「ふぅ、危なかった」
俺は両手に十字架に構えた神剣の構えを解く。
あの時、間一髪のところで防御術の詠唱を終わらせることが出来たのだ。
「なるほど、さすがは閣下と呼ばれるだけはある。かなり強い」
「お主、一体何者じゃ?」
俺は閣下の驚きようを見ながら吉宗をしまう。
「さあ、どうでしょうかね? ですがとりあえずは降ってくる二人のための布石を打たせていただきます!!」
俺はそう告げると、卑怯とは思いつつも停止石を閣下に向けて投げる。
ちなみに形状は砂の様だが名前は石と言う字がついている。
「ッぐ!?」
これの効果はほんの2秒間、だがその2秒を俺は見逃さない。
「封陣滅殺!」
相手がせこい技を使うのであれば、俺もそう言うのを使うまで。
まさに目には目を、歯には歯をだ。
「それでは、後は二人の勇者に任せましょうかね」
「そう簡単に………やられるかあああああああああああああーーーー」
「にしても高すぎない? ねぇこれ高すぎない?」
上空には少女と少年の姿が。
おそらく上空に逃げていたのだろう。
するといきなり少女が少年を蹴り飛ばす。
「ひでぇぇぇ!!!」
少年は落ちながらも棒状の武器を振りかざす。
だが、閣下の斧とぶつかり合い、少年は吹き飛ばされる。
少年が着地するのと同時に少女も閣下を挟むように着地する。
そして二人は同時に駆けだすと己の武器を振りかざす。
それを閣下は斧と盾で受けるが粉々に砕けた。
さらに二人は追撃する。
やがて二人の攻撃は閣下に命中した。
(あれ? 今のって)
その時、俺はあることに気が付いた。
だが、それを言うよりも早く、閣下の防具は粉々に壊れセクシーな姿になった。
「このまま続けてやってもよいがそれでは、ちと両国民へのサービスがすぎてしまうのう」
そう言ってセクシーポーズを決める閣下。
「レオ閣下、それでは……」
「ん……わしはここで降参じゃ」
その声と同時に花火が打ちあがった。
『まさか……まさかのレオ閣下敗北、総大将撃破ボーナス350点が加算されます。今回の勝利条件はあくまで拠点制圧ですので戦終了とはなりませんが、このポイント差は致命的、ガレット側の勝利はほぼないでしょう』
もうポイントとかの意味もあまり分からないが、これでこっち側の勝利だと言うことは分かった。
(って、俺は何時こっち側の人間になったんだ?)
そんな疑問に駆られていると閣下がこっちに向かってきた。
「お主、名は何じゃ?」
「小野……小野渉です」
俺は閣下に言われて自分の名を名乗った。
「ワタルじゃな。わしの事はレオ閣下と呼ぶと良い」
「はい。レオ閣下」
俺はレオ閣下に言われた通りにすることにした。
「それと、ワタルとは次また機会があれば正々堂々と戦うつもりじゃから、覚悟しておくようにの」
俺にそう言い残してレオ閣下は俺から離れて行った。
と言うより、あの卑怯なやり方の事根に持ってたんだ……
俺は苦笑いをしながら少女の方に向かう。
俺は向かう時に脱いでおいた礼装の上着を差し出した。
俺の礼装は上着が青と白の色合いだがその下は黒一色だ。
「な、何だこれは?」
「俺の礼装。良いから着ておけ。まあ、全員にサービスをしたいのであれば別だが」
俺はそう言ってその場を立ち去る。
少女は渋々と礼装を羽織っていた。
それからしばらくして礼装以外の服が破け、下着を残して裸になった。
ちなみに原因は少年の武器が少女に当たっていたからだが。
「なんという幕切れだよ」
しかしこの後が災難だった。
「この! この! この!!」
「うわ!? なんで俺まで追いかけられてるんだよ!!」
なぜか俺は少女に少年と共に追いかけられていた。
「教えてくれなかったからだ!!」
まさに災難だった。
『しかしこの勇者達、強いしすごいがやっぱり若干アホかもしれません』
「ほっといて!」
「一緒にするな」
僕と少年はナレータに突っ込んだ。
と言うより一緒にされるのは嫌だ。
『そして騎士エクレール、おいしい映像ありがとうございました!』
「ええい、やかましい!」
本当に勘弁してくれ。
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