健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第30話 狂気と危機

「あはははは!! どうしたどうした!」

地下の方で未だに続くのは、一方的な攻撃だった。
絶え間なく放たれ続ける無限の剣が、反撃を許そうとしない。

「くっそ、何なんだよ、あいつは!!」

アギトが思いっきりぼやく。

「ね、ねえ、あれ止めなくてもいいの?」
「あんた、あの中に飛び込む勇気ある?」

物陰に隠れていた新人の一人、スバルがティアナに聞くが、ティアナの問いかけに詰まった。
目の前には常に放たれ続ける剣。
貫かれれば怪我では済まない。
つまりは………。

「ないです!」

そういう事であった。
そんな時であった。
突然の爆音とともに、天井の一部が崩れた。

「捕えよ、凍てつく足枷!フリーレン・フェッツェルン!」

その中から現れたリインにより、アギトとルーテシアは捕えられた。

「ぶっ飛べー!!」

さらに巨大化したハンマーで、ヴィータはガリューを吹き飛ばした。

「ところで、何だこの状況は?」
「え、えっとですね………」

スバルは慌てて事情説明をした。
それを聞き終えたヴィータは、大暴れした人物を睨みつける。

「対象ロスト。気配を感じない」

睨みつけられている執行人はどこ吹く風とばかりに、そう呟いていた。

「何?」

しかし執行人の言葉に、ヴィータは表情を険しくすると、自分が吹っ飛ばしたガリューがいると思われる穴の開いた壁へと向かった。

「……ちっ」
「こっちもです……逃げられた、ですね」

誰もいないことに気付いたヴィータは舌打ちをし、二人が逃げたことを知ったり院は悔しげにつぶやくと自分の掛けていた魔法を止めた。
そこには地面に穴が開いているだけで、二人の姿はどこにもなかった。
そんな時、突然地震が起こった。

「なんだ!?」
「大型召喚の気配があります………多分、それが原因で」

エリオに寄り掛かりながら立ち上がったキャロが、今起きている現象の理由を言った。

「ひとまず脱出だ! スバル!」
「はい! ウイングロード!!」

スバルによってウイングロードが展開された。

「スバルとギンガが先頭で行け! あたしは最後に行く!」
「「はい!」」

ヴィータの指示を聞いた二人は脱出を始める。
そんな中、ティアナはキャロにある指示を出す。
それをよそに執行人も脱出を始める。










執行人の性格、それは自由気ままに尽きる。
マスターである真人から指示がなければ何もしない。
するのは必要最低限の事だけからも、よく分かることだ。
つまりは、新人たちがルーテシアたちを掴まえる間、彼は誰にも見えないように彼女たちの近くに立っていた。

