健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第2話 最初の戦いと、一歩

「浩ちゃん、あそこはどう?」
「ん? お、あそこなら人通りもないな」

神楽が指さした方を見ると、そこは人通りの少ない場所だった。
まさに僕の求めている絶好の場所だった。

「よし、あそこに降りるぞ」
「了解だよ」

神楽に一言告げた僕たちは、ゆっくりと下降していく。

「ッと、到着」
「うん、お疲れ様だよ~」

なんとか地面に落ちることが出来たことに、僕はほっと胸を撫で下ろした。

「それにしても、ここはどこだ?」

僕は周りを見回す。
まず前に見えるのは青い屋根に木造のアパートのような場所。
庭と思われる場所には色々な草が生えていた。

「浩ちゃん、ここの家の人とか居たりするのかな?」
「ちょっと待ってて」

神楽の不安そうに聞いてくる声に、僕は目を閉じて前方の建物の中の生体反応を調べた。
だが、反応は感じなかった。

「大丈夫だ。誰もいないようだ」
「そう、よかった」

僕の結果に、神楽は肩の力を抜いた。

「さてと、まずやらなければいけないのは――――」

僕が、今後の事について話そうとして時だった。

「ねえ、浩ちゃん。あれは何?」
「あれとは……うわッ!?」

神楽が見ている方に視線を向けると、そこには黒くてまん丸で、一応手足のようなものが付いている生物だった。
他にも鳥のような姿をしていたり、力持ちだと分かるような姿をしていたりする生物3体が、草を食べていた。

「ねえ、あれって野菜よね?」
「ん? よく見てみるとそうだよな。ということは………」

僕と神楽の答えは一つだった。

「「野菜泥棒だ!!」」

一斉に声を出したため、予想以上に大きな声となってしまったようだ。
その為……

「イーッ!!」
「イーッ!」
「イーッ!!」

三体の生物に見つかってしまった。

「『イーッ』って、何を言っているかわかる?」
「どんな内容の事を言ってるかは大体は分かるけど、事細かには分からない」

神楽に僕は目を細めながら答えた。
僕は今、かなり警戒している。
なぜならば、さっきの生物たちの声を翻訳すると

『見つかった!!』
『どうするの!』
『やっつけよう!!』

といった感じだからだ。
つまり、こちらが油断すれば大けがをする可能性がある。

「君たち、今やっていることはしてはいけない悪いことなんだ! でも、ここで素直に帰ってくれれば僕たちは何もしない!! だから素直に消えてくれ」
「浩ちゃん、言葉が通じる訳が――「イーッ!!」――通じた!?」

どうやら僕の言葉が分かるようだ。
それを知った神楽が驚きのあまりにツッコみ口調になっていた。
だが、帰ってきた答えは……

「神楽!」
「え? きゃ!?」

鳥のような姿をした生物による炎の球の攻撃だった。
神楽は、間一髪のところで避けることが出来た。

「この私に不意打ちをするとは………浩ちゃん」
「分かってる」

どうやら今ので神楽にスイッチが入ってしまったようだ。
こっちも向こうの敵対行動を確認した。
つまりは、戦うことが出来る。

「「武装、展開!」」

僕達の言葉が合図となり、一瞬にしてここに来たときに来ていた礼装へと姿を変える。
そして僕の両手に具現化したのは神剣正宗と吉宗だった。
人を切ることはできない正宗と、絶大な攻撃力を誇る吉宗の日本で一本の剣だ。
対する神楽の手には、華やかな舞扇子(まいせんす)が握られていた。
ただのセンスと思う無かれ。
これで本気で叩かれた時の衝撃は、ハンマーと同じほどなのだ。
だが、本人はそういった使い方はしないとのこと。

