健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第13話 彼のやるべき事と敵

「よ、迎えに来たぞ」
「………」

なのはが上がってしばらくして、時を見計らったかのように執行人がやってきた。

「何だ何だ? その様子だと話せなかったのか?」
「………実は」

俺は事の顛末を話した。

「へぇ、告白までしたか。で、返事は?」
「………」

俺は首を横に振って執行人の質問に答えた。

「そうか……嫌な事を聞いたな、すまない」
「大丈夫だ」

何だか執行人が変な方向に勘違いしている。
まあ、放っておこう。
告白はしたが、俺はなのはから返事を聞いていないのだ。

「隣良いか?」
「………ああ」

俺は執行人の声色から何かを感じ、頷いた。

「お前の体の後遺症だが」
「分かってる。俺の体の中に駆け巡っているAMFもどきの影響……だろ」

俺は執行人のセリフを遮って告げた。
俺の後遺症は、執行人曰く魔力結合を無効化するAMFに似た何かが、体中に張り巡らされているからだという事だ。
つまり、力を入れようとしても入れられずに正常な行動が出来ない。
だから目が見えなくなったり、足が動かなくなったりするのだ。
俺の持っているステッキは、それを無効化する効果があるのだ。

「知ってるなら話が早い。それをやった首謀者はおそらく、転生者だ」
「………そうか」

執行人の言葉に、俺はそう答えた。
転生者。
不正な方法で違う世界に強制的に割り込んでくるイレギュラー。
その存在だけで世界に負荷をかける一種のウイルスだ。
俺の役割は、この転生者を排除すること。
その為に、俺は転生者の能力の高さに合わせて強くなっていったりするのだ。
あの事故の後に魔法の力がさらに高まったのは、その為だろう。

「俺がメインならそれ自体を無効化できる。だが、お前の場合はあの杖がなければ無効化できない」
「分かってるさ。これを解消する方法が神化するか、解毒剤を作ってもらうしかないことくらい」

神として格上げする”神化”は、俺の切り札だ。
これをやれば、俺は最強の強さと身体能力を手にすることが出来る。
但し、問題がある

「神化すれば、もう元の人間には戻れなくなり、お前は神として長い時を生きることになる」

執行人の言うとおりだった。
神化すれば、俺の寿命は引き伸ばされる。
だがそれは知っている人たちを次々に失うことを意味していた。
だからこそ俺はその方法に打って出れなかったのだ。

「まあ、じっくりと考えると良い。そうすれば、他に何か名案が思いつくだろうよ」
「……そうだな」

なのはへの告白の返事に重ねて転生者の事と、考えることがたくさんだ。
だが、一つずつこなさなければいけないというのも確かであった。










その後、お風呂から上がった俺達を待っていたのは、ロストロギアの反応を知らせる物であった。

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第15話 出張任務終了と転生者

ロストロギアの封印が完了したとのことで、はやてから正式に出張任務の終了宣言がされた。
そして俺達はミッドチルダへと戻っていた。

【どうだった、久しぶりのここは?】
【……そうだな。気兼ねなくのんびりできた。ただそれだけだ】

俺の問いかけに、執行人が完結に答えた。
それは受け取り方を変えるとやや不満足と言う意味でもあった。

【何が不満なんだ?】
【……愚かな転生者が出たことだ】

俺の問いかけに、執行人はそう答えた。
まさしくその通りだ。
なぜにあのタイミングで転生者が現れるのか、非常にタイミングが悪い。

【真人、あの海鳴市に転生者が何人いると思う?】
【……わからない】

執行人の突然の問いかけに、俺はしばらく考えたが、答えが出なかった。

【千人だ】

俺は、その答えを聞いて愕然となった。
海鳴市の人口が何人かは分からないが、かなりの数だ。

【その中には静かに暮らしたい、前世での間違いを正したいというごくごく普通の目的を持った者もいる。だが……】
【あの男のように不埒な輩もいる。だろ?】

執行人の言葉を引き継ぐ形で、呟いた。

【ああ、今は也を潜めているが、いずれその牙を出すかは分からない。まあ、出てきても消せばいいだけの話なんだが】

執行人の言うとおりだ。
転生者が出てきても、ただ消せばいいだけの話。
口にすれば簡単だ。
だが、消せば消すだけ考えてしまう。

(転生者は、どうして転生しようとするのか)

