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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第28.2話 STAGE:04 学園包囲網戦

チュートリアル(説明)~浩介の性能、その1~

魔族と神族を隠している際、浩介は”反射特化型”になります。
行動可能になっても、行動選択は出来ず、その場に止まり続けます。
敵の攻撃を受けてしまった際に、浩介によって1回の攻撃が反射されます。
これが浩介の攻撃です。
ちなみに、ユニゾンアタックも1回にカウントされます。
勿論、敵と同時に行動可能になればランブルとなり、100%勝利となります。
ただし、味方と同時に行動可能になってもユニゾンにはなりません。
反射後は再び行動待機へと移ります。
また、バリアが味方にかかっている際には、浩介の反射が優先されます。
その際は、バリアで防いだ回数は0となります。

浩介は、アシストの役割を担っています。
ただし出る確率は90%です。
アシストキャラはシンです。
攻撃と効能は下記通り。

・高の月武術(浩介が独自に生み出した武術)――――――――圧:気を纏い相手を吹き飛ばす技。
                               ダメージは少ないが、ノックバック量を2倍にし、周囲にいる敵を若干ではあるが後方へと押し下げる。
 散:気を纏った媒体を振るい相手を攻撃する技。
   中程度のダメージを与える。
 鎮:気を纏った媒体を振り下ろし、相手に攻撃する技
   大ダメージを与え、気絶状態にさせる。
どの技が発動するかは運次第です。

以上で、チュートリアルを終わります。


――ステータス―――



数:7体
HP:8000
属性:闇(クロカン)、雷(チャオ)、水(フリスキー)、火(キャラット)、闇(モヒカン)、雷(ココカン)、水(カンネコ)、(いずれもLv.2)
EX:100%


味方

数:6人
HP:1500
攻撃属性:闇(シン)、火(ナナカ)、雷(聖沙)、水(ロロット)、光(リア)、無(浩介)、(浩介以外はLv.2。浩介はLv.0)
守護属性:攻撃属性と同じ(浩介のみ闇属性)
EX:100%
ASSIST:浩介、紫央、リースリング、パッキー
ロロットは場外(250F)からスタート

―――――――

start

魔族のフレーム数

Nクロカン(闇):74F
Sチャオ(雷):66F
Pフリスキー(水):87F
Pキャラット(火):94F
Nモヒカン(闇):70F
Sココカン(雷):54F
Pカンネコ(水):94F


味方二人のフレーム数

シン:29F
ナナカ:18F
聖沙:34F
ロロット:250F(場外)
リア:36F
浩介:33F

スタートダッシュに成功し、大幅に有利な状態での出だしとなった。


Nクロカン(闇):68F
Sチャオ(雷):60F
Pフリスキー(水):81F
Pキャラット(火):88F
Nモヒカン(闇):64F
Sココカン(雷):48F
Pカンネコ(水):86F


シン:14F
ナナカ:0F
聖沙:5F
ロロット:161F(場外)
リア:6F
浩介(無):5F

ナナカが行動可能となった。

「一本、アトミックバースト」
「ニャー!」

ナナカはチャオに攻撃する。


魔族

HP:7910↓90

Nクロカン(闇):68F
Sチャオ(雷):100F↑40
Pフリスキー(水):81F
Pキャラット(火):88F
Nモヒカン(闇):64F
Sココカン(雷):48F
Pカンネコ(水):86F

EX:102%↑2
STUN:8


味方

HP:1500

シン:14F
ナナカ:70F
聖沙:5F
ロロット:161F(場外)
リア:6F
浩介(無):5F

EX:113%↑13
Rush:1
50%


聖沙と浩介が行動可能となった。
浩介は、反射待機となる。

「勝負よッ、ライトニングシューター!」
「ニャー!」

聖沙はフリスキーに攻撃した。


魔族

HP:7837↓73

Nクロカン(闇):63F
Sチャオ(雷):95F
Pフリスキー(水):76F
Pキャラット(火):83F
Nモヒカン(闇):59F
Sココカン(雷):43F
Pカンネコ(水):81F

EX:104%↑2
STUN:7


味方

HP:1500

シン:9F
ナナカ:65F
聖沙:0F
ロロット:156F(場外)
リア:1F
浩介(無):0F

EX:126%↑13
Rush:2
51%


「お任せあれ。天津神の砌!」

紫央のアシストによる攻撃が追撃として放たれる。
アシスト効果により、攻撃力が一定時間上昇した。



魔族

HP:7833↓4

Nクロカン(闇):63F
Sチャオ(雷):95F
Pフリスキー(水):86F↑11
Pキャラット(火):83F
Nモヒカン(闇):59F
Sココカン(雷):43F
Pカンネコ(水):81F

EX:104%
STUN:6


味方

HP:1500

シンA+:9F
ナナカA+:65F
聖沙A+:60F
ロロットA+:156F(場外)
リアA+:1F
浩介(無)A+:0F

EX:126%↑5
Rush:3
――%


リアが行動選択可能となった。

「心を澄まして」

リアは詠唱を選択し、力を籠め始めた。


魔族

HP:7833

Nクロカン(闇):62F
Sチャオ(雷):94F
Pフリスキー(水):85F
Pキャラット(火):82F
Nモヒカン(闇):58F
Sココカン(雷):42F
Pカンネコ(水):80F

EX:104%
STUN:6


味方

HP:1500

シンA+:8F
ナナカA+:64F
聖沙A+:59F
ロロットA+:155F(場外)
リアA+:30F
浩介(無)A+:0F

EX:126%
Rush:3
――%


シンが行動選択可能となった。
シンはココカンへ攻撃を放つ

「いくよ! アビスブレイカ―!」
「ニャー!!」


魔族

HP:7699↓134

Nクロカン(闇):54F
Sチャオ(雷):86F
Pフリスキー(水):77F
Pキャラット(火):74F
Nモヒカン(闇):50F
Sココカン(雷):34F
Pカンネコ(水):72F

