「はい、それじゃあ今日の朝練はここまで」
『あ、ありがとうございました!』
なのはの号令に、フォワードメンバーがお礼を言うとトボトボと隊舎の方へと歩いて行った。
この機動六課の訓練は明らかに異常な密度だった。
朝から朝練、その後朝食を済ませて午前中の訓練、お昼を挟んで午後の訓練となる。
時にはデスクワークの仕事もあるから、新人たちにはかなりきついはずだ。
そんな中、俺と健司は裏方に徹していた。
「これでいいのかよ? 真人」
「こうやってデータをまとめるのも、重要な仕事だってことさ」
新人たちが朝練をしている傍らで俺達は必死にデータをまとめていた。
俺がやっているのは新人たちの訓練データなどをまとめてそれを隊長に送信することだ。
端から見れば簡単なことに見えるが、これだけでも隊長陣の仕事を減らせられるのだ。
そんな時、突然目の前に通信のモニターが開いた。
『あ、二人ともちょっとええか?』
「八神部隊長。なんですか?」
そこに写っていたのははやてだった。
『部隊長室に来てほしいんや。忙しいのに堪忍な』
「「了解です」」
俺と健司ははやてにそう答えて通信を閉じた。
「というわけだから、行くぞ」
「は!? お前もう終わったのかよ?!」
俺の言葉に、健司が驚いた風に呟く。
「ああ、さっきな」
「お前早いよな。俺なんてまだ半分も行ってないぞ」
俺は『健司の場合は遅すぎなのでは?』と言いたくなるのを堪える。
「はぁ………健司、そっちのデータの半分こっちでやる」
「悪い、俺こういうの苦手でさ」
健司は申し訳なさそうに言うが、9割のデータをよこしてきた。
言葉と行動が全く合ってないと思いながら、俺はデータをまとめるのであった。
はやての通信から数分が経ち、俺達は部隊長室に向かった
「すみません。遅れました」
「気にせんでええよ」
はやてからお許しが出たところで、俺は本題を切り出した。
「ところで、突然呼び出してどうしたんだ?」
「実はな、この後派遣任務があるんよ」
「派遣任務」
「ですか?」
はやての言葉に、俺と健司は思わず聞き返してしまった。
「そうや。聖王教会からロストロギアの捕獲をしてほしいと言う依頼で、私等が行くことになったんよ」
「なるほど……」
「ここはレリック専門のはず、なのにどうしてロストロギアで俺達が行くんだ?」
俺ははやての言葉に納得したが、健司は納得できないのかはやてにそう問いかけた。
「そのロストロギアがレリックの可能性も十分に考えられるから……だよな、はやて?」
「うん、そうや。出発は緊急の任務がない限り二時間後やさかい、準備してな」
はやての代わりに俺が答えると、はやては頷いて俺達に指示を出した。
「了解です」
「ところで、その場所ってどこ?」
「それはな………」
健司の問いかけに、はやてが答える。
その次の瞬間。
「「えぇ!!?」」
俺達の驚く声が部隊長室に響き渡る。
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