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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第3話 魔法少女

「私は巴マミ。あなたたちと同じ、見滝原中の3年生。そして……」

目の前にいる巴先輩は言葉を区切ると、駆け寄ってきたキュウベぇを抱きかかえて告げた。。

「キュゥべえと契約した、魔法少女よ」

確かに言葉通りだった。

「さてと、ここじゃなんだし、ちょっと私と一緒に来て貰っていいかしら?」
「あ、はい!!」
「右に同じく」

と言うことで、俺達は彼女についていくのであった。





「あの、巴先輩」
「私は先輩っていうがらじゃないから普通に巴でいいわよ」
「そ、それじゃ巴さん。一体どこに行く気ですか?」

俺の問いかけに、巴さんはにこやかな笑顔で振り返ると

「それはついてからのお楽しみよ」

と言われたので、俺はただ静かについて行く事にした。
そして到着したのが、巴さんの自宅だった。

「うわぁ……」
「素敵なお部屋……」
「これは何とも……」
「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

そこはまさに豪邸だった。
いやマンションの一室だとは想像もできないほど広かった。
そして巴さんは紅茶とケーキを4人分用意するとテーブルに置いて、俺達に座るように促してきた。

「マミさん。すっごく美味しいです」
「んー、めちゃうまっすよ」
「ありがとう。キュゥべえに選ばれた以上、あなたたちにとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」

まどかとさやかの感想に、巴さんは嬉しそうに言うと本題を切り出した。

「うんうん、何でも聞いてくれたまえ」
「さやかちゃん、それ逆」

さやかの言葉に、まどかは苦笑いを浮かべながら突っ込む。

「というより、さっき一番怖がっていた奴―わー!わー!わー!それ以上言うな!!―」

俺のため息交じりの言葉に、さやかは喚きながら遮った。

「わあ、きれい」
「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ」

そういって巴さんが俺達の前に差し出したのは黄色の卵の形をした、宝石のようなものだった。

「魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
「契約って?」
「僕は、君たちの願いごとを何でも一つ叶えてあげる」

さやかの疑問にキュウベぇは表情を変えずに答えた。

「え、ホント?」
「願いごとって……」
「なんだって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

まどかの言葉にキュウベぇが答えた。

「金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか?」
「いや、最後のはちょっと」
「お前どんだけ貪欲だよ」

俺はたまらず突っ込んだ。

「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」

俺の突っ込みを無視して淡々とキュウベぇが説明を続けた。

「魔女?」
「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」
「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。しかもその姿は、普通の人間には見えないから性質が悪い。不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ。そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」

さやかの疑問にキュウベぇが答えた。

(プラスとマイナスか)

俺は心の中でそう考えていた。
もしかしたら魔女と言う存在は”世界にとって”必要なものなのかもしれない。
陰陽学がいい例だ。
同じ数だけの陰と陽があれば世界が安定すると言われているそれによるが。
でも言えない。
言ってしまえばおそらくこの場にいる全員の冷たい視線が贈られるからだ。

「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」

真剣な面持ちで巴さんが説明する。

「そんなヤバイ奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
「結構、危ないところだったのよ。あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

俺はその言葉を聞いてぞっとした。
俺がどうなるかよりも、もしまどか達まで犠牲になった時の事を考えたからだ。

「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか?」
「そう、命懸けよ。だからあなたたちも、慎重に選んだ方がいい。キュゥべえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でもそれは、死と隣り合わせなの」

まどかの言葉に、巴さんは表情を崩さずに忠告してきた。

「ふぇ……」
「んー、悩むなぁ」
「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

悩んでいる二人に巴さんは突然そう提案してきた。

「「えぇ?」」
「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
「ところでさ」

さやかはそう切り出して、話題を変えた。

「あの転校生も、えっとその……魔法少女なの?マミさんと同じ」
「そうね。間違いないわ。かなり強い力を持ってるみたい」

さやかの仮説を巴さんは肯定した。

「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね?それがなんで急にまどかを襲ったりしたわけ?」
「彼女が狙ってたのは僕だよ。新しい魔法少女が産まれることを、阻止しようとしてたんだろうね」

さやかの疑問にキュウベぇが答えた。
確かにそれなら頷ける。

「何で?同じ敵と戦っているなら仲間は多い方がいいんじゃないの?」
「それが、そうでもないの。むしろ競争になることの方が多いのよね」
「そんな……どうして?」

俺はもうすでに読めていた。
競争になるということは倒したことに対しての報酬関連だろう。

「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね」

巴さんは目元を細めて不快なオーラを全開で答える。

「つまりアイツは、キュウべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
「たぶん、そういうことでしょうね」