EX:106%↑2
STUN:5


味方

HP:1500

シンA+:0F
ナナカA+:56F
聖沙A+:51F
ロロットA+:147F
リアA+:22F
浩介(無)A+:0F

EX:139%↑13
Rush:4
73%
A+=90


「カッキ―ン。追加攻撃」

さらにパッキーのアシスト攻撃が放たれた。


魔族

HP:7659↓40

Nクロカン(闇):54F
Sチャオ(雷):86F
Pフリスキー(水):77F
Pキャラット(火):74F
Nモヒカン(闇):50F
Sココカン(雷):64F↑30
Pカンネコ(水):72F

EX:106%
STUN:4


味方

HP:1500

シンA+:75F
ナナカA+:56F
聖沙A+:51F
ロロットA+:147F
リアA+:22F
浩介(無)A+:0F

EX:144%↑5
Rush:5
73%
A+=90


リアからのモヒカンへの攻撃

「やあっ! 魂を浄化せよ」
「ニャー!」


魔族

HP:7454↓205

Nクロカン(闇):32F
Sチャオ(雷):64F
Pフリスキー(水):55F
Pキャラット(火):52F
Nモヒカン(闇):28F
Sココカン(雷):42F
Pカンネコ(水):50F

EX:108%↑2
STUN:3


味方

HP:1500

シンA+:53F
ナナカA+:34F
聖沙A+:29F
ロロットA+:125F
リアA+:0F
浩介(無)A+:0F

EX:165%↑21
Rush:6
117%

「輝ける力、エグゼクトディヴィニティ!」

リアのEX DivineによってEXゲージが0%まで減少し、モヒカンはさらに25Fノックバックされた。


魔族

HP:7452↓2

Nクロカン(闇):32F
Sチャオ(雷):64F
Pフリスキー(水):55F
Pキャラット(火):52F
Nモヒカン(闇):133F↑105
Sココカン(雷):42F
Pカンネコ(水):50F

EX:0%↓108
STUN:1


味方

HP:1500

シン:53F
ナナカA+:34F
聖沙A+:29F
ロロットA+:125F
リア:85F↑85
浩介(無)A+:0F

EX:129%↓36
Rush:7
74%
A+=90


聖沙が行動選択可能となった
聖沙はクロカンに攻撃を繰り出す。

「勝負よ、ライトニングシューター!」
「ニャー!」


魔族

HP:7331↓121

Nクロカン(闇):3F
Sチャオ(雷):35F
Pフリスキー(水):26F
Pキャラット(火):23F
Nモヒカン(闇):104F
Sココカン(雷):13F
Pカンネコ(水):21F

EX:2%↑2
STUN:0


味方

HP:1500

シンA+:24F
ナナカA+:5F
聖沙A+:0F
ロロットA+:96F
リアA+:56F
浩介(無)A+:0F

EX:137%↑8
Rush:8
85%
A+=99


「覚悟めされよ、神速の祝詞」

さらに紫央のアシスト攻撃が炸裂する。
これによって、味方全員は一定時間攻撃力が上昇した。


魔族

HP:7326↓5

Nクロカン(闇):23F(気絶)x10↑20
Sチャオ(雷):35F
Pフリスキー(水):26F
Pキャラット(火):23F
Nモヒカン(闇):104F
Sココカン(雷):13F
Pカンネコ(水):21F

EX:7%↑5
STUN:8


味方

HP:1500

38シンA+:24F
56ナナカA+:5F
56聖沙A+:65F↑
ロロットA+:96F
38リアA+:56F
浩介(無)A+:0F

EX:142%↑5
Rush:9
――%
A+=99


ナナカが行動選択可能となった。
ナナカはココカンに攻撃を放った。

「毎度! 熱いのいっきまーす」
「ニャー!」


魔族

HP:7046↓280

Nクロカン(闇):23F(気絶)x5
Sチャオ(雷):30F
Pフリスキー(水):21F
Pキャラット(火):18F
Nモヒカン(闇):99F
Sココカン(雷):48F↑40
Pカンネコ(水):16F

EX:9%↑2
STUN:7


味方

HP:1500

シンA+:19F
ナナカ:75F↑75
聖沙A+:60F
ロロットA+:91F
リアA+:51F
浩介(無)A+:0F

EX:155%↑13
Rush:10
212%
A+=94


シンが行動可能となった。
シンはカンネコに攻撃を繰り出した。

「行けるっ、深淵滅壊」
「ニャー!」


魔族

HP:6823↓223

Nクロカン(闇):23F(気絶)x5
Sチャオ(雷):30F
Pフリスキー(水):21F
Pキャラット(火):18F
Nモヒカン(闇):99F
Sココカン(雷):48F
Pカンネコ(水):16F

EX:11%↑2
STUN:6


味方

HP:1500

76シンA+:19F
56ナナカA+:75F
56聖沙A+:60F
ロロットA+:91F
38リアA+:51F
浩介(無)A+:0F

EX:155%↑13
Rush:11
188%
A+=94


「俺様登場。追加攻撃!」

パッキーのアシスト攻撃がカンネコを襲う。

「遅い! 高の月武術、散!」

浩介のアシスト攻撃がさらに繰り出される。


魔族

HP:6508↓315

Nクロカン(闇):9F
Sチャオ(雷):11F
Pフリスキー(水):12F
Pキャラット(火):9F
Nモヒカン(闇):80F
Sココカン(雷):29F
Pカンネコ(水)22F↑22

