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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第37話 男同士の語らい

エクレに告白をした後、エクレは部屋を後にし、俺も少し横になってから部屋を後にした。
外はすっかり真っ暗だった。

「おや、渉殿ではないか」
「む、ロランか」

俺の返事に、ロランは苦笑いを浮かげる。
どんな人にでも呼び捨てにするのは、俺の専売特許だ。
そう思いたい。

「ちょっと、話があるんだ。付いて来てくれるか?」
「……はい」

俺はロランに言われるがまま、後をついて行った。










「ここならいいだろう」
「それで、話とは何ですか?」

人気のない場所まで連れてこられた俺は、間髪入れずに本題を切り出した。

「そうだな……エクレールと恋人になったらしいね」
「なッ!? どうしてそれを!」

ロランの切り出した言葉に、俺は驚きを隠せなかった。

「妹の様子を見ていれば嫌でもわかるさ」
「そうですか」

ロランの答えに、俺は納得した。
家族のほんのちょっとした変化に気付く可能性もある。
俺にはその経験がないから何とも言えないが、おそらく家族とはそう言うものなのだろう。

「エクレールは少々じゃじゃ馬だけど、よろしく頼むよ」
「………反対しないんですか?」
「反対………ね。そう言う気持ちはなかったかな」

俺の問いかけに、ロランは少しばかり困ったような表情を浮かべると、そう答えた。

「でも、俺は彼女を怪我をさせてしまいました」
「いや、あれも騎士だ。むしろ名誉の負傷と言う奴さ」

ロランは優しく言うと、俺の肩に手を置いた。

「でも、エクレールを幸せにすること。それだけは約束してほしい」
「分かりました。小野渉、この命に代えてでも幸せにして見せます」

ロランの言葉に、俺は背筋を正して答えた。
言われなくても当然の事だが、それでも改めて再認識することが出来た。

「そうか。では、また後でな渉殿」
「あ、すみません。エクレはどこに行きましたか?」
「エクレールなら、露店の方に行ったと聞いている」

俺の問いかけに答えると、ロランは今度こそと言わんばかりに、俺の前から去って行った。

「露店の方に行きますか」

俺も露店の方へと向かうのであった。











「ここどこ?」

今俺は森のような場所を歩いていた。
ぶっちゃけ迷子だ。
前方には明るい場所があることから、おそらくまっすぐ行けば露店がある所に出られるのは確かだ。

「おや、渉さん」
「ん?」

誰かに呼ばれて振り返ると、そこにはヴィノカカオ、ファーブルタン、グラフティの三人が立っていた。

「何だ、三馬鹿か」
「誰が馬鹿ですか!」

俺の三馬鹿と言う言葉に反論する三人。

「それはともかく、こんなところで何をしてるんだ?」

それを無視して俺は問いかけた。

「ガウル様を探してる。きっと迷子」
「きっと露店の所にでもいるんじゃないか?」

話を聞くところ、露店に向かっている最中ガウルとはぐれてしまったらしい。
目的地は一緒なので、露店の方に行こうと言うことになったのだとか。
まあ、見方を変えると、この三人が迷子になっているとも思えなくもないが。

「あれは、リコッタさんにユキカゼさん?」
「ん? あ、ほんとだ」

露店まであと少しと言うところで、露店の陰に隠れるように座っている、リコッタとユキカゼの姿があった。

「よぉし、そこでござる。もっと、ぐぐっとぉ」
「ぐ~ッとぉ」

二人の背後に近づいた俺は、二人の肩を叩く。

「ん?」
「お?」

叩かれたことに気付いた二人は、こっちに振り返る。

「はぁい!」
「お二人揃って何されてるんですか?」

クラフティとファーブルタンが二人に声をかけた。
そんな時、ガウルの声がする。

「よぅ! シンク、たれ耳!」
「………む」

声のした方向には、ガウルがエクレとシンクが座っている場所に向かって行く姿が見えた。
その後、合流した俺達は、色々な食べ物を用意して少し離れた場所にシートを引くと、そこで食事をとることとなった。

「しっかしおめえら、二人して大した活躍をしやがったな」
「いえ」
「まあ、色々ありました」

骨付き肉を豪快に頬張るガウルの言葉に、エクレとシンクが答えた。

「それに魔物騒動と会見の後、うちの姉上、つきものが落ちたみたいにさっぱりしてしまってな。詳しい事情は聞いてねえけど、後で俺にも教えてくれるってさ」
「そうなんだ」

ガウルの声に、シンクが相槌を返す。

「後、バーナードに聞いたんだけど、戦興業も元のペースに戻すらしいぜ」
「それは何より」

ガウルの知らせに、エクレが喜びながら答えた。

「戦も終わってごたごたも片付いて」
「魔物も退治されて」
「ビスコッティとガレット領国に再び平和がってことで」

クラフティとヴィノカカオ、ファーブルタンの順にまとめて行った。
………料理を頬張りながらだが。

「そうなれば何よりでござるな」
「ホントであります」

そしてユキカゼとリコッタもそれに続いた。

「戦は中途半端に終わっちまったが、結果よければすべてよしだ」
「だね、ほんとによかった」

そして、俺達は笑いあった。

(ホントに良かった。ホントに)

その光景を見ているだけで、そう思えてしまう。
失ったものもあるが、それ以上に今この光景は価値のあるものだった。

「あ、そうだ渉。ココナプッカ食べる?」
「は?」

何かの料理の名前だろうが、少しばかり意味が分からなかった。
そんな時、リコッタが不意に立ち上がった。

「リコ、どうかしたか?」
「ああ、学院のみんなが緊急で連絡が欲しいとのことで」

エクレの問いかけに、エクレはどこか影を落としたような表情で答えた。

「あら」
「勇者さま、ガウル殿下。自分はちょっと野暮用で出るであります」
「はーい」
「おぉ、行って来い!」

リコッタの言葉に、シンクとガウルは快く送り出す。

「………」

だが、俺にはそれが嘘であると言う事が分かった。
どことなく表情が曇っていた。
おそらくは手にしている巻物が原因だろう。
その後、俺達は姫君の臨時ライブを見るのであった。

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