浩介も到着したし、まずは渡月橋から」

労いの声を掛けるムギに手を上げることで答えていると、澪が次の目的地の名前を口にした。
ちなみに渡月橋というのは、右京区の嵐山にある大根川にに架かっている橋だ。
千年以上も前の橋だというのだからかなり驚きだ。

「そう言えば、唯と律は?」

姿が見えない二人のことを聞いた僕は、もう一度周囲を見渡してみる。
まさか迷子かと思いながら見渡した僕が見たのは

「あ、見てみて! モンキーパークだって」
「おー、おサルさんか」

反対側の歩道で何かを(十中八九、案内板だろう)見てはしゃぐ姿だった。

「よし、唯。すすめ―!」
「おー!」

どうやら二人の中では古くからある橋よりも、どこにでも(?)いる動物のほうに興味が向いているようで二人は案内板が示す道へと駆けていった。

「だから、どうして京都に来てまでサルなんだよっ」
「……あの二人、完全に僕のことを忘れてるよな」

モンキーパークへかけていく4人の背中を見ながら、僕は何とも言えない寂しさを感じ

「おーい、浩君! 早くしないとおサルさんが逃げちゃうよーっ!」
「大声で人の名前を呼ばないでっ」

前言撤回。
感じていたのはとてつもない恥ずかしさだった。
人の多い場所で名前(しかもあだ名)を呼ばれて恥ずかしくない人がいるのであればあってみたいものだ。
僕は周囲からの何とも言えない視線から逃げるように、4人の後を追いかけるのであった。










「着いたー。てっぺんだ!」

橋を渡り、上り坂を駆け上がって行ったところにある開けた場所で、唯は街並みの様子を見渡しながら感嘆の声を上げている。

(にしてもすごいな、ここは)

周囲を見渡すとサルしかいない。
いや、人の姿も見かけるが、比率ではサルのほうが上回っている。
確かにモンキーパークだ。
もっとも、唯たちはサルがいることに気付いていないようだけど。
それほどここからの景色に、夢中になっているのかもしれない。

「これって全部京都なんだね」
「まあ、京都じゃなかったらそれだけで驚きだけど」

今見えている街並みの一部が奈良とかになっていれば逆に驚くのは間違いないだろうし、そもそもそのようなこと自体ありえないだろう。
もっとも、二つの県の境目であれば十分にあり得るが。

「お、そうだ! みんなで記念撮影しようぜ!」
「それいいね。撮ろう撮ろう!」

そんなどうでもいいことを考えている僕の横で、律の出した案に唯がはしゃいだ様子で頷くとすぐに律は少しだけ離れた場所で麦と一緒に景色を見ていた澪のほうへと駆けていく。
どうやら写真を撮ることを伝えに行ったようだ。

「それじゃ、この景色をバックにして……はい」

周りを見回してそう言いながら、律はこちらに携帯電話を差し出してきた。

「何を言いたいか、なんとなくわかるけど、これはどういう意味?」
「写真よろしくね☆」

律から帰ってきた言葉は、僕の予想通りの言葉であった。
しかもごまかすためかはわからないが、僕に向けてしてきたウインクが妙に毒気を抜いてるのが腹だたしかった。

(まあ、これも男の宿命か)

”元”女子高に通い始めて早三年。
色々な意味で慣れてきた今日この頃だった。
ちなみに、この後にムギや唯たちの分も撮影させられる羽目になったのは言うまでもない。
何故か僕の番の時は集合写真の他に、僕と唯だけで恥ずかしげなポーズでの写真も撮らされるし。
どのようなポーズなのかは……思い出したくなかった。
そんなどうでもいいようなことはともかく、サルへのエサやりができる休憩小屋でエサやりを体験した僕たちが立ち寄ったのは、お土産などが売られているお店だった。

「梓にお土産を買わないとな」
「そうだね」

今一人でいる後輩へのお土産を買うためだ。
お土産を忘れた日にはめった刺しにされそうだ。
……いろいろな意味で。

「でもあずにゃんはどんなお土産がうれしいのかな?」

首をかしげて悩む唯のその言葉に、律たちも悩み始めた。

「……」

ふと視界の隅に見えたのは猫の置物だった。
約1メートルの大きさを誇るその置物はお世辞にもかわいいと言えない笑みを浮かべて鎮座していた。
一瞬”あずにゃんだからねこ関連の物でも買えばどうか?”という考えも浮かんだがこの置物と一緒に闇に葬ることにした。
そもそもあずにゃん自体が唯の付けたあだ名だし。

