俺達は今警備任務のために、ホテル・アグスタに来ている。
中ではやてとなのはと共に見回りをしているのだが……。
「二人とも、ちょっといいか?」
「な、何かな?」
なのはがよそよそしく答えた。
ちなみになのはのこの様子は出張任務が終わってからずっとだと言う事を書いておこう。
「仮装大会か? ここは」
二人の姿は六課での制服ではなくドレスだったのだ。
俺と健司は黒のスーツを着せられた。
「そんなんやないって、こうしとけば管理局だとは思われへんやろ?」
「確かに、そうだな」
俺ははやての説明に納得した。
「それじゃ、俺は念のために外の方に行ってくる」
「うん了解や。こっちはうちらに任せてな」
俺ははやてにそう告げると、その場を去ろうとした。
「似合ってるよ、なのは」
その前に、俺はなのはの耳元でそうささやいた。
「ッ!?」
「ど、どうしたんや? 顔が真っ赤やで?」
俺の言葉が相当効いたのか、どうやらなのはは顔を赤くしたようだ。
俺は、後ろを振り返らなかったから見れなかったが。
【前線各員へ。状況は広域防御戦です。ロングアーチ01の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います】
それからしばらくすると、突然伝えられてきたシャマルの通信。
「どうやら、外の方にガジェットが出現したようだ」
執行人の言葉を聞いて、俺はシャマルに念話を飛ばす。
【シャマル、俺と執行人も外に出ます】
【分かりました。ガジェットのデータをそっちに送ります!】
シャマルから送られてきたデータによると、森の部分に集中している。
「執行人、俺は出入り口のあたりから遠距離攻撃をする」
「OK、僕はお前の補佐だな」
俺と執行人はクリエイトを手にしながら表に出る。
「ブレイクイヤー・マルチショット」
そして表に出ざまに遠距離用に10本の矢を具現化させて構える。
「ターゲットロックオン。ファイアー!」
そしてガジェットに照準を合わせて遠距離攻撃を行った。
(この調子でいけばいいんだけど)
そう思いながら先にある森の方に移動した。
防衛ラインには新人たちがいるはずだ。
だとすれば俺は、前に出て後ろに敵陣がいかないようにしなければいけない。
そして森に入ってしばらくした時だった。
「ッと、出てきたな。これは噂のⅢ型か?」
そう呟いた瞬間、ガジェットがこちらに向けて光線のようなものを出して攻撃してきた。
「ブレイク・イヤー!!」
俺はそれを避けつつ、矢を射る。
だが……
「弾かれた!?」
「これは………気を付けろ! こいつは有人操作だ」
驚く俺に、執行人が注意を飛ばす。
(だったら!)
俺は高速でガジェットの目前まで移動する。
「悪魔断拳!!」
そしてガジェットに向けて3回連続で殴りつけると後方にジャンプして回避する。
その瞬間、ガジェットは大きな爆音を上げながら爆発した。
「真人、後ろに行くぞ。このままだと防衛ラインを越えられる」
「了解!」
俺は執行人の警告に頷き、急いで後ろに引き返した。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「はあああ!!」
俺はガジェットの一機を剣で切り付ける。
すると、ガジェットは爆音を立てて爆発した。
だが、俺の周りにはガジェットが大量にあった。
つまり、俺は囲まれていたのだ。
(クソッ! こうしてる間にもティアナの野郎がやらかすのに!!)
俺は心の中で舌打ちを打つ。
この先の展開を知っているからこそ、俺は慌てているのだ。
そして俺は、再びガジェットを討伐するのであった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
俺は、上空を飛びながら防衛ラインへと向かっていた。
(あれは、スバルのウイングロードか?)
しばらくすると、目の前に青い何かが見えてきた。
それを俺は、瞬間的にウイングロードだと認識できた。
その上を走るスバルに青い光線が放たれる。
【強力な魔力反応だ。これはティアナの様だな】
「ティアなのか?」
俺は嫌な予感を感じた。
なので、俺はさらに速度を上げる。
そしてその予感は的中してしまった。
俺が見たのは、スバルに迫る一発の魔法弾。
それは、ティアナのクロスファイアーだった。
咄嗟だった。
俺はスバルの前方に出ると紫色の杖を掲げる。
「神性典・第2章、無を促す光の環!」
その言葉と同時に、前方に広がった黄緑色の円陣にティアナのクロスファイアーが当たった瞬間、それはまるで最初からなかったかのように消えた。
(出来たの………か?)
俺は自分が使った技の感傷に浸っていた。
「山本……副隊長?」
それは聞こえてきたティアナの声によって遮られた。
「何をしてるんだ? お前たち」
「ッ!?」
俺の静かな声に、ティアナは息をのむ。
俺は今まで一度も大声でどなり散らしたことはない。
「あ、あの。これはコンビネーションの一環で」
「コンビネーション? なるほどね、だがいくらコンビネーションだとしても容認は出来ないな」
「お、おい何やってんだよ!」
そんな時、ヴィータがやってきた。
「ヴィータ副隊長。この二人の配置を裏にしてください」
「な、何があったんだよ!」
俺の要求にヴィータが聞いてくる
裏に配置を変えると言うことは、事実上の戦力外通知になる。
「詳しい事情は後で説明しますが、危険行為を確認しました。こうしている間にも事態はひっ迫して行きます。早急に対処を」
「……二人とも、山本の言うとおりに裏の方に移動しろ」
二人は、ヴィータの指示を素直に聞いて裏の方に歩いて行った。
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