健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第6話 悲劇の前触れ

あの魔女退治体験ツアー初日から数日後、俺達は今日もまた何度目かもわからないツアーに参加していた。

「ティロ・フィナーレ!!」

そして今夜も、巴さんの必殺技『ティロ・フィナーレ』により魔女は消滅し、元の景色へと戻った。

「いやー、やっぱマミさんってカッコイイねえ!」
「もう、見世物じゃないのよ。危ないことしてるって意識は、忘れないでいてほしいわ」

さやかにそう言いながら街灯の上から飛び降りた。

「いえーす!」

そしてさやかはさやかで全く分かってないようだし。
と、その時キュウベぇがこちら側に走ってくると、自然な動作でまどかの肩の上に移動した。

「あ、グリーフシード、落とさなかったね」
「今のは魔女から分裂した使い魔でしかないからね。グリーフシードは持ってないよ」
「魔女じゃなかったんだ」
「何か、ここんとこずっとハズレだよね」

確かにさやかの言うとおりだ。
あの初日以来魔女ではなく使い魔が出てきていた。
どうやらグリーフシードは魔女だけが持っているらしく、使い魔は持っていないらしい。

「使い魔だって放っておけないのよ。成長すれば分裂元と同じ魔女になるから」
「……とりあえず、お疲れ様でした」

俺は巴さんに労いの言葉をかけた。

「ふふ、ありがとね、渉君。さぁ、行きましょう」

笑みを浮かべた巴さんの言葉で、俺達はその場を後にした。

「二人とも何か願いごとは見つかった?」

しばらく歩くと、巴さんはまどか達に尋ねた。

「んー……まどかは?」
「う~ん……」
「まあ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」

答えられずに悩んでいる二人に、巴さんは苦笑いを浮かべながらフォローした。

「マミさんはどんな願いごとをしたんですか?」

まどかがそう尋ねた瞬間、巴さんは歩くのをやめた。

「いや、あの、どうしても聞きたいってわけじゃなくて」
「私の場合は……考えている余裕さえなかったってだけ 」

そして巴さんは、自分の願い事について話し始めた。
巴さんが小さいころ、家族での旅行の時に巻き込まれた事故。
両親は即死、巴さんは重症だった。
そんな時に現れたのがキュウベぇで、彼女は助かることを願い契約した。

「後悔しているわけじゃないのよ。今の生き方も、あそこで死んじゃうよりはよほどよかったと思ってる。でもね……ちゃんと選択の余地のある子には、キチンと考えたうえで決めてほしいの。私にできなかったことだからこそ、ね」
「ねえ、マミさん。願い事って自分の為の事柄でなきゃダメなのかな?」

少々暗くなった雰囲気の所に、さやかが疑問を投げかけた。

「え?」
「例えば、例えばの話なんだけどさ、私なんかより余程困っている人が居て、その人の為に願い事をするのは……」
「それって上条君のこと?」

さやかの例えと言う言葉に、まどかが誰の事かが分かったのか名前を言った。

「上条って……あぁ、さやかのす―「た、例え話だって言ってるじゃんか!」 ―」

今ので絶対に図星だと思う俺なのであった。

「別に契約者自身が願い事の対象になる必然性はないんだけどね。前例も無い訳じゃないし」
「でもあまり関心できた話じゃないわ。他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?
「マミさん……」

巴さんのきつい言葉に、まどかは少しばかり驚いているようだった。

「同じようでも全然違うことよ。これ」
「その言い方は……ちょっと酷いと思う」
「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。そこを履き違えたまま先に進んだら、あなたきっと後悔するから」

さやかの反論に、巴さんはそう返した。

「別に人のためにすることが悪いとは言わないが、無名の偉人のようにはなるなよ」

ついでに俺も忠告しておいた。
無名の偉人。
それは前に二人に話した、最悪と言ってもいい英雄の事だ。
目の前の利益に飛びつき、友すらも蔑ろにした奴のだ。

「……そうだね。私の考えが甘かった。ゴメン」
「さやかの考えが甘いの何て、いつもじゃないか」
「何だとっ!!」

俺の茶々にさやかは過敏に反応した。

「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるべきではないわ」
「僕としては、早ければ早い程いいんだけど」
「ダメよ。女の子を急かす男子は嫌われるぞ」

巴さんの一言で、笑いが俺達を包んだ。
と言うより、キュウベぇって、オスなのか?
こうして、俺達は帰路へと着くのであった。





さて、今俺が何をしているのかと思えば、巴さんへのストーキングだ。
もちろん理由はある。
彼女に暁美さんと話し合う機会を設けるように、提言するためだ。
話し合いもせずに敵にするというのは、あまりにも愚かで馬鹿げたことだからだ。
しかし、話し掛けようにも彼女は魔女の探測中。
声をかけることもできないまま、公園の広場まで来ていた。

「………」

すると、巴さんはソウルジェムを指輪の姿にした。

(気づかれたか!?)