それほど死に対して恐ろしいのだろうか?
しかし、転生する時点ですでに死は迎えている。
だとしたら、一体何のために転生をするのであろうか。
それが俺がいまだにわからない疑問だった。
転生者、それは俺達の敵でもあるが、案外、人の醜い部分を映し出した存在なのかもしれない。
転生者の考える多くの事は偽善だ。
人を救えばその陰で悲しむ人がいる。
それを理解せずに、理想像を振りかざす。
これが偽善でないとすれば、それば一体なんなのであろうか?

【さあ、分からないな。考えるだけでも無駄だ。転生者如きの事をいちいち考え無くてもいい】

俺の考えが分かったのか、執行人がそう告げた。
確かに、今の時点では、執行人の意見が正しいのかもしれない。

【転生者の考えを理解しなくてもいい。奴らは世界を汚す塵なのだから】

執行人の言葉に納得する俺は、すでに心が壊れているのであろうか?
しかし、何と言われても今の俺には執行人の言葉が胸にしみるのだ。










そんなこんなで、突然湧いて出てきた出張任務は幕を閉じるのであった。

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第11話 銭湯で

待機所に戻って合流した美由紀さんとエイミィさんにアルフ達と夕食を食べた俺達は、ひょんなことから銭湯に来ることとになった。
そして海鳴市内にある『海鳴スパラクーアツー』へと俺達は向かうのであった。










中に入ると、店員が元気よく挨拶をしてきた。

「はーい、いらっしゃいませー! 海鳴スパラクーアツーへようこ……団体様ですか?」

大勢で入ってきた俺達を見て、店員は一瞬驚いたが、すぐに対応した。

「えーと、大人15人と……」
「子供4人です」

はやてとフェイトが人数を店員に言った。
と言うより19人ともなれば団体になるよな、普通は。
ティアナは確認のために子供のメンバーを確認していく。

「エリオと、キャロと……」
「私と、アルフです!」

リインがティアナに手を挙げて自分達をアピールする。

「おー!」

そしてアルフは嬉しそうに返事をする。
しかし、こういった場所に獣耳とかしっぽとかを出してていいのだろうか?

(まあ、コスプレだと思われるか)

俺はそう強引に納得した。

「えっと、ヴィータ副隊長は?」

するとスバルはヴィータに確認を取る。

(おーい、スバル。それ禁句だ)

案の定ヴィータはスバルを睨みつけて一言

「あたしは大人だ!」

と不機嫌そうに言った。

(後で絶対にスバル逆襲されるな)

俺は心の中で手を合わせた。

「あ……はい! では、こちらへどうぞー!」

そんなやり取りを見ていた店員は若干表情が引きつっていた。
この日、この店員はある意味大変な時になったに違いない。

「お会計しとくから、さき行っててな」
「はーい!」

はやての言葉に一同は声を揃えて返事をする。
まるで引率する先生とと生徒のようだ。
まあ、ある意味その通りなのだが。
それはともかく俺達は中の方に進んだ。










「にしても本当にすごいな、ここは」

俺は案内図を見て呟いた。
ここの銭湯は当然だが、男女で分かれている。
そしてすごいのは露天風呂だ。
男女ともにあるのはいいのだが、何と混浴用の露天風呂まであるのだ。
普通の露天風呂もあるが、出る所を間違えれば混浴の目に合うことは必須だ。

(気を付けないと)

俺はそう心に強く決意した。
と、そんな事を考えているとエリオは”男”、”女”と分かれて吊されている暖簾を確認していた。

「……あぁ。よかった、ちゃんと男女別だ」

エリオは心底安心していた。

(そう言えば、エリオは女性用のお風呂に入っているんだったっけ)

