健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第16話 魔物退治

俺達は、ロランから言われた場所へと向かっていた。

「おい、渉」
「何だ?」

そんな時、エクレールが若干不機嫌そうに声をかけてきた。

「なんでお前だけは歩きなんだ?」
「なんでって、こっちのほうが万が一の時に迅速に行動できるから」
「それだったらこっちの方がよっぽどできるだろ」

俺の答えに、エクレールがツッコんできた。

「戦いのときに、剣を使って動物に乗っていない者が、動物に乗っている者に対して出来る攻撃って何だかわかるか?」
「それは………」

俺の問いかけに、エクレールが無言になった。

「動物の足を狙う事だ。そうすれば、動物が暴れて乗っているものを落としたりする。その時に奇襲をかければ勝利となるわけだ」
「つまり、渉はそれが起こらないようにしてると言う事か?」
「まあ、そういう事だ」

エクレールのまとめに、俺はそう答えた。
とうとう周りは、草木が生い茂る所となった。
所謂危険地帯だ。

「気を引き締めていくとしよう」
「言われなくても!!」

顔を赤くしながら答えるエクレールをしり目に、俺は神剣を展開して前に進む。










そしてしばらく進んだ時であった。

「「………」」

俺は周りの空気の変化を感じ取った。
どうやらそれはエクレールも感じ取っていたようだ。
辺りに立ち込めるのは、異様な威圧感だ。
どうやらこれが魔物なのだろう。
エクレールは無言でセルクルから降りた。

「安心しろ、お前の事は出来る限り守ってやる」
「なッ!? お、お前は何を言ってるんだ!!」

俺の言葉に、エクレールが動揺しながら言ってきた。

「俺も男だしな。女一人守れないようじゃあ……ねぇ?」
「ふ、ふん!」

エクレールがそっぽを向いた時だった。
俺達の目の前に、それは躍り出た。

「これが、魔物か」

それは色は黒くやや大きめの動物だった。
その魔物は、鋭い牙をむき出しにして威嚇している。

(攻撃は主に噛みついたり引っ掻いたりと言った所か)

俺はすぐに相手の攻撃パターンを読み解いた。
数は2頭だ。
これなら手分けすればやれるだろう。

「エクレールそっちの魔物を頼む」
「分かった」

エクレールの答えを聞いた俺は、魔物へと向かって行く。

「■■■!!!!」

魔物は、俺に向けて突進してくる。

(おそらく引っ掻くなこれ)

俺はそう考えると神剣、正宗を一閃する。

「■■■■■■!!!!」

魔物が雄たけびを上げる。
俺がやってのは足の爪の切断だった。
これで、引っ掻くと言う攻撃はなくなった。

「最終審判、レクリエム!!」

そして、俺は超必殺技を魔物に向けて放つ。

「■■■■■■■■■!!!!!」

魔物は断末魔のようなものを上げながら、跡形もなく消滅した。
俺のやった超必殺技は、一種の浄化だ。
今のは、魔物を浄化したことによって魔物は消滅したのだ。
光と言うのは大量にあれば人を殺す武器にもなるのだ。
それは、闇にも言えるが……

(ッく!?)

その時、めまいが俺を襲った。
めまいはすぐに収まったが、体の調子がさらに悪化していくのを感じた。

「渉、そっちはどうだ?」
「お、こっちは無事完了だ。そっちは?」

俺は、ふらふらになるのを必死に堪えてエクレールに問いかけた。

「私の方は大丈夫だ。これしきの事で後れを取るようではない」
「そう言えばそうだ――――」

その時、俺はエクレールの背後で、鋭く光るものが見えた。
よく見ればそれは魔物の爪だ!
しかも、魔物はエクレールに向けて飛び掛かろうとしていた。
それからは反射的だった。

「エクレ! 危ない!!」
「え!?」

俺はエクレールに注意を促しながら、魔物とエクレールの間に立つ。
防御は間に合わない。
ならば、俺自身が盾となればいい。
その瞬間、衣の切れる音が聞こえた。
その次の瞬間には、腕に痛みが走った。

「ッぐ!?」
「な!? 大丈夫か! 渉!!」

何が起こったかに気付いたエクレールが慌てた様子で、聞いてきた。

「大丈夫だ。礼装で攻撃は防いだ。それよりも少し下がって」

俺の傷は大したことでもなく、おそらくは擦り傷程度だろう。
なんせ、俺の着ている礼装は物理攻撃のダメージを幾分か抑える効果があるのだから。

「あ、ああ」
「行くぞ。最終審判、レクリエム!!」

俺は、エクレールが下がったのを確認して、もう一度超必殺技を行使した。
俺にもう一度飛び掛かろうとしていた魔物は前と同じように消滅する。

「ふぅ。大丈夫……か」

俺はエクレールに怪我がないかを確認しようとしたが、それは叶わなかった。
それは突然襲った前のとは比べ物にはならない眩暈の為であった。
そして俺は体から力が抜け、そのまま地面に倒れた。

「お、おい渉!?」

俺は、エクレールの慌てた様子の声を聞きながら、意識を失うのであった。

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