健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第1話 一悶着と再会

「ふぅ」

俺、山本真人はレジアスさんのいる場所を出ると、力を抜いた。
すると、とても明るいはずの俺の部屋は一瞬で暗闇に覆われた。

「えっと、確か着替えとかはここら辺にあったはずだよな?」

俺は手探りで闇の中を探すと、クローゼットと思われる取っ手を見つけた。

「とりあえず中にある服は適当に持ってくか」

数もそんなに多くはないはずなので、向こうでも十分入るだろう。

「よし、こんなものだな」

俺は一通り準備を終えて再び意識を集中する。
すると、再び俺の視界は明るくなり俺の部屋が再び映し出された。

「さて、行きますか!」

そして俺は赴任先の新設部隊”機動六課”へと向かった。










突然だが、簡単に説明をしたいと思う。
あの事故の後、奇跡的に俺は生きていた。
医者の話では本当に運が良かったとのことだ。
しかし、その代償はあまりにも大きかった。
魔法資質に関しては全く……いや、事故に合う前よりも格段に良くなっていたので問題は無しだ。
但し肉体面で問題が残った。
それが下半身不随と両目の失明だった。
要するに俺はもう歩くことも、空を飛んで戦う事も出来ないのだ。
まあ、歩けたとしても両目が失明している時点で誘導弾一発も放てないが。
しかし今でも俺はいつも通りに任務に出ているし、そん所そこらの犯罪者に引けを取らない自信がある。
では、俺はどうやってそれを可能にしたのか。
それを説明するのはまたの機会にしよう。

「それにしても、随分と距離があるな」

俺はリニアレールに揺られながらぼやいた。
もうかれこれ1時間はかかってる。

(早く着かないかな)

今俺の視力は元通りの状態だ。
これは一種に魔力による。
目が見えないと言うのは目から取り入れられた情報が脳に伝わらないからだ。
ならば、その情報を魔力回路を通じて頭に取り込めばいい。
もちろんこれはそう簡単な事ではない。
なので執行人の力を借りて、眼からの情報伝達を切り替えて貰ったのだ。
それが完了するのに約半年はかかった。
そしてこの情報を見るには眼の魔力回路に、魔力を回さなければいけない。
しかし常に魔力を消費し続けるのは俺自身の疲労につながるために、こういった外に出る時と任務の時の身にしているのだ。
俺のやっていることは体に鞭を入れている……要するに常に自分を傷つけているのに等しいのだ。
だからこそ、俺は使い過ぎないようにするのだ。










「ふぅ、ようやくついたか」

あれから30分後、俺の目の前には新設された建物が見えた。
とりあえず検問所で中に入る手続きを取った。
これをやらないとここにいる魔導師が来て一悶着起こすことになるからだ。
そして検問所を通過すると、俺は目にかけている力を抜いた。
これで再び視力が失われる。

(ここから先の道順はすでに把握済みだ。あとは誰かに聞けばいい)

つまりそういう事だ。
そして俺は目を閉じているのを見られないために、まるでどこかのヤクザがかけているようなサングラスをかけた。
そして一歩一歩集中して六課の施設に向けて歩き出した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


私、ティアナ・ランスターは早朝訓練を終えて建物の方に戻っていた。

「待ってよ、ティア!」

走りながら私を追ってくるのは、私の友人のスバル・ナカジマ。

「早く行くわよ。昼食の時間が無くなるわよ」

私は呆れながらそう言うと再び歩き出した。

「ねえ、あれみて!」
「何…よ」

私はスバルが指差す方向に目を向けた。
そこには青いジャケットにジーパンと言う格好で、真っ黒なサングラスをかけている男の人の姿があった。
しかもその人はゆっくりとした足取りで、こっちに向かってきていた。