(まあ、本人も嫌がってるわけじゃないし、いいか)

「それでどうする……ってあれ?」

自己完結させた僕は、周囲に唯たちの姿がないことに気が付いた。
慌てて周囲を見渡すと、意外にもすぐにみんなの姿を確認することができた。

「やっぱり京都だったらこれだよね!」
「いいや、これっしょ!」

色々なお土産を手にしている皆の姿を。

(お人形はデカすぎるし、木刀はお土産というよりは武器だし)

今更だが、個性的な人の集まりだと思ってしまう瞬間だった。

「とはいえ、どんなお土産がいいのやら………ん?」

とりあえず、唯たちは放っておいてお土産の選別をする僕の視界の隅に、あるものが目に留まった。

「ねえ皆」
「なになに?」
「何か見つけたのか?」

僕の声に、全員が手にしていた物を置いてこちらによって来た。

「これなんてどうだ?」
「なるほど。これは私たちにぴったりだなっ」

めぼしいものを手にしながら聞いてみたところ、皆の反応はいい感じのものだった。

「それじゃ、私はこれ」
「私はこれにしようかな」
「じゃあ、あずにゃんはこれだね!」

次々と皆がお目当ての物を手にしていく中、最後の最後で一つだけ問題が発生した。

「そういえば、浩介君のがないけど」
「「「「あ……」」」」

ムギの一言に、皆が固まる。
確かに、六人目のことは考えていなかった。
とはいえ、別に僕はそういうのは気にしないので別に構わない訳だが。

「えっと……」
「ど、どうしよう。このままだと浩君だけが仲間外れになっちゃうよっ」

大丈夫だと言おうとしたが、唯の慌てように僕はその言葉を飲み込んだ。
変に気まずい雰囲気になるのがいやだったというのもあるが、一番の理由は唯の悲しげな顔を見たくはなかったからなのかもしれない。
なので、僕は慌ててそれを確かめる。

「あ……」

その時、僕はそれを見つけたのだ。
それならば、仲間外れのようにはならないと思えるものを。

「じゃあ、僕はこれで」
「おぉ! なんだかいい感じになったなっ」
「よかった~」

本当によかったのはこちらのほうなのだが、唯の安心した表情を見ているとそんなことも些末なことに思えた。

「それじゃ、梓へのお土産はこれで決まりっと」

こうして無事に、梓へのお土産を購入することができた僕たちは、一旦お土産屋を後にした。

「それにしても、どうして今回はお金がいっぱいあるんだ?」
「きっとお菓子とかを買うためだよっ」

今回の修学旅行で僕たち学生が持つことを許された金額はかなりの高額だ。
最も高額とはいっても万の値まはいかない。
そんな僕の疑問に自信満々に答える唯には、申し訳ないが、それはないと思う。

「いや、家族とかへのお土産のためだと思うぞ」
「はっ!?」

律の言葉に目を見開かせて固まった唯の姿は、完全にそのことを忘れていたことを物語っていた。
……かくいう僕もだが

「よしっ それじゃ家族へのお土産を買うぞー」
「「おー!」」

律の呼びかけで、再びお土産やへと入っていく律と唯にムギの三人を見ながら、僕と澪は顔を見合わせると苦笑いを浮かべ合う。

(っ?!)

その時、どこからか視線を感じたような気配をした。
しかもそれには殺気のようなものが含まれている。
周囲をさりげなく見渡すが、不審な人影などは見当たらない。

(気配も消えているし、大丈夫か)

疑問を抱きつつも、僕はお土産屋へと向かう。
向かったのだが。

「どうするか……」

僕は”食べ物コーナー”の前で首を傾げ続けていた。
僕にとっての家族というのは、祖国にいる両親のことになる。
つまり、母国に何を送るかということにもなるわけなのだ。
母国に食べ物を送ってもいいのだろうかという疑問が渦巻いている僕の視界には、一本の木刀があった。

(素材的には全くあてにもできないものだけど、物質強化をすれば欠点は補えるか)

修学旅行のお土産で武器を送るものなど普通はいない。
とはいえ、お菓子などのおいしい食べ物も捨てがたいわけで悩んでいたのだ。
両方を送るという手もあるが、なんだかそれはそれで美しくないような気がしたので却下していた。

(だぁっ。もうこうなったら適当に決めてやる!)