「ここまでです!」

そんな中、リインによって二人はバインドで縛られた。

「子供を虐めてるみてーでいい気はしねぇが、市街地での危険魔法使用に公務執行妨害、その他諸々で逮捕する」

ヴィータは複雑な表情で二人にそう告げた。
そして事情聴取を始める。

「………」

そんなやり取りがあるにもかかわらず、執行人は全く関係ない場所を見ている。
………いや、睨みつけているの方が正しい。

「逮捕は良いけど……大事なヘリは……放っておいていいの?」
『っ!?』
「む?」

ルーテシアから呟かれた言葉に、執行人を除く全員が息をのんだ。
執行人は目を閉じた。

「あなたはまた……護れないかもね」
「っ!?」

『砲撃ヘリに直撃………そんなはずはない! ジャミングがひどすぎて状況確認できません』

通信で伝えられた絶望的な知らせに、全員が呆然としていた。

「てめぇ!!」
「副隊長、落ち着いて!」

怒り心頭でルーテシアの方を掴むヴィータに、スバルが落ち着くように促す。

「うるせえ! おい、仲間がいんのか!? どこにいる!? 言え!」
「エリオ君、足元に何か!」

そんな時、エリオの足元に指のようなものが出ているのに気付いたギンガが大きな声で叫び警告を出す。

「え? ……うわあ!?」
「いただき」

エリオが足元を見たのと同時に、青髪の少女、セインが飛び出し箱を奪う。

「くそ!」

ティアナの魔力弾も地面に潜ってしまった彼女には効かず、全員がその場所へと向かった。
その隙を突かれ、ルーテシアはセインに抱きかかえられて地面に潜った。

「くっ! ……ちくしょぉおお!」

最悪な状況に、ヴィータは地面にうずくまって叫んだ。

「ヘリは……ヘリは無事か!?」

そして、ヴィータははっと気が付きヘリの安否を聞いた。

『今確認中です』

通信で帰ってきた言葉に、ヴィータは焦りながら待つ。
そして………

『確認取れました、ヘリは………』

ロングアーチによってヘリの安否が告げられた。

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第2話 襲撃

やあ! 愚民ども!!
俺様の名前は阿久津 正様だ!!
俺様はくそ神に間違えて殺されて、そのお詫びをかねて転生されたんだ。
まあ当然だな、この俺様を殺すだけでも罪深いのだ。
それはそうとリリカルなのはだぜ!!
いやっほぅ!!
ハーレムを築いてモテモテライフの始まりだ!!
ッと、俺様のかっこいい容姿を説明してやろう。
銀色の長めの髪にオッドアイSA!
貴様ら愚民には、到底たどり着けないよな。
ん? なんだ? 愚民と言うな?
本当のことを言って何が悪いのさ!
俺は今この世界最強だ。
男は全員消してハーレムを築くか!!
そう言えば、転生者を狩る不届きな野郎がいるって言ってたな。
ま、この俺様に掛かれば火を見るより明らかだがな
ふははははは!!
そういえば昨日はあのロリッ娘が襲撃してきたな。
まあ、俺様に掛かれば余裕だったが。
おっと、なのははちゃんと蒐集させたぜ?
原作が変わったらまずいしな!
変なモブ野郎もいなかったし、ここは俺の独壇場だ!
だが、俺はどうも気分が悪い。
原因はあのモブ野郎だ。
俺様のなのはとなれなれしくしやがって
(待ってろよなのは! この俺様が直々に成敗してやるからな! クハハハハ!!)


★ ★ ★ ★ ★ ★


12月3日



寝起きの俺を襲ったのは、突然の動悸だった。

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。

「真人~ごはんよ」
「はーい!」

下から聞こえる母さんの呼びかけに答えて、俺は制服に着替えるのであった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。
これが俺が初めて感じた些細な日常の異変だった。










夕方

借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山本 真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやて”でええよ」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

はやてから何とも言えないオーラを感じた俺がはやての名前を呼ぶと、なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本 真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。










今思えばその時から始まっていたのだろう。
さっきから、誰かにつけられているのを感じていた。
背中に受けているのは、今までよりも強い殺気だった。
俺は、つけている人物が姿を現しやすくなるように公園に入ると立ちどまった。
俺を付けている気配も、同時に止まる。

「隠れてないで、出てきたらどうだ?」
「俺様が隠れるだと? 最強の俺様が隠れるわけないだろ」

俺の呼びかけに姿を現しながら答えたのは、阿久津だった。
きっとこれが、阿久津の本性なのだろう。

「それで、用は何だよ?」
「なに、簡単な事だ。俺様のなのは達に近づくんじゃねえ」

阿久津の口から出たのは、ある意味予想通りのものだった。

「俺様のって、なのは達はお前の物じゃないんだぞ?」
「は? お前何言ってんだ? そっか、モブのお前にはこの俺の偉大な言葉は難しすぎるか」
「………」

阿久津の小馬鹿にしたような言葉に、俺の心の中に怒りが込み上げてくる。

「もし、いやだと言ったら?」
「その時は……こうするまでさ」

その瞬間、阿久津の体から光が発せられたかと思えば、その姿は変わり果てた物となっていた。
黒地のシャツに赤いマントを着込み、手には西洋風の剣という、異様な姿だった。

「………コスプレ?」
「コスプレかどうかは、これを見て見な」

そう告げると、阿久津は西洋風の剣を振りかぶる。
次の瞬間爆発音と共に俺と阿久津の間の地面が爆発した。

「なッ!?」
「くはははは!! どうだ! これが俺様の力だ。で、どうする? 俺様の要求をのまないのであれば、テメェは俺様に消されるぜ」

驚く俺を嘲笑いながら、阿久津は俺に答えを迫る。

「答えはNoだ。生憎俺は力でねじ伏せられるのが嫌いなんでね」

俺は、阿久津にそう告げた。
それはひいおじいちゃんからの教えだった。
『武力で要求を呑ませられるぐらいなら、無意味だとしても抗ってみろ』
それがひいおじいちゃんの口癖だった。