EX:11%
STUN:4


味方

HP:1500

76シン:80F↑80
56ナナカA+:56F
56聖沙A+:41F
ロロットA+:72F
38リアA+:32F
浩介(無)A+:0F

EX:165%↑10
Rush:13
267%
A+=75


ユニゾン!
クロカンとチャオ、フリスキーとキャラットがユニゾンとなった。
ユニゾンリーダーはクロカンだ。

「ニャー!」
クロカンの攻撃。
相手はリアだ。

「ニャー!」

チャオの攻撃がリアへと襲い掛かる。

「ニャー!」

さらにフリスキーもそれに続く。

「ニャー!!」

キャラットも続くように攻撃を仕掛ける。

「「「「ニャー!!」」」」

とどめとばかりにクロカンは渾身の攻撃を放つ。
だが、

「すべて返させてもらうぞ」
「ニャー!!」

浩介の反射によって、すべての攻撃が4体の猫魔族に襲い掛かる。


魔族

HP:0↓7793

Nクロカン(闇):0F
Sチャオ(雷):2F
Pフリスキー(水):3F
Pキャラット(火):0F
Nモヒカン(闇):71F
Sココカン(雷):20F
Pカンネコ(水)13F

EX:11%
STUN:0


味方

HP:1500

76シンA+:71F
56ナナカA+:47F
56聖沙A+:32F
ロロットA+:63F
38リアA+:23F
38浩介(無)A+:0F

EX:219%↑52
Rush:17
307%
A+=66
Y=3

「なんだ、もう終わりか?」





「す、すごい」

そんな呟く声が聞こえた。

「立ちどまってないで走る!!」
「あ、うん!」

僕の言葉に正気を取り戻したのか、シンたちは再び駆けだし始めた。

拍手[2回]

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第28話 連戦の先にあるもの

「立てこもっていても勝てそうもないと思うけど、いくらなんでも無謀だわ!」

シンの指示は単純だった。
立てこもるのではなくこちらから立ち向かっていくという物だ。
それは、僕のこれまでの経験上、一番の最善の策であると断言できる。
立てこもれば、確かに包囲されることはないだろうが、敵はどこからやってくるかは分からない。
天井などから襲撃されればひとたまりもないのだ。

「それがし、先陣を承ります!」
「紫央、あなたは最終兵器だから、私たちの後ろからきて」

威勢よく告げる女子学生に、聖沙さんは苦笑いを浮かべながら指示を出した。

「おお。ようやく姉上もそれがしの実力を認めてくださりましたか!」

いや、それは反対の意味だと思う。

「信じやすい奴だぜ」

大賢者の言うとおりだった。

「放送で、学園生徒と職員は建物内に退避させたわ。存分にやりなさい。ついでに、私も気が向いたら助けるわ」
「ありがとうございます」

何だか、ノリで仲間になるような感じに聞こえたが、戦力が増えるのは非常にありがたかった。
シンの作戦は、敵の大将を直接たたくこと。
一番合理的な作戦だった。
そう、これを慣用句で例えるならば、

「賞を射んと欲する者は、マズイ馬を射よ。ですね!」
「は?」

僕が言おうとしていた言葉をロロットさんが口にするが、ものすごくめちゃくちゃだったため、僕は思わず聞き返してしまった。

「将を射んと欲する者は、まず馬を射よ、ですぞ」

女子学生が正しい慣用句に言い直したが、ロロットさんのははっきり言って意味が逆だ。

(今度、日本語について特訓するように言った方が良いかな)

言う相手は今ヘリから状況を見ている人でいいだろう。

「いくつもある魔力の気配の中で、一番大きくて強い物がある所に大将がいる」
「なるほど」
「わ、私だって今言おうとしてたんだからね!」

何故か聖沙さんがシンと張り合うが、少々分が悪い。
なぜならば、シンは人間(・・)ではないのだから。

「敵が僕らを包囲する前に突破するんだ」

こうして、学園包囲網戦は幕を開けるのであった。










(何だかんだ言ってみんなをしっかりと束ねている……さすがは魔王といった所か。素質は十分だけど、まだ覚醒までは程遠い……か)

あいつと比べる(のも色々と失礼だと思うが)良い線は行っている。
このまましっかりとトレーニングをすればあいつと同じレベルまでこぎつけるだろう。

(だとすれば、今度こそ僕は守らなければ)

あの時(・・・)のようなことにならないために。

(それが、あいつら(・・・)に出来る罪滅ぼしなんだから)

「――介、浩介!」
「な、なに!?」

突然大きな声で呼ばれた僕は、慌てて思考の海から抜け出す。

「何じゃないわよ。さっきからぼーっとして」

どうやら、考えにのめり込み過ぎた様だ。

「ご、ごめん」

取りあえず謝っておくことにした。

「大丈夫? 浩介君はロザリオも持ってないんだから、やっぱり中で待っていた方が――」
「心配無用です。これで自分の身位は守れますし」

僕はそういって鞘に収められた西洋風の剣を掲げる。
これが、僕のお守りでもある。
その名も創造せし者”クリエイト”。
かなり昔に僕が使っていた物で、僕の右腕的存在だ。

「それって、剣だよね? 大丈夫なの」
「心配無用。この剣には相手の攻撃をすべて跳ね返す”反射”の特性があるから」
「何、その変態の男が英雄になるために奮闘する某物語みたいな代物」

何を言っているかは分からないが、クリエイトの特性は反射ではない。
だが、それは言わなくても良いだろう。

「それだったら安心だ。魔力の気配が一番強いのは向こうの方だから、最短距離で突撃だ!」
「オーケー!」

シンの指示を受け、僕は返事をするとシンに続いて駆けだす。

「うわ。魔族さん達ですよ!」

ロロットさんの言葉に、前方を見るとそこには三体の猫耳の魔族が待ち構えていた。

「ニャー!」
「い、いきなり攻撃?!」
「怯まないで走れ!」

いきなり猫魔族が火炎を放ってきたため、ナナカさんがツッコみ口調で声を上げるが、僕はそう一喝すると速度を上げた。

「ちょっと、浩介君!?」

そんな僕に、リアさんが驚いた様子の声を上げる。

「危ないよ!」

続いてシンが僕を引き留めるように叫ぶ。
確かに、このままでは危ないだろう。
僕は、鞘から剣を抜くと迫ってくる火炎に意識を集中する。
クリエイトのリーチ範囲内に入る半歩前のタイミングで剣を振りぬかなければいけない。
そうでないと、確実に僕に命中するからだ。

(今だッ!)

