俺の意識が再び戻る。
そこはフロニャルドの空だった。
下には真っ逆さまに落ちていく緑色の髪をした少女。
(って、落ちているのってエクレ!?)
俺は急いで急降下する。
そして、彼女を受け止めた。
「ありがとう、そしてお疲れ様。エクレ」
ゆっくりと目を開く彼女に、俺は優しく微笑みお礼と労いの言葉をかけた。
「渉!」
驚いた様子で俺を見ながら名前を呼ぶエクレ。
「お前、本当に渉なのか?」
「俺は正真正銘の、小野 渉だよ」
用心深い彼女の様子に苦笑いを浮かべながら、答えた。
と、そこで彼女は今自分の置かれている立場が分かったのだろうか、顔を赤くした。
俺はエクレをお姫様抱っことやらをして抱えていたのだ。
「お、降ろせ! 手を離せ」
「降ろせって、今ここで手を離したら真っ逆さまだぞ!?」
エクレが暴れて抵抗するので、俺は急いで地面に降り立った。
「はい、到ちゃ……ぐは!?」
エクレに思いっきり殴られた俺は、二,三歩よろけた。
「き、ききき貴様! よりにもよって私にあのような!!」
怒るのかてれるのか、どちらかにしてほしい。
「はいはい、それはまた後で。まだ終わってはいないぞ」
「それは、どういう意味で――――っ!?」
俺が上空を見るのにつられるようにそこにいた人たちも空を見上げる。
空には無数の流れ星と、未だ物々しい雰囲気を纏って浮かび上がる魔物の姿があった。
「そんな!? 渉はもとに戻ったはずだ!」
「あくまで俺はあいつの中にあった光の部分です。彼女がやったのは、俺とあいつを分離することですから」
そう、あの剣には分離の作用もあるのだ。
そのおかげで、俺はこうして外に出ることが出来るようになったのだ。
「と言う事はよ、つまり」
「ああ、あいつを倒せば世界は守られる」
ガウルの言葉に俺は頷くと、全員の表情が明るくなった。
それは、希望に包まれたものだった。
「だが、あいつは上空に浮かんでいる。どうやって戦う」
「そんなの簡単さ。地面に落とせばいい」
俺はそう答えると、エクレから神殺しの剣を受け取り、そのまま魔物の方へと肉厚する。
「その翼、折らせてもらうよ。閃!」
閃光のような剣筋で、俺は魔物の翼を切り落とした。
「■■■■■■!!!?」
けたたましい叫び声を上げながら、魔物は地面に落ちて行った。
「どうだ?」
「な、何と規格外な攻撃をするのじゃ、お主は」
俺を待っていたのは、呆れたような視線だった。
「さて、これから最終決戦だ。ファーブルタンさんとエクレ、レオ閣下意外はシンク達とユキカゼの護衛を」
俺はその場にいる全員に指示を出していく。
「ユキカゼはまだふらついている。だから一時休み。それ以外の名前の出てない人は三人に攻撃が届かないように守って。俺はそこまで手はまわせないから」
「分かった」
「心得た」
「了解やで~」
俺の説明に、それぞれが頷く。
「さて、と」
俺は巾着袋から最後の霊石を取り出す。
そして俺はそれを飲み込んだ。
その次の瞬間、体中に力が巡ってくる。
「リミットブレイク・真名解放!!」
そして俺は最後の封印を解いた。
それは世界の意志としての本当の能力であり、真の姿でもある。
俺の手には神殺しの剣。
味方陣も限界に近い。
だが、勝機はある。
「よし、行くぞ!!」
そして、俺達の最終決戦は幕を開けたのであった。
[0回]
PR