俺は思い出した。
だとすればエリオがここまで安心する理由は分からなくもない。
まあ、世の男性どもはものすごい贅沢を言っているように感じるかもしれないが。
とそんな時、キャロが笑顔でエリオに近づく。

「広いお風呂だって。楽しみだね、エリオ君!」
「あ……うん、そうだね。スバルさん達と一緒に楽しんできて」

エリオの言葉にキャロの表情が曇る。

「え……エリオ君は?」

エリオはキャロの悲しげな表情に戸惑いつつも必死に抵抗する。

「ぼ、僕は……ほら一応、男の子だし」
「んー……でもほら、あれ!」

エリオはキャロが指さす方の注意書きに目を通した。

「注意書き? えっと……女湯への男児入浴は、11歳以下のお子様のみでお願い……します」

キャロは笑顔のまま、エリオの逃げ道を狭めていく。

「ふふッ、エリオ君10歳!」
「え!? あ……」

慌ててエリオは逃げ道を探る。

「おい、あれ助けなくていいのか?」
「楽しそうだからもう少し見てる」

俺の元にやってきた執行人の問いかけに、俺はそう答えた。
俺の答えに、執行人は『えげつない』とつぶやいていた。
どうでもいいが、この黒いステッキと言うのは微妙に目立つ。
ちなみにエリオは時よりこっちの方に、助けを求める視線を送って来ていた。

「うん。せっかくだし、一緒に入ろうよ」

と、フェイトはキャロに援護射撃を送った。

「フェイトさん!」

キャロは嬉しそうにフェイトを見るが、エリオはまさかフェイトがキャロの援護射撃をするとは思ってもいなかったようで、動揺していた。

「い……あ……い、いや、あ、あのですね……それはやっぱり、スバルさんとか、隊長達とかアリサさん達もいますし!」

エリオは必死に断ろうとするが、その言い方だとあまり断っている風には感じない。

「別に私は構わないけど?」

エリオの抵抗もむなしくティアナはあっさりと承諾した。

「てゆーか、前から、『頭洗ってあげようか?』とか言ってるじゃない」

そしてスバルもだ。

「う……」

エリオは段々逃げ場が無くなってきていた。

「私等もいいわよ。ね?」
「うん」
「いいんじゃない?仲良く入れば?」

アリサ、すずか、なのはと、次々にエリオの女湯入浴許可がおりてくる。
そしてフェイトは『男の言われたい言葉』ベスト10に入っていそうな言葉を言って、止めを刺した。

「そうだよ。エリオと一緒にお風呂は久しぶりだし……入りたいなぁ……」

とうとうエリオは抵抗することが出来なくなった。

(頃合いか)

いままで面白そうだからと黙っていた俺は、助け舟を出すことにした。

「まあまあ、フェイト、俺も男同士の親睦を高めたいなと思ってたんだから、ここは男女別に入りましょう」

そんな俺の言葉に、エリオは非常に喜んだ。

「「えー」」

そしてフェイトとキャロは不満そうな声をあげる。
だが、俺の方も対策を取ってあるのだ。

【後で、エリオをそっちに行かせるので、それでいいでしょ?】
【うーん。それなら】

俺の説得に、フェイトは渋々頷いた。

「それじゃあ、失礼します」

俺はそう言うと男湯の方に向かった。

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第23話 過去(前編)

それは6年前の事だった。

「……ん」

俺は唐突に目が覚めた。

(あれ?)