「やぁ!!」

僕は火炎に向けて剣を振りぬく。
その瞬間、僕の元へと向かっていた火炎は一直線に放ったであろう猫魔族の元へと弾き返される。

「ニャー!?」

猫魔族も驚きを隠せない様子だ。
それもそうだろう。
ただの人間が自分たちの攻撃をそのまま跳ね返すのだから。
はじき返した火炎は猫魔族に命中することはなかった。
だが、そこも計算の内だった。
動揺している猫魔族をしり目に、クリエイトを鞘に戻すと僕は常時の2倍の速さで移動する歩法でもある瞬動を使い、一気に猫魔族の背後に回り込む。

「高の月武術―――」
「ニャー!?」

静かに呟きながら剣の柄を掴む。
ここで気付いたところで、時すでに遅し。

「散!!」

鞘から抜いた勢いのまま放たれた三撃に、猫魔族は容赦なく飲み込まれた。

「ニャー!!」

その攻撃に猫魔族たちは戦意を失い、ばらばらに逃げ出した。
気が付くと、走っていたはずのシンたちは茫然と立ちどまっていた。

「す、すごい」

そんな呟く声が聞こえた。

「立ちどまってないで走る!!」
「あ、うん!」

僕の言葉に正気を取り戻したのか、シンたちは再び駆けだし始めた。
僕もそれに続く。
しばらく走り並木道に入ったところで、気の抜けるような音楽が鳴り響く。

「じいや! え、はい!」

どうやらロロットさんの携帯の着信音のようだ。

「会長さん! 前方に魔族がいるそうです」
「わき道は?」
「そちらにもいるみたいです」

という事は、どっちに行こうと魔族と鉢合わせになるのは必至。

「……魔族の姿が見えたら皆で一斉攻撃をして貰いたいんだけど、大丈夫?」
「僕は大丈夫」
「私も」
「私もよ」
「私も」
「私も大丈夫です」
「何か、考えがあるの?」

そのシンの問いかけに、僕は頷く

「にゃー!!」
「行くよ、みんな! エターナルディザスター!」
「プリズミックドライブ!」
「ニルヴァリンゲイツ!」
「グラシアルエッジ!」
「フォトニッククルセイダー!」

猫魔族が現れるのと同時に、皆が一斉砲火を始める。
それよりも早く、僕は上空へ飛び上がる。
剣状のクリエイトを鞘から抜く。

「高の月武術―――」

そして、静かに呟きながらクリエイトの刃先を地面の方へと向ける。
敵がシンたちに気を取られている隙に上空から落とす作戦だ。

「鎮!」

そして落ちる速度を利用して、一体の猫魔族にクリエイトを突き刺す。
とは言え、この”高の月武術”は、武器の特性を捻じ曲げる武術なので、突き刺したところで、刃先は貫通せず、猫魔族が地面に叩き付けられるだけだ。
それはともかく、僕は前に回転しながら次々に”高の月武術・鎮”を放っていく。

「ッぐ?!」

三体の猫魔族に放ち終えた僕は、地面に着地するが、一瞬意識が揺らいだ。

(能力9割カット状態で、これは連発できないな)

魔族であることはおろか神であることも隠そうとしているため、能力の9割をカットしている。
それは身体能力も然りのため、先ほどの動きは体にかなり負荷を掛ける結果になった。

「大丈夫?」
「ああ。問題ない」

クリエイトを鞘に戻しながら立ち上がる僕に、シンが声をかけてくるが、僕は平気だと答える。

「いそいで!」

周囲に感じる魔族の気配はどんどんと迫ってくる。
シンの判断は正しかった。
そして僕たちは再び駆けだした。










たどり着いたのはフィーニスの塔が良く見える高台の広場だった。
そして、魔族の気配がとてつもないほどに大きくなっていた。
おそらくは周囲に……

「にゃ、にゃ、にゃ! あらわれたにゃ貧乏人ども!」

まるでタイミングを計ったように、パスタが姿を現した。

(やっぱりパスタか)

道中で感じた魔力の気配が彼女の物と似ているような気がしたため、もしかしたらと思っていたがやはり彼女だったようだ。

「何でプリエの不良ウエイトレスさんがここに!?」
「お姉ちゃんが皆を退避させたはずなのに」
「それ以前に今日は日曜日だぜ」
「いくら問題のあるウエイトレスさんでも巻き込むわけにはいかないわ」

パスタの登場に、ナナカさん達が驚いた口調で声を上げる。

(とは言え、不良とか、問題があるとか失礼だろ。まあ、本当の事だけど)

「ここは危ないから、どこかに隠れていてください。お願いします」
「え?!」

シンの口から出た言葉に、僕は驚きを隠せなかった。
まさかとは思うが、シンたちは彼女が親玉であることに気付いていない?