「僕達の恐ろしさ」
「その身をもって知ると良いわ!!」

そして、この地に降り立って最初の戦いが幕を開けた。

「イー!!」

大きなガタイをした生物が、雷の矢を放ってきた。

「ッと、リューイング・ゼルケーション!!」

それを僕の白銀の光で相殺する。

「イーッ!!」
「甘いわ!」

その隙を狙って放たれた水流を、舞扇子で打ち消した。

「助かった!」
「イー! ――「させないわ! 舞部流・序、闇知らぬ鋼鉄の檻!」――」
神楽の攻撃霊術である、舞部流の効果によって、攻撃をしようとしたまん丸の生物や、その他の二体の生物がまとめて白銀の光を発するゲージに拘束される。

「イーッ!?」
「イー!!」
「イーッ!」

三体がそれぞれ外に出ようと暴れるが、あれはちょっとやそっとで壊れるような強度ではない。

「皆を助ける為の踊り、神楽の舞!」

神楽はその隙を狙って特殊能力である、神楽の舞を発動させる。
どうやら今回は、僕の能力強化の様だ

「行くぞ! その存在を無に還す!! プリマテリアライズ・オーバードライブ!!」

光の傍流が生物を飲み込む。
そして、光が晴れると先ほどの生物は、どこにもいなかった。

「やった! 私たちの大勝利ね!!」

喜ぶ神楽をしり目に、僕は冷静に口を開いた。

「いや、少なくともあの生物たちは消えてはいない。僕の必殺技が直撃する寸前に逃げ出した」
「嘘!?」

そのことに、神楽は驚きを隠せないようだ。

「直撃すると思い気を抜いて、制御を疎かにした瞬間に、突き破って逃げた様だ」
「う゛ッ!?――「油断大敵と、前に言ったはずだ」――はい」

僕の言葉に、神楽の存在感がどんどんと小さくなっていくような気がした。
………何だかいじめているような気がしてきた。

「まあ、こっちの勝利条件はあの生物を追い払う事だから、こっちの勝利には変わりはないけどね」

フォローにもなっていない様なフォローをしつつ、僕はあたりを見回した。

「それよりも、まずはこの惨状を何とかしなければいけないね」
「そうだね」

辺りの光景を見た神楽が引きつったような様子で答える。
その惨状と言うのは……生物の攻撃のせいか、カチカチに凍った草、そして建物への焦げ跡。
さらにそれに追い打ちをかけるように、周りの地面が抉れていた。
おそらくは僕の必殺技の影響だろう。

「神楽は草や建物の焦げ跡を、僕はこの地面を修繕する」
「了解……」

僕の指示を聞いた神楽は修繕作業を始めた。
僕もそれにならい修繕作業をする。
修繕作業とは、霊術によって破損した箇所を元通りにすることだ。
これが、神族である僕たちの義務であった
ちなみに、この修繕作業は僕の一番苦手とすることだったりもする。










それから約1時間後、ようやく修繕作業を終えた僕たちは建物の前に立っていた。

「さて、霊力の残量は?」
「私は99%」
「僕もだ。特に異常もないようだな」

ここに降り立ち、さらにすぐの戦闘で時々体に異変が生じることがある。
それがないかの確認だった。

「神楽、能力の封印を」
「了解」

とりあえず僕は、霊力や魔力、身体能力などを引き下げた。
これをすることで、ほとんどの人には僕達が普通の人間に見えるようになる。

「さて、これからどうするか……だが」
「その天使を探し出すって言うのはどう? 目の色を見れば一目瞭然でしょ?」

僕の言葉に、神楽が意見を言う。

「確かにそれも一手だ。だが、カラコンをして目の色をごまかしたりする者もいれば、逆に普通の人間がカラコンで水色にするという可能性もある」
「そうよね……でも、監視するにも変装をしてもまた今日のように見つかるし、片に警戒されたら尻尾を出さなくなっちゃうよ」

僕の反論に、神楽はそう言い返す。
確かに神楽の意見も尤もだ。
探し出すにも、ほとんど不可能に近く監視しようにも変装したりして歩き回れば不審に思われて、あらぬ誤解を受けかねない。
あの学園も然り、こういった場所も然り。

