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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第33話 かすかに見えた希望の光

「勇者! ミルヒ!!」

レオ閣下は二人の姿を見つけると、慌てた様子で駆け寄る。
そしてすぐに息があるかを確かめた。
やがて、かすかに息があるのが分かったレオ閣下はほっと胸を撫で下ろした。

「一体、どうなってるんだ? 空には流れ星が流れてるし二人は怪我してるし」
「私にもわかりません。ただ……」

ガウルの問いかけに、エクレールは首を振ってこたえると、魔物のいた方向に顔を向ける。
それに合わせてその場にいた者が、魔物に視線を向けた。

「■■■■■■■■■!!!!!」
「きゃあ!?」
「っく!?」
「うおわぁ!?」

世界をも揺らす勢いの雄叫びに、その場にいた全員がよろけた。

「こ、こりゃあ、とんでもない奴だ

ゴドウィンが冷や汗を流しながら呟く。
それだけでも、その雄叫びの凄まじさが伝わるだろう。
すると、魔物はゆっくりと上空へと飛んでいく。

「こりゃ、まずいな……」
「ええ、あの高さでは私達には手も足も出ません」

ガウルの呟きに、エクレールが答える。
二人が空中でも戦えるのはせいぜい地上から約10mが限界だ。
それ以上の高さにいる魔物とは、まともにやり合うのは難しい。

「でしたら、こうすればいいんです、よ!!」

ベールはそう言いながら上空……魔物が浮かんでいる方向に弓を構えると、矢を射た。
その矢は、緑色の軌跡を描きながら魔物へと向かう。
そして、その場にいる全員が当たったと思った瞬間だった。

「■■■■■■!!」
「えっ!?」

ベールは突然の事に反応が出来なかった。

「きゃああ!?」

その結果、自分の放った矢が自分に直撃し、ベールは後方に吹き飛ばされた。

「攻撃が、跳ね返された?」

状況を冷静に見ていたノワールが静かに呟く。
彼女もまた、魔物の持つ反射の餌食となったのだ。

「■■■■■■!!」

魔物が声を発するとともに、黒い円陣が魔物の前に展開される
そして、それは一気に放たれた。

「ッく!! 裂空、十文字!!」
「魔神閃光波!!」

エクレールは十字型のエネルギー刃を、レオ閣下は矢を射ることで相殺しようとする。
だが、二人の攻撃は一瞬にして闇に飲み込まれた。

「なッ!? 全く通用しない!!」

二人は驚きつつもその場から離れる。
次の瞬間、二人の立っていた場所に黒い傍流は着弾した。

「一体、あれは何なんだ」
「あれは………」

ガウルの疑問に、レオ閣下は静かに答える。

「あれは、渉が魔物化した姿じゃ」
『なッ!?』

再びの驚きだった。

「れ、レオンミシェリ閣下、こんな時にご冗談は」
「冗談ではない! 姿かたち違えど、星詠みで視た通りだ」

ゴドウィンに反論するとレオ閣下は静かに呟く。

「信じたくはねえが、おそらくその通りなんだろうな」

ガウルはレオ閣下の言葉を肯定する。
それは、渉の開戦前の行動と、この場に渉がいない事を考えての事だった。

「そして、奴を倒すカギを握っておるのはたれ耳、お前じゃ」
「わ、私が!?」

レオ閣下の言葉射、エクレールは驚いた様子で答えた。

「渉曰く、たれ耳に切り札を託しているらしい」
「切り札………まさか」

エクレールは今まで背中に背負っていた、銀色のさやに入った剣を手にする。

「それが、渉の言っていた切り札か」
「はい、神殺しの剣と言う名前で、もしものときはそれで自分の体を貫けと言ってました」

ガウルの問いかけに答えるエクレールの手はかすかに震えていた。
今、彼女には運命の選択を迫られていた。
それは、手にある剣を使って魔物を貫くか、もしくはそれをせずに自分たちが犠牲になるか。
まさにやるかやられるかの状態。
そんな選択肢を突き付けられている状態で、震えるなと言う方が無理な話だ。

