戦も中盤となってきた。
俺やユキカゼ、ブリオッシュは周囲の敵を倒して行っていた。
とは言え一番倒していたのはブリオッシュだが。
そして今俺達ビスコッティ3番隊は、橋の入り口前で止まっていた。
前には大量にいるガレット兵士。
「さあ、この橋を抜ければ本陣もすぐでござるよ。どんどん参られよ!」
セルクルに乗りそう啖呵を切るブリオッシュに、ガレット兵士たちが大声で叫んだ。
そして大勢でブリオッシュの所へと突っ込んでいく。
「しゅんこうれんてんほう」
しかし、それを冷静な面持ちで紋章を背面に出すと紫色の光を纏った剣を振り下ろした。
その瞬間、大勢のガレット兵士たちは猫玉化する。
(いつ見てもすごい)
その光景を見ながらそう思っていると、突破は無理だと判断したのか次々と撤退していく。
「追撃でもする?」
「いや、しなくてもよいでござろう」
神剣を構えて追撃態勢に入る俺の問いかけに、ブリオッシュはそう答えながら剣を肩に担ぐように持ちながら答える。
「ダルキアン卿! 騎士団長より、作戦の伝令でございます!」
そんな時、ビスコッティ部隊の一人がこちらに向かって駆けてきた。
どうやら作戦の変更があるらしい。
「ダルキアン卿とパネトーネ筆頭3番隊は、前方2番隊の応援に向かって欲しいとの事」
「うむ心得た」
兵士の言葉に、そう返すとブリオッシュは深呼吸をする。
「敵陣は薄く伸びておるな。駆け抜けるが早かろう」
そう告げるのと同時に、ブリオッシュは俺達に指示を飛ばす。
「ユキカゼ、渉、ビスコッティ3番隊一同、拙者に続け! 敵陣を抜け2番隊に向かうぞ」
「はっ!」
「御意!」
ブリオッシュの指示に俺達は頷くと、行動を開始しようとするが俺達の前に立ちはだかる人物がいた。
「お待ちくだされ、ダルキアン卿」
「おぅ、久しいの。バーナード将軍」
どうやら相手は将軍のようだった。
ボスの前の中ボス的存在が現れたようだ。
「ご無沙汰です。申し訳ありませんが、ここはお通しできません」
「ふむ……それは一騎打ちのご提案と受け取ってよろしいかな?」
バーナード将軍の言葉に、ブリオッシュは剣を持つ手に力を込めながら好戦的に返す。
「ご無礼でなければ是非に」
バーナード将軍が頷いて、辺りに自然と満ちていた緊迫感が弾ける瞬間だった。
上空から何かが将軍とブリオッシュのに割って入るかのように振ってきた。
「その勝負待ったぁ!!」
その声の先には、セルクルに乗っているロラン騎士団長の姿があった。
「その一騎打ち、私が受けよう」
「ロラン……」
「マルティノッジ卿」
突然現れたロラン騎士団長に、驚きを隠せない二人。
尤もそれは俺もだが。
『おぉっと、状況が二転三転。ここで指揮官対決。両軍の騎士団長同士の対決か!?』
上空からナレ―ターの声が聞こえる。
「すまんな、ここは預かる。行ってくれ、ダルキアン卿」
「うむ、心得た。3番隊、行くでござるよ!」
「はい!」
ブリオッシュに続いて、俺達も動く。
「ッ!?」
俺がこの土地の異変に気付くのと笛の音のようなものが鳴り響くのはほぼ同時だった。
「お館さま!」
「ああ。コノハ、砦の方角でござるな?」
その笛の音を聞いたユキカゼがブリオッシュに声をかけると、ブリオッシュはコノハに訪ねる。
「あの、ダルキアン卿、パネトーネ筆頭。この音色は一体」
「まあ、その……危険警報のようなものでござる」
ユキカゼと並んで先頭を走っていたいた3番隊の兵士の疑問に、ユキカゼが答える。
「一般参加の兵たちが戦を楽しめなくなってしまう危険がある故、拙者らが先導して危険を排除してまいるが、隊の先導や指揮預けるでござる」
「はっ!」
兵士が応えるのを聞いてブリオッシュやユキカゼ、そして俺も走る速度を上げた。
向かうのはグラナ砦だ。
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