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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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IF第13話 ジェノワーズと雷

ブリオッシュさんから言われた俺は、奥の方へと向かって行く。

(向こうから音がするな……そっちに行ってみるか)

必要な時にはフォローをしてみようかなと思いながら、俺はその音のする方へと向かい走った。










(この音は、戦闘時に出る物であることは間違いない……武器は飛び道具か何かか?)

俺は、音を聞きながら武器の種類に目星を付ける。
勿論、あっているとも限らない。
この世界には紋章術というものまである。
それの効果の音だとすれば、特定は難しい。

(いたッ!!)

奥の方、高い塀に囲まれた場所に彼女たちの姿はあった。
そこには緑色の髪で短剣を二本ほど構えている少女と、それと対峙する黒い髪の少女とウサギ耳が印象的な弓矢を構える女性、そして虎柄っぽい髪の少女で大きなおものを構えている三人の姿があった。
俺は、彼女たちに見えない様、上空に留まっていた。
正直に言えばかなりきついが、まあ仕方ないだろう。
緑色の髪の少女が、黒髪の少女からの攻撃を避けたところにウサギ耳の女性が矢を放つ。
それを緑色の髪の少女は剣で防ぐ。
そのまま、少女は矢の起動をそらして背後の建物に命中する。

(体の動かし方は上々、ただ行動の選択に多少甘さがあるな)

俺は、彼女の一連の動きを見てそう解釈をした。
矢のような飛び道具は追尾されていなければ、その場を離れる事で十分。
剣を使って拮抗させた分体力を使ったり、隙が出たりするからだ。
それも単数であればなおさらだ。

(では、俺からも一発派手にやっちゃいましょうか)

そう考え俺は弓矢を具現化させて構える。
狙うは、塀の上に立つウサギ耳の女性。
遠距離系攻撃をするものは出来る限り潰す、それが戦で勝つための掟の一つだ。

「紋章術、封!」

相手の動きを封じる効果を持つ、紋章術もどきの矢を女性にはなつ。

「きゃあ!?」
「ベール?!」
「新手?」

突然の奇襲に慌てふためく彼女たちの隙を狙い、今度は神剣二本を構えて特攻する。
地面に着地した衝撃で、周囲に土煙が漂う。
感覚からして今ので引っかかった者はいないようだ。
さすがにこの状況ではどうしようもないので、剣を払って風を起こして煙を散らした。

「だ、誰や!?」
「ビスコッティの仲間だ」
「ビスコッティだと!?」

目の前にいる、虎柄っぽい髪の少女の問いかけに俺が答えると、背後の方で驚いた声がした。
そこには緑色の髪の少女がいた。

「貴様のようなやつは知らないぞ! 私は」
「そりゃ、今まであった事もないし」

当然だろと言った様子で俺は答えた。

「だったら―――」
「ブリオッシュ・ダルキアンと、ユキカゼ・パネトーネの仲間………こう言えば理解はできるだろ?」

俺は、彼女の言葉を遮り二人の名前を告げた。
途端に少女は口を閉じた。

「さて、ダルキアン卿の指示のもとここに来た。お前は少しばかり休むと良い」
「私に指図するな」

俺の言葉に、少女は苦言を呈する。

(ちょっとばかり壮健すぎたか)

「俺とお前では初対面が故に連携は不可能……おそらくは俺がお前の足を引っ張る。ならば、今まで戦った功労者が休み俺が戦うのであれば、合理的だ」

俺は少女に意見を認めさせるため、半分嘘をついた。
足を引っ張るのは確実に少女も同じだ。
俺と彼女の戦い方がかみ合わなければそうなってしまう。
また、俺自身も相手の戦い方に合わせて協調するのには慣れていない。

「分かった……ただし、戦うからには勝て」
「これ以上ないほどの簡単に条件をどうも」

なんとか折れてくれた少女に感謝しつつ、俺は二人の少女の方を改めてみる。

「いきなり奇襲した恨み……味わってもらうで!」
「二対一だけど、覚悟」

それぞれが武器を構える。

「覚悟するのはお前らだ。自慢ではないが、先ほどゴドウィン・ドリュールを倒した。彼も俺も本気ではなかったがな」
「「「ッ!?」」」

俺の言葉に、敵味方が驚いた風に息をのんだ。

「さて、二人掛かりなのだ。少しは楽しませてくれよ?」

俺はそう言うと同時に駆けだした。
向かうは二人の背後だ。

「閃!」
「ッ!?」

あっさりと取れた背後で、俺は攻撃を放つ。
轟音と共にまばゆい光に包まれるが、俺は結果を視ずにその場から離れる。
次の瞬間、俺が今まで立っていた場所に何かが命中していた。