とはいえ、考えることに面倒くさくなってしまった僕は、適当にお土産を選ぶことにするのであった。










「………」

一足早くお土産を買い終えた僕は、お土産屋の前の広場の手すりの前で山やビルなどの建物の景色を眺めていた。
ふと、自分の手にあるお土産が入った紙袋に視線を落とした僕は、何とも言えない気持ちを抱く。
H&Pや社長の文のお土産(お菓子セット)はちゃんと忘れずに買った。
無論故郷にいる家族へのお土産も忘れてはいない。
だが、そのお土産の内容が何とも言えない気持ちを抱かせる原因となっているのだ。

「あ、浩君!」
「……唯か」

そんな僕の心境とは真逆のヒマワリのように元気な声を上げる唯に、いつも変わらないなと思いながら相槌を打つ。

「むぅ、なんだか面倒くさい人が来たみたいな反応された」

上の空に返事をしてしまったからか、唯がフグのように頬を膨らませる。

「そんなことないよ。ちょっと考え事をしてただけ」

あまり彼女の機嫌を損ねるのはいろいろとまずいと思ったため、すぐに弁解しようとする。

「考え事?」
「あ……」

しまったと思った時には時すでに遅く、唯は心配そうな表情で僕の顔を見ていた。

「何か困ってることがあるんだったら、この解決屋平沢唯がドドンと解決して進ぜよう!」
「ものすごく不安になる称号だな。しかもいろいろと変なの混ざってるし」

きっとどこかの番組かドラマでもまねているのだろうと思っていると唯が不機嫌そうに頬を膨らませた。

「浩君、ごまかそうとしてる」
「別にそんなつもりは……ただ、何となく戸惑っているだけ」

離していいものだろうかと思ったが、変に隠し事をしていると疑われるのも嫌なので、正直に話すことにした。

「何を?」
「僕はいったい誰なのかってね」

唯の顔を見ていると、言いたくはなかった内容の言葉がどんどんいえるようになるのは、きっと彼女の才能なのかもしれない。
もしかしたら彼女だからかもしれないけど。

「母国では、死神とかそういう感じで通っていて、僕もまたそれにふさわしい考え方をしていた。そしてそれが普通のことだって思っていた」
「……」

僕の言葉に、唯は静かに耳を傾けていた。
聞き流すのではなく、ちゃんと受け止めようとしているのは、彼女の顔を見ればすぐにわかった。

「でも、ここに来てからそれは段々と薄れていく。それがとてつもなく怖いんだ。このままいてもいいのか、もしくはまた元に戻るべきなのかって」

それは僕が漏らした初めての心のうちだったのかもしれない。
徐々に薄れていく戦場での感覚。
軽音部に入部したときは、どこに何人の人がいるのかは感覚的ではあるが手に取るように把握することができた。
敵に……ましてや魔法の魔の字もない少女に背後をとられたことに気付かないこともなかった。
でも、今はどうだろうか?
集中をすれば、人の気配を把握することはできる。
それでも前よりも何倍も集中をする必要がある。
しかも最近では気を抜けばだれかに背後をとられていたことだってあるほどだ。
どちらがいいのかなんて唯にはわかるわけがない。
それが価値観の違いなのだから。
でも一つだけ言えるのであれば

「まあ、どちらにしろ、惚れた女を守れるくらいがちょうどいいかなっていう結論に今なったわけだけどね」
「浩君」

僕の言葉に唯の頬に赤みが増し、僕を見る目はどこかはかなく、そして宝石のような美しさを持っていた。
その顔を見ている自分もつられるように顔が暑くなるのを感じて慌てて唯から視線を逸らした。

「ねえ、浩君」
「なに?」

そんな僕に賭けられた声にも、僕は顔をそむけたまま応じる。

「その惚れた女って誰なのかな?」
「何を言って……」

唯の不自然な言葉に首をかしげながら唯のほうを見ると、その表情に僕は言葉を詰まらせた。
表情は笑顔だった。
だが、目が完全に笑っていない。
悪くすれば殺気まで感じるような雰囲気まで醸し出していた。
これは返す言葉にはより一層気を付けなければならない……さもなくば命がないと。
そんな一種の恐怖を感じながら、僕はゆっくりと口を開く。

「唯以外に誰がいると言うんだ?」
「澪ちゃんとか」

まったく疑問を感じさせることなく断言した唯に、僕は目を瞬かせる。
これが狐につままれたような感じとでもいうのだろうか?