「くははは! テメェの未来は決まったようなもんだ。この俺様にテメェは消されるのさ!」

そう言って、西洋風の剣をさっきと同じように振りかぶる。

「ッ!」

俺はその場から飛び跳ねることで一撃を避けた。

「オラオラ、まだまだ行くぜ?」
「くっ!」

剣を何度も振りかぶっては地面が爆ぜる。
俺はそれをほぼ直感で避けて行く。

「へぇ、モブのくせによく避けた。だが、それもここでおしまいだ」

阿久津はその周辺に光弾を出現させた。

(あんなのが一斉に来たら、避けきれない!)

「行くぜ! シュート」

そして大量の光弾が一斉に放たれた。

「ッ!!」

もうだめかと思った俺は目を閉じる。
だが、いつまでたっても痛みは襲って来ない。

「……」

疑問に思った俺は目を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。

(な、何だ。どうして軌道が見えるんだ?)

周囲の景色はモノクロとなり、光弾の動きはスローモーションに、ただその光弾から延びるように白い(灰色ともいえるが)靄がうっすらとに見えるのだ。

(これってこの通りに動くということ、なのか?)

よく見てみれば、光弾は白い靄に沿って動いていた。
何が起こっているかわからないが、俺は白い靄を躱すように移動する。
周囲の景色に色が戻った瞬間、周囲の耳元で風を斬るような音がした。

「なッ!?」

そして阿久津の顔が驚愕に染まった。

「今のをどうやって避けやがった!!」

阿久津が怒鳴り散らす。
だが俺だって知りたいぐらいだ。

「ま、まぐれだ。今度はそうはいかねえ!!」

そして再び光弾を放つ。

「ッ!」

もう一度俺は目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開ける。
すると、さっきと同じ状態になっていた。
俺は再びそれを躱すように移動する。
そして再び周囲の景色に色が戻った

「てめぇ! 何者だッ!!」

再び避けられた阿久津が俺に怒鳴りつける。

「何者だ言われても人間としか言いようがない」
「馬鹿にしやがって。だったらこれでどうだ!」

そう叫んだ瞬間、阿久津は目の前に来ていた。
手にした剣を上に振り上げて、俺に向けて振り下ろそうとする。
そして、俺は斬りつけられる……はずだった。

「ぐッ!?」
「ふむ、やはり雑魚だな」

阿久津を吹き飛ばすようにして俺の前に現れた黒いマントを着た男の人だった。

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第19話 激突する二人

「アクセルシュート!!」
「っと! ライトフレイヤ―!!」

なのはのアクセルシュートを躱し、なのは目がけて矢を5本射る。

『protection』

レイジングハートにより自動展開されたシールドに、俺の射た矢が激しくぶつかり合う。
なのはは、それを上空に移動して躱そうとするが、俺のライトフレイヤーは追尾能力もあるのだ。
よって、無駄だ。
そう思った瞬間だった。
魔法弾によって、矢は真っ二つにへし折られた。

(なるほど、俺が躱したのを防御として使ったのか)

俺は即座に納得すると、次の手を打つ。
だが……

「甘いよ、真人君」
「ちぃッ!」

俺に迫ってくるのは、5発のアクセルシュート。

「シールプロテクション!!」

俺は慌てて防御魔法を展開する。

「ッく!」

言葉には表しがたい圧力が、俺を襲う。
なんとかそれに耐えきれた俺だが、相手は待ってくれなかった。

「ディバイン、バスター!!!」
「ッげ!?」

なのはの十八番である『ディバインバスター』が俺に向けて放たれた。
シールプロテクションを展開する余裕もなく、俺はとっさにクリエイトを杖形態に戻すと前方……迫りくる桃色の砲撃の方へと掲げた。

「神性典・第1章、転輪せし円陣!」

俺の目の前に白銀の円が展開する。
それと同時に、ディバインバスターが円に触れた。
その次の瞬間、俺に迫っていたディバインバスターはなのはの方へと方向を変え向かって行く。

