健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第41話 真剣勝負と二度目の正直?

夕方、風月庵を後にした俺達だったが……

「あ痛たた……さすがに一日でできるようにってのは、無理があった」
「当たり前だろ。一日でできたら、その方が驚きだ」

俺は左腕を回しながら呟くシンクに、そうツッコんだ。
俺の場合は………いつか機会があったらやってみよう。

「おー、シンク! 渉!」
「あ、ガウル!」
「ジェノワーズも」

俺達に声をかけてきたのは、シンクと同じようにセルクルに乗っている、ガウルとジェノワーズの四人だった。

「何だ? どっか出掛けてたのか?」
「ちょっと風月庵に」

ガウルはシンクのそばまで移動しながら問いかけ、シンクはそれに答えた。

「あ、シンクに渉、お土産持ってきたよ」
「ホント!?」

クラフティの言葉に、シンクは嬉しそうに聞き返した。
そして差し出されたのは青色で所々に赤い線が入っている、風呂敷のようなものだった

「ガレッド名産詰め合わせ」
「里帰りに持って行ってください」

ヴィノカカオと、ファーブルトンの二人が続けてシンクに声をかけた。

「ありがと……いいの?」
「姉上が持って行けってさ」
「そっか」

ガウルの言葉に、シンクは嬉しそうに受け取っていた。

「にしても、渉はどうしてセルクルに乗らないんだ?」
「俺としては、セルクルに乗る事に意味があるのかが甚だ疑問なのだが」

俺はいまさら疑問を投げかけてきたガウルに、そう聞き返した。

「大体、昔の人間はな、こうやって徒歩で戦に出かけた物さ。それを思えばこれも日々の訓練のようなものさ」
「そう言うものなのか?」

俺の答えに、シンク達は首を傾げていた。
………何だろう、この俺だけがおかしなことを言っている感は。

「それにセルクルに乗ると、色々な事で不便………がぁあああ!!!?」
「あははは! 渉がセルクルに噛みつかれてる」

俺の言葉を遮るように、頭を加えられる俺を見て、クラフティが笑う。

「悪口を言うから怒ったんだな、きっと」
「おいこら! 何とかしてくれ!! って、俺を浮かび上がらせてどうする気……まさか、このまま運送は勘弁してくれよ!!!?」

結局、俺はそのままお城まで咥えられたまま、運ばれることになった。
このことで、セルクルに乗る気がさらに無くなったと言うのは、関係ない話だ。










どうして、シンクの所にガウル達が来たのか、彼曰く『まだ決着がついていない』とのことだ。
そして、その決着をつけるべく、今目の前で繰り広げられているのは、決闘だ。
そう、それはいいのだ。
それは。

「ぐぬぬぬぬ!!!」
「ううううう!!!」
「お、ガウ様強い、ガウ様強い! でも、シンクも負けてなぁい!」

決闘の実況をするクラフティ。
何故かガウルの実況が多いような気もするが、それもまあいいだろう。
問題は………。

「なぜに決闘が腕相撲なんだよ!?」

決闘の種目だった。
と言うより、もう腕力の勝負になってるし!
いや、そもそもこれで決着がつくのか?

「お待たせ~、飲み物もらってきましたよぉ」
「ごめんベール………さんを働かせてぇ!!」

飲み物を取りに行っていたファーブルトンが、トレイに飲み物を乗せて戻ってきた。

「いえ~、あッ!?」

なに、その”あっ!?”って
答えはすぐに出た。

「ヘブ!?」

聞こえたのはコップの割れる音、そして

「うわぁ!? この馬鹿!! またか? またやったのかぁ!?」
「うわぁ!! ごめんなさい、ごめんなさい、いやぁ!!」

ガウルの怒鳴り声とファーブルトンの悲痛な声だった。
感じるのは、俺の頭の上にある”何か”と頭から垂れる液体のようなもの。
それはとても甘かった。










「いやはや悪かった」
「シンクと渉も、これからはベールが背後に立った時は気を付けてな」
「あ、うん。よく分かった」

あの後、顔を吹きながらガウルとクラフティの注意を聞いていた。
俺は顔をタオルで拭き、さらに頭に乗っているガラス片を取り除く作業も残っているが。

(何で俺だけコップごと来るのかねぇ?)

