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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第39話 始まりの戦い

俺は闇の書の意志に苦戦していた。

「っく!!」

原因は、放たれる赤い槍のような攻撃……『ブラッディダガー』によるものだ。
これはとにかく早い。
回避するだけでも精一杯だ。
時々同時に5,6個の槍が扇形に放たれたりもするので、かなり苦しい。

「ブラッディダガ―」
「そこだ!」

俺はブラッディダガ―を放った際に出来る一瞬のすきを狙い、一気に闇の書の意志へと迫る。
だが……

「ナイトメア」
「ッ!!」

突如として放たれた漆黒の砲撃に、俺はとっさに体をひねる。
それが幸いしたのか、若干かすった程度でダメージを受けずに済んだ。

「ブラッディダガ―」
「ちぃ!」

再び放たれる赤い槍に、俺は距離を取るしかなかった。

(強い力を持っても、これじゃ全く駄目だ)

俺は現実を思い知った。
だが、それを知ったところで何も変わらない。
なんとしてでも勝たなければいけないのだ。
友人の期待を裏切らないために。
そして自分自身の為に。

(もしかして)

その時、俺は気付いた。
真人(あいつ)にはあって、俺にはない物を。
それは、俺の力に対する覚悟だったんだ。
今までは、ただがむしゃらに力を使っていた。
転生したから、チートな能力を手にしたから。
でも、それだけでは駄目だったんだ。

「これが使えれば……」

俺がポケットから取り出したのは、バンドのようなもの。
ここに来る前に神から「中身を取り戻したら使え」と言われて渡されたものだ。
最初は意味が分からなかったが、もしかしたらこれで行けるはずだ。
しかし、それを使う前にやるべきことがあった。

(あいつの攻撃を受けても大丈夫な風にしないと)

おそらくだが、これを使っている間は無防備になる。
さっきの収束砲を当てられたら後が無くなる。

熾天覆う七つの円環ロー・アイアス!」

よって俺は、前に宝具を展開した。
これで、少しはしのげるはずだ。
そして俺はバンドに手をのせて、動けと念じる。

『汝は、その力に何を求める?』
「俺は友人を、そして自分自身を守ることを求める」

突然発せられた声に、俺はゆっくりと覚悟を口にする。

『汝は、強敵と戦う時逃げぬと誓えるか?』
「この剣にかけて誓う」
『汝が望むことは何だ?』
「俺が望むのは、人に認められること。そしていずれか来る強敵との戦いで共に戦うものの足を、引っ張らないようにすることだ」

俺は自分でも驚いていた。
今までの俺なら絶対に言おうとしない言葉を、俺は口にしていた。
だが、横目で見ると、七枚中三枚が砕かれていた。
まだ平気だが、早いに越したことはない。

『合格だ。我は汝をマスターと認め、汝と共に戦うことを誓おう』

その瞬間、光が走ったかと思うと、そこにあったのは銀色の杖がだった。

『わが名はヴェントス。準備はできている』
「了解。それじゃ行くぞ!!」
『フラインド・レイ』

ヴェントスの自動詠唱によって、俺は一気に飛翔した。

(やっぱり動きが違う)

今までの速度よりも格段に早くなっていた。
若干ではあるが、俺の方が追い付いていない。

「攻撃手段はあるか?」
『これくらいが今のマスターでは最適だ』

そう言って俺の頭の中に情報が流れ込んでくる。
相手を巧みにトレースするシューティング・レイ。
相手へ一直線に砲撃を放つ、ブレイク・レーザー。
この二つのみだった。
おそらく、今の俺のレベルが低いためだろう。

(このデバイスについては後であいつらに聞いてみよう)

俺はそう考え、高速で飛び続ける。

「シューティング・レイ!」

そして俺は三発の誘導弾を放った。
相手は、それをよけようとするが、誘導弾は闇の書の意志を追尾する。

「ナイトメア」

それを収束砲で相殺する。
だが、こっちは次の手があった。

「ブレイク・レーザー!」

ヴェントスからけたたましい収束砲が放たれる。
ものすごく消費魔力が高いが、魔力量で言えばチートレベルなので、問題はない。

(ここで一気に決めよう)

俺はそう考え、必殺技を使うことにした。

「I am the bone of my sword.Steel is my body,and fire is my blood」

一言一言の詠唱のたびに、とてつもない魔力量を消費していく。

「I have created over a thousand blades.Unknown to Death.Nor known to Life.Have withstood pain to create many weapons」

かの英雄が使っていた者と同じ術を使おうとしているのだ。

「Yet,those hands will never hold anything.So as I pray,"unlimited blade works"」

その瞬間、世界が変わった。
その景色は、ただの白い世界。
かの英雄が使っていた無限の剣製アンリミテッド・ブレイドワークスは、己の心象風景を現す固有結界のはずだ。
つまり、俺は空っぽと言う事だろう。
若干ではあるが地面に黒の模様が描かれているだけしか、変わりはない。

「行くぞ!」

俺は近くの剣を手にして、相手に肉厚する。
そして、俺はひたすらに切り続けた。
剣が壊れれば別の剣を手にして切りつける。
それから後の事は、何一つも覚えていない。

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