「そうだ! だったらこの町に溶け込めばいいんだよ」
「溶け込むって……まさか!?」

僕の言葉の意味が分かった神楽が目を見開いて僕を見る。

「根源物質露出」

僕の呟きに、前方に青色の球体が現れた。
これが、この世界の根源が記された世界の根幹だ。
これをめちゃくちゃにいじれば、この世界を狂わすことが出来る。
だからこそ、これの扱いは慎重にしなければいけないのだ。

「浩ちゃん駄目だよ!! あれだけは!」
「これ以外に方法はないんだ、許せ。世界の変革開始。変革要素、根源物質への人物存在追加」

僕の言葉に次々と根源物質が変わって行く。
この世界の在り方や、行く末などには一切手を付けず、僕達の席を作り出す。
簡単に言えば、一つの家の面積は変えずに、部屋を増やすということだ。
なのであまり危険な工程ではない。
とは言え、この世界の根幹をいじくるのだ。
それが神楽の反対する理由だった。

「………終了。これでこの世界のこの国、この町に僕達の戸籍が出来た」
「もう………」

神楽はため息をつきながら批判的な目で僕を見るが、それほど怒っているのではないようだ。
いや、もしかしたら諦めかけているのかも。

「あ、戸籍の方だけど僕の方は”大森(おおもり) 浩介(こうすけ)”、神楽の方は”西田(にしだ) 神楽(かぐら)”という名前になっているから、一応気を付けといて」
「分かった」

これで、戸籍の問題は解消された。
次は、住まいだ。

「町に出るよ」
「町? 住宅街じゃなくて?」

神楽が僕の言葉に、疑問を投げかけた。
確かに、その疑問は正しい。

「いや、より良いこの街への溶け込む方法があるんだよ」
「それってどういう……あ、ちょっと待ってよー!!」

神楽が、慌てた様子で僕を追いかけてくる
僕はそのままスタスタと足を進めるのであった。









先ほど根源物質を見たところ、今日は10月6日であることが分かった。
さらに、この町の名前は『流星町』だという事らしい。
まあ、それ以上の情報は見ていないから何とも言えないが。
そして来たのは商店街だ。
ちなみに僕は青色のジーパンに黒い長そでのシャツ着て、神楽は青色のスカートにオレンジ色のシャツの上に水色のジャケットを羽織るという私服姿に服装を変えている。
そこに入って一軒一軒探すこと数分。

「見つけた」

僕は、とある建物の前で歩くのをやめた。

「ねえ、いい加減教えてくれないかな? 住宅街では無くここに来た理由を」
「それはね、ここだよ。ここ」

僕は神楽の問いかけに、目の前の建物を指し示した。

「ここって……『テナント募集』………まさか浩ちゃん!?」
「さぁて、役場に行くぞ」

神楽の予想を肯定するように、僕は役場の方へと足を進めた。

「ま、待ってよ! 浩ちゃん!!」

そして、神楽は、慌てて僕を追いかけてくるのであった。















■おまけ■

神「ハッピーバレンタイン~」
浩「ハッピーバレンタイン~って、今は何日だと思ってるんだ? というよりそもそもお前はバレンタインデーがなんなのかを知ってるのか?」
神「別にいつだっていいじゃない~。それに知ってるよ。愛する人にチョコレートを渡すんでしょ?」
浩「……」
神「ということで、私のチョコレートをどうぞ」
浩「いらない」
神「えぇ~!? なんでよ!!」
浩「僕には心に決めた人がいる。だから神楽の愛の結晶は受け取れない」
神「うぅ~、失敗」
浩「でも、せっかくくれるチョコだ。ありがたく受け取っておこう」
神「ありがとう、浩ちゃん」
浩「どういたしまして」

??「あの二人は道の真ん中で何をやっているのかな?」
??「きっとお芝居の練習なのですね!」
??「あぁ……なんて素敵な光景なのかしら」

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