ワルプルギスの夜が来るまであと数日。
早速だが、だれか俺の疑問に答えてくれ。
「どうしてこんなことになるんだ?」
一人でとぼとぼと道を歩く俺の手にはスーパーのレジ袋があった。
中身は食料品(お菓子)だ。
ちなみに反対の手にある紙袋の中身は、二人の少女の着替えやら服だったりする。
これを頼んだのは、二人の”元”魔法少女だ。
「ホントにやってくれるな、あの二人は」
まさか俺をパシリにするとは……
俺は、二人をどういびろうかと考えながら拠点地へと戻る俺であった。
「だから、それがおかしいんだって!」
「いいや、あんたの方がおかしい!」
拠点地に戻った俺を出迎えたのは、さやかと杏子の口論だった。
「あ、おかえりなさい」
「ああ、ただいま……でこの状況はなんだ?」
俺は奥から出てきたマミさんに、今の状況説明を頼むことにした。
「何だかわからないけどお菓子のことで言い合ってるみたい」
「はあ?」
俺は久々に首を傾げた。
と言うより何だよお菓子についてってどういう事だよ?
「「渉!」」
「な、何だよ」
首を傾げていると、二人が俺の真ん前に仁王立ちして大きな声で呼んできた。
俺はそれに若干たじろぎながら尋ねた。
「渉は洋菓子が好きだよね!」
「違うよな、和菓子だよな!」
二人して問いかけてくる言葉で、俺はようやく趣旨が分かった。
要するに二人は和菓子と洋菓子の、どっちがいいかで言い争っていたのだ。
「くだらん」
俺は二人の質問をそう一刀両断した。
と言うより本当にくだらない。
「そんな低レベルな事で言い争う暇があったら少しは鍛錬でもしろ。ワルプルギスの夜までもうそう日はないんだぞ」
「そんなことは分かってるよ」
俺の言葉に、さやかは反論する。
「あ、それとこれ頼まれてたものだ。言っておくが俺は便利屋じゃないからな?」
「あ、ありがとう」
「悪いね」
俺はレジ袋を杏子に、紙袋をさやかに渡した。
「でも、これ全部どうやって持ってきたんだよ」
「今日このについては店員を洗脳して払ったように思わせて、さやかのについては家にいる人全員を眠らせて侵入……と言った所かな」
杏子の問いかけに答えると二人の表情がこわばった。
「ん?どうした?」
「それって犯罪じゃない!!」
さやかが叫んだ。
言いたいことはよく分かる。
「まあ、少しばかりの横暴は許してほしいかな。一応許容範囲内でやってるんだから」
俺はそう言うと、奥の方に向かって行った。
「ワルプルギスの夜。必ず終わらせて見せる」
俺は窓から差し込む月の光を眺めながら決意を固めた。
俺の後ろに二人がいるがそんなことは関係ない。
どちらにせよ、すべてはあと数日で終わる。
「それまでは持ってくれよ?」
こうしてまた一日が過ぎて行った。
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