「なんか怪しいよね、あれ」
「そうね。ちょっと話でも聞いてみましょう」

私はスバルにそう言って男の人の元に向かう。

「あの、すみません。機動六課に何かご用ですか?」
「………」

私の問いかけに男の人は何も答えずに歩いて行く。

「あの、ここから先は許可がないとは入れないんです! 許可証を見せてくれませんか!」
「………」

続いてスバルが男の人に声をかけるけど、男の人は無視して歩いて行く。

「気づいてないってことは……ないよね?」
「あるわけないでしょ。私達の問いかけに二回も無視しているし、私たちの姿が見えてるんだから」

スバルの問いかけに私はそう答えた。

「とりあえず拘束して事情を聴きましょう」
「うん。そうだね」

私はスバルにそう言うとバリアジャケットを展開した。

「許可証の掲示を拒否、立ち入り禁止区域内に侵入したので拘束します」

そして私は男の人にバインドをかける。

「なっ!? バインド?!」

男の人はまるで突然やられた風に驚いた。

(白々しいわね)

それが私の感じた印象だった。
この時、私はそれが早とちりであることに気づかなかった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「なっ!? バインド?!」

俺は突然体を拘束され、驚いた。

(手荒い歓迎だな)

俺は内心苦笑いを浮かべながら目に魔力を通す。
すると視力が戻った。
俺の目の前には、白を基調としたバリアジャケットに身を包むオレンジ色の髪をした少女と、同じく白を基調としたバリアジャケットに身を包む青髪の少女の二人がいた。
それぞれはデバイスのようなものを構えていることから、かけたのはこの二人で間違いないらしい。

「いきなり拘束とは中々だな」
「白々しいわよ。私の忠告を無視した挙句に立ち入り禁止区域に無許可で侵入したからよ。あなたには

不法侵入の罪があります」
俺の言葉に、オレンジ色の髪をした少女が反論してきた。
………何だろう、逆切れだとは分かっているのだが、頭にきた。

「所でこれを解いてくれないかな? これは最終警告だ。こっちも可愛い御嬢さんたちに怪我を負わせ
るようなまねはしたくないし」

「「か、かわいい!?」」

なぜか俺の言葉に顔を赤らめる二人。
しかし二人からは解く気配が感じられない。

「拘束解除の気配なし。敵と判断し対処します。クリエイト、セットアップ」
『All,right.my master』

俺の呼びかけにクリエイトが答え、黒を基調としたバリアジャケットが展開された。
そして手に持つステッキを背中に固定する。
実は俺がこうして歩けるのは、このステッキのおかげだったりするのだ。

「それでは、山本真人、参る!」
「行くわよスバル!」
「うん!」

そして俺達の戦いは始まった。

「クロスファイアー、シュート!」
「無駄! シールプロテクション!」

俺はオレンジ色の髪をした少女からの魔法弾を防御障壁で防ぐ。
強度が上がっているからか、それほどきつくはない。

「おりゃあああ!!」
「真正面からツッコむのは、馬鹿と言う!! ブレイクインパルス!」

俺は目の前からツッコむ青髪の少女に矢を放つ。
それは命中すると思えた。
だが……

「なッ!?」

何と少女の姿が消えたのだ。
瞬間移動でなければおそらくは………

(幻術か)

俺はそう判断すると上空に飛翔しようとした。
地上では幻術使いとは相性が悪い。
そう判断したからだ。

『マスター後ろです!』
「っ!!?」

俺はクリエイトに言われて、慌てて後ろを向いた。
そこには銃の様なデバイスをこちらに向けているオレンジ色の髪をした少女がいた。

「クロスファイアー、シュート!」

確認するのと同時に放たれた魔法弾を俺は身をそらすことで避けた。
………はずだった。
鋭い音がした瞬間、俺は足の力が無くなって行き、そのまま地面に倒れた。

「なっ!? ま、まさか」

俺は周りを見渡した。
そして見つけた。
俺が歩いたりするのに必要な黒いステッキが弾き飛ばされていた。
どうやら、オレンジ色の髪をした少女の魔法弾が当たったのだろう。

「くそ!」

俺は、上半身だけで黒いステッキを取ろうとするがそれはバインドによって防がれた。

「終わりです。あなたを逮捕します」

気づけば目の前には、銃をこちらに突き付けるオレンジ色の髪をした少女が立っていた。

(ここまで…か)

俺は諦めにも近い感じで力を抜いた。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「クロスファイアー、シュート!」

