休日の朝、俺はいつものごとく駅前の方に向かっていた。
時間は8時30分。
「あれ、待たせたか?」
「ううん。今来た所だよ」
待ち合わせ場所の駅前には、私服姿のまどかが立っていた。
そう、今日はまどかなのだ。
そのまどかの私服はピンクを基調とした上着に、青と白のチェック柄のスカートの服装だった。
「それじゃ、行こう」
俺は、まどかに急かされるように、電車に乗って隣町に向かった。
向かうは隣町にある遊園地だ。
ちなみにこれはまどかの要望だ。
「ねえ、渉君。あれに乗らない?」
遊園地に入るなり、まどかが俺にそう言って指差したのは……。
「え?あれって……『ジェットコースター』!?」
遊園地定番のジェットコースターだった。
ちなみに俺は、ジェットコースターには一度も乗ったことはない。
「そうだな。それじゃ、乗るか」
「うん!!」
でも俺も男だと、覚悟を決めてジェットコースターに乗る事にした。
この時にまどかが例のごとく腕をからめて歩くるのは、微妙に謎だ。
「……」
「わ、渉君。大丈夫?」
そして、ジェットコースターに乗った後、俺はげんなりとしていた。
まどかもその様子を見て、心配そうに声を掛けてきた。
何があったかと言えば、上がったり下がったり回ったりと繰り返しているうちに、酔ったのだ。
(ジェットコースターとは、ああにもおぞましいものだったのか)
俺は後悔するのと同時に、もう二度とジェットコースターには乗らないと、この時決めたのでだった。
「それじゃ、次行くか?」
「うん!」
そして俺達は再び歩き出した。
「……」
「ごめんね、渉君」
まどかが俺に謝ってくる。
「いや、良いんだ。偶々だったんだから」
俺は、笑顔でまどかにそう言った。
果たして今日は厄日なのだろうか?
あの後俺だけに悲劇が連発して起きた。
例えば……。
「ねえ、あれはどうかな?」
「お化け屋敷か~。ってまどかはこう言うの苦手じゃないのか?」
まどかが指差したお化け屋敷の看板を見て、俺はまどかに聞いた。
「だ、大丈夫だよ~絶対に怖がりません!!」
そんな強気のまどかを見て、安心した俺達が中に入ったら……。
「きゃああああああああああ!!!!」
「ぐは!!」
まどかが怯えながら、俺に体を寄せて歩いていたのだが、お化けが出た途端まどかは、大きな悲鳴を上げ(しかも俺の耳元で)俺を突き飛ばして走って行った。
ちなみにその直後にも、何回か悲鳴が響き渡った。
気分を入れ直して、占いをやっている場所に行くと
「あなたに死神が憑いていますよ」
などと言う恐ろしい事を言われた。
しかも、微妙に当たっていそうな気がするから性質が悪い。
そして、極めつけがコーヒーカップに乗った時だ。
「きゃははは!! これって楽しいね~」
「ああ、楽しいけどあまり回さないでくれ~!!」
コーヒーカップに乗った途端、まどかが大はしゃぎし始めて勢い良く回したため、俺はまた眼を回したのだ。
と言う事で俺は今げんなりしていたのだ。
しかも、もう夕方。
時間が経つのは本当に早い(まあほとんどが俺が回復するのに使ったがな)
「ねえ、今度はあれに乗りたいんだけど、駄目かな?」
そう言ってまどかが指差した物は、観覧車だった。
「観覧車か、最後だし行こうか」
「うん!!」
そして、俺は観覧車に向けて歩き出した。
まさか観覧車が高速回転するわけじゃないよな?
俺は観覧車に向かう最中、そんな不安を感じていた。
「うわ~、きれい」
観覧車に乗り、最上部に達するとまどかが感嘆の声を上げた。
確かに、夕日が沈みかけ空では夕焼けと、夜空が混ざっていた。
その時のまどかの姿は、まるでマリアを思わせるような美しさだった。
「今日は、本当に楽しかったね」
「そうだな」
観覧車から降りた俺達は、遊園地を後にして再び電車に乗り三滝原に向かっていた。
「あ、見て。流れ星」
「お、本当だ」
俺は上空に広がる星空を見ながら、今の幸せが長く続くように祈るのであった。
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