俺は暁美さんの家の中にいた。
もちろん無断だ。
「で、どうする気だ?」
「ッ!? あなた、一体どこから。それに前に銃で」
驚いた様子でこっちを見てくる暁美さん。
「全く、いくら俺が不死身だからと言っても獣は勘弁してもらいたいものだ。あれ痛いんだぞ?」
「あなた、一体何者なの?」
暁美さんが俺に問いかけてくる。
「俺はこの世界の運命を定める役割を持っている、世界を統括せし三神の一人、世界の意志さ」
「………どういうこと?」
俺の言葉に、暁美さんが首を傾げた。
「簡単に言ってしまえばこの世界で生きている人たちの運命のように世界自体の運命を操作すると言う意味だ」
「つまり、あなたがこの世界の行方を操作していると考えて間違いないのね?」
暁美さんの言葉に、俺は頷いた。
その瞬間だった。
突然銃声が響き渡った。
「危ないな。さっきも言ったが、それかなり痛いんだぞ?」
俺は暁美さんの背後に高速で移動していた。
すると、再び銃声が鳴り響いた。
また俺に向かって打ったのだ。
「さっきから鬱陶しい!! 滅!」
「きゃ!?」
今度ばかしは頭に来たので、銃を破壊した。
「ったく、なんで世界の意志だと告げて撃たれなくちゃならないんだよ」
「あなたが、諸悪の根源だからよ」
「ほぅ? 言ってくれるな。この事態を引き起こしたのは、俺ではなくインキュベーターだ。まあ、あれも世界から作られたものだから、まわりまわって俺が悪くなるんだがな」
俺の言葉に暁美さんが俺の胸に掴みかかってきた。
「あなたの性で! あなたの性でまどかは何回も死んでるのよ!!」
「ふん!!」
俺は胸を掴みかかる暁美さんを思いっきり払いのけた。
「甘ったれるな小娘! すべてを俺のせいにするな。確かにこの世界で起きた事項は俺に責任がある。だがな! この世界を安定化させるにはそう言うかわいそうな奴がいないといけないんだ。この世界はな、全員が全員平等じゃねえんだよ」
俺は、そこまで叫ぶと彼女に背を向けた。
「ここまで悪化させて、まだ何とかなると思ってるその甘さ加減が笑える。お前が何度も何度も時間を戻したことによって、まどかはこの世界自体となり俺には手に負えなくなってしまった。それを引き起こしたのがどこの誰か、そしてそれを考えても俺を殺せるのであれば、好きにすると言い」
俺は、そこでいったん言葉を区切った。
「まあ、せいぜいもがくと良い。だがな、運命は変えることはできない。それだけは覚えておけ」
俺はそう告げると、暁美さんの家を後にした。
気分は最悪なままだが。
(ワルプルギスの夜まであと数日。俺も準備をしなければな)
俺はそう思いながら、拠点地へと戻るのであった。
ほむらSide
私は、とても混乱していた。
小野渉、彼が世界の意志だということに。
そして、彼自身がまどかを死の運命に導いた張本人。
絶対に許せない。
でも、私は心のどこかで感じていたのだ。
彼自身には何の責任はないと言うことに。
彼はただ単に世界を安定化させようとしていただけだったのだから。
でも、それでも私は彼の事が許せない。
(絶対にまどかだけでも助けてみせる!! たとえ私が朽ち果てたとしても、必ず)
私はそう決心した。
それから数日後、ワルプルギスの夜が来て、私は一人で戦いましたが、倒すことが出来ず時間を戻せば、まどかがさらに因縁が強くなってしまう事を思い出した私は、どうしようもできないことに絶望して泣いていた。
そんな私の手をそっと誰かが包み込んでくれた。
それは、まどかだった。
「……!?」
「もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん」
「まどか……?」
私は嫌な予感がしてまどかの名前を呼んだ。
まどかはそっと立ち上がってワルプルギスの夜を見ている。
その横にはキュウベぇと、彼の姿があった。
「まどか……まさか!?」
私はそれが、何を意味しているのかがすぐに分かった。
「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」
そして、まどかは私にそう言った。
それは、私が一番恐れていたことだった。
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