俺が疑問に思ったのは起きたのに目の前が真っ暗なこと。
夜だと思ったが、周りの喧騒からしてそれは違うと分かった。
そして次は腕が動かくのに足が動かないこと。
そこで俺は気付いた。
俺は色々な物を失ったのだろうと。
それは体の自由だ。
もう俺は人の顔を見たり動いたりすることはできない。
不思議と、悲しみなんてなかった。
いや、悲しむことが出来なかったと言うのが正しいのかもしれない。









その後医者に診て貰って言われたのが、両目の失明と下半身不随であった。
医者曰く、リハビリをする予定だが、しても回復する見込みがないとのこと。
まあ、目が見えないのにどうやってリハビリをするんだって話だが。
そして俺は2年間眠り続けていたらしい。

(どうしたものか)

俺はこれからどうしようかと考えていた。
それから数週間後。
目が見えない、下半身不随の生活に慣れてきた俺は、いつものように垂れ流し状態のニュースを聞いていた。
そんな時、人が入ってくる気配がした。
しかも俺のベッドの真ん前で立ちどまっている。

「誰?」
「………真人、見舞いに来たぞ」

俺の問いかけに答えたのは、声色からして健司だった。
健司はゆっくりと俺の横に移動すると、そこにあったパイプいすのようなものに腰かけた。

「どうだ? 調子は?」
「ああ、もう最高だよ。医者も完治まであと少しだって言ってたし」

俺は健司の問いかけに笑顔で答えた。
ただ、自分でも笑顔なのかは分からない。
体の節々に痛みは残るものの、日常生活が出来るほどには回復したと言うのが医者の話だ。

「まあ、女性を守ったんだから名誉ある傷だよ」
「ッ!」

俺の言葉に、健司は息をのむと逃げるように去って行った。

「………やれやれ」

俺はそんな健司に、呆れが半分相変わらずさが半分の気持ちでつぶやいた。
その後、退院するまで健司はお見舞いに来ることはなかった。

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第20話 緊急出動と深まる溝

俺の意識が戻ると、場所を確認するために目に魔力を通す。

「ん……」

視力を取り戻した俺が見たのは、無機質な天井だった。
そして周りを見渡して、置かれている器材から医務室であることが分かった。
医務官であるシャマルがいないことから、用があった出ているのだと解釈した。
上半身を起こして、腕の力でベッドの端の方に移動すると、壁に掛けられていた黒いステッキを手にベッドから起き上がった。
ベッドメイキングをしている最中、出入り口のドアが開く音がしたので振り返ると、そこには健司の姿があった。

「お、目が覚めたみたいだな」
「ああ、おかげさまでな」

健司の言葉に、俺はそう答えるとベッドメイキングを続ける。

「シャマルが怒ってたぞ、魔力回路に負荷をかける戦いしていたからな」
「げッ!? こりゃ後でお説教だな」
「ははは、諦めろ」

俺の表情を見た健司が笑いながらそう言う。
他人事だと思ってるな。

「ところで……だ」
「………こいつの事か?」

健司の声色がいつになく真面目なものになったので、俺はその内容に検討を付け親指で俺の横……カーテンがかかっている場所を指した。
おそらくそこにはティアナがいるはずだ。

「それもあるが、あの後の事を説明しないといけないだろ」

健司の言葉に納得しながら、俺は事の顛末を聞いた。
まず、あの後魔導殺しもどきの矢によって、強制解除に成功した。
ただ俺とティアナの場合は気を失っていたため医務室に運ばれた。

「なのはかなり思いつめてたぞ。自分のせいでお前に怪我をさせたってな」
「………」

俺は健司の言葉に、何も言えなかった。
健司の言葉の裏には、話し合えと言っているのは丸わかりだ。
そして俺は居た堪れなくなり、医務室を後にする。
空模様からもう夕方だろう。
俺は屋上に移動すると、オレンジ色に染まる空を見上げていた。










