「ドゥームブリンガー」
「っふ!!」
しょっぱなに放たれた魔法弾を、俺は横にずれることで回避する。
「ブレイク・イヤー!」
「甘い!」
回避した際に放った矢を、闇統べる王が回避する。
しかし、それは予想済みだ。
「ライトフレイヤー!」
「だから甘いと――――ッ!?」
俺が放った矢を再び避けるが、今度はそうはいかない。
「追尾型が、姑息な」
闇統べる王は苦虫を潰したような表情をしながら、俺の矢を払っていく。
「ッ!? どこに行きよった!」
全ての矢を払い終えた闇統べる王が、俺を探している。
「喰らえ! 一刀連舞!」
「ッぐ!」
俺が剣を振り下ろすと、それに続いていくつもの剣撃が闇統べる王を襲う。
一回の攻撃で複数回攻撃を加えることが出来る攻撃方法だ。
これも俺と執行人によって生み出した魔法だ。
「調子に乗るな! エルシニアダガ―!」
「うわッ!?」
突然扇形に針のようなものが放たれ、俺は必死に回避する。
「お返しだ」
「ぐぅッ!!」
今度は扇形ではなく、一直線にこっちに集結する。
それを避けきれずに数本刺さってしまった。
「よくも――――」
俺はここから挽回しようと、叫ぼうとしたがそれは目の前の光景でできなかった。
そこにあったのは、ただただ大きい魔力の塊だった。
魔法陣からそれは形成されていて、まともに喰らってはただでは済まないとすぐに分かった。
「絶望に足掻け塵芥」
闇統べる王がそう呟き、手に持っている杖のようなものをこっちに向けてきた。
(間に合うか!?)
俺はそれを見て慌ててシールプロテクションを展開しようとする。
だが、それもむなしく……
「エクスカリバー!!」
闇統べる王の一声で膨大な魔力が牙をむき、俺の方に収束砲として迫ってくる。
そして俺は収束魔法に飲み込まれた。
「はぁ……はぁ」
「む?」
俺は何とかギリギリのところでシールプロテクションを展開し、防ぐことが出来た。
「我が渾身の一撃を耐えただと?!」
闇統べる王は驚いたように叫んでいるが、俺にはそれに答える余裕はなかった。
『融合率40%まで低下。この分だと必殺技一発分になりそうだな』
執行人の言葉が頭に響く。
さっきの攻撃を防いだ際に受けたダメージが、今でも影響を与えているのだ。
「だが、その様子では我に勝てまい………今許しを請うのであれば許してやらんでもないぞ」
「誰が、お前に許しを請うか!! 拘束!」
俺は闇統べる王に言い返しながら、バインドを仕掛けた。
「こんなものッ!!」
「無駄だ。この世に存在せし数多の闇よ、我に集え」
バインドを破壊しようともがく彼女をよそに、俺達は詠唱を続ける。
『その闇はこの世にあるものを破壊せし剣となれ』
「今こそ、解き放たれよ白銀の光」
俺達の詠唱に呼応して白銀の魔法球と、漆黒の魔法球が形成された。
『ダークジャッジメント!』
「ライトジャッジメント!」
それはお互いに対する魔法であった。
それが一気にに闇統べる王に向かって放たれる
そして闇統べる王は二色の混ざり合った収束砲に飲み込まれた。
バインドで拘束されていたため、どうあがいても無傷ではいられないはずだ。
つまりそれは、俺達の勝利と言う結果を示していた。
こうして、俺達の戦いは幕を閉じたのであった。
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