俺は、心の中でぼやいた。
その後、ガウルに言われて、お風呂に入ることとなった俺達、だが蘇るはここに来た当初の”あれ”。

「シンク、忘れ物をしてしまった。先に行っててくれ」
「あ、うん。分かった」

俺はシンクに嘘の理由を告げて、その場に残った。
地味にシンクと一緒にいた時の、俺の不幸遭遇率が高いのだ。
そして、時間を見計らってお風呂場へと向かう。

「あのぉ~、実は先ほど、掛け布を掛け間違えちゃって、こちらに入ってるの女性だけで間違いないですよね?」

そして、脱衣所にたどり着いた時、メイドさんの声が聞こえた。
どうやら、いやな予感は的中だったようだ。

「だ、大丈夫です! 女子が一人だけでーす!」

(あーあ)

俺は、遠くから聞こえてきた姫君の”ウソ”にため息をこぼす。

「ありがとうございます~! ちゃんと直しておきましたから~」

(直っていることは非常にありがたい)

しかし、女子が一人なわけがない。
いくら馬鹿とは言え、あれだけここの文字を勉強したのだ。
間違えるとは思えない。
だとすれば、シンクは自ら女湯に飛び込んで行ったことになる。
シンクがそういう事をする奴ではないことは確かだ。
つまりは、掛け布が間違っていた状態の時、男湯となっている女湯に入って行ったと言うことだ。

「………ま、いっか」

考えるだけで頭が痛くなりそうなので、俺はそこで一旦区切ると、服を脱いで男湯の方へと向かった。










男湯の入った俺は、体を(特に頭の方を徹底的に)洗い、湯船に入ると一息つく。

「一人でこのスペースを独占すると言うのも何だかあれだが、まあいいか」

ただ、一つだけ問題なのは

「――――私の名前、憶えてくれてます?」
「えっとそれはもちろん」

女湯から聞こえる、シンクと姫君の話し声だ。
聴きたくないのに聞こえてくる、この何とも言えない気持ちは何だろう。

「ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティ。ミルヒです」
「えっと……ミルヒ」
「はい、シンク」
「………」

まるでカップルのやり取りを聞いているような、そんな感じがするのは、俺の心が荒んでいるからなのだろうか?

「「あははは!!」」
「盛り上がっている所悪いんだが!」

俺は耐えられず、女湯にいる二人に声をかけることにした。

「姫君を呼び捨てにしたら、”姫様を呼び捨てとは何事だ!!”みたいなことを言って緑色の髪の人が怒ると思うんだが」
「はッ!? そうだった! この呼び方は人前ではできない。間違いなく怒られる!」

率直に言おう。
今、俺の頭の中には般若のように恐ろしい表情で怒っている、某親衛隊長とメイド長の姿が浮かびあがった。
それから後も、二人の会話は続いた。

「うーん。でも僕は”姫様”の方が呼びやすいんだよね。例えば……」

そこで、シンクは一旦区切った。

「姫様、お手!」
「はい!」
「姫様、おかわり!」
「はい!」
「よぉし、よしよし、姫様偉い、姫様可愛い」
「何ででしょう、こんな単純な事なのに、何だかとても楽しいんだわ~」

女湯から聞こえてくる、和やかな声。
それは、もしそばに誰かがいたら、即シンクは地獄を見るような物の数々だった。
だが、一つだけ言わせてほしい

(あいつ、今完全に姫君を”犬”扱いしなかったか?)

俺は、その考えを、忘れることにした。
と言うより、俺の方もかなり失礼だな。
俺は、心の中で苦笑いを浮かべながら、湯船から上がるのであった。

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