俺達が白銀の光の場所に向かうとそこにいたのは……。
「健司君……それに真人君!?」
制服と同じだが、どこかが微妙に違う白い服を着たなのはに黒の露出度の高い服を着ているフェイトさん。
そしてやや金髪の髪をした俺と同い年の男と、オレンジの髪をした女性がいた。
「真人君って、魔導師だったの!?」
「ああ、うん」
なのはの問いかけに、俺は頷いた。
「全然気づかなかったよ」
「当然だろう。近くに魔導師がいるのが分かっているんだから、魔力をこっちの方で隠滅しておいたんだ」
と、執行人が俺の横に出るとそう答える。
やっぱりあんたがやっていたのか。
「あ、あなたは?」
「僕は……執行人とでも名乗っておこう。こいつの魔導の教導をしている」
執行人はそう自己紹介をした。
「ところで、あの人たちは誰?」
俺はなのは達のそばにいる人たちを見ながら聞いた。
「あ、えっとあの男の人が、ユーノ君で女性の人がアルフさんです」
どうやらやや金髪の髪をした人が、ユーノと言う人物で、オレンジ色の髪の女性がアルフと言う名前らしい。
「初めまして、ユーノさんにアルフさん。山田 真人と言います」
「あ、ユーノ・スクライアです。ユーノって呼んでください」
「あたしはフェイトの使い魔のアルフさ」
と、自己紹介をした時だった。
「うわ!?」
突然光ものすごい光を発したので、思わず目を覆った。
「ああ!?」
やがて光が治まると、そこには三角形の白銀の魔法陣……ベルカ式のものが展開されその上に守護騎士の4人が立っていた。
まるで中央の光を守るように。
「ヴィータちゃん!」
「シクナム!」
二人が守護騎士の二人の名前を呼ぶ。
「……我ら、夜天の主の元に集いし騎士」
「主ある限り、我らの魂尽きる事なし」
「この身に命ある限り、我らは御身の元にあり」
「我らが主、夜天の王……八神はやての名の元に!!」
シグナム達の口上が終わってから少しして、光の球が砕け中から黒い甲冑を着たはやてが現れた。
「「「はやてちゃん(はやて!)!」」」
俺となのはの声に、はやては笑顔で答えた
「夜天の光りよ、我が手に集え!祝福の風、リインフォース……セーット、アップ!!」
その瞬間はやての姿が変わった。
黒色の甲冑に白い服が現れ、さらにスカートの部分も伸びて背中には4枚の黒い羽根が展開し、髪の色は栗色から銀色になった。
「……はやて」
「うん……」
「すみません……」
「あの……はやてちゃん、私達……」
ヴィータ達が、はやてに謝った。
まあ、主の約束を破ってまでも隠れて蒐集していたしな。
「ええよ、みんな解ってる。リインフォースが教えてくれた……そやけど、細かい事は後や。今は……おかえり、みんな」
「うっ……う……うわぁぁぁん!」
はやての言葉に感極まったヴィータは、はやての胸で泣きじゃくった。
はやてもヴィータを優しく抱きしめて受け止めた。
「はやてっ! はやて!! はやてぇ!! うわぁぁぁん!!」
ヴィータ達から聞いたのだが、彼女たちの目的は、はやてと幸せに楽しく暮らすことだった。
……それが今こうして実現して嬉しいのだろう。
「良かったな、ヴィータ」
「ひっく……ぅん」
俺の言葉に、ヴィータは涙ぐみながら頷いていた。
「はやても無事でよかったよ」
「真人君って魔導師やったんやな。とても驚いたよ」
俺ははやての言葉に、苦笑いを浮かべていた。
「なのはちゃんとフェイトちゃんもごめんな。うちの子達が迷惑かけてもうて……」
「ううん……」
「平気……」
すると、上空から男の人がやってきた。
「済まないな。水を差してしまうんだが……時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。時間がないので簡潔に説明する」
そしてハラオウンさんから、現状の説明が始まった。
「……あそこの黒い淀み、闇の書の防衛プログラムが後数分で暴走を開始する……僕らはそれを何らかの方法で止めないといけない。停止のプランは現在2つある……1つ、極めて強力な氷結魔法で停止させる。2つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔導砲、アルカンシェルで消滅させる。これ以外に他に良い手がないか、闇の書の主と守護騎士の皆に聞きたい」
ハラオウンさんは守護騎士達に聞くが……
「ええっと……最初のは多分難しいと思います……主のない防衛プログラムは、魔力の塊みたいな物ですから……」
「凍結させても、コアがある限り再生機能は止まらん……」
シャマルさんとザフィーラにより最初の案は没。