「なッ!?」

その光景に、なのはは驚きを隠せ無かったようだ。
だが、それでも経験によりなのははシールドを展開して防御する。
その為に土煙が立ち上がる。

「もう終わりにしないか?」

土煙が晴れかかった時、俺は何はにそう切り出す。
さっきはああも言ったが、実の所仲間同士と争うのは嫌なのだ。
其れゆえの停戦勧告であった。
だが………

「馬鹿にしないで!!!」

なのはの答えは、NOであった。
俺は致し方ないとばかりに、矢を射ようとした時だった。

「な、バインド!?」

突然の桜色のバインドに、俺は両腕両足を大の字に拘束された。
そして大きな魔力の流れを感じた終えが、恐る恐るその方向を見ると、ものすごく巨大な桜色の魔力球が出来つつあった。

「まさか、あれは………」

俺はそれに見覚えがあった。
彼女を白い悪魔とまで言わしめた要因の一つにして、彼女の必殺技。
その名も

「スターライト・ブレイカ―!?」

であった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「あれはまずいぞ!」
「いくらなんでもあんなのを食らえばただじゃすまないよ!!」

なのはが展開する『スターライト・ブレイカ―』を見た二人が慌てふためく。
その中、俺は魔力で構成した弓に、真人から渡されていた矢をセットしていた。

「執行人、四人を俺から離して」
「了解」

俺の頼み事に、執行人は四人を俺から少し離れた端の方に移動させた。

「何をするんですか、執行人さん!」
「お前達はそこから動くなよ? 死にたくなければな」

俺は徐に上空のやや浅いところに狙いを定めると、矢に魔力を注ぎ込む。
そして俺は、真人から矢を渡された時の事を思い起こした。










それは今日の朝の事であった。

「何だよ? これ」

俺は先が赤い矢を受け取りながら尋ねた。

「それは魔導師の能力を完全に消す”魔導殺し”の矢の効果を弱らせたものだ」
「大丈夫なのか?」

俺は真人の説明に少しばかり不安になる。

「大丈夫だ。その矢は着弾した場所から半径5キロ圏内で発動中の魔法を停止し、魔導師については強制パージされる」
「だけど、どうしてこんなものを俺に?」

俺は疑問に思ったことを真人に投げかける。

「もし、俺が仲間と争うようなことになったら、これを使って欲しい」
「それって、まさか」
「俺もそういう事は避けたい。だが、万が一にもそうなった時の保険だ」

俺は真人の言わんとすることが理解できた。
この先、なのはの魔王降臨があったはずだ。
とすれば、それを止めようと真人が出でば戦いに発展するのは否定できない。
だからこそ、俺はその矢を受け取った。
そして、今に至るのだ。










(出来れば、解決してくれればいいんだけど)

俺は、そんな事を考えながら魔力を注ぐのであった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


(どうしたものか)

俺は必死に考えをめぐらす。
今俺は両手を拘束されている。
今からバインドを壊そうとしても、発射までには間に合わない。
同じ理由でシールドなんてものも神のようなものだ。
だとすれば……

(あれしかないか)

それは、神性典の第2章に当たる『無を促す光の環』だ。

(これ、前は出来なかったんだけどな)

そう、この神性典は執行人が扱える物で、本来は俺には扱うことは不可能なのだ。
しかし、なぜか俺はそれの第2章までを扱うことが出来るようになってしまったのだ。

(どうしてだろう?)

そんな事を思っていた瞬間だった。

「スターライト……」

どうやら魔力のチャージが完了したようだ。
と言うより、でかいな。

「ブレイカ―!!」

そしてとうとう放たれた。
俺に向かってくる収束砲。

「神性典・第2章、無を促す光の環!!」

そして俺は、神性典を行使した。
膨大な魔力が俺の中に入り込んでくる。

「ッぐ!?」

その膨大な魔力量に、俺は顔をしかめる。
いくらなんでもこれはかなりきつい。
俺は、必至に意識を保とうとする。
未だに、なのはの込めた魔力量の半分も吸収していない。
魔力は確かに必要だが、莫大な量の魔力は本人を傷つける刃となるのだ。

(もう………限界)

俺は、重圧に耐えきれなくなったため、技を止めた。
魔力の吸収は止まったが、残された4割弱の魔力で構築された収束砲は『ディバインバスター』へと姿を変え、俺へと向かってきた。
俺はそのまま意識を手放してしまった。
その際に俺が見たのは、赤い矢によってすべてが消去デリートされる光景だった。

