なのはからの念話の後、俺は急いで家を後にすると指定された場所に来ていた。
「ここの地点に探索をセットして………」
そして俺は今単独で森の方にサーチャーをしかけていた。
理由としては俺のいる所から近かったからでもあったが。
「にしても一人は嫌だなー」
俺はボソッと呟いた。
一人と言うのはかなり悲しいのだ。
(まあ父さんと母さんに会えたからよしとするか)
俺はそう自分に言い聞かせて作業を続けるのであった。
なのはと合流をした時、シャマルさんから念話が入った。
【ロングアーチから、スターズとライトニングへ。さっき、協会本部から新情報が届きました。ロストロギアの所有者が判明。運搬中に紛失したとのことで、事件性はないそうです】
【本体の性質も、逃走のみで攻撃性は無し。ただし、大変に高価なものなので、できれば無傷で捕らえて欲しいとのこと。まぁ、気ぃ抜かずにしっかりやろ!】
『はい!』
シャマルさんとはやての念話に、俺達はそう返事をした。
どうやら、今回の対象物には危険性はないようだ。
これはほんの少しではあるが、安心材料になる。
「ちょっと、肩の力は抜けたかな?」
「はいです」
「ほっとしました」
なのはの問いかけに、リインとスバルが答えた。
「と言うか、そろそろ日も落ちてきましたし、晩御飯の時間ですね!」
わくわくした様子で言うリインに俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
そんな中、なのははどこかに念話をかけているようだった。
それが終わったかと思うと何かを考え込んでいた。
「う~ん……手ぶらで帰るのも何かな~」
そう呟くと、なのはは私服のポケットから携帯電話を出してどこかに電話をかけ始めた。
「あっ、お母さん? なのはです!」
「「え!?」」
なのはの言葉に、スバルとティアナが驚いていた。
「にゃはは、うん、お仕事で近くまで来てて」
「そうなの、ホントすぐ近く……」
【なのはさんのお母さん………】
【そ、それは存在はしていて当然なんだけど】
なのはが電話で話しているのをよそに二人は念話でそんなやり取りをしていた。
と言うよりかなり失礼だぞ。
確かになのはの能力の高さから母親がいること自体が驚きかもしれないが。
「……さて、ちょっと寄り道」
「はいです~」
電話を終えたなのはがそう言うと、リインが嬉しそうに答えた。
「あの、今お店って……」
「そうだよ。うち、喫茶店なの」
「喫茶翠屋、安くておいしいお店ですよ~」
ティアナの疑問になのはとリインが答えた。
『えええぇぇ~~!?』
そして再び二人の驚きの声が響き渡った。
(だから驚き過ぎだって)
俺は心の中でそうツッコんだ。
こうして、俺たちは急きょなのはのご両親が経営している、喫茶店翠屋へと向かうことになったのであった。
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