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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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IF第7話 駆けし者、戦いし者

3人称Side

渉が、魔物たちを順調に倒している一方、ダルキアン達は苦戦を強いられていた。

「烈空一文字!!」

居合と共に放たれたダルキアンの紋章剣が、前方を弧状に切り裂く。
それによって、前方にいた魔物を倒すことはできた。
だが……

「グオオオオ!!!」
「閃華烈風!」

ダルキアンの背後から現れた魔物を、ユキカゼがエネルギー状の手裏剣を放って倒して行く。

「魔物自体は、それほど大したことはないでござるが」
「数が多い!」

二人の言葉が、まさに現状を物語っていた。
ダルキアン達に割り振った場所は、魔物の根暗のある場所だったらしく、次から次に魔物が出てきていたのだ。
それは、渉が予想だにもしなかった誤算だった。
それでも二人はそう簡単にやられない。
現れる魔物たちを、次々に倒して行く。
だが、それも少しずつ限界を迎え始めていた。
そして、そんなころを見計らうかのように表れたのが……

「今までの魔物より、若干大きくなってるでござるな」
「は、はい……」

やや大きい魔物だった。
だが、その大きさはせいぜいユキカゼと同じか少しそれを上回るかの境目だ。

「行くでござるよ! ユキカゼ」
「はい! お館さま」

そして二人は一気に動き出した。
魔物が動き出すよりも早く、魔物の背後をとったのだ。

「本来はこういった使い方はしないでござるが。花嵐!!」

近距離から放たれたエネルギーを纏い、金色に光り輝く矢は魔物に命中する。

「グオオオオ!!!」

だが、その一撃は魔物の体勢を崩すだけしかできなかった。
しかし、彼女の表情に焦りはなかった。
なぜなら、本命は別にあるからだ。

「烈空一文字!!」
「グオオオオ!!!?」

ユキカゼがその場を離れたのと同時に、ダルキアンが放った紋章剣が、魔物を切り裂く。
それによって、やや大きい魔物は消えてなくなった。

「これで、全部でござるね」
「そのようでござる。渉殿の方が心配でござるから、助太刀に―――――」

やや大きな魔物を倒したことに安心していた二人は、途中で言葉を詰まらせた。
そして、慌てて後ろを振りむく。
そこにいたのは、彼女たちが対峙していたやや大きめの魔物よりも、一回りほどでかい魔物であった。
彼女たちが気付いた時には、すでに前足を振り上げている所だった。
その足の先端にある鋭い爪ならば、太い木でも一瞬で切り刻めるだろう。

「「ッ!」」

二人は、来るであろう痛みに耐えるように目を閉じた。
だが、二人の耳に聞こえたのは、堅い者同士がぶつかり合う金属音だった。

「ッ!? わ、渉殿!?」

目を開いた二人は、驚きをあらわにする。
なぜならば、そこにいたのが二本の神剣を交差させて振り下ろされる爪とせめぎ合う渉の姿があったからだった。

Side out





「二人の気配は、この方向からのはず!」

俺は、二人の気配を頼りに、走っていた。

「急がないと……リミットブレイク・ブート1!!」

俺は、自分に掛かっている能力封印を1段階解除して、さらに速度を上げた。

(さっき見たのが現実でなければ、それに越したことはない!)

その一心で俺は掛けていた。

(見つけたって、あれはッ!?)

俺の目に飛び込んできたのは、二人を切り裂かんとばかりに振り上げられた前足、そしてそれを見て硬直する二人の姿だった。
それは、前に俺が視た光景とほぼ同じだった。
このままなら、あの二人は……

「させてたまるかぁ!!」

俺は、右足に力を込めると数百mあった距離を一気に駆け抜け、二人の前方に移動した。
間にあった事を喜ぶよりも前に、俺は神剣をもう一本具現化すると、それを交差させて振り下ろされた前足を受け止めた。

「ッ!? わ、渉殿!?」

ダルキアンさんが、驚いた様子で俺の名前を呼ぶ。

「すみません、遅れました。こいつの事は俺に任せて……」

後ろにいる二人に声を掛けながら、俺は両腕に力を込める。
そして……

「下さい!!!」

一気に大きな魔物を押し返した。

「グオオ!?」

あまりの事に魔物が混乱する中、俺は止めを刺す。

「天高く舞い上がれ」

言葉を紡ぎながら、神剣正宗で3,4回ほど斬りつける。
さらにその場から素早く反対側へと移動する。

「点に轟く一筋の光は!」

再び、言葉を切り刻みながら正宗で4,5回切り刻む。
その直後、もう一度反対側も回り込んで正面に立つ。

「絶望の闇を打ち消す光となる!!」

そして、俺は神剣二本を頭上で合わせる。
次の瞬間、二本だった神剣は一本の大きな剣に姿を変えた。

「紋章術、終焉の幻想郷!」

白銀色に光り輝くその剣を俺は、一気に魔物に向けて振り下ろした。

「グオオオオオ!?!?―――――」

それは、魔物を切り裂くだけでは飽き足らず、周辺を白銀の光が覆い尽くした。
しばらくして光が薄らぐと、そこは何も変わらない森林だった。

(倒せた……ようだな)

「渉殿!!」
「うわぁ!?」

突然二人が立っている方向に向いた瞬間に抱き着いてきたパネトーネさんに、俺は思わず声を上げてしまった。

「怖かった……グスッ、本当に怖かったでござるよぅ!!」

涙声で、話すパネトーネさん。
どうやら、いくつもの修羅場を潜り抜けた彼女でも、あの時の恐怖は耐えられなかったようだ。

「大丈夫。もう大丈夫」

俺は、パネトーネさんの背中を泣きやむまで優しくさするのであった。

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