「真人!」
「執行人!? 一体どこに行ってたんだよ」
なのはの所へ向かっている途中で、俺は執行人と合流した。
「何、この世界には良いものがあるのでな」
「………それを見ていたという事か」
俺はおそらく、呆れたようなまなざしをしていたと思う。
それを見た執行人は平然と言い返してきた。
「僕だって、たまには自分の時間が欲しくはなるし、色々なものに興味が出るさ」
その時の執行人の表情は、どこか寂しげだったため俺は何も言えなくなった。
「まあ、心配するな。話はクロノから聞いている」
「だ、だよな」
俺は執行人の手際の良さに苦笑いした。
そもそもここに来るには、この事態を知らなければいけないもんな。
そのことを忘れていた自分のことを恥ずかしく思った。
「さて、僕は何をすればいい?」
「………大型の魔力反応の敵への牽制を」
俺は執行人の尋ねにそう答えた。
そうでもしないと、敵の攻撃を出ざまに食らう可能性があるからだ。
「了解。では、合図をしたら牽制攻撃をしよう」
そう言って執行人は透明化した。
俺の能力が少しずつ上昇したことによる恩恵らしい。
そして俺達はなのはの元へと向かった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
私は今、私にそっくりな人、名前は確か星光の殲滅者さんと戦っています。
「ブラストファイアーー!!」
「っく!?」
『Round shield』
星光の殲滅さんの砲撃をレイジングハートが守ってくれました。
(接近戦はまずい。回避しないと)
私は何とか距離を取ろうとします。
「ルべライト」
「しまっ――――――」
そう思った時には遅く、私は星光の殲滅者さんにバインドをかけられていました。
「ブラスト……」
(ッ!!!)
私はもうだめだと思い、目を閉じました。
「ファイア!!」
砲撃が放たれた時でした。
『Protection,Extra!!』
「え?」
突然のデバイスの声に、私は閉じていた眼を開けました。
そこにいたのは、黒いバリアジャケットを着ている真人君の姿でした。
★ ★ ★ ★ ★ ★
(いた!!)
しばらく飛んでいると、俺はなのはの姿を見つけた。
だが、なのはの体には紫色の輪のようなもの(おそらくバインドと言う拘束魔法だろう)で体を拘束されていた。
「ブラスト……」
そしてなのはの向かい側には、栗色の髪を短く切り揃え、黒っぽいバリアジャケットを着ている少女がいた。
その少女は砲撃魔法を放とうとしていた。
【執行人、お願い!】
【了解した。3秒後に牽制を行う】
俺は執行人に合図を出し拘束でなのはの前まで移動する。
『Protection,Extra!!』
そしてクリエイトによって防御魔法が展開され、少女の砲撃を防いだ。
「ほんのお返しだ!!」
「ッく!!」
そして少し遅れての執行人のけん制魔法で、目の前の少女との距離が少しだけ開いた。
「なのは、大丈夫?」
「う、うん。私は大丈夫」
俺は背後にいるなのはに声をかけた。
「助けてくれて、ありがとう」
「いや、大丈夫だ。こっちこそ、来るのが遅れて悪かった」
お礼を言ってきたなのはに、俺はそう返すと少女の方へと視線を戻した。
「私の砲撃を防ぐとは……あなたは何者ですか?」
「俺は山本 真人。執行人に選ばれし魔導師だ」
少女の問いかけに、俺は執行人に前から名乗る時にはこう言えと教わっていた名乗りを上げた。
「なるほど。私は”理を”司るマテリアル。星光の殲滅者と申します」
少女―星光の殲滅者―はそう名乗った。
「この結界はお前が作ったものか? お前の目的は?」
「そんなにたくさん聞かれても私には答えようがございません」
俺の問いかけに、星光の殲滅者は目を閉じて静かに答えた。
「そうか」
「どうしても聞きたいのであれば」
そう言いながら星光の殲滅者は、なのはのデバイスとそっくりなデバイスを俺に向けてきた。
俺は、それに無言で弓状のクリエイトを掲げる。
「私を倒してみてください」
「分かった(なのは、戦える?)」
【うん! もちろんなの!】
俺は念話でなのはに確認した。
はっきり言って格の違う相手だと言うことは、すぐに分かった。
なので俺はなのはと協力して戦うという手法に打って出たのだ。
「それでは、あなたの力。私の糧とさせていただきます!」
そして、俺と星光の殲滅者との戦いが始まった。
[0回]
PR