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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第15話 図書館の恐怖と違和感

10月30日

僕は、放課後でプリエに来る生徒の数も落ち着いたため早上がりをさせてもらった。
そしてたまには読書でもと思い、図書館に向かうことにした。
そう、この後に恐怖が待ち受けるとも知らずに。










「ん?」

図書館に入ると、読書用のテーブルの前で紫色の髪をした女性……メリロットさんに生徒会長と会計の三人が集まっていた。

「何をしてるんだ?」
「あ、君は確か大森君だったよね」
「ちょっとねCDを探してるんだ」

声をかけると、会計と生徒会長が答えた。
テーブルの方を見ると、確かにCDのジャケットがあった。
ものすごくオロオロした感じのだが。

「ちょっと、拝見」

そして僕はCDジャケットを覗き見た。
『狂乱する神の下僕』、『呪われた床屋に刻まれし三つの聖痕』、『腐乱する不死者』、『道端の殺戮』、『豚殺しの朝を迎えよ』

「………」

一言で言えば、物騒なタイトルだった。
残っているCDジャケットの方も見てみた。

『聖なる虐殺』、『人類殴殺』、『殺戮の朝をおろがめ』、『黒大福教正義』
「生徒会長と会計は物騒な曲が好みなんだね」

おそらく今の僕の表情は引きつっているだろう。
というより、これはいくらなんでも物騒すぎるだろ。

「あ、僕の事はシンでいいよ」
「同級生なんだし、私はナナカで」

二人は苦笑いを浮かべながら、呼び方を言ってきた。

「にしても、これ一体何?」
「デスメタル……多分」

夕霧さんが微妙そうな表情を浮かべている。

「それにしてもタイトルもそうだが、ジャケットもあれなのばっかり」
「デスメタだからな」

僕のボヤキに、パンダが相槌を打った。

「………最近のパンダのぬいぐるみは、喋るようになったのか?」
「いや、そうじゃなくて……」

僕の問いかけにシンはどう説明したらいいのか分からない様子で答える。

「俺様は大賢者、パッキー様だぜ!」
「大森浩介、よろしく」

俺はとりあえずパッキーに自己紹介した。

「それじゃ、僕はこれで」
「あ、うん。また」

すんなりと慣れている僕に驚いた様子だったが、それを気にせず僕は本棚の方へと歩いていく。

(大賢者パッキーか。たしかあいつら・・・・がよく口にしていた名前だったっけ)

天界にいた頃に知り合った神としての年数では、先輩に当たる人物が時たま口にしていたので、よく覚えていたのだ。
尤も、ぬいぐるみの姿だとは思ってもいなかったが。
そんな時だった。
僕は赤い髪の女子学生とすれ違った。

「ッ!?」

その瞬間、彼女から”何か”を感じた僕は女子学生の向かった方向へ振り返った。
そこには同じように振り向く女子学生の姿があった。

「お前……」

女子学生は何かを言いかけたが、突然興味を失くしたように目を閉じると歩き出した。

(何だったんだ? 今の)

彼女から感じたのは、天使の気配でも人間や魔族の物でもなかった。
よく分からない感覚に僕は首を傾げる。

「ま、いいか」

僕は疑問を振り払うようにつぶやくと、本を探すべく本棚へと目を向けるのであった。

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