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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第14話 狩り人

ロストロギアの反応を察知した俺達機動六課メンバーはその対処に向かったのだが

【真人、転生者の反応ありだ】

執行人からの通達に、俺はこっそりと現場を離れた。
全ては毒を排除するために。


★ ★ ★ ★ ★ ★


やあ! 愚民ども!!
俺様の名前は阿久津(あくつ) 正(ただし)様だ!!
俺様はくそが身に間違えて殺されて、そのお詫びをかねて転生されたんだ。
まあ当然だな、この俺様を殺すだけでも罪深いのだ。
それはそうとリリカルなのはだぜ!!
いやっほぅ!!
ハーレムを築いてモテモテ背簡素ライフの始まりだ!!
ッと、俺様のかっこいい容姿を説明してやろう。
女顔で、赤い長めの髪に赤い眼SA!
貴様ら愚民には到底たどり着けないよな。
ん? なんだ? 愚民と言うな?
本当のことを言って何が悪いのさ!
俺は今この世界最強だ。
確かStrikersの世界だったな。
男は全員消してハーレムを築くか!!
そう言えば、転生者を狩る不届きな野郎がいるって言ってたな。
ま、この俺様に掛かれば火を見るより明らかだがな
ふははははは!!
そんな時だ。

「そこで、気味の悪い妄想に浸っている変態」
「ん?」

畏れ多くも俺様を変態と言ってきた野郎は黒一色のマントに白い仮面をかぶっている野郎だった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


俺は今、転生者の姿を確認した。

(うわぁ~)

【これはまた強烈だな】

しかし、感じたのは嫌悪感だけだった。
外見ではなく、中身からにじり出てくる穢れが俺の気分を悪くして吐き気を催させる。

(とっとと終わらせよう!)

そう言って俺は前に踏み出た。

「そこで、気味の悪い妄想に浸っている変態」
「ん?」

俺の声に反応した男がこっちを見た。

「無礼者!! この誇り高き俺様に変態とは、死刑物だ!!」
「………それは失礼。では、一つお尋ねしましょうか?」

俺ははらわたが煮えくり返りながらそう言った。

「まあ、愚民どもの問いかけに答えてやろう。何たって、俺様は世界最強なのだからな! ふははははは!!!」
「お前は転生者か?」

気持ち悪い妄想ごとを言いながら笑う男に、俺は疑問をぶつけた。

「ああそうさ! 俺様はなくそ神に殺されて、ここに転生された、阿久津正様だ」

(いっそそのまま地獄にでも送ればいいものを)

俺は内心でため息をつく。
だが、気を取り直して、右手に剣状のクリエイトを具現化する。

「では、阿久津正、貴殿をこの世界の害と認定し排除する」
「はははは!! そうか、お前が転生者を狩る不届きな野郎か。最強の俺様に勝てるとでも思ってるのか?」

男が大きな声で笑う。
俺の事を知っているあたり、良いのか悪いのかは複雑だ。

「では、俺様の力、見せてやるぜ!!」

男はグローブのような物を手に付けながら、大きな声で叫んだ。
あれはいったい何なのだろうか?

「行くぜ! ゴールデンゴッドハンドぉ!!!」

そう叫びながら、俺に殴りかかってくる阿久津。
だが、その勢いは完全に遅い。
それ故俺の場所まで届かない。
なので、俺はそれを横に移動することで交わした。

「俺様のパンチを防ぐとはなかなかだ。だが、これで終わりだ!!」
『Full Drive!!』

阿久津が宣言した瞬間、阿久津の体を覇気のようなものが覆い尽くす。
何が起こるのかと警戒を強める。
すると、突然男の手に一本の剣のようなものが現れた。

「行くぜ! 俺様の必殺技! ゴッドブレイド!!!」

大層病気的な技名をつける物だと思いながら、俺は剣を見つめる。
大振りで狙いがつけられていない。
しかも剣の握り方から避けられたら隙が出ることは間違いない。
俺の取った行動は……

「なッ!?」

あえて突進して、阿久津が作り出してしまった開き空間に入り込みクリエイトを振りかぶる。

「一刀両断!」
「ガフ!?」

その一撃によって、阿久津の変身は解け、後方に大きく吹っ飛ばされた。

「な、なぜだ!! なぜこの最強の俺様の攻撃が!!」
「確かに、お前の持つ”力”は最強だ。だが、所詮そこまでだ。当然だよね、何もしていない素人が、最強になれるわけがないのだから。それなのに最強だとか言えるお前の馬鹿さ加減に笑えてくる」

俺の言葉に、阿久津が睨みつけてくる。

(まだそんな余裕があるんだ? まあ、その方が俺もやりがいがある)

「黙れ!! なのはやフェイトは俺様のものだ!!!」
「貴様こそ黙れ。あいつらはお前だけの物ではない」
「勝った気になるな!! 俺様はまだ負けて――――」

俺は立ち上がろうとする阿久津の両腕を切り落とした。

「がああああああああ!! 腕が! 腕がああああ!!?」
「そうだ、叫べのた打ち回れ」

俺は阿久津の悲鳴に酔いしれていた。

「貴様……何者……だ!」
「お前らの様なウイルスを排除する存在さ。お前が強ければ強いだけ、俺の能力も高くなる。まあ、お前と違うのは10年もの間戦闘経験を積んだぐらいだが」

俺は見下すように答えた。
戦ったこともない素人に、俺が負けるなどそれこそありえないのだ。

「いい機会だから教える。戦いでは能力もそうだが、経験値や知能も非常に左右する。今までロクに戦ったことのないやつが、能力だけで最強の座に君臨できると思い込んでいる屑が、お前たち転生者さ」
「く……そ」

俺の蔑む言葉に、阿久津が毒を吐く。

「こんなことやっていいって言うのか!! お前のやってることは殺人だ!!」
「殺人? 違うね、貴様のような転生者に人権はない。よって俺は人殺しではない」

未だにそんな事を言える阿久津に呆れながら、俺はクリエイトを構える。

「さて、それでは消えてくれ」

俺はそう告げると、クリエイトに魔力を流し込む。

「輪廻転生が普通の人の100倍長くなっちゃうけど、まあ天罰だと思っておきな」
「や、やめろ。なんでもする、お前の奴隷になる。だから――――」

俺は阿久津の命乞いの言葉を無視する。

「それじゃ、死んで」
「やめ―――」

俺はためらいなく阿久津に向けて剣を振り下ろす。
斬れるような音がするとともに、阿久津の姿はどこにもない。

「転生者反応消去。任務完了だ。お疲れ様」
「サンキュ」

俺は労いの言葉をかける執行人にそう言いながら、仮面とマントをしまう。
これで100人目だ。
転生者がここにやってくるのはきりがない。
その主な理由がハーレムを作ろうというものだ。
能力の高さもさることながら、理由や動機性格が世界に対して害にもなる。
俺が始末した100人の転生者だが、その99%は自分の能力に飲み込まれたり、扱えなかったりと言うのがほとんどだ。
まあ、中には戦争体験者がいたりして色々と苦労したこともあったが。

(転生者は、全員消してやる)

俺はロストロギアの封印との通達を聞きながら、再び決心するのであった。

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