「どうしてそこで澪の名前が出る?」
「だって浩君、澪ちゃんと楽しそうに笑い合ってたじゃんっ」

(あの視線は唯のだったのか))

一瞬とはいえ、背筋が凍るほどの殺気を放てる彼女が恐ろしく感じた。

(こりゃ、嫉妬が理由で刺されそうな気がする)

そうならないことを本当に願いたい。
とはいえ、今の問題はどのようにして唯に説明をするかだ。
彼女にちゃんと理解してもらえるように説明しなければ、堂々巡りになるのは必至。
今後もよい関係を続けていくためには、避けなければいけないのは明らかだ。
男としてちゃんとしなければいけない部分だというのもあるが。

「僕がこれまで、唯に対して態度を変えたことがあったか?」
「……」

僕のその疑問に、唯は何も答えない。
だが、頷かないということは工程だと思っても大丈夫だろう。
もし子これ頷かれたらどうしようもなくなってしまうわけだが、何とか話のきっかけはつかめた。

「僕は自分で言うのもあれだけど、不器用な方だ。二人同時に好きになるなんて芸当はできない。僕が心の底から好きな人物は、唯だけだ。それは時間が経とうとも変わらない」

それは説得ではなく誓い。
唯へのでもあるし自分へのでもある。
何があろうとも、僕は彼女を好きでいる。
気障っぽく言えば、愛し続けることへの誓いの言葉。

「それじゃ、澪ちゃんのは?」
「彼女は仲間……言う名でバ同じ音楽の道を進んでいる同士のようなもの。それ以上にもそれ以下にもなることはない」

そもそも彼女は人見知りが激しいところがある。
そんな彼女と僕がそのような間柄になるところは全く想像もできなかった。

「………」

そんな僕の言葉を聞いた唯はただ無言で僕のほうを見る。
それはまるで嘘かどうかを見極めているようで、僕もそれに応じるように真正面から見つめ返す。

「それじゃ……」

長い沈黙ののちに、唯が静かに口を開く。

「私にキスをしてっ」
「………」

唯の言葉は僕の予想を大幅に上回る内容だった。

(この間まで子供っぽいって思ってたんだけど)

普段の子供のような天真爛漫な笑みを浮かべていた時の姿はなりを潜め、大人の女性が纏うようなオーラをまとっている唯の姿に、僕は魅了されたように何も言えなくなってしまった。。
いや、もしかしたら魅了されているのかもしれない。

「……」

昔からキスは誓いの意味があるという言い伝えがある。
どういう理屈かは知らないが、その行為には絶大な効果と意味合いがあるというのは間違いないだろう。
彼女が欲しがっているのは僕の言葉の誓いの形。
だからこそ、彼女はキスを選択した。
僕が、一度立てた誓いは必ず守り抜くという性格を知っているからの物なのかもしれない。

(ありがとう、唯)

心の中でお礼を言いながら、僕は唯の両肩に手を置く。
そしてそのまま彼女に顔を近づける。
公衆の面前で口づけを交わすというのは、恥ずかしいことこの上ない。
だが、今後もう一回するのであれば予行演習とでも思っていればいいだろう。
唯が静かに目を閉じるのに倣い、僕も静かに目を閉じた。

「ん……」

やがて唇に柔らかい感触が伝わってきた。
口づけをしていたのはほんの数秒なのかもしれないし、もしかしたらそれ以上かもしれない。
相も変わらず、キスというのは時間の感覚を狂わせる。
余韻を感じながら、ゆっくりと彼女から離れていく。
目を開けると、先ほどとは何も変わらない景色が広がっていた。

「浩君」

目を開けた唯の頬は、ほんのりと赤くなっておりそれがまた色気を感じさせる。
それはもう、再びキスをしたくなるくらいに。

「おぉ~、情熱的どすなー」
「ぅぅぅ……」

とはいえ、友人に見られながらするというのはかなりハードルが高い。
いや、そもそも人に見られながらするのが趣味ではないのが一番の理由だが。

「いつから見てた?」
「唯が”私にキスして”っていうところかな」

何かを言いたげな笑みを浮かべながら答える律に、思わず”それはほとんど最初じゃないか”と突っ込みたくなったが何とかこらえることができた。
どうやら完全にキスをしているところを見られたようで、澪は顔を真っ赤に私立の後ろに隠れている。
隠れてはいるが、ちらちらとこちらのほうを見てはまた隠れるという行動を繰り返していた。
ムギは、目を輝かせていた。

