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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第12話 見回りと遭遇

夜、僕と神楽は九条家の屋敷の前に集まっていた。

「神楽、首尾は?」
「うん、ばっちりだよ。プリエの清掃をするって言ってきた」
「僕の方も万全だ。プリエの明日の仕込をしに行くという名目さ」

僕達は抜け出す口実を作り出し、九条家の屋敷を出てきたのだ。
だが、その旨半分は嘘だ。

「神楽は向こうにある塔の左側を、僕は右側を調べる」
「了解!」

薄っすらとではあるが見える、大きな塔の様なものを目印に、僕は見回りの領域を決める。

「ちなみに、歩きながらマッピングするのも忘れずに」
「分かってるわよ。それじゃ、終わったらここに集合ね」

そんなこんなで、僕たちは見回りを始めた。
神剣を片手に僕は道と言う道を突き進む。

「ここは噴水広場のような場所か」

少し歩くと最初にたどり着いたのは、噴水広場のような場所だった。
そこを一通り歩くが、特にこれと言って反応はなかった。
その後、教会や高い塔の周辺や、グラウンドを歩くがこれと言って問題はなかった。

【神楽、そっちの状況はどうだ?】
【こっちは順調だよ。ただ図書館の方に魔法陣が組みこまれていたんだけど、特に害のあるものじゃなかったから放置して置いたけど】

神楽の報告に、僕は少しだけ考えをめぐらす。
図書館に魔法陣を組みこむにはそれなりの理由があるはずだ。
そもそも図書館に魔法陣を組みこむ必要性は感じられない。

【そうか。こっちも順調だ。何も問題は………】

僕が念話で神楽にそう報告している時だった。
小高い丘のような場所に、その姿はあった。
黒い服に袖と襟に白い者がつけられた服を着る金色の髪の男、その前には帽子をかぶった赤い髪の女子学生、そしてその横に銀色の髪を後ろに束ねている一見女教師に見える人物の三人がいた。
僕は、とっさの判断で近くの茂みに身をひそめた。

【どうしたの? 浩ちゃん】
【悪い、ちょと切る】

僕はそう告げると、念話をうちきる。
三人は何やら話をしているようだ。

(明らかに怪しい)

僕は不審に思った。
あの三人は、明らかに場違いなのだ。

(っち、もう少し隠れられるような場所があれば)

運が悪いことに今身を潜めている場所から離れると、三人のうち一人に見つかってしまう。

(仕方ない……聴力強化でもするか)

僕はそう考えると聴力を強化して、聞き耳を立てた。

「その姿をしているということは、市街地での魔法陣の設置は終了した……ということか」

聞こえてきたのは、男の人の声

「そう。予定されている77の魔法陣のうち、市街地の44の魔方陣は設置完了よ」
「確認した」

銀色の女性が答え、それに付け足すように赤い髪の女子学生が口を開く。

(市街地に魔法陣を設置だと!? クソッ! 僕としたことが)

僕は自分の未熟さを祟った。

「残りは?」
「私とパスタが学園に潜入し、作業に当たるわ」

男性の問いかけに、銀色の女性が答える。

(そうか、パスタと言う人物と、あの女性が潜入するんだな)

僕は入手した情報を整理する。

「妨害の可能性は?」
「天界に動きはない」

男性の問いかけに、赤い髪の女子学生が答えた。

(あの女子学生が裏切り者の天使か)

僕は、女子学生の言葉からそう断定した。
やはり、タレコミは本当だったのだ。

「奴らには、争いを起こす気概などないからな」
「そうでなければ、一時とはいえお前らとは組まぬ」

どうやら、この三人は仲が悪いようだ。
だが、何だかの目的のために手を組んでいるのだろう。
その後銀色の女性は七大魔将について説明を始めた。
その過程で分かった事だが、どうやら朝あったナンパ男のメルファスさんは、七大魔将で魔族の様だ。
まあ敵でないのなら、特に拳を構える理由はないが。

「貴方の気にしている魔王が、出現した兆候はないわ」
「単なる言い伝えだ」
「いいや、魔王は実在する。リ・クリエが臨界に達した時、魔王は必ず現れる」

男の人は”魔王”という人物が現れることを待ち望む子供のような感じが声から聞き取れた。

(これは、色々と大変なことになった。すぐに神楽と対策を取らなければ)

「はぁ!!!」
「ッ!?!?」

突然男の人の声と同時に何かが真横に着弾した。
それは、魔法弾だった。

(まさか見つかってた!?)

「そこに隠れている奴。出てきたらどうだ!」
「愚かね、私達をこそこそ嗅ぎまわるなんて」

男の人声と同時に、銀色の髪の女性の声がする。
しかもどんどんと近づいてきているようだ。

(やばいな、早く逃げなければ)

僕は、そう判断すると、茂みの奥の方へと進んでいく。
地面に生えている草が当たってかなり痛いが、それを気にせずに突き進む。
そして、少し行った所で植込みがあったので、僕はそこに入り込んで息を殺す。
さらに念のために、認識阻害を施した。
それからしばらく待っても、彼らが来ることはなかった。

(早く神楽と合流して報告しよう)

僕は念のために周辺の状況を探知しながら、小高い丘の方へと戻るのであった。

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