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第16話 ホテル・アグスタ

俺達は今警備任務のために、ホテル・アグスタに来ている。
中ではやてとなのはと共に見回りをしているのだが……。

「二人とも、ちょっといいか?」
「な、何かな?」

なのはがよそよそしく答えた。
ちなみになのはのこの様子は出張任務が終わってからずっとだと言う事を書いておこう。

「仮装大会か? ここは」

二人の姿は六課での制服ではなくドレスだったのだ。
俺と健司は黒のスーツを着せられた。

「そんなんやないって、こうしとけば管理局だとは思われへんやろ?」
「確かに、そうだな」

俺ははやての説明に納得した。

「それじゃ、俺は念のために外の方に行ってくる」
「うん了解や。こっちはうちらに任せてな」

俺ははやてにそう告げると、その場を去ろうとした。

「似合ってるよ、なのは」

その前に、俺はなのはの耳元でそうささやいた。

「ッ!?」
「ど、どうしたんや? 顔が真っ赤やで?」

俺の言葉が相当効いたのか、どうやらなのはは顔を赤くしたようだ。
俺は、後ろを振り返らなかったから見れなかったが。










【前線各員へ。状況は広域防御戦です。ロングアーチ01の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います】

それからしばらくすると、突然伝えられてきたシャマルの通信。

「どうやら、外の方にガジェットが出現したようだ」

執行人の言葉を聞いて、俺はシャマルに念話を飛ばす。

【シャマル、俺と執行人も外に出ます】
【分かりました。ガジェットのデータをそっちに送ります!】

シャマルから送られてきたデータによると、森の部分に集中している。

「執行人、俺は出入り口のあたりから遠距離攻撃をする」
「OK、僕はお前の補佐だな」

俺と執行人はクリエイトを手にしながら表に出る。

「ブレイクイヤー・マルチショット」

そして表に出ざまに遠距離用に10本の矢を具現化させて構える。

「ターゲットロックオン。ファイアー!」

そしてガジェットに照準を合わせて遠距離攻撃を行った。

(この調子でいけばいいんだけど)

そう思いながら先にある森の方に移動した。
防衛ラインには新人たちがいるはずだ。
だとすれば俺は、前に出て後ろに敵陣がいかないようにしなければいけない。
そして森に入ってしばらくした時だった。

「ッと、出てきたな。これは噂のⅢ型か?」

そう呟いた瞬間、ガジェットがこちらに向けて光線のようなものを出して攻撃してきた。

「ブレイク・イヤー!!」

俺はそれを避けつつ、矢を射る。
だが……

「弾かれた!?」
「これは………気を付けろ! こいつは有人操作だ」

驚く俺に、執行人が注意を飛ばす。

(だったら!)

俺は高速でガジェットの目前まで移動する。

「悪魔断拳!!」

そしてガジェットに向けて3回連続で殴りつけると後方にジャンプして回避する。
その瞬間、ガジェットは大きな爆音を上げながら爆発した。

「真人、後ろに行くぞ。このままだと防衛ラインを越えられる」
「了解!」

俺は執行人の警告に頷き、急いで後ろに引き返した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「はあああ!!」

俺はガジェットの一機を剣で切り付ける。
すると、ガジェットは爆音を立てて爆発した。
だが、俺の周りにはガジェットが大量にあった。
つまり、俺は囲まれていたのだ。

(クソッ! こうしてる間にもティアナの野郎がやらかすのに!!)

俺は心の中で舌打ちを打つ。
この先の展開を知っているからこそ、俺は慌てているのだ。
そして俺は、再びガジェットを討伐するのであった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


俺は、上空を飛びながら防衛ラインへと向かっていた。

(あれは、スバルのウイングロードか?)

しばらくすると、目の前に青い何かが見えてきた。
それを俺は、瞬間的にウイングロードだと認識できた。
その上を走るスバルに青い光線が放たれる。

【強力な魔力反応だ。これはティアナの様だな】
「ティアなのか?」

俺は嫌な予感を感じた。
なので、俺はさらに速度を上げる。
そしてその予感は的中してしまった。
俺が見たのは、スバルに迫る一発の魔法弾。
それは、ティアナのクロスファイアーだった。
咄嗟だった。
俺はスバルの前方に出ると紫色の杖を掲げる。

「神性典・第2章、無を促す光の環!」

その言葉と同時に、前方に広がった黄緑色の円陣にティアナのクロスファイアーが当たった瞬間、それはまるで最初からなかったかのように消えた。

(出来たの………か?)