「熱々どすな、唯隊員」
「えへへー。浩君は私の恋人だもん♪」

律の冷やかしにも、唯は直球で返す。
それもまた一つの幸せの形……

「なわけあるかっ! 律はにやにやしながらこっちを見るなっ。ムギも目を輝かせない! 澪はいい加減草むらから出ろっ!」

自業自得の形でなってしまった混沌を何とかするべく、僕は奔走することになった。
結局、全員がその場を離れられるようになったのは、それから数十分ほど経った後だった。

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今後のことについて

こんばんは、TRcrantです。

長い間更新できず大変申し訳ありません。
現在、仕事のほうが立て込み満足に小説を執筆する時間が取れない状態が続いております。
ですが、小説の執筆自体は進めておりますので、今しばらくお待ちいただけると幸いです。

ここでは、現在予定している内容について簡単に書かせていただきます。

・サイト内の改装
作品の本編末尾に、次話や前話、目次へのジャンプ項目を作成して続けて読めるようにする。

・『ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~』のリニューアル
色々とツッコミどころ満載の内容を一新(もしくは加筆修正)して、再掲載を行います。
また、バトル描写を本編に食い込ませる形式に変更することで”おまけ”の章をすべて削除いたします。
おまけの章で、本編で触れられていない話に関してはEXTRAの章に移動。

サイト内の回想に関しては、現在検討段階であり実施予定のめどはたっていません、
作品のリニューアルは現在進行中です。
現在は加筆修正のほうに力を注いでいますので、現在公開している話に追いつき次第、こちらのほうでも差し替え作業を行わせていただきます。
今しばらくお待ちいただけると幸いです。

さて、これより拍手コメントへの返信を行いたいと思います。

『けいおんの主人公を参考にさせてほしいです!こういうキャラ探してました!』

ももさん、拍手コメントありがとうございます。
私のオリキャラがお役に立てるのであれば存分に参考にしてください。
もし、作品を公開されましたらご一報いただけると幸いです。
ももさんの作品が完成するのを楽しみにお待ちしております。

小説を書くという解釈で書いているので、間違っていたらすみません。


それではこれにて失礼します。

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRcrantです。

大変永らくお待たせしました。
本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
今回は外伝となります。
実は掲載するのを忘れていただけですが、半年ぶりの更新となりました。
これを機に、執筆活動をもとのペースに戻して行ければなと思う今日この頃です。

ここからは、拍手コメントへの返信を行いたいと思います。

『浩くん好きです!早く続きが読みたいです!』
コメントありがとうございます。
外伝ではありますが、何とか続きが掲載できました。
本篇は現在も絶賛執筆中ですので、完成まで今しばらくお待ちください。

『早く続きが読みたいです!』
コメントありがとうございます。
該当作品の掲載が滞っており、大変申し訳ありません。
現在、全力で執筆作業を行っており、早めの掲載を目指しております。
今しばらくお待ちいただけると幸いです。

『早く続きが読みたいです!』
まいかさん、コメントありがとうございます。
該当作品の執筆が非常に滞っているため、最新話の掲載にかなりの時間を要しておりますが、執筆する気は十分にありますので、温かい目で見守っていただけると幸いです。


それではこれにて失礼します。

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外伝2 それは一つの転機

―――それは一つの転機だった

「さあ、こっちだ」

男たちに案内されるままに向かったのは、歴史ある(悪く言えば古い)4階建てのビルだった。
見たところ、建物の外壁にひびなどは見られないが雰囲気的にも古い建物であることを物語っていた。
ビル内部へはガラス張りの扉を開けてはいる構造になっているようで、男の人たちに続くようにして中に入った。
ビル内部には管理人や受付の人がいるような場所はなく、無異質な扉と階段しかなかった。
中に入った僕は男性たちについて行く形で階段を上っていく。
4階建てのそのビルは、3階までは零細企業と呼ばれる部類の会社が入っているようだった。
そしてたどり着いたのが最上階でもある4階だった。
先頭を歩いていた男性が自然な動作で扉を開けた。

「さあ、どうぞ」
「……おじゃまします」

男性に招き入れられた僕は、出来るだけ不自然にならないように周りを見渡していく。
通路は人ひとりが通れる幅で、左側には何かの部屋なのだろうかドアがあり少し奥の左側のドアには”更衣室”というプレートがつけられていた。
一番奥にはやや横長の窓ガラスがあり、そこから差し込む陽の光はどことなく寂しさを感じさせる。
そんな通路を置くまで進むと意外にも開けたスペースに出た。
左側にはテレビ台の上に置かれた小さめのテレビとその前には木製のテーブルに、両サイドには緑色のソファーが置かれ反対側には普通の会社に置かれているようなデスクがいくつか設置されている。

「どうぞ」

僕は男の人に促されるままソファーに腰掛け、それに続いて、5人も対面のソファーに腰掛けた。

(窮屈じゃないのか?)