「あ、あのにゃ。パスタは――――」
「親玉はどこに潜んでいるのかしら?」
「ウエイトレスさん、安心してください。僕たちが必ず守りますから」

ほ、本当に気付いてない。

「も、もしかして心配してくれてるにゃ?」
「僕たちは地域と学園を守る流星生徒会ですから!」

そしてかっこいい。
何かが間違っているけど、ものすごくかっこいい。
そんな中、再びロロットさんの携帯電話が鳴り響く。

「大変です! 完全に包囲されたようです!」

これで僕たちには逃げ場が無くなった。

「なんだって!?」
「じいやと理事長さん、強行着陸するって言ってます」
「だめだ!」

近づくヘリの音に信が叫ぶ。
当然だ、いくらあの二人(執事の人はともかく)がアレな人でも、危険すぎる。

「ふ、ふ、ふ。これで逃げられないのにゃ生徒会!」

そんな中、ついにパスタが本性(と言っても隠してもいなかったが)を現した。

「ま、まさかウエイトレスさんが対象だったんですか!?」

そしてようやく気付くシンたち。

「その通りなのにゃ! 魔界七大魔将ナンバー2のパスタにゃのにゃ!」

(ナンバー2……下からか)

僕はすぐさま納得した。

「なんでそんなのがウエイトレスしてるのよ!?」

聖沙さんの言葉に、僕は少しだけ視線を空に向けた。

「お前らはパスタを心配してくれたにゃ。パスタちょっと感動したにゃ。だから周りのやつらには手を出させないにゃ。パスタと親衛隊が相手してやるつにゃ!」

微妙に優しかった。
とは言え、現れた猫魔族は、他の猫魔族よりも強い力を持っているようだ。

(これは、いつも以上に気を付けないと)

僕は、クリエイトを鞘から抜いて臨戦態勢に入る。

「にゃ!」
「にゃー!」

猫魔族たちは息の合ったタイミングで火球と雷撃を放つ。

「させない!」

それをリアさんと聖沙さんが迎撃する。

「アトミックバースト!」
「全然効かないにゃ!」

ナナカさんの火球攻撃を、パスタは軽々と避けた

「ばーか、ばーか! エターナルディザスター」
「フォトニッククルセイダ―!」

パスタの闇攻撃をリアさんが相殺する。

「はぁ! アビスブレイカ―!!」

間髪入れずに、シンが攻撃を放つ。

「我が手に集え、フェイタリティーフォース!」

その言葉の瞬間、シンの背中に紫色の翼が生えたような気がした。
次の瞬間、まるで何かに動かされるような形で、女子学生が前に出る。
その手にあるのはただの薙刀。

「叩き斬る! 国津神の息吹」

そして放たれた一撃は、薙刀に纏う”何か”が、ただの攻撃ではないことを告げていた。

「待ってましたー! ダイレクトアタック」

さらにサリーちゃんのハンマー攻撃がパスタを襲う。

「呼ばれて飛び出たぬいぐるみ。ホームラン」

さらに大賢者パッキーも一撃を加える。

「卑怯者!」

その猛攻にパスタが喚くが、

「お前が言うなよ」

その一言に尽きた。
僕はこの時、好機を伺っていた。
それは、パスタたちが平常心を失う時だ。
その時に、僕は勝負に出ようと思っていた。
失敗すれば無傷では済まない、一か八かの危険な賭けだ。

「あっちいけ! アトミックバースト!」
「ッ! プリズミックドライブ!」

パスタの攻撃に、聖沙さんが雷撃を放つが、相手の属性は火。
対する聖沙さんは雷属性。
分が悪すぎる。
それを決定させるように、聖沙さんの雷撃を打ち消して火炎が聖沙さんに迫る。
それを見るよりも早く、僕は聖沙さんの前に割り込むとクリエイトを構える。

「見つけた! アトミックバースト!!」

クリエイトで斬りつけた。

「にゃに!?」

切り付けた瞬間、火炎が自分の方へと向かってくることにパスタは驚いた声を上げる。

(今だ!)

僕は今が好機と思い、瞬動を発動させる。

「き、消えたにゃ!?」
「高の月武術――」
「そこかにゃ!」

僕の声で、場所を知られる。
だが、それでも僕の勝ちだ。

「圧!」
「にゃ!?」

僕を中心に放たれた波動に、パスタたちは容赦なく吹き飛ばされる。
だが、それさえもパスタたちは耐えきった。
それこそ七大魔将と呼ぶにふさわしい物であった。

「お前は何者にゃ!」
「ただの人間。ちょっとばかし、腕っぷしが強いだけの、な!」

パスタの問いに答えながら、僕は再び瞬動を使い上空へと飛び上がる。
前の猫魔族と同じ要領だ。

「高の月武術―――」

クリエイトに力をためて、

「鎮!」

猫魔族に剣を振り下ろす。
さらに前方に回転しながら、横にいた親衛隊の猫魔族にも剣を振り下ろしていく。

「クロカン! フリスキー! キャラッと!」

パスタが地面に叩き付けられた仲間の名前を叫ぶ。

「シン! 今だ!!」
「う、うん。エルゴフォールクラスター!!!」

僕の合図の意味を組んだシンは、渾身の一撃を放つ。

「ぎにゃー!!」

その一撃はパスタを容赦なく飲み込む。
それは、僕たちの勝利を意味していた。

「くぅぅ、人間のくせに生意気にゃ」

シンの渾身の一撃を受けて、顔をゆがめながら地面に膝をついていた。

「パスタ、君の目的はなんだい?」

そんなパスタに、シンは優しく尋ねる。

「それは教えられないにゃ!」
「こういう時は拷問をして白状させるそうです。チベット式拷問とか石抱きとか、色々あるそうです」

目的を言わないパスタに、ロロットはさらりと物騒な事を口走る。

(ほ、本当に彼女は天使なのか? 天使というより腹黒天使だぞ、それ)

尤も、僕も比とのことを言えないわけだが。

「そ、そんな脅しには屈しないにゃ」

そう言っている割には声が震えているようだが。
それに、もっと言うのであれば、別の拷問方法があるはずだ。
たとえれば。

「………ねこ鍋」
「そこ! 何物騒な事を口走ってるにゃ!!」

口にしていたのか、パスタから檄が飛ぶ。

「拷問って……やれないよそんな―――――」

(あれ?)