俺は自分が使った技の感傷に浸っていた。

「山本……副隊長?」

それは聞こえてきたティアナの声によって遮られた。

「何をしてるんだ? お前たち」
「ッ!?」

俺の静かな声に、ティアナは息をのむ。
俺は今まで一度も大声でどなり散らしたことはない。

「あ、あの。これはコンビネーションの一環で」
「コンビネーション? なるほどね、だがいくらコンビネーションだとしても容認は出来ないな」
「お、おい何やってんだよ!」

そんな時、ヴィータがやってきた。

「ヴィータ副隊長。この二人の配置を裏にしてください」
「な、何があったんだよ!」

俺の要求にヴィータが聞いてくる
裏に配置を変えると言うことは、事実上の戦力外通知になる。

「詳しい事情は後で説明しますが、危険行為を確認しました。こうしている間にも事態はひっ迫して行きます。早急に対処を」
「……二人とも、山本の言うとおりに裏の方に移動しろ」

二人は、ヴィータの指示を素直に聞いて裏の方に歩いて行った。

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第14話 狩り人

ロストロギアの反応を察知した俺達機動六課メンバーはその対処に向かったのだが

【真人、転生者の反応ありだ】

執行人からの通達に、俺はこっそりと現場を離れた。
全ては毒を排除するために。


★ ★ ★ ★ ★ ★


やあ! 愚民ども!!
俺様の名前は阿久津(あくつ) 正(ただし)様だ!!
俺様はくそが身に間違えて殺されて、そのお詫びをかねて転生されたんだ。
まあ当然だな、この俺様を殺すだけでも罪深いのだ。
それはそうとリリカルなのはだぜ!!
いやっほぅ!!
ハーレムを築いてモテモテ背簡素ライフの始まりだ!!
ッと、俺様のかっこいい容姿を説明してやろう。
女顔で、赤い長めの髪に赤い眼SA!
貴様ら愚民には到底たどり着けないよな。
ん? なんだ? 愚民と言うな?
本当のことを言って何が悪いのさ!
俺は今この世界最強だ。
確かStrikersの世界だったな。
男は全員消してハーレムを築くか!!
そう言えば、転生者を狩る不届きな野郎がいるって言ってたな。
ま、この俺様に掛かれば火を見るより明らかだがな
ふははははは!!
そんな時だ。

「そこで、気味の悪い妄想に浸っている変態」
「ん?」

畏れ多くも俺様を変態と言ってきた野郎は黒一色のマントに白い仮面をかぶっている野郎だった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


俺は今、転生者の姿を確認した。

(うわぁ~)

【これはまた強烈だな】

しかし、感じたのは嫌悪感だけだった。
外見ではなく、中身からにじり出てくる穢れが俺の気分を悪くして吐き気を催させる。

(とっとと終わらせよう!)

そう言って俺は前に踏み出た。

「そこで、気味の悪い妄想に浸っている変態」
「ん?」

俺の声に反応した男がこっちを見た。

「無礼者!! この誇り高き俺様に変態とは、死刑物だ!!」
「………それは失礼。では、一つお尋ねしましょうか?」

俺ははらわたが煮えくり返りながらそう言った。

「まあ、愚民どもの問いかけに答えてやろう。何たって、俺様は世界最強なのだからな! ふははははは!!!」
「お前は転生者か?」

気持ち悪い妄想ごとを言いながら笑う男に、俺は疑問をぶつけた。

「ああそうさ! 俺様はなくそ神に殺されて、ここに転生された、阿久津正様だ」

(いっそそのまま地獄にでも送ればいいものを)

俺は内心でため息をつく。
だが、気を取り直して、右手に剣状のクリエイトを具現化する。

「では、阿久津正、貴殿をこの世界の害と認定し排除する」
「はははは!! そうか、お前が転生者を狩る不届きな野郎か。最強の俺様に勝てるとでも思ってるのか?」

男が大きな声で笑う。
俺の事を知っているあたり、良いのか悪いのかは複雑だ。

「では、俺様の力、見せてやるぜ!!」

男はグローブのような物を手に付けながら、大きな声で叫んだ。
あれはいったい何なのだろうか?