明らかにぎゅうぎゅう詰めになっている彼女たちを見て心の中で首をかしげながらも、僕は口を開く。

「それで、要件というのは?」

僕としては、早々にこの場を立ち去りたいので男の人たちに用件を尋ねる。

「単刀直入に言おう」

それまで浮かべていた柔らかい笑みがまるで水が流れていくかのように消えていき、自然と空気までもがぴりついたものとなった。

「我がプロダクションに入らないかい?」
「…………はい?」

男性の口から出た要件に、僕は自分のきっき間違いかと思いもう一度聞き返すことにした。
いくらなんでもありえなさすぎる。

「君をここ”チェリーレーベルプロダクション”にスカウトしているんだ」

どうやら僕の幻聴でも聞き違いでもなかったようだ。
となると、問題なのは

「社長! 何を言ってるんですか! 相手は餓鬼――「竜輝君」――す、すみません」
「………」

社長と呼ばれた男性が口にした要件に、ソファーから立ち上がって声を荒げた金髪の男の人に対して、社長と呼ばれた男性はただ一言名前を呼んだだけだ。
それだというのに、金髪の男の人は畏縮したように謝罪の言葉を口にするとソファーに腰掛けた。

「ちなみに、これは冗談ではないよ」

冗談であったらどれだけよかったことだろうか。
僕の中で”頷くな”という心の声がこだまし続けているのだから。

「……自分は子供ですけど」

我ながらなんという屈辱的で都合のいい言葉だと思う。
自分は子供ではないと普段から思っている僕にとっては屈辱的であるし、都合のいい言葉だと思ったからだ。

「確かに君は子供だ」

とはいえ、ここまではっきりと肯定されると、怒りよりも自分が惨めに思えてきてしまう。
”だがね”と社長と呼ばれた男性は前置きを置くと

「私にはそうは見えないのだよ」

と続けた。

「外見上は確かに子供だが、どことなく大人を思わせる雰囲気がある……正直、君のような子供を見るのは初めてだ」
離している内容は普通かもしれないが、男性の話を聞いていると、妙な胸騒ぎを感じてならない。

(この男、まさか工作課のやつじゃないだろうな?)

この男性の妙に鋭いところも工作課の者ならば頷ける。
僕はこの世界にいる人物で、誰が工作課の人間なのかを把握している。
だが、それでも全員というわけではない。
父さんが意地悪するような形で、僕の知らないメンバーをよこすことがあるからだ。
なので、僕は軽く鎌をかけてみることにした。

「今日は満月ですか?」
「さあ、私にはわからないが……涼子君、わかるかい?」

悩んでいる様子の社長と呼ばれた男性は、一番右端に腰掛けていた銀色の髪の女性は慌てた様子で携帯電話を取り出すとボタン操作をし始めた。
どうやら月の満ち欠けについて調べているようだ。
カチカチという音が事務所内に響く中

「えっと……今日は新月のようです」

音が鳴りやむのと同時に携帯の画面から視線を外した女性が月の満ち欠けについて答えてくれた。

「だそうだよ。それで、月がどうかしたのかい?」
「い、いえっ。その、私……月が好きなものでして」

まさか深く掘り下げられるとは思ってもいなかった僕は、慌ててとってつけた(訳でもないけど)理由を口にしながら、この男性たちは白であることを確認していた。
”今日は満月か”
それは、僕たちの同胞であることを確認する合言葉のようなもの。
むろん、父さんのほうで合言葉を変えている可能性もあるが、見たところ不自然なところ(演技をしているといった様子)は見受けられないので、そのような判断をすることにした。
だとすると、この人の言っていることは本当のことかもしれない

「最近の若い子はゲームが好きで空を見る子が減っているからな。いやいや、感心感心。どうかね、今度一緒に夜空を見に行かないかい? こう見えても私は星博士と言われていて―「社長。話がずれていますよ」―っと、そうだったね。すまないすまない」

話の内容がいつからかスカウトから星座に変わっているのを、黒髪の女性が戻すように諭して話をもとの話題に戻させた。

「でも、私は別に音楽とかうまくは……」

我ながら何ともひねりのない断りかただろうか。
これでは……

「上手くない人があそこまで的確な指摘はできないと思う。もしうまくなくても音楽の素質があることを意味している……とおじさんは思うんだけど?」

と言われてしまうのも当然だ。
おまけにこの男性は自分の退路まで塞いで見せた。
ここまでされると、もはや私にはどうしようもない。

(この人、恐ろしい)

