「せい!」
最初に動いたのはシグナムさんだった。
手に持つレヴァンティンを振りかざしてきた。
「っふ!」
俺はそれを横に移動することで交わすが、シグナムさんは剣を横に振りぬこうとした。
「ちぃ!」
俺は慌ててバックステップで回避すると、弓を構えて射る。
「地獄の矢よ、今ここに。ライトフレイヤー!!」
数は5本。
「甘い!!」
それをシグナムさんは剣を振ることによって相殺する。
しかし、それはすべて想定済み。
「ブレイクイヤー・マルチショット!!」
「なッ!?」
俺は不意を突く形で一気に15発の矢を射る。
さらにそれだけでは終わらない。
俺は右手に矢を具現化して、槍のように掴むとシグナムの方に肉厚する。
狙うのは槍を使った大技『ブレイキング・ブレイク』だ。
しかし……
「はぁ!!」
「っぐぅ!?」
俺は突然吹き飛ばされた。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「す、すごい……」
「シグナムさんもすごいですけど」
「真人さんもすごいです」
急きょ始まったシグナムとの戦いにFWメンバーは感想を述べていた。
「………」
ただ一人なのはだけは、無言でそのモニター画面を凝視していた。
「なのはさん?」
「え? あ、うん。何かな?」
突然名前を呼ばれたなのはは、驚きながら呼んだ人物に尋ねた。
「えっと、なのはさんはどう思うかなって気になったので」
「あ、うん。彼はとても強いよ。本当に」
スバルの問いかけに、まるで自分に言い聞かせるように答えるなのはを、スバルは首を傾げながら表情で見ていた。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「ッつぅ!」
俺は背中に鋭い痛みを感じながら、ゆっくりと立ち上がった。
何があったのかはよく分からなかった。
おそらく突っ込んだ時にカウンターでもくらったのだろう。
(まだまだだな、俺も)
俺は自分の未熟さに、苦笑いを浮かべながら立ち上がった。
「まだ立てるか。さすがだな山本」
「いえいえ、そう言うシグナムさんもお強い」
俺の前まで来て感心したようにつぶやくシグナムさんに、俺はそう言い返した。
「ふ、そう言うお前もだ山本。実際先ほどの攻撃は少々危うかったぞ」
そしてどちらからともなく武器を構える。
「時間もあと3分だ。これで決めるぞ」
「望むところです!」
そして俺は賭けに出ることにした。
「インバインド・カモフラージュ」
「なッ!?」
俺の使った技に、シグナムが驚きをあらわにする。
「ど、どこに行った!?」
そして俺の姿を探すかのように辺りを見回す。
――――インバインド・カモフラージュ
それは簡単に言えば光学迷彩だ。
自分の姿を相手に見えなくさせることが出来るのだ。
但し魔力を放出したりすれば、簡単に見つかるし空間攻撃はもろに食らってしまう。
俺はその状態でシグナムさんに肉厚する。
「ッぐ!?」
そして魔力をまとった拳をシグナムさんに3回連続で振りかぶる。
「悪魔断拳!」
「がぁ!」
俺がそう叫んだ瞬間、シグナムさんの立っている場所が爆発した。
それはこの勝負が俺の勝利と言う形で、幕を閉じた瞬間でもあった。
[1回]
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