「なるほど、あのタイミングの攻撃を回避したのか……さすがだ。だが、まだ甘い」

光が消え、前に立っていた黒髪の少女にそう告げながら、俺は背後に向けて神剣を交差させる。

「んなっ!?」
「背後を取ったつもりだが、見え見えだ」

俺が斧の攻撃を防いだことに驚きを隠せない少女にそう告げると、俺は上側になっている吉宗を動かして武器ごと彼女の動きを崩す。

「はぁ!!」

そして片手に握っている正宗で一気に斬りつけた。

「ぐぅぅ!!?」
「ジョーヌ!?」
「安心しろ、この剣は人は斬れん」

俺は、斬られた箇所が痛むのか胸のあたりを片手で抑えてうずくまる彼女に、そう告げた。
神剣正宗は、人を切ることはできない。
まあ、せいぜい痛みを与えるのが精いっぱいだ。
痛みは人にとって行動の抑制にもなる。
痛みの度合いが大きければ大きいほど、抑制の効果は上がる。
かなり道徳的には問題ありだが、手っ取り早かったのでこの手段を取った。

「さあ、残るはお前だけだ。今ここで降参するのであれば、痛い思いはさせないけど」
「………」

俺は黒髪の少女に揺さぶりをかける。
目の前で痛みに苦しむ者の姿と、それをさせた者はその場にいる物の恐怖を増幅させる効果がある。
通じない人もいるが、大抵は屈して降参する。

「ついでに、彼女の痛みを和らげるけど。どうする?」

さらに俺は少女を揺さぶる。
卑怯なような気がするが、素早く解決させるにはこれで十分だ。
何せ、援軍が近くに来ているのだから。

「……分かった」

少女が武器を下したのを確認した俺は、うずくまっている少女に向けて神剣を構える。

「何をっ!?」
「癒せ」

黒髪の少女の声を無視して、俺はそう告げると淡い銀色の光が虎柄の髪の少女を包み込む。
光が消えたのと同時に、少女はゆっくりと立ち上がった。

「い、痛みが無くなっとる」
「ジョーヌ、大丈夫?」
「大丈夫ですか!?」

いつの間にか”封”を解いたのか、ウサギ耳の女性も心配そうに彼女の元に駆け寄った。

「なんとか大丈夫や」
「もう許しませんよ!」

そう言って、ウサギ耳の女性が怒り心頭な様子で俺に弓矢を構える。
その瞬間、木製の扉が強引に開けられた。

「へ?」

突然現れたのは長い銀色の髪の女性とドリュールさんの二人だった。

(援軍か!?)

そう思い、俺が臨戦態勢を整えるよりも早く―――

「この愚か共ものが!!」
「「「うわぁ!?」」」

大きな声と共に、拳骨と言う鉄槌が下った。
俺は、あまりの事に呆然と立ち尽くす。

「すまなんだな、たれ耳。この3馬鹿が迷惑をかけた」
「い、いえ、そんなことは」

女性の言葉に、緑色の髪の少女は慌てながら答えた。

「して、貴様は誰だ? ここでは見ない顔だが」
「えっとビスコッティの非公式の協力者の、小野 渉です」

女性の問いかけに、俺は即座に答えた。
何となく”非公式”と言っておいた方がいいような気がした。

「さて、この向こうにいる馬鹿二匹共を止めるとするかの」

そう言うと、女性は壁の前まで移動すると足でけり飛ばした。

(ただのキックで壊れる壁って……相当耐久性がないのか、それとも彼女の強さなのか……)

俺は、前者であることを願った。
そして、今気づいたが、壁の向こう側には銀色の少年と金髪の少年の二人がいた。

「ガぁウルぅ、それにビスコッティのへっぽこ勇者!」
「あ、姉上!?」
「へ、へっぽこ!?」

二人が、女性の言葉に驚きを隠せないでいた。
そんな状況で、女性は俺に指で二人の横に立つように指示された。
今の彼女の指示に従わなければ、痛い目を見るような気がしたので、俺は素直に従った。

「はぁ………餓鬼共ぉ! 戦で何を遊んでおるかぁ!!」
「「「は、はいぃ! ごめんなさいぃ!!」」」

女性の素様じい声に、俺は条件反射的に謝ってしまった。
そして、その後俺達に”雷”が落ちた。

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