口調や表情こそ穏やかだが、自分の意見を意地でも通そうとする気迫がにじみ出るほどに溢れ出していた。

「少しだけ考えさせてください」

それが今の自分に出来た精一杯の返事だった。

「そうか。答えが決まったら教えてほしい。これがおじさんの連絡先だから」

僕のほうに一枚の名刺を手渡す男性の表情は、失望なのかそれとも別の意味を持つのかよくわからなかった。
”良い返事を待っている”最後に僕に投げかけられた言葉に、僕は静かに一礼をすることで返すとその場を逃げるように後にするのであった。










「音楽……か」

事務所からの帰り道、電車に揺られながら考えていたのは先程のやり取りのことだ。
音楽が嫌いというわけではない。
音楽ほど主役も脇役もないものはないのだ。
魔法だけではなく普通の会社などでも言えるが、実力のあるものが上に行き、主軸となっていく。
それは努力の結晶かもしれないし、はたまた生まれ持っての才能なのかもしれない。
”高月は常に最強でありトップでなくてはならない”
その文言は我が家に伝わる家訓だ。
誰からも突かれない(どちらかというと非の打ち所がないと言った方が正しいだろう)完ぺきな存在になることで、周りから妙なちょっかいを出されないようにするという意味らしい。
僕もまた生まれてから様々な英才教育を受けてきた。
そのおかげで、勉強だって文章作成以外ならば全教科満点をとれる自信もあるし、魔法に関しては誰ひとり(家族は除いてだが)追随を許さない自信もある。
ただ、一番大事な何かが欠けているというのが両親の言葉だ。
それが何なのかは自分で考えろということで教えてもらえなかったし、自分も自分で考える必要もないと思っていたので考えたことがなかった。
その結果がこのありさまだ。

「ほんと、馬鹿みたい」

思わず口をついて出たその言葉に、今度はため息が漏れてしまった。
結局のところ、僕は迷子なのかもしれない。
”人生という名の”
憂鬱な気分のまま自宅の最寄り駅に到着し、とぼとぼと歩いているそんな時だった。

「泥棒っ!」

僕が普通の人だったら絶対に聞こえないほど小さな女性の声に、僕はその足を止めた。
それから少しして、帽子をかぶった男が慌てた様子で姿を現すとこちらに向かって駆けてくる。
その手には男が持つには似つかわしくない女性物のバックが握られていることから、この男が泥棒(というよりはひったくり)犯であることが明らかだった。
―――もしかしたら、知り合いの女性のバックを慌てて届けているだけかもしれないという考え自体はこの当時の自分には一切なかった。

「邪魔だ、餓鬼っ!」

(この僕が、餓鬼だと?)

男から見れば僕の外見はただの子供だ。
まさか僕が自分よりも数十倍生きている存在であることなど知る由もない。
だが、この時の僕は少し前までの調子の狂わされる一件で虫の居所が悪かった。
―――否、当時の僕からすればどのタイミングでこのようなことが起こっても、同じような行動をとっただろう。

「私は貴様のような餓鬼ではないっ。その罪、その命を持って償え」

最初は口調こそ激しかったが、後半のほうでは|いつもの《・・・・》口調で男に言いきっていた。
こちらに向かって疾走する男をしり目に、僕は自然と周囲の状況を確認していた。
男が走っている道の横の土地一帯は何かの工事なのか『立ち入り禁止』という看板が設置されている。
その敷地内にある建築中の建物(恐らくはマンションか何かだろう)の最上部ほうでは、その材料なのか赤色の鉄状の物(恐らくは鉄筋)が置かれていた。

(これを使おう)

もうすでに僕の中で何をするのかのヴィジョンは決まっていた。
後はもう一つ必要なピースがそろうだけだ。
それも

「わけのわかんねえことを言ってんじゃねえぞっ!」

男がバックを持っていない方の手で、ズボンのポケットから取り出したサバイバルナイフのようなもので揃ってしまった。

「生命の危険状態と認識。魔法の一時使用条件をコンプリート」

つまりは、魔法を使って何がしらかの反撃ができる状態になったということだ。
無論、法律上ではという前置きが付くが。
すでに僕の視線は刃物を手にする男ではなく、別の場所へと向かっていた。
そこは建設中の建物に向けられていた。