「行くぜ! ゴールデンゴッドハンドぉ!!!」

そう叫びながら、俺に殴りかかってくる阿久津。
だが、その勢いは完全に遅い。
それ故俺の場所まで届かない。
なので、俺はそれを横に移動することで交わした。

「俺様のパンチを防ぐとはなかなかだ。だが、これで終わりだ!!」
『Full Drive!!』

阿久津が宣言した瞬間、阿久津の体を覇気のようなものが覆い尽くす。
何が起こるのかと警戒を強める。
すると、突然男の手に一本の剣のようなものが現れた。

「行くぜ! 俺様の必殺技! ゴッドブレイド!!!」

大層病気的な技名をつける物だと思いながら、俺は剣を見つめる。
大振りで狙いがつけられていない。
しかも剣の握り方から避けられたら隙が出ることは間違いない。
俺の取った行動は……

「なッ!?」

あえて突進して、阿久津が作り出してしまった開き空間に入り込みクリエイトを振りかぶる。

「一刀両断!」
「ガフ!?」

その一撃によって、阿久津の変身は解け、後方に大きく吹っ飛ばされた。

「な、なぜだ!! なぜこの最強の俺様の攻撃が!!」
「確かに、お前の持つ”力”は最強だ。だが、所詮そこまでだ。当然だよね、何もしていない素人が、最強になれるわけがないのだから。それなのに最強だとか言えるお前の馬鹿さ加減に笑えてくる」

俺の言葉に、阿久津が睨みつけてくる。

(まだそんな余裕があるんだ? まあ、その方が俺もやりがいがある)

「黙れ!! なのはやフェイトは俺様のものだ!!!」
「貴様こそ黙れ。あいつらはお前だけの物ではない」
「勝った気になるな!! 俺様はまだ負けて――――」

俺は立ち上がろうとする阿久津の両腕を切り落とした。

「がああああああああ!! 腕が! 腕がああああ!!?」
「そうだ、叫べのた打ち回れ」

俺は阿久津の悲鳴に酔いしれていた。

「貴様……何者……だ!」
「お前らの様なウイルスを排除する存在さ。お前が強ければ強いだけ、俺の能力も高くなる。まあ、お前と違うのは10年もの間戦闘経験を積んだぐらいだが」

俺は見下すように答えた。
戦ったこともない素人に、俺が負けるなどそれこそありえないのだ。

「いい機会だから教える。戦いでは能力もそうだが、経験値や知能も非常に左右する。今までロクに戦ったことのないやつが、能力だけで最強の座に君臨できると思い込んでいる屑が、お前たち転生者さ」
「く……そ」

俺の蔑む言葉に、阿久津が毒を吐く。

「こんなことやっていいって言うのか!! お前のやってることは殺人だ!!」
「殺人? 違うね、貴様のような転生者に人権はない。よって俺は人殺しではない」

未だにそんな事を言える阿久津に呆れながら、俺はクリエイトを構える。

「さて、それでは消えてくれ」

俺はそう告げると、クリエイトに魔力を流し込む。

「輪廻転生が普通の人の100倍長くなっちゃうけど、まあ天罰だと思っておきな」
「や、やめろ。なんでもする、お前の奴隷になる。だから――――」

俺は阿久津の命乞いの言葉を無視する。

「それじゃ、死んで」
「やめ―――」

俺はためらいなく阿久津に向けて剣を振り下ろす。
斬れるような音がするとともに、阿久津の姿はどこにもない。

「転生者反応消去。任務完了だ。お疲れ様」
「サンキュ」

俺は労いの言葉をかける執行人にそう言いながら、仮面とマントをしまう。
これで100人目だ。
転生者がここにやってくるのはきりがない。
その主な理由がハーレムを作ろうというものだ。
能力の高さもさることながら、理由や動機性格が世界に対して害にもなる。
俺が始末した100人の転生者だが、その99%は自分の能力に飲み込まれたり、扱えなかったりと言うのがほとんどだ。
まあ、中には戦争体験者がいたりして色々と苦労したこともあったが。

(転生者は、全員消してやる)

俺はロストロギアの封印との通達を聞きながら、再び決心するのであった。

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