ガジェットたちを破壊しつくした俺達は、六課へと戻った。
ヘリポートにはシャーリーが立っていた。
「ええ!?」
「ご、ごめんなさい!」
なのはは呆れたような声をあげた。
そんななのはに、シャーリーは両の手の平を合わせ、謝る。
なんでこんなことになっているのかと言うと……
「ダメだよ、シャーリー。人の過去勝手にバラしちゃ」
そう、なんとシャーリーは僕となのはの過去を勝手に話したのだ。
僕といても、8年前のは特に厳重に消し去っておいてほしい物なのだが。
………本当に
「ダメだぜ、口の軽い女はよ」
なのはに続いてヴァイスも窘める。
「その……なんかこう……見てられなくって」
「ま、どうせばれることだしな」
「………そうだね」
腕を組みながら発したヴィータの言葉に、俺は頷いた。
「シャーリー、ティアナ今どこにいるかな?」
なのはは心配そうな表情で、シャーリーに尋ねた。
「えっと、たぶん……海岸の方だと」
「なのは、しっかりと話し合い、して来いよ」
俺に出来たのは、そう言うだけだった。
こんな時、非常に俺は弱いのだと感じる。
「……うん」
俺の言葉に頷いたなのはは、そのまま歩き出す。
それを見送って、俺も自分の部屋へと戻った。
部屋にいると、突然ドアをノックする音がした。
「誰?」
「ティアナ・ランスターです」
その声に少しばかり固まってしまった。
だが、すぐに気を取り直すと、入るように告げた。
「失礼します」
そう言って中に入るティアナ。
目が赤いことから泣いたことは分かった。
「……なのはとは話し合った?」
「はい。……その、真人さん」
「ん? 何かな?」
俺は、ティアナに用件を聞く。
「えっと、前にひどいことを言ってすみませんでした。私、まさか真人さんがあんな体験をしてるだなんて――――」
俺は頭を下げながら必死に謝罪するティアナの頭に手をのせて、止めさせた。
「気にしなくていいよ。逆にこっちが謝る方だ、俺も色々と酷いことを言ったんだから」
「い、いえ! 私が悪いです」
「いや、こっちが悪いんだよ!」
俺の言葉に、反論するティアナと、それを否定する俺と言うある意味すごいループが出来てしまった。
「「………ぷ! あははは!!」」
そして、何時しかそんな事がおかしくなって吹き出してしまった。
「ティアナ、これはまじめな話だけど、自主練するなとは言わない。でも、するにしても程々にすること。あとは人に頼ること。ティアナの周りには心強い仲間がいるんだから」
「……はい!」
俺の言葉に、ティアナははっきりと返事をする。
その時の顔色は、今までよりも輝いていた。
「さ、もう遅いし部屋に戻って休みな」
「はい。………その、ありがとうございます」
ティアナは最後にそう言い残して、部屋を後にした。
「………」
再び部屋が静寂で包まれた。
「………ありがとう……か」
俺はティアナに言われた言葉を復唱した。
俺はこの時、ある決心をしていたのだ。
「………寝よう」
その決心を忘れないようにしながら、眠りにつくのであった。
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