(鉄筋を支えているのは4本のロープか)

これらすべてを斬ってしまえばどうなるかは誰でも気づくだろう。
下から見えるということは、かなり高く積み上げられているかもしくは何かにつるされているだけかだ。
なので、支えている物さえ失くせば後は重力に従っていくのみ。
どう考えてもこの置き方はかなり危険なものなので、建設業者にも問題はあるのは間違いない。

「では、パーティーを始めよう」

やるのは簡単。
かまいたちの要領で鉄筋を支えているロープをすべて切断しただけだ。

「ぶっ殺し――――」

僕の言葉に激高した男がこちらに向かって駆けだそうとするが、時すでに遅し。
次の瞬間には爆音にも近い轟音と共に、男が立っていた場所に大量の鉄筋が散乱していた。
男がどうなったのかを確認することなく、僕はその場から逃げるように走り去る。
男がどうなったのかなど、確認するまでもないというのも理由の一つだが、あの人物の追手に僕の姿を見られでもすればいろいろと面倒なことになるという方が大きかった。





「ふぅ……」

誰もいない自宅に戻った僕は、靴をやや乱暴に脱ぎ捨てると、一目散に自室に駆けこんで大きく息を吐き出した。

(現場を離れて少ししか経っていないというのに、ブランクが大きかったな)

これまでならば、悪人をつぶせたことに対して喜びに心が満たされるはずが、この時は虚しさだけしか感じなかった。

(後悔しているとでも言うのか? この僕が)

まさか、と自分自身で否定する。
これは僕が自分で選んだ道だ。
後悔などするはずがない。

『我がプロダクションに入らないかい?』

何故か頭をよぎるのはあの男性の言葉だった。

「なんだってんだ。一体」

いつから自分はここまで腑抜けになったのだろうか?
ここまで自分自身の考え……心を揺さぶる存在はいただろうか?

「音楽……か」

気が付けば、僕の思考は再び音楽に移っていた。
何故かはわからない。

『浩介、お前は兵器にはなれない。なぜなら、お前に人の心があるからだ。それがたとえ数ミリの大きさほどしかなくともな。それがお前が兵器にはなれない証だ』

それはいつの日にか父さんから言われた言葉だ。
確かに理に適っているとは思うが、このような形で実感したくはなかった。
いつもの僕であれば、すぐさま断っているであろうスカウト。

(仕方がない)

いつまでも苦しむくらいなら、いっそのことすぐに返事をして楽になった方がいいのは明らか。
僕は携帯を取り出すと社長と呼ばれた男性――荻原おぎわら 昌宏まさひろ》に渡された連絡先の書かれた名刺を見ながら番号を打ち込み、発信ボタンを押すと耳のほうに近づける。

『はい、荻原です』

数コールで出たのはあの時の男性だった。
そこで初めて気が付いた大きなミスがあった。

(僕、名前を言ってない)

僕もよくよく考えると、向こうから名前を教えてもらっていない。
スカウトをすることにに集中(僕の場合は違うけど)するあまり、お互いに大事なことを忘れてしまっていたようだ。

「先ほどそちらの事務所に伺った者ですが」
『あぁ~、君か』

どうやら声で僕のことが分かったようで、実際に目の前にいれば目を少しばかり大きくして、掌にもう片手の拳をポンッという音が鳴りそうな感じで合わせているような仕草をしているような感じの言葉が返ってきた。

『それで、返事を聞かせてもらえるかい?』
「はい。荻野さんのお誘いですが、喜んでお受けいたしたいと思います」

少々固く、事務所での言動と矛盾しているような気もしたが、そのことをいったん思考から外す。

『そうかっ。受けてくれるのか! いやー、それはよかった。うん、本当によかった』

ものすごく大げさに喜ぶ相手の声に、僕は一種裏があるのではないかと勘繰ってしまったが、

『今日は本当にめでたい日だ! 本来であれば、祝杯をしたいが、今この場でできないのが残念なくらいだ!』
「あ、あはは」

まるで子供のように喜ぶ荻野さんの様子に、僕は苦笑を漏らすしかなかった。

『それじゃ、よろしく頼むよ。期待の新人くん』
「はい。こちらこそ」

僕は”失礼します”と告げて電話を切った。
こうして、僕はチェリーレーベルプロダクションに所属することとなった。
……のだが

「あ、また名前言ってない」

どうやら、自己紹介は遠い先のことになりそうだ。

―――それは一つの転機であった

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