そう思った時だった。

「分かってるの?」

その声は、暁美さんの物だった。

(どういうことだ?さっきまで彼女はいなかったはず)

「貴女は無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」
「彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」

俺の動揺を無視して二人はさらに話を進める。

「貴女は二人を魔法少女に誘導している」
「それが面白くないわけ?」
「ええ、迷惑よ。特に鹿目まどか」

暁美さんから再びまどかの名前が出てきた。

「ふぅん……そう、あなたも気づいてたのね。あの子の素質に」

まどかの名前が出た瞬間、巴さんは目を細めた。
それが俺には、挑発のようにも見えた。

「彼女だけは、契約させるわけにはいかない」
「自分より強い相手は邪魔者ってわけ?いじめられっ子の発想ね」

その瞬間、暁美さんを中心に、とてつもない威圧感が湧き上がった。

「貴女とは戦いたくないのだけれど」

自分の髪を払いながらそう告げた。

「なら二度と会うことのないよう努力して。話し合いで事が済むのは、きっと今夜で最後だろうから」

そう言って巴さんは暁美さんに背を向けて歩き出した。

「あはははは!!!!」
「「ッ!!?」」

俺はそれを見て、自分の状況も忘れて思わず笑ってしまった。

「話し合いって……それが話し合いに入ると思ってるのか?」
「……渉君、どうしてここに?」
「巴 マミよ、今のお前、完全に悪役だぞ。暁美 ほむらの言葉に耳を傾けず、彼女を最初から悪者として話している。こんなんじゃどこまで行っても平行線だ。まあ、彼女は彼女で何かを隠しているようだけど」

俺は巴さんの疑問を無視して話した。

「……女の子の後を付けるのは、あまり褒められた行為じゃないわね。今日は許すから、次は気を付けてね」

巴さんは俺の言葉に、論点をすり替えて注意をすると、そのまま去って行った。

「……んで、お前にも聞きたいことがある」
「………」

俺の言葉に、暁美さんは何も反応をしない。

「なぜそこまで彼女にこだわる?」
「………」

俺の問いかけに、暁美さんは何も言わない。

「………はぁ。言う気はないってか」

俺はその様子にため息を付きながら言った。

「彼女……まどかを守ってあげて」
「…………まあ、できる限りは努力しよう」

突然の暁美さんの頼みに俺はそう答えた。
俺にはこの願いが彼女の目的の本質だと悟ったからだ。

「そう」

そして次の瞬間には、彼女の姿はなかった。

「………帰るか」

そして、俺も帰路に就くのであった。










翌日、俺とまどかはさやかの上条と言う奴へのお見舞いに付き合うために、病院のロビーにいた。

「はあ……。よう、お待たせ」

しばらくして、ため息をつきながらさやかが戻ってきた。

「あれ?上条君、会えなかったの?」
「何か今日は都合悪いみたいで」

外に出ても文句を言っているさやかだが、突然まどかが立ち止まると、一点を見ていた。

「わざわざ来てやったのに、失礼しちゃうわよね」
「あそこ……何か……」

まどかの言葉に、俺達はまどかの見ている方を見る。

「グリーフシードだ!孵化しかかってる!」
「嘘……何でこんなところに」

キュウベぇの言葉に、俺達はさらに近づくと、それは確かに魔女の卵のグリーフシードだった。

「マズいよ、早く逃げないと! もうすぐ結界が出来上がる!」
「またあの迷路が?………まどか、マミさんの携帯、聞いてる?」
「え?ううん」

さやかの問いかけにまどかは顔を横に振った。
そういえば俺達はいつも放課後に合流していたし、有事の際はとテレパシーで事足りていたから携帯の番号を聞くのを忘れていたのだ。

「まずったなぁ。まどか、渉。先行ってマミさんを呼んで来て。あたしはこいつを見張ってる」
「そんな!」

さやかの提案にまどかが声を上げた。

「無茶だよ! 中の魔女が出てくるまでにはまだ時間があるけど、結界が閉じたら君は外に出られなくなる。マミの助けが間に合うかどうか……」
「あの迷路が出来上がったら、こいつの居所も分からなくなっちゃうんでしょ?放っておけないよ。こんな場所で」

キュウベぇの反対にさやかは頑なに意見を変えなかった。

「まどか、渉。先に行ってくれ。さやかには僕が付いてる。マミならここまで来れば、テレパシーで僕の位置が分かる。ここでさやかと一緒にグリーフシードを見張っていれば、最短距離で結界を抜けられるよう、マミを誘導できるから」
「ありがとう。キュウべえ」
「私、すぐにマミさんを連れてくるから」
「死ぬなよ!」

俺とまどかはそう言って巴さんを探しに走った。

「まどか!そこを右!!」
「え!?なんで?!」

俺の指示にまどかが驚いた様子で聞いてきた。

「勘だ!俺の勘は良く当たる!!」

俺はそう答えて、曲がり角を右に曲がった。
俺達は巴さんを探すために走った。





だが、俺は知らなかった。
これが巴さんにとって最後の戦いになるという事を。

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