あたしは封鎖領域を展開し、リンカーコアを持つ魔導師を探す。
(見つけられれば100頁ほどは稼げるんだ)
やがてあたしは、ビルの建っている場所を歩く人影を見つけた。
「見つけたぞ!!」
「え?」
そいつはあたしを見てなぜか驚いたような様子だった。
そいつは短めの黒髪が特徴のやつだった。
「あ……あれって……」
そいつはあたしの持つアイゼンを見て、おびえたような様子だった。
(なんだ、こいつ?)
あたしは一瞬勘違いかと思ったが、魔力を持たないやつがここにいるわけがないので、すぐにその考えを捨てた。
「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」
あたしはそう答え、誘導弾を放った。
「ッ!!?」
だが、そいつは横に避けた。
その次の瞬間、轟音と共にそいつの経っていた地面が抉れた。
「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」
あたしは、そう言ってアイゼンを構え直す。
「抵抗しなければ無傷で返す」
あたしの言葉にそいつは弓を構えてきた。
「なんだ、やる気か?」
「はぁ!!!」
あたしはこっちに向かってくる矢をアイゼンで薙ぎ払った。
「フン!」
そしてあたしは気付いた。
(っち! はったりか!!)
さっきの弓はあたしを狙ったものではない。
つまりあたしをまくために放った威嚇射撃だ。
そしてあたしはすぐに上空に移動した。
それからしばらくしてそいつが屋上に姿を現す。
「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」
「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」
あたしは誘導弾を放った。
「たぁ!!」
そいつは再び矢で攻撃を打ち落とすが、それは計算済みだ。
あたしは奴の背後に回り込み一撃を食らわした。
「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」
そのままそいつは地面に落ちていく。
(あいつ、魔導師じゃねえのか?)
そんなことを考えた時だった。
「え!?」
そいつは突然声を上げると、右手に大きな剣が現れた。
そいつはゆっくりと地面に向かって下りた。
あたしは、それを確認して地面に降り立つ。
「やっぱり魔導師じゃねえか。バリアジャケットも展開しないとは余裕の表れか?」
あたしはそうつぶやき、そいつに向かって飛び込む。
「行くぞ!!」
『プロテクション!!』
すると、アイゼンは障壁に遮られた。
「か、堅ぇ!!」
あたしは、これ以上は無理だと判断して、バックステップで後ろの方に回避した。
「はぁぁあああ!!!!」
今度は相手があたしに突撃してくる。
「喰らうかよ!!」
あたしは上空へと移動する。
すると、奴まで上空にやってきた。
「よし! 飛べた!!」
奴の言葉に少々疑問を感じたが、あたしは攻撃の準備をする。
「行くぞ!!」
「はっ!!」
あたしは奴にめがけて鉄球を放つ。
『プロテクション』
「っち!」
しかし奴はあたしの攻撃を防ぎやがった。
「一刀」
その事実に思わず固まっていた隙を突かれ、あたしは攻撃を許してしまった。
「両断!!!」
あたしは間一髪で障壁を張った。
「やったか?!」
「アイゼン! カートリッジロード!!」
あたしはカートリッジをロードし、アイゼンをラケーテンフォルムに変形させる。
「おらぁ!!」
「ぐぅっ!?」
あたしは奴の障壁を貫こうとするが、堅いために貫けない。
あたしは一旦奴から離れる。
「ゆ、弓?」
突然奴は声を上げた。
「我が生み出しし矢よ」
すると何かを呟き始めた。
「我が言霊を聞き入れたまえ」
(障壁でもはっておくか)
あたしはそう考え障壁を張る。
「その矢は全てを貫きし線となれ」
次の瞬間そいつの地面に丸くて中央に五芒星が描かれている青色の魔法陣が浮かび上がった。
「貫け、ブレイク・イヤー!!」
「は!! そんなことしても無駄――」
あたしはそこから先を言うことが出来なかった。
ガラスが割れるような音と共に、結界が破壊されたのだ。
「なっ!? 結界が抜かれた!」
あたしは慌ててその場を離脱する。
「くそ!! てめえ次会ったときは絶対に倒すからな!!!」
最後にそう言い残して。
(一体なんなんだよ! あいつ!!)
あたしは次こそはと強く思った。
前話|
目次|
次話[0回]
PR