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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第1話 日常

12月2日

「真人~ご飯よ」
「は~い!」

朝、俺はいつものように下から聞こえてくる母さんの声に返事をした。
俺の名前は山本やまもと 真人まさとどこにでもいる普通の小学生だ。
って、誰に説明しているのだろうか、俺は?
そんなこんなで俺は制服に着替えて、リビングに行った。










「おはよう」
「おはよう、真人」
「おはよう真人」

リビングに入って、父さんと母さんに挨拶をする。
父さん達が挨拶を返してくれる。
そんないつもの日常だが、唯一違うことがあった。
それは……

「声を掛けられて5分か。小学生にしては素早い準備だな。それを続けることを心賭けろ」

椅子に腰かけテレビを見ながら、そう言うのは父さんよりは背が低い(父さんの身長は175cm)男の人だった。

「お、おはよう。ひいおじいちゃん」

俺は少しばかりおされつつも、挨拶をする。
するとひいおじいちゃんはガクッと、ズッコケる。

「さすがに”ひいおじいちゃん”と言うのは堪えるぞ」
「ま、まあまあ」

ひいおじいちゃんのボヤキに、母さんが宥めるように口を開く。
目の前にいるひいおじいちゃんは、俺の母さんの父親のそのまた父親らしい。
でも、外見なら父さんと同じもしくはそれよりも若い感じがする。

「さあ、ご飯を食べちゃいましょ」

母さんのその一言で、ひいおじいちゃんは立ち直ったのかため息をつきながら姿勢を正す。

「いただきます」
「「いただきます」」

こうして、俺達は朝食を取るのであった。





朝食を食べ終えて、少しだけゆっくりしている時、俺達家族はテレビのニュースを見ていた。

『続いてのニュースです。4月に発生した原因不明の市街地の壁などが突然壊れた事件ですが、未だに原因が分かってはおりません』

ニュースでは『市街地破壊事件』(俺が命名)が取り上げられていた。
その事件は4月に入って少ししてから起きた。
突然市街地の壁が壊れたのだ。
電柱は折れ曲がっていたと言われていた。
それからしばらくして今度は町中に木の幹が出現した。
少し経ったら消滅したが、環境問題による現象や、地球の終わりだとか色々な憶測が飛んだ。
結局答えなどは出なかったが……。
さらには連休中にも光が飛び交うのを見たという目撃証言まで飛び出したりした。
そのため、一時期海鳴市は怪奇な街と呼ばれるようになってしまった。
まあ、そっち関係での観光客は増えたみたいだったが。

(それにしても、一体なんだろう?)

俺はふと考え込んだ。
確証はないが、偶然ではないことだけは何となく分かった。

(そう言えば、ひいおじいちゃんが来たのって市街地の壁が壊された次の日だったっけ)

あの時はびっくりした。
何時もは年末にしか来ないひいおじいちゃんが突然大荷物を抱えてきたかと思えば、『しばらくここに住まわして貰いたいのだが、良いか?』と言い放ったのだから。
父さんと母さんでしばらく何かを話したのちに、ひいおじいちゃんは山本家で過ごすことになった。
そして半年が過ぎていた。

(そう言えばひいおじいちゃんの名前ってなんだっけ?)

名前を教えて貰ったのは俺が小学校に入ったばかりなため、忘れてしまった。
父さんと母さんはおじいさんと呼んでいるし。

「嫌だわ、近頃は物騒で」

そんな俺の考えを遮ったのは、母さんのぼやきだった。

「そうだな、真人も気を付けるんだぞ」
「はーい、父さん」

俺はそう答えたものの俺にとっては無関係だった。










「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「気を付けるんだぞ」

そしていつも通りに学校へと向かうのだった。
――そういつも通りに。










「お、真人おはよう」
「おはよう」

クラスの友人が教室に入った俺を見つけて声をかけてくる。
それに対して俺はいつも通りに答える。

「なあなあ、やっぱり今年のミス聖翔は高町さんで決まりだよな」
「おいおい何を言ってんだよ祐介、それならバニングスさんだよ」
「いやいや月村さんという線も」

三人はそのまま討論を始めてしまった。
俺はその三人から離れることにする。
周りを見れば案の定三人を冷たい目で見る女子たちの姿があった。

「あ、おはよう真人君」
「おはよう、なのは」

挨拶をしてきた女子に俺も挨拶を返す。
彼女の名前は高町 なのは。
別に俺となのはは知り合いだとかそういうのではない。
家が隣だからとか近所だからとかはない。

(そもそも学校からバスに2,3分くらい乗って5分程度歩けば家だし)

なのになぜかこういう風に自然に話せるぐらいの中なのだ。
ちなみに呼び方は、彼女自身が指定してきた。
思い当たるとすればたまたま席が隣で元気がない時に、俺が元気づけてあげたりしただけだ。
いや、元気づけるも何も、声を掛けたら放っておいてと言われたので一言言うに留めただけだが。
まさかそれだけで仲良くなれるのであれば、今も俺にひしひしと感じる男からの殺気はないはずだし。

「そう言えばなのははどう思う?」
「え?何が?」

俺はとりあえず気になったことを聞いてみることにした。

「ほら、4月にあった市街地の壁が突然壊れた事件」
「さ、さあ?」

俺の言葉になぜかなのはは慌てていた。
なぜ?

「おいてめぇ! モブの分際で俺のなのはを困らせてんじゃねえよ!」

とそんな時、殺気を放っていた男子の一人が、怒鳴り込んできた。
その男子の容姿ははっきり言って異常だった。
銀色の髪にオッドアイの目なのだから。

「えっと、阿久津君」
「おっと、俺のことは正でいいって。すぐにお前を助けるからな」

明らかに困惑するなのはに男子はそう言い切るとふっと笑みを浮かべた。
だが、その笑みはとてつもなく嫌悪感を抱かせる。
目の前にいる男子の名前は阿久津あくつ ただし
よくよく自分の事を”おりぬし”という人物だ。
基本的に男子にはつらく当たり、女子にだけは優しい。
特にアリサやすずかに対してはそれが顕著だ。

「は~い、皆さん席についてくださいね」
「っち!」

先生が来たため阿久津は舌打ちをして俺を睨みつけると、自分の席へと戻って行った。
結局市街地破壊事件に関することは、聞くことはできなかった。
ちなみに昼休みだが………

「アリサ、すずか、なのは。俺と一緒に昼飯食おうぜ!」
「お断りよ!」
「あ、待ってよアリサちゃん」

阿久津の誘いに大声で叫んで逃げるアリサ、それを追うすずかとなのは。

「照れるなって。まったく」

そしてやれやれと言わんばかりの様子で追いかける阿久津。
四人が教室を後にすると、教室のどこからかため息が漏れる。

(何処をどう見ても嫌がっているようにしか見えない俺は、おかしいのか?)

そんな疑問を抱きながらも、昼食を取るのであった。










「ふぅ……」

夜、俺はいつものように自分の部屋で本を読む。
読んでいるのは、ごく普通の少年が魔法使いの学校に行くという内容の本だ。

「いいなぁ、魔法って」

一通り読んだ俺はそう呟いた。
やっぱり俺でも魔法というものにあこがれる物さ。

「もし魔法が使えたら好きなお菓子を、いっぱい食べたいな」

俺はそんな現実味のないことを口にする。
でもそれは所詮、作り物。
この世に魔法なんてものは存在しないのだから。

「……寝ようっと」

そう思いながら、俺は眠りにつくのだった。

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