「あはははは!! どうしたどうした!」
地下の方で未だに続くのは、一方的な攻撃だった。
絶え間なく放たれ続ける無限の剣が、反撃を許そうとしない。
「くっそ、何なんだよ、あいつは!!」
アギトが思いっきりぼやく。
「ね、ねえ、あれ止めなくてもいいの?」
「あんた、あの中に飛び込む勇気ある?」
物陰に隠れていた新人の一人、スバルがティアナに聞くが、ティアナの問いかけに詰まった。
目の前には常に放たれ続ける剣。
貫かれれば怪我では済まない。
つまりは………。
「ないです!」
そういう事であった。
そんな時であった。
突然の爆音とともに、天井の一部が崩れた。
「捕えよ、凍てつく足枷!フリーレン・フェッツェルン!」
その中から現れたリインにより、アギトとルーテシアは捕えられた。
「ぶっ飛べー!!」
さらに巨大化したハンマーで、ヴィータはガリューを吹き飛ばした。
「ところで、何だこの状況は?」
「え、えっとですね………」
スバルは慌てて事情説明をした。
それを聞き終えたヴィータは、大暴れした人物を睨みつける。
「対象ロスト。気配を感じない」
睨みつけられている執行人はどこ吹く風とばかりに、そう呟いていた。
「何?」
しかし執行人の言葉に、ヴィータは表情を険しくすると、自分が吹っ飛ばしたガリューがいると思われる穴の開いた壁へと向かった。
「……ちっ」
「こっちもです……逃げられた、ですね」
誰もいないことに気付いたヴィータは舌打ちをし、二人が逃げたことを知ったり院は悔しげにつぶやくと自分の掛けていた魔法を止めた。
そこには地面に穴が開いているだけで、二人の姿はどこにもなかった。
そんな時、突然地震が起こった。
「なんだ!?」
「大型召喚の気配があります………多分、それが原因で」
エリオに寄り掛かりながら立ち上がったキャロが、今起きている現象の理由を言った。
「ひとまず脱出だ! スバル!」
「はい! ウイングロード!!」
スバルによってウイングロードが展開された。
「スバルとギンガが先頭で行け! あたしは最後に行く!」
「「はい!」」
ヴィータの指示を聞いた二人は脱出を始める。
そんな中、ティアナはキャロにある指示を出す。
それをよそに執行人も脱出を始める。
執行人の性格、それは自由気ままに尽きる。
マスターである真人から指示がなければ何もしない。
するのは必要最低限の事だけからも、よく分かることだ。
つまりは、新人たちがルーテシアたちを掴まえる間、彼は誰にも見えないように彼女たちの近くに立っていた。
「ここまでです!」
そんな中、リインによって二人はバインドで縛られた。
「子供を虐めてるみてーでいい気はしねぇが、市街地での危険魔法使用に公務執行妨害、その他諸々で逮捕する」
ヴィータは複雑な表情で二人にそう告げた。
そして事情聴取を始める。
「………」
そんなやり取りがあるにもかかわらず、執行人は全く関係ない場所を見ている。
………いや、睨みつけているの方が正しい。
「逮捕は良いけど……大事なヘリは……放っておいていいの?」
『っ!?』
「む?」
ルーテシアから呟かれた言葉に、執行人を除く全員が息をのんだ。
執行人は目を閉じた。
「あなたはまた……護れないかもね」
「っ!?」
『砲撃ヘリに直撃………そんなはずはない! ジャミングがひどすぎて状況確認できません』
通信で伝えられた絶望的な知らせに、全員が呆然としていた。
「てめぇ!!」
「副隊長、落ち着いて!」
怒り心頭でルーテシアの方を掴むヴィータに、スバルが落ち着くように促す。
「うるせえ! おい、仲間がいんのか!? どこにいる!? 言え!」
「エリオ君、足元に何か!」
そんな時、エリオの足元に指のようなものが出ているのに気付いたギンガが大きな声で叫び警告を出す。
「え? ……うわあ!?」
「いただき」
エリオが足元を見たのと同時に、青髪の少女、セインが飛び出し箱を奪う。
「くそ!」
ティアナの魔力弾も地面に潜ってしまった彼女には効かず、全員がその場所へと向かった。
その隙を突かれ、ルーテシアはセインに抱きかかえられて地面に潜った。
「くっ! ……ちくしょぉおお!」
最悪な状況に、ヴィータは地面にうずくまって叫んだ。
「ヘリは……ヘリは無事か!?」
そして、ヴィータははっと気が付きヘリの安否を聞いた。
『今確認中です』
通信で帰ってきた言葉に、ヴィータは焦りながら待つ。
そして………
『確認取れました、ヘリは………』
ロングアーチによってヘリの安否が告げられた。
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