私が男の人に放ったクロスファイア―は、男の人に避けられた。
ですが……。
鋭い音を立てて、男の人が背中につけていたステッキが弾き飛んだ。

「くそ!」

すると、男の人は突然地面に倒れこむと上半身だけで黒いステッキを取ろうとしていた。
それに唖然としながら私は男の人にバインドをかける。

「終わりです。あなたを逮捕します」

私は男の人にクロスミラージュを突き付けてそう告げた。

「分かった、降参だ。抵抗はしないから一つだけ頼みを聞いて貰っていいか?」
「内容にもよりますけど」

私は男の人の提案に、警戒しながら答えた。

「ここの……機動六課の部隊長に合わせてほしいんだ。そこですべてを話す」
「…………聞いてみますので待ってください」

私はスバルに男の人が逃げ出さないように監視してもらうと、男の人から少し離れた場所で部隊長に通信をつなぐ。

『どうしたんや?』
「お忙しい時にすみません。八神部隊長に会いたいと言う人がいるんですけど」

私はここ機動六課の部隊長の、八神部隊長に事情を説明した。

『うーん……とりあえず連れてきてもろうてええか?』
「はい。失礼します」

私は通信を切ると、男の人の所に戻った。

「部隊長が会うそうです。ついて来てください」
「そうか。あとついでに黒いステッキ―を渡してくれるか?」

男の人がさらに要求してきた。

(あの黒いステッキー、この人にとってかなり重要な物であるのは間違いないわね)

問題はそれがどのような物か。
仮にここでこの人に聞いても素直に答えてくれるだろうか?
そしてもし要求通りにあれを渡して、抵抗されたら八神部隊長に危害が加わる可能性もあった。
なので私の出した結論は。

「すみません。それはできません」
「え!? って、おい! 引きずるな! って痛い痛い!」

私は有無も言わせずに男の人を腕をつかんで引っ張って行った。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「部隊長が会うそうです。ついて来てください」
「そうか。あとついでに黒いステッキ―を渡してくれるか?」

俺は何とか部隊長と会えることが出来るので、ほっと安心してもう一つ頼みごとをした。
あれがないと俺は歩くことが出来ないのだ。

「すみません。それはできません」
「え!? って、おい! 引きずるな! って痛い痛い!」

しばらく考えて出された結論に、俺は反論しようとしたが、オレンジ色の髪の少女は俺を引きずりだしたのだ。
分からないかも知れないが、引きずられるのはかなり痛い。

「でしたら立てばいいのでは?」
「だからそれは……あぶ!?」

青髪の少女が俺にそう言ってくるが、俺は反論しようにも引きずられる痛みで満足に話すことが出来ない。
今日は本当に厄日のようだ。


★ ★ ★ ★ ★ ★


私、八神はやては長年の夢だった部隊を設立することが出来た。
そして最初の任務も大成功と言う実に好調な滑り出しとなったのだ。
なので、とても今は問題はないはずなのだが……。

「はぁ……」
「どうしたのですか? はやてちゃん」

ため息をつく私に夜天の書の融合機でもあり、私の家族でもあるリインフォース・ツヴァイが心配そうに聞いてきた。

「いやな、今日一人ここに、出向してくるらしいんや」
「そうなんですか、でもそれがはやてちゃんの溜息とどう関係が」

私はリインフォースに見えるように、書類を見せた。
出向してくる人の名前は書かれてはいなかったけど、魔導師ランクや経歴、資格そして元の部隊名が記されていた。

「名前が書かれてませんね。って、元の部隊は地上本部なんですか!?」
「そうなんよ。あまり疑いたくはないんやけどスパイやないかと私は考えとる」

しかも元の部隊は地上本部のレジアス・ゲイズ中将の部隊。
あの人は私たちの事を嫌っていたので、そういう事も考えてしまう。

「「失礼します」」

そんな中、私が呼んでいたなのはちゃんと、フェイトちゃんが部隊長室に入ってきた。

「あ、忙しいのに呼び出してごめんな」
「ううん、気にしなくても大丈夫だよはやてちゃん」
「そうだよ、はやて」

私の謝罪の言葉に二人は笑顔でそう言ってくれた。

「フォワードの調子はどう?」
「うん。前の任務がいい刺激になったみたい。みんな頑張ってるよ」

私はなのはちゃんの答えを聞いてうれしく思った。

「ところで、呼び出したのはどうして?」
「そうやった、実はね――――」

私はリインには成したのと同じ内容の話をした。

「魔導師ランクSS!?」
「しかも元の部隊はレジアス