「アルカンシェルも絶っ対ダメッ!! こんな所でアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!!」
ヴィータが猛烈な勢いで反対した。
「そ、そんなにスゴイの?」
「発動起点を中心に百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら、反応消滅を起こさせる魔導砲……って言うと大体わかる?」
「あの! 私もそれ反対!!」
「同じく! 絶対、反対!」
2つ目もヴィータとなのはとフェイトさんにより没。
と言うよりも、恐ろしい兵器だ。
「僕も艦長も使いたくないよ……でも、アレの暴走が本格的に始まったら被害がそれより、遥かに大きくなる」
「暴走が始まると、触れた物を侵食して無限に広がっていくから……」
「「………」」
ハラオウンさんとユーノの説明を聞いて何も言えなくなる二人……
【はーい、みんな!暴走臨界点まで後15分切ったよ!!会議の結論はお早めに!】
「ところで、君は一体誰なんだ?」
女性の声の念話が聞こえたかと思えば、目の前にいるハラオウンさんが俺に向かってそう聞いてきた。
「や、山田正人です!!」
「俺は、こいつの魔導を教えている執行人だ」
「クロノ・ハラオウンだ。君達二人には後で、詳しい事情を聞かせてもらいたい」
「……致し方あるまい」
執行人が嫌そうに答えた。
「ね、ねえ真人君は何かいい案がないの?」
「………悪い」
俺にもわからなかった。
「あるではないか。僕が使っていた全ての無へと返すプリマテリアライズ・オーバードライブを使えば、あの防衛プログラムと言うものでも消せるだろう」
「そ、そんな物騒なものを使っても、影響はないのか?」
執行人の提案に、ハラオウンさんがそう疑問を投げかけた。
「もちろんだ。少々強い風が吹くだけだ。周りへの被害は0に等しい」
「……よし、それで行こう」
執行人の答えに、納得したのか、執行人の言ったプランで決定した。
「実に個人の能力頼みでギャンブル性の高いプランだがまあ……やってみる価値はある」
「防衛プログラムのバリアは魔力と物理の複合4層式、その奥に対魔力のバリア……まずはそれを破る!!」
「え?」
「どうした?何か問題でもあるのか?」
突然声を上げた健司に、ハラオウンさんがそう問いかけた。
「あ、いや。なんでもない」
健司は首を振ってそう答える。
【何か問題でもあるのか?】
【………ああ。俺の知っている限りだと、対魔力バリアはないはずなんだ】
健司の言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
【健司よ。ここではお前の知っている物語になるとは限らない】
執行人の言葉が、俺には重く聞こえた。
【真人。プリマテリアライズ・オーバードライブの打ち方。覚えてるか?】
【ああ。大丈夫だ】
俺は執行人の問いかけにそう答えた。
前に一度、執行人からはこの技の打ち方を教えてもらっていた。
武装は何でもいいらしいので、弓型にした。
【健司は、真人のサポートをしろ】
【はい!】
俺達の、方針は固まった。
「バリアを貫いて本体にむけて私達の一斉攻撃でコアを露出!」
「そして真人君の魔法で消滅!!」
こちらも、一通りプランの確認を終えたようだった。
【暴走開始まで、後2分!】
まだ少しばかり時間があるようだ
「あ、真人君になのはちゃん、後、そこの人とフェイトちゃんも」
「「「……?」」」
はやてに呼ばれた俺達は、状況がうまく飲み込めない。
「シャマル!」
「はい、3人の治療ですね……クラールヴィント、本領発揮よ」
『Ja』
「静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」
シャマルの言葉に呼応するように、緑の光が俺たちを優しく包み込んだ。
「あ……わぁ!」
「ええ……」
「湖の騎士シャマルと風のリング、クラールヴィント。癒しと補助が本領です」
「ありがとうございます。シャマルさん」
「すごいです」
「ありがとうございます、シャマルさん!」
「ふふ……どういたしまして」
俺は特にダメージなどなかったが、力がみなぎってくる感じがした。
そしてとうとう暴走が始まったのか、黒い球体の周りから、黒い魔力の塊が柱のように立ち上った。
「始まるっ!」
「……夜天の魔導書を呪われた闇の書と呼ばせたプログラム……闇の書の闇……」
黒い球体が割れ、中からはおぞましい巨大生物が現れた。
「■■■!!!」
こうして、俺たちの最後の戦いが幕を開けた。
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