「して、どうするのじゃたれ耳? 一応渉はたれ耳に頼んでいる様子だからそれを尊重するが、お主がやらぬのであれば、儂がやろう」
「ッ!!」

レオ閣下の言葉に、エクレールは肩を震わせる。
エクレールの頭の中にあるのは、渉との思い出の数々だ。
それが彼女の頭の中で永遠と流れていた。

「………やります」

彼女が言った声は、か細い声だった。
それは、いつもの彼女を知るものであれば予想もできないほど不安と、恐怖に満ちているものだった。
そんな時、彼女の持つ剣に異変が起こる。

「ッ!?」

突然剣が輝き始めたのだ。
そして光は膨れて行き、そのまま彼女たちを包みこむ。
その光は一瞬で消えると、何の変化も内容に見える。
だが、唯一違うのは……

「しかし、どうやってあそこまで行くのじゃ?」
「セルクルに乗ってもあれの餌食になるだけ」

その場にいる者全員に希望と言う名の力が、満ちていたことだ。

「だったら、拙者の出番でござる」
「ユキカゼ!」

突然の声に、全員が声のした方を見ると、そこにはふらつきながらもかろうじて立っているユキカゼの姿があった。

「遅れてごめんでござる。魔物化した渉にやられて気絶していたでござる」
「だ、大丈夫でありますか? ユッキー」
「この通りでござる」

心配そうに問いかけるリコッタに、ユキカゼは大丈夫であることをアピールしながら答えた。
実際問題、なぜ彼女が無事なのか、それは渉が全員に渡した保険の腕輪による。
致命傷を受けた彼女たちは、腕輪が自動的に治癒術式を発動させるように仕掛けていたのだ。
それによって、一命をとい止めたのだ。
これが、渉の考えた”最悪な事態を回避する布石”である。
そして、それは今最終段階になろうとしていた。

「拙者が、背負ってあそこまで行くでござる。そこを」
「私がこれで貫く、と言うわけか」

ミオン砦戦の時に上空に舞ったユキカゼだからこそできる方法だった。

「後は、攻撃をどう防ぐか、か」
「それなら、左手にある腕輪に防御と念じるだけで、3回分攻撃から身を守ってくれるらしい。これも渉の保険だったんだな」

しみじみとつぶやくガウル。
対するエクレールは、その腕輪を何とも言い難い様子で見つめる。

「それでは、エクレ、拙者の背中に」
「わ、分かった」

エクレールはユキカゼにおぶさるように背中にしがみつく。

「それでは、一気に行くでござるよ!!」
「ッ!!」

その声と同時に、エクレールを突風が襲う。
それは、二人が宙を舞ったことを意味する。
二人は一気に魔物の場所まで飛んでいく。

「■■■!!」

それを危険と察知した魔物が声を発するとともに、黒い円陣が魔物の前に展開される。
そして放たれる黒い霧。

(守ってくれ! 渉!!)

彼女がそう念じるとともに、エクレールとユキカゼの前方に透明な膜ができ、それが魔物の攻撃を防ぐ。

「今でござるよ!!」
「はい!!」

エクレールはユキカゼから離れて、その時の勢いのまま魔物へと迫る。
右手には渉が渡した神殺しの剣。

「はぁぁぁああああ!!!」

それが今、魔物の体を貫いた。

「■■■!!!」
「ッぐ………」

エクレールは魔物から発せられる衝撃波に吹き飛ばされる。
そして、そのまま地面に向かって落ちていく。
離れていた場所にいた為、ユキカゼは間に合わないかった。
このまま地面に落ちると覚悟していたエクレールは、不意に落下の感覚がしなくなったことに気付く。
そして、ゆっくりと閉じていた目を開けると、そこにいたのは……

「ありがとう、そしてお疲れ様。エクレ」

優しい笑顔を向けている渉の姿だった。

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