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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第40話 衝撃の事実/語らい

シンクとの勝負を終えた俺達は、シンクと共にユキカゼ達がいるお屋敷に来ていた。

「こんにちはー」
「いらっしゃーい!」

シンクの声に気付いたユキカゼが片手を振る。
俺はその後ろにいた。

「お邪魔しまーす! 子狐、元気になりました?」
「ああ、もうだいぶな」

シンクはダルキアン卿の元に駆けよると、今はぐっすりと眠っている子狐を覗き込む。
俺も、シンクにつられるようにして、子狐を見た。

「同じ土地神の同胞として、この子は拙者がちゃんと躾けるでござるよ」
「そっかぁ」

縁側に座っていたユキカゼが俺達の横に移動しながらそう言った。

「って、えぇ!? 土地神?
「ん!?」」

少しだけ遅れて、俺達はユキカゼの口にした事実に、驚いた。

「あれ? 言ってなかったでござるか? 拙者土地神の子でござるよ」
「ユッキー、神様?」
「うむ。尊敬して良いでござるよ」

そう言ってユキカゼは胸を張った。
それを見ていたダルキアン卿は静かに笑っていた。
その後、ユキカゼは静かに語り出した。
昔、魔物によって村を荒らされ母親を失くしてしまった時に、ダルキアン卿に拾われたらしい。

「フロニャルドでも、国が亡びる事ってあるんですね」
「まあ、かれこれ150年以上も前の事故な」
「ひ、百!?」

ダルキアン卿の言葉に、驚きを隠せないシンクをよそに、二人は話を進めていく。

「ここ百年あまりは魔物も現れず、危険な争いもなく、太平の世でござるよ」
「拙者とユキカゼは魔物封じの技を持つゆえ、ここ数十年はビスコッティを拠点に、時より諸国を旅し、魔物を封じて回っているのでござるよ」
「もしかしてダルキアン卿も?」
「いや、拙者は人でごある。ちょっと訳があってな」

シンクの問いかけの意図が分かったのか、ダルキアン卿は答えた。
その訳がどういうものなのかは分からないが、本人としても言いたくはないことだと思った俺は、考えないようにした。










その後、シンクはダルキアン卿と共に、彼女以外には扱えない”神狼滅牙”と言う剣術を教わっていた。

「それにしても、ユキカゼが土地神か………まんまと騙されたものだ」
「あはは……申し訳ないでござるよ」

俺の嫌味に、ユキカゼは苦笑い交じりに答えた。

「確かにな、言ったらいったで崇められるか実験動物にされるか迫害を受けるかのどちらかだろうしな」

ちなみに、俺は全部が嫌だ。
崇められるような存在でもないし。

「拙者もでござるよ。まさか渉殿が私よりも位の高い神だとは、思ってもいなかったでござるよ」
「お互い様だな」

俺はそう答えると、稽古をしている二人の方を見た。

「ユキカゼ、お前は今まで人助けとかを”数字的”に考えたことはないか?」
「ないでござるよ」
「そうか………」

俺は、ユキカゼの答えを聞いてほっと胸を撫で下ろした。
もしユキカゼが、俺と同じ過ちを犯そうとしているのであれば、それは止めなければいけない。
それが俺の使命だからだ。

「一応忠告。もし数字的に考えたら、足元をすくわれるから気を付けろよ」
「……心得たでござる」

俺の突拍子もない話に、ユキカゼは何かを思ったのか、真剣な声で返事をした。










それから色々と話し、シンクの稽古が終わったのを見計らってお屋敷を後にするのであった。

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