ナナカさんの言葉が不意に途切れた。

「この状況じゃ、尋問も―――」

(違う、これはみんなの声が途切れているのではなくて、僕の意識が――――)

そこまで考えた瞬間、僕の意識は完全に闇へと飲み込まれるのであった。

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第27話 包囲網

「そこに座って」
「了解」

どうやってかは知らないが保健室のカギを手に入れた聖沙さんはドアを開けると、パイプいすに座るように告げる。
僕は大人しく椅子に腰かけると、聖沙さんが手当てをする道具を取り出すのを見ていた。

「今更なんだけど」
「なに?」
「僕が自分でやればいいような気が――」
「キッ!!」

何故か睨まれたため、僕は口を噤む。

「じっとしてなさい」
「はいはい」

適当に言葉を返して、僕は自分の腕に施される処置をただただ見ていた。
その処置は、とても手際が良くて、それほど痛みを感じることはなかった。
尤も、痛みがないのは治癒しかかっているからだが、それでも彼女の手際の良さには変わり無かった。

「まったくこんな無茶して」
「分かったから、もう許して」

ぶつぶつと文句を口にする聖沙さんに、僕は懇願する。
心配してもらっているのは分かるのだけど、ものすごく罪悪感を感じる。

「別に許してないわけじゃないわよ。何もできない自分に腹が立ってるだけよ」
「…………」

彼女の言葉に、僕は何も返せなかった。
彼女の表情が本当に悔しそうだったから。
自分の安直な行動を悔いた。
だが、これがきっと彼女の今後の役に立つという予感もしていた。
戦いに恥ずかしさは不要。
そうしないと、大事な者も守れないのだから。
きっとこれからはさらに強くなるだろう。

「はい、終わり」
「ありがとう」
「こっちこそごめんなさい。私のせいで」

お礼を言うと、遅れて謝罪の言葉が来た。
僕はそれに”気にしないで”と答えた。

「さて、もう遅いし。良ければ家まで送って行くけど」
「結構です!」

即答だった。
ここまできっぱりと言われると、逆に清々しささえ感じる。

「分かった。それじゃ、校門まで送ってこう」
「べ、別にいいわよ。それに怪我もしてるし」
「歩くのに支障ないし、九条家に向かうルートと一緒だから」
「だ、だったらいいわ」

さすがに家まで送って行かれるのはいやなのだろうと思い、校門までということで妥協することになった。

「それじゃ、後片付けでもしてここを出るか」
「そうね」

僕たちは保健室の後片付けをすると、明かりを落として保健室を後にするのであった。










保健室のカギを元の場所に戻し終えた僕たちは、校舎を出た。

「これ、ありがと」
「別にいいわよ」

包帯に包まれた右腕を上げながらお礼を言うとそっぽ向かれた。

「こっちが良くないよ。……そうだ、いつの日かディナーでもご馳走するよ」
「え? そんな悪いわ」
「気にしなくても良いよ。夕食を作るのもそんなに大変な物でもないし。というより、拒否されたらこっちが困っちゃうくらい」
「……………そ、それじゃ、お願い」

消え入りそうな声で恥ずかしそうに頷いた聖沙さんに、僕は”任せて”と腕まくりをするようなしぐさで答えた。

「変なの」
「よく言われる」

そんな仕草に、ようやく笑った聖沙さんに、僕はそう返した。
そうこうしているうちに、校門前へとたどり着いた

「それじゃ、また明日」
「ええ、また明日」

こうして、僕と聖沙さんは分かれた。
そして、僕は九条家へと戻ったわけだが

「ど、どうしたの!? その怪我 ―――え? 自分から? あなた、何考えてるの? 馬鹿じゃないの!!」

仔細を知った神楽の説教を喰らう羽目になった。
何気に怪我をした痛みより、こっちの方が辛かったりする。

「ちょっと、聴いてるの!?」
「は、はいぃ!」

こうして神楽の説教は続いていく。
終わったのは、午前2時を過ぎた時だった。










11月17日

日曜日、休日ではあるが、生徒会の作業があるために、学園にやって来ていた。

「それにしても、『愛のよろめきのやつら』はすごい展開だよね」
「何ですか? それは」

ナナカさんから始まって、生徒会のみんなが和気あいあいと話ながら作業を進める。
そして僕は、いつものようにその手伝いをする。
そう、この時までは。

「む」
「…………」

不意に感じた周辺のざわめきに僕は周囲を見渡し、シンは眉をひそめた。

「どうかした? あ」
「何か、おかしな感じがする」

そんな僕達の様子に疑問を持ったのか聖沙さんが問いかけるが、途中で異変に気付いたのか言葉を止める。
この気配はおそらくは魔族だ。

「魔族………でもどこから」

シンもそれが分かっているのか周辺を見るが、それはおそらく無意味だろう。
何せ、この感じだと………

「姉上! ここは危険ですぞ! 後はそれがしに任せてお逃げくだされ!」

そんな時、ドアを蹴り破るような勢いで開け放ち、黒っぽいショートヘアの少女が飛び込んできた。

「物の怪どもが学園に満ち溢れております! ですから―――」
「こんちはー」

女子学生の言葉を遮るように、背中に小悪魔を連想させる羽を生やした少女、サリーちゃんが入ってくる。

「出たな、物の怪! ここへのこのこと現れたのが運の尽き――――むぐぐぐっ!」

薙刀を取り出してサリーちゃんに構える女子学生の口を、聖沙さんが果敢にも塞いだ。

「すぐそうやって薙刀を振り回さないの!」

女子学生を注意するその姿は、まるで妹を叱る姉のような感じに見えなくもない。
色々と悶着していると、気の抜けるような音楽が流れだした。

「じいや? あ、はい。分かりました。理事長さぁん!」
「『俺を読んだのはお前か?』」

どうやら、その音楽はロロットの持つ携帯の着信メロディーだったようで、電話に出たロロットの呼びかけに、理事長が現れた。
しかも、無性にかっこいいセリフを口にしながら。

