健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第3話 リピート

12月3日

「はっ!!!」

朝、俺は慌てて目を覚ました。
そして自分の体を確認した。
俺の体は傷一つもない。

(夢……だったのか?)

俺はそう思うことにした。
でなければ、辻褄が合わない。
だが、この動悸だけは全く治まることはなかった

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。

(なんだろう)

胸に何かが使えるような感じが残った。










夕方
借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山田真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやてでええよ”」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。











今日も俺は自室で本を読んでいた。
言い忘れたが、俺の両親は共働きだ。
とはいっても夕食は家族全員でするし、ちゃんと帰ってくるので、大して気にはしていないが。
たまに父さんたちが帰ってこないことがある。
そう、今日がたまたまその日だったのだ。

「お、もうそろそろ寝ようかな」

そして俺はいつものように、ベッドにもぐりこみ、寝るのだった。
これで今日という平凡で、刺激のない1日が終わりを迎える。





―本当にそうなのか?ー










「ん?!」

眠りに落ちてどのくらいたったのかは全く分からない。
突然の違和感に俺は目を覚ました。

「……?」

まだ目が覚めていないからなのか、それとも違和感が気付きにくいからなのか、俺は何がおかしいのかが分からない。

「でも、普通なわけではないんだよな」

俺はベッドから出て明かりをつける。
別段不自然なところはない。

「あれ? 何かが違うような……」

明かりをつけた時、俺はさらなる違和感を感じた。

「……気のせいかな?」

俺はそう決めることにした。

「とりあえず父さんたちに電話しよう」

俺はそう考えると、父さん達が帰ってきているかを確認するために、玄関へと向かった。





「靴がないということは、父さんたちはまだ仕事かな?」

靴がないのを確認した俺は、電話をかけるためにリビングに向かった。

「えっと番号番号は」

俺は父さんの携帯の番号に電話をかけることにした。
その方がいいと思ったからだ。

「あれ?」

番号を押したのにもかかわらず、なぜかつながらないのだ。
番号が間違っているわけでもない。

「一体何がどうなってるんだ?」

俺はなぜかこれを知っていた。
そうこれは■■■■■だ。

「っく……とりあえず、ここから逃げよう」

思い出そうとするたびに頭痛が襲う中、俺はそう決意した。

「よし!」

俺は一回気合を入れて、自室に戻って弓矢を持ち出した。
これでも俺は昔、地区大会で準優勝の成績を残しているのだ。
だから少しばかり弓矢の腕に自信があるのだ。

「さて、行きますか」

俺は矢を50本(競技用なので、殺傷能力はない)が入った入れ物を背負うと家を飛び出した。




「それにしても何だか静かで不気味だよな……」

俺は今オフィス街を歩いていた。
聞こえるのは風の音だけ。
それ以外の音は聞こえなかった。

(そうか!! 違和感の正体はこれだったんだ!!)

そこで俺は気付いた。
静かすぎるのだ。
出る前に見ると時間は午後10時。
人はいなくとも、車の一台でも通っていてもおかしくはない。
しかし車は通っていない。
だが明かりはついている。

(そういえば周りの色もおかしい)

よくよく見ればわずかに色が変だ。
まるで何かを通してみているかのようなくらいに、白い家だったものが黄色っぽくなっていたのだ。
つまり、これから言えることは……。

「ここは俺の知っている世界じゃない……という事か」

なぜ今まで気づかなかったんだという後悔をしつつも結論を出す。
だとしたら電話が繋がらないことも、納得がいく。

「とりあえず、歩いていけば抜け出せるか」

俺はそう考えるとそのまま歩き出した。










「見つけたぞ!!」
「え?」

しばらく歩き商店街のような場所に出た時、俺は背後から突然かけられた声に慌てて振り返った。
そこにいたのは赤いゴスロリのような服に身を包んだ少女だった。
その姿から普通の人だと思われる。
でも、俺はこの少女を知っていた。
そう、こんな風に出会った。
そして俺は殺された。
すがる気持ちで俺は、少女の持つそれを見た。