巴さんはそう言いながらソウルジェムに手をかざして、指輪のようなものに形を変えた。

「………でもさ」

とここで、俺は口を開いた。

「本当にあいつは悪いやつなのか?」
「何を言ってんの?あの転校生はキュウベぇを襲ってたじゃないか!」

俺の言葉に、さやかが反論してくる。

「それはそうなんだが……何だかこう、引っかかるんだよな」

もしかしたらあの一瞬の表情を見たからかもしれない。
俺はあの表情を見て、彼女が三人が想像しているような存在ではないと思っているのだ。

「確かに、渉君の言うとおりね。何でもかんでも疑ってかかるのは良くないわね」

すると、巴さんが俺の言葉に賛同した。

「あ、いや。もしかしたら俺の気のせいかもしれないですから」

俺はそう言ったものの、暁美ほむらと言う存在が気になるのであった。
そしてこの日は別れることになった。
魔女退治が実際に始まるのは、明日の放課後らしい。










「まどか遅いな~」
「また寝坊じゃないの?」

翌日、俺達はいつものように学園へと向かっていた。

「おっはよう~」
「おはよ……うわっ!?」

さやかがまどかを見た瞬間に声を上げた。
俺も一瞬あげそうになったぐらいだ。
なぜなら………

「おはよう、さやか」

まどかの方に乗っているキュウベぇがいたのだから。

「どうかしましたか?さやかさん」

驚いているさやかの様子を気にした仁美が、心配そうに声をかける。

「やっぱそいつ、私達にしか見えないんだ」
「そうみたい」

ものすごい速さでまどかに近づくと、小声で話した。
と言うより、こっちにまで聞こえてるぞ。

「あの……」
「ああ、いや、何でもないから!いこ、いこ!!」

不思議がる仁美を、さやかは強引に連れて歩き出す。

【頭で考えるだけで、会話とかできるみたいだよ】

頭の中にまどかの声が響いてきた。

【ええ?私達、もう既にそんなマジカルな力が?】

さやかは体を引きつかせていた。
まあ突然聞こえれば驚くよな。
ちなみに念のために言うが、俺は驚いてないぞ?

【いやいや、今はまだ僕が間で中継しているだけ。でも内緒話には便利でしょう?】
【何か変な感じ】

まどかとさやかは俺と仁美を置いて歩いて行こうとした。

【でも慣れれば便利じゃないか?】

ここぞとばかりに俺も参加する。
意外と面白い。

「お二人とも、さっきからどうしたんです?しきりに目配せしてますけど」
「え?いや、これは……あの……その……」

仁美の言葉にまどかはあからさまに動揺する。
それだと何かありましたって言ってるもんだよ?

バタン!

すると、案の定仁美はバッグを地面に落とした。

「まさか二人とも、既に目と目でわかり合う間柄ですの?!まあ!たった一日でそこまで急接近だなんて。昨日はあの後、一体何が!?」
「いや、そりゃねーわ。さすがに」
「確かに色々……あったんだけどさ」

二人の否定ともいえない否定が飛んでくる。

「でもいけませんわ、お二方。渉さんと言う心に決めた人がいるのに、女の子同士で。それは禁断の、恋の形ですのよ~!!」

仁美が走り出す。
それはまあいいとしよう。
しかしなぜか俺をの手をつかんで、だ。

「って、なんで俺の手をつかむ!?そして俺を引きずるな~!!!!」

俺はまるで人形のように引きずられていくのであった。

「バッグ忘れてるよー!」
後ろからさやかの声が聞こえる。
それを言う前に助けてよ……。
ちなみにこの後……

「あぁ……。今日の仁美ちゃん、何だかさやかちゃんみたいだよ」
「どーゆー意味だよ、それは」

と言うやり取りがあったとかなかったとか。
ちなみに仁美が俺を引きずっていることに気付いたのは、学校のクラスについた時だった。
彼女曰く、バッグと勘違いしていたらしい。

(俺の存在意義って、バックなのか?)

この時、本当に泣きそうになったのは秘密だ。





それからしばらくしてやってきたまどか達は仁美の方に駆け寄ると、謝っていた。
彼女は彼女でお怒りモード全開だし。

「災難だったねぇ~」
「大丈夫?渉君」

二人の真逆の言葉がかけられる。
ちなみに名誉のために言うと、上からさやか、まどかだ。

「ああ大丈夫だ。人間ジェットコースターを体験できたしね」

俺は皮肉交じりに答えた。

「ふぅ……」
【つーかさ、あんた、のこのこ学校までついて来ちゃって良かったの?】

席に着くや否やキュウベぇにさやかがテレパシーで話し掛ける。

【どうして?】
【言ったでしょ?昨日のあいつ、このクラスの転校生だって。あんた命狙われてるんじゃないの?】
【さやか、少しは考えろよ】

俺はたまらずにさやかにツッコんだ。
理由なんて簡単だ。

【渉、それってどういう―――――】
【むしろ、学校の方が安全だと思うな。マミもいるし】

さやかの言葉を遮ってキュウベぇが答えた。
つまりはそういう事だ。

【マミさんは3年生だから、クラスちょっと遠いよ?】
【ご心配なく。話はちゃんと聞こえているわ】

すると、突然巴さんの声が聞こえた。

【この程度の距離なら、テレパシーの圏内だよ】

なるほどな、そういう事か。

【あ、えっと……おはようございます】

まどかはあたりさわりのない挨拶をした。

【ちゃんと見守ってるから安心して。それにあの子だって、人前で襲ってくるようなマネはしないはずよ】
【なら良いんだけど……】
「あっ!?」

その時、教室に暁美さんが入ってきた。

【げ、噂をすれば影】

そして暁美さんは席に着くや否や、まどかの方を……具体的には胸に抱かれているキュウベぇを睨みつけた。

【気にすんなまどか。アイツが何かちょっかい出してきたら、私がぶっ飛ばしてやるからさ。マミさんだってついてるんだし】
【そうよ。美樹さんはともかくとして、私が付いているんだから大丈夫。安心して】

さやかの言葉に反応して巴さんが安心させるように言った。

【ともかくってゆーな!】
【ふ、結界で怖がっていた奴が――――】
【わ~た~る~?後でちょっとお話ししようか?】
【ぜ、全力でお断りさせていただくです!!!】

そんなこんなで、この日の授業が始まるのであった。

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