「そうです!」
「仔細は民子ちゃんから聞いたわ。了解、学園上空への侵入を許可する」

そのヘレナの言葉の後、すぐにヘリコプターのプロペラが回る音が聞こえた。

「じいやからの連絡です。学園内に敵影多数だそうです」
「どういうことなの!?」
「今、じいやが学園を空から見たら、魔族さんの姿をたくさん確認したということですよ」

ロロットの報告を聞いた聖沙が驚きながらロロットに問い詰める。

「具体的にはどれくらい?」
「どれくらいですか? そ、そんなにいるんですか!?」

敵の数を聞いたロロットは顔を引きつらせる。

「50以上だそうです!」
「ご、ごじゅう!? マジやばいじゃん!」

ロロットの口から出た数字に、周囲に絶望の色が出始める。
だが、僕は。

「なんだ、たった50か」

昔はその5倍の数を相手にしたこともあった。
結果は語らずともだが。

「大森君?」
「で、どうする? ここでびくびく震えながら迎撃する? それとも、こっちから叩き潰しに行くか?」

僕の呟きが聞こえたのか、怪訝そうな表情で声をかけるシンに、僕は尋ねる。

「………」

しばらく無言だったシンだが、口を開いた。

「皆―――――」

そして、これからの行動が告げられるのであった。

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第26.5話 STAGE03:策略の先に

――ステータス―――



数:3体
HP:4000
属性:闇(Aと明記)、雷(Bと明記)、水(Cと明記)(いずれもLv.2)
EX:100%


味方

数:2人(名義上、聖沙A,Bと表記)
HP:2000
攻撃属性(聖沙):雷(二人ともLv.2)
守護属性:雷
EX:50%
ASSIST:浩介

―――――――

start

魔族三体のフレーム数

A:81F
B:52F
C:91F


味方二人のフレーム数

聖沙A:60F
聖沙B:65F

猫魔族Bはユニゾンを選択。
聖沙Aは行動可能になった。

「行くわよッ ライトニングシューター!」

聖沙Aは猫魔族Bに対して攻撃を放つ。

魔族

HP:3956↓44
A:21F
B:0F
C:31F↑20
EX:102%↑2
STUN:8

味方

聖沙A:0F
聖沙B:5F
EX:58%↑8
Rush:1
0%

「おまけだ! 鎮」

さらに浩介のアシスト攻撃が炸裂する。

魔族

HP:3351↓605
A:21F
B:40F↑40
C:31F
EX:102%
STUN:7

味方

聖沙A:12F
聖沙B:5F
EX:63%↑5
Rush:2
1000%

聖沙Bが行動可能状態になった。

「意識を高めてみるわ」

聖沙Bは詠唱を選択した。
さらに聖沙Aが選択可能状態になった。

「謝っても済まないんだから」

聖沙Aも詠唱を選択した。
そして聖沙Bは猫魔族Aに対して攻撃する。

「ボルトメガストリーム!」
「にゃー!」

魔族

HP:1272↓2079
A:5F
B:24F
C:11F
EX:112%↑10
STUN:6

味方

聖沙A:0F
聖沙B:7F
EX:105%↑32
Rush:3
2000%

「おまけだ! 圧」

さらに浩介のアシスト。
これによって猫魔族Aのノックバック量が2倍になった。

魔族

HP:761↓511
A:85F↑80
B:24F
C:11F
EX:104%↑0
STUN:5

味方

聖沙A:13F
聖沙B:7F
EX:110%↑5
Rush:4
3000%

聖沙Aは猫魔族Cに対して攻撃する。

「痺れちゃうわよ!」

魔族

HP:0↓5531
EX:114%↑10
STUN:4

味方

EX:147%↑37
Rush:5
6111%

「これでも喰らえ! 斬」

さらに浩介のアシストにより攻撃が加えられる

魔族

HP:0↓3517
EX:114%↑0
STUN:3

味方

EX:152%↑5
Rush:6
5051%

「もう動けない筈よ」





「にゃー!」

猫魔族たちは、まるで逃げて行くかのように僕たちの前から姿を消した。
おそらくは、僕たちを倒すのは無理だと思ったのかそれとも何らかの目的を達成したのか。
どちらにせよ、なんとかしのぐことが出来た。

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第26話 戦闘

「あ、こっちこっち」
「は、早いわね」

驚いたような眼差しを向けながら駆け寄ってくる聖沙さん。
その手にはやや大きめの黒い手提げバッグがあった。
勿論、僕のだが。

「はい」
「ありがとう」

僕は聖沙さんから黒い手提げバッグを受け取る。

「ところで」

聖沙さんはそこでいったん区切ると鋭い視線を向けてくる。

「ちゃんとティーポットとカップは戻したんでしょうね?」
「勿論だとも」

聖沙さんの問いかけに、僕は応える。
確かにちゃんと戻している。

「一体どうやって戻すのよ」
「それは企業秘密」

勿論魔法で。
具体的には転送魔法だが。

「企業って、あなた何か会社でも始める気?」
「それはいいね。預かってから全国各地に1時間以内にお届けしますって」
「………」

冗談で答えたら呆れられてしまった。

「冗談だからね?」
「高月君が言うと冗談に聞こえないのよ!!」

(そこまで言わなくても)

聖沙さんの言葉に、僕はため息をつく。
確かに、一瞬考えたりはしたが。

「ところで、高月君はどうやって―――――モゴゴッ!?」

僕は聖沙さんの言葉を遮るように、口を塞いだ。

「何をするのよ!」
「静かに。聖沙、戦闘準備を」

僕の手を振りほどいて怒鳴る聖沙さんに、僕はそう告げる。
理由は微弱ではあるが感じた魔力。
これは魔族が現れたと見るのが妥当だ。
そして、数瞬後にそいつは姿を現した。

「「にゃー!!」」
「ま、魔族!?」

突如現れた猫耳を付けた二体の魔族に声を上げる聖沙さん。

「ほら、戦う準備を。その為のクルセイダースなんでしょ?」
「うぅ、でも………」

僕が促すが、聖沙さんは躊躇っている。
その隙にも魔族たちは徐々に距離を縮めて行く。

「オーケー。だったら僕がやる」
「え?」

僕の言葉が意外だったのか聖沙さんは声を上げる。

「ほ、本気なの!? 相手は魔族なのよ!」
「本気も本気だ」

僕は聖沙さんに答えながら、手提げバッグを地面に降ろして、中から鞘に収まる一本の剣を取り出す。
鞘から剣を抜く。
やや長めの西洋風の剣は、こういった時のために用意していたお守りだ。
剣を抜いた瞬間に、こちらに近寄る魔族たちの動きが一瞬止まる。
本能から、この剣の恐ろしさを感じたのかもしれない。

「掛かってこい!」
「「にゃー!!」」

僕の声に反応して、猫魔族たちは一斉に動き始める。
放たれるのは螺旋状に渦巻く水流とこちらに迸る電撃。

「せやっ!」
「「にゃ!?」」
「え?!」

気合と共に剣を横に振りぬくとそれらすべてはまるで壁が出来たかのように何かに・・・阻まれる。
その事に驚きをあらわにする猫魔族たちと聖沙さん。
この剣は、魔法などの攻撃を無効化することに特化された物だ。
昔、人間で効果は違うが同じような剣を持って世界を救った英雄がいた。
なので、人間だと思い込ませるのにある種好都合な物であった。

(とは言え、このままでは埒が明かない)

あくまでも、僕がやっているのは”時間稼ぎ”だ。
後ろにいる彼女が決定打を与えない限り、これは永遠に終わらない。

(だったら、無理矢理決定打を与えさせるか)

僕はそう思いつくと、早速行動に移すことにした。

「ニャー!!」
「ッつぅ!?」
「高月君!」

一体の猫魔族が放った火炎が僕の左腕を直撃した。
後ろの方で聖沙さんが悲鳴を上げる。
だが、これは僕の予想通りだ。
彼女に戦わせるために、ワザと僕は左腕に直撃させたのだ。
成功率は低かったが、何とか始まりは良かった。
後は相手の攻撃を避け続けるだけだ。

「「にゃー!!」」

二体の猫魔族は攻撃が当たった事に気をよくしたのか、攻撃の勢いを強める。
僕はそれを紙一重で避けて行く。

(どうでもいいけど、ヤバいな)

左腕を動かす度に鈍い痛みが走る。
どうやら、少々傷が深かったようだ。

(これは覚悟を決めるか)

聖沙さんが決定打を放たない時の対処法を行うことの覚悟を決める。
それは僕の力を解放すること。
そうすれば、この危機を脱することが出来る。
ただし、その後に待ち受ける事態は覚悟しなければならない。
そんな時だった。

「気高く在れ、ノーブレスレイザー!!」

後方から雷撃が放たれた。
それは猫魔族の一体に見事命中した。 

「にゃー!」

そんな猫魔族たちは、まるで逃げて行くかのように僕たちの前から姿を消した。
おそらくは、僕たちを倒すのは無理だと思ったのかそれとも何らかの目的を達成したのか。
どちらにせよ、なんとかしのぐことが出来た。

「あ、ありがとう。助かったよ」
「ありがとうじゃないわよ、馬鹿! あと少しで大怪我してたのよ!」

お礼を言うと、若干露出度の高い黒と白を基調とした戦闘服に身を包んだ聖沙さんが大きな声怒鳴ってきた。

「分かってたけど、僕がやらないで誰がやるんだ? 仲間を呼ぶにしても時間が掛かる中で」
「う゛」

僕の切り返しに、聖沙さんは言葉を失う。
確かに、僕の行為は無謀だ。
だが、それでもこの場でできる人がいないのであれば、それをしなければならない。
それが、僕たちに課せられた使命なのだから。

「……約束して、絶対に今後無茶なことはしないって」
「…………善処する」

聖沙さんの言葉に、僕はそう答えるにとどめた。

「さあ、保健室に行くわよ。その怪我を直さないと」
「ありがとう。心配してくれて」
「なッ! べ、べつに、貴女の事を心配なんてしてないんだからね! ただ、私のせいで怪我をさせたお詫びなんだから!」
「はいはい、分かりました」

顔を赤くして否定してくれる彼女に、僕はさらりと流した。

「~~~~~っ! いいから行くわよ!」
「うわッ!?」

さらに顔を真っ赤にした彼女は、僕の腕をつかむとずんずんと歩き出す。

(掴んでいる腕は怪我をした方なんだけど、黙っておくか)

そう思いながら、僕は保健室へと向かうのであった。

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