「あ……あれって……」

それはかなり大きめのハンマーだった。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

少女の言葉に俺は混乱する。

(なんだよリンカーなんとかと、蒐集って……それにどこかで聞いたような)

俺が混乱している時だった。

「ッ!!?」

俺は不穏な気を感じ、横に避けた
その次の瞬間、轟音と共に俺が今まで立っていた場所に”何か”が命中した。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

俺は言葉を失った。
俺はそれを知っている。
これは……そう魔法だ。

(何を言ってんだ?俺は)

自分の考えていることに思わずおかしく思ってきた。
俺はこの少女と初対面のはず、なのに前に会ったような気がするのだ。

「抵抗しなければ無傷で返す」

俺は素早く弓矢を少女に向けて構える。

「なんだ、やる気か?」

なぜか俺は落ち着いていた。
狙うのは彼女ではない。
少女の脇を掠めるようにする。
少なからず少女の動きは止まる。
その隙に俺は横に運よくあるビルの中に逃げ込もうと考えていた。

「はぁ!!!」

そして俺は矢を射た。
その矢は狙い通りにまっすぐに少女の脇に向かう

「フン!」

少女はその矢をハンマーで思いっきり弾いた。
それが一番無駄な動き。
それるようにしたものを自ら弾く際の行動のロスが生じた。

(よし今だ!!)

そして俺は一目散にビルに逃げ込んだ。
俺は背後から追いかけられているのを気にして、ひたすら階段を上る
やがて俺は屋上へと出た。

「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」

俺の頑張りもむなしく、少女は上空にいた。

(そうだったよな。魔法って空を飛ぶこともできたんだよな)

俺は今まで忘れていた自分に恥ずかしく思った。

「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」

放たれたのは鉄球だった。

「たぁ!!」

もうその攻撃にこなれた俺は、それを矢で難なく打ち落とす。

「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」

鉄球に気を取られていた俺は、背後から奇襲してきた少女の攻撃をもろに食らう。
さらに悪いことに俺は、そのまま屋上から落ちていく。
不気味な浮遊感を感じた。

(あぁ、俺死ぬんだな)

それを理解した瞬間、俺の意識は闇に落ちた。










―どうだ?ー

再び声が聞こえる

―同じ日を繰り返しても大して変わらなかったー
”ああ、俺には手も足も出なかった”
―……ではそなたは力を手に入れたら立ち向かうのか?ー
”あればいくらでも立ち向かってやる”
―それが例え、そなたが望まないものでもか?ー
”俺は現実しか見ない。で、今現実でそれが起こっている。それだけで十分だ”
―………おめでとう。貴殿が試験の合格者第1号だー

突然聞こえてきたおかしな声に、俺は意味が分からなかった。。

―合格した証に、特別な力を渡そう。今現実で起こっている真実に立ち向かう強大なる力をー

その瞬間俺は体中に力が湧き上がるのを感じた。

―さあ、そなたの名を聞かせておくれー
”俺は、山本 真人”
―では真人よ、使う武器の形態はどれがいい?二つ指定が出来るー

俺は使いたい武器を考えた。
やがて思いついたのは。

”弓と剣が良い”
―なるほど、近中距離か。和風の弓に洋風の剣とはなかなか愉快なマスターだ。では、そんなマスターにもう一つプレゼントしよう、どれほど離れている敵にでもダメージを与えられる超長距離型の形態をー

俺はその声を怪しむ何て物は頭の中から消えていた。
怪しむなんてものが無駄なことだと感じたからかもしれない。

―さあ、呼び出したまえ。そなたの武器ともなり右腕ともなる相棒の名を……クリエイトをー
”クリ……エイト?”

その瞬間俺の視界はまばゆい光に包まれた。
どうやら、ここからが始まりのようだ。


前話|目次|次話

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カウンター

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

最新CM

[03/25 イヴァ]
[01/14 イヴァ]
[10/07 NONAME]
[10/06 ペンネーム不詳。場合によっては明かします。]
[08/28 TR]

ブログ内検索

バーコード

コガネモチ

P R