「……やはり破損が致命的な部分にまで至っている……防御プログラムは停止したが、歪められた基礎構造はそのままだ……私は……夜天の魔導書本体は遠からず新たな防御プログラムを生成し、また暴走を始めるだろう……」
「やはりか……」
アースラの病室で、リインフォースが自身の現状を話していた。
それを聞いたシグナムは、予想していた事態が的中してしまった事にため息をつく。
「修復はできないの?」
シャマルがリインフォースに尋ねる。
「無理だ……管制プログラムである私の中からも夜天の書本来の姿は消されてしまっている……」
だが返ってきた言葉はかすかな希望を壊すものだった。
「……元の姿が解らなければ、戻しようもないと言うか」
「そういう事だ」
リインフォースの絶望的な答えにシャマルは肩を落としていた。
「主はやては、大丈夫なのか?」
「何も問題はない、私からの侵食も完全に止まっているしリンカーコアも正常作動している。不自由な足も、時を置けば自然に治癒するだろう……」
シグナムの問いかけに、リインフォースが答える。
「そう……じゃあ、それならまぁ、よしとしましょうか」
「ああ、心残りはないな」
シャマルとシグナムは、はやてが助かる事に安堵していた
「防御プログラムがない今、夜天の書の完全破壊は簡単だ。破壊しちゃえば暴走する事も二度とない……代わりに私らも消滅するけど」
ヴィータはそう言って俯いた。
夜天の魔導書の完全破壊……それは、夜天の魔導書から生まれたヴォルケンリッター達の消滅と言う事でもあるのだ。
「……すまないな、ヴィータ」
「何で謝んだよ! いいよ別に……こうなる可能性があった事位、みんな知ってたじゃんか」
「いいや、違う…」
「「「「えっ!?」」」」
リインフォース突然の言葉に、シグナム達の視線が集まる。
「お前達は残る……逝くのは……私だけだ」
そう言い、リインフォースは悲しみを含んだ笑みを浮かべた。
★ ★ ★ ★ ★ ★
宇宙船―フェイトさん達曰く、時空航行船らしい―に到着した俺達は、食堂内の席に座っていた
「それで、どうやって真人君は魔導師になったの?」
目の前にいるなのはが俺に疑問を投げかけてきた。
ちなみに席順は俺の横に執行人、健司。
そして向かいには俺の正面になのは、フェイトさんだ。
「実はだな―――――――」
そして俺は、魔導師になるきっかけを話した。
「そんなことがあったんだ」
「まあ、そういう事だ」
話し終えると、なのは達は茫然としていた。
「でもその転生者って、何なの?」
「一度死んで、強大な力を付加させたりして不正に生まれ変わって来たやつの事だ。そのままにしておくと世界自体が狂うことになる」
執行人の説明に、なのは達は首を傾げていた。
やはりよく分かっていないようだった。
「まあ、それは置いといて。はやては大丈夫なのか?」
「……分からないけど。診断の結果が出るまで――――」
俺がそこまで言いかけると、食堂にユーノとハラオウンさんの二人が入ってきた。
「あ、ユーノ君! クロノ君! はやてちゃんは!!」
なのはの問いかけに、二人の表情は曇っていた。
「落ち着いて聞いて貰いたい」
「実は………」
そしてユーノ達から衝撃の言葉が告げられた。
「闇の書を破壊しないといけないんだ」
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