それからどのくらいの時間が経ったのか、もう辺りは真っ暗だった。
そんな時、アラートが鳴り響いた。

「こんな時に緊急出動かよ」

俺は愚痴りながら、ロングアーチのいる管制ルームに向かった。










「航空Ⅱ型、4機編隊が3体、12機編隊が1体」
「発見時から変わらず、それぞれ別の場所で旋回機動中です」

どうやらガジェットが現れたようで、モニターにはただぐるぐると同じ場所を旋回しているガジェットの姿が映し出されていた。

「場所はなんにもない海上。レリックの反応もなければ、付近には海上施設も船もない・・・」
「まるで撃ち落としに来いと誘っているような……」
「そやね……」

ロングアーチの副官であるグリフィスさんの言葉に、はやても頷いた。
確かにそう言う印象も持てなくもない。

「テスタロッサ・ハラオウン執務官、どう見る?」
「犯人がスカリエッティなら、こちらの動きとか航空戦力を探りたいんだと思う」

はやての問いかけにフェイトが答えた。

「この状況ならこっちは超長距離攻撃を放り込めば済むわけやし……」
「一撃でクリアですよ」

突然はやての横から出てきたリインが、元気いっぱいに答える。

「うん。でも、だからこそ奥の手は見せないほうがいいかなって」
「まあ実際、この程度のことで隊長達のリミッター解除いうわけにもいかへんしな……」

確かにわざわざ相手がこっちの戦力を見たいと思っているのにそれに乗る必要もない。

「高町教導官と山本二等空佐はどうやろ?」
「こっちの戦力調査が目的ならなるべく新しい情報を出さずに今までと同じやり方で片付けちゃう、かな」
「俺も同じく。相手の思惑に乗る必要もないだろうし、今まで通りにやることが一番かと」

俺となのはは、お互いに意見を述べる。
そしてはやてはグリフィスさんと頷くと

「それで行こう」

そう指示を出すのであった。










場所は変わってヘリポート前。
そこには部隊長を除く隊長陣と、フォワードたちの姿があった。

「今回は空戦だから出撃は私とフェイト隊長とヴィータ副隊長、山本二等空佐の四人」

健司は念のためと言う事で、この場に残ってもらうことにした。

「みんなはロビーで出動待機ね」
「そっちの指揮はシグナムだ。指揮を頼むぞ」
「「「はい」」」

なのは達の言葉に元気よく返事をするフォワードだったが、ティアナだけは浮かない様子であった。

「あぁ、それからティアナ……ティアナは出動待機から外れてとこうか」
「えっ……!?」

それを見たなのははティアナに出動待機からの除外を伝えた。
確かに今の様子では、任務に出たところで彼女を命の危険にさらすことは目に見えている。

「その方がいいな。そうしとけ」
「今夜は体調も魔力もベストじゃないだろうし……」

ヴィータもそれに賛同し、なのはは理由を口にする。

「……言うことを聞かない奴は、使えないってことですか?」
「はぁ……自分で言っててわからない? あたりまえのことだよ、それ」

ティアナの言葉に、なのはは表情を厳しくして答える。

「現場での指示や命令は聞いてます。教導だって、ちゃんとサボらずやってます。それ以外の場所での努力まで教えられたとおりじゃないとダメなんですかっ!?」

ティアナは涙をにじませながらなのはに詰め寄るが、言っていることに俺は納得も出来ない。

「私はなのはさんや山本二等空佐たちみたいにエリートじゃないし、スバルやエリオみたいな才能も、キャロみたいなレアスキルもない。少しくらい無茶したって、死ぬ気でやらなきゃ強くなんてなれないじゃないですかっ!?」

俺は我慢の限界を超えて右手を強く握りしめるとティアナの方に向かう。
そんな時、鈍い音が響いた。
その音の主は……

「健司?」

右手を振りかぶっていた健司だった。

「餓鬼の駄々に付き合うから付け上がる。出撃するものはすぐに出撃しろ。ヴァイス陸曹、もう行けるか?」
「乗り込んでいただけりゃあ、すぐにでも」

健司の問いかけに、ヴァイスはヘリから顔を出して答える。

【こっちは任せておけ】
「三人とも、ここは井上一等空尉に任せて出撃しよう(分かった)」
「あ、ああ」
健司の念話に答え、俺達はヘリに乗り込んで出撃するのであった。

(それにしても、健司があそこまで怒った顔、初めて見たな)

俺は、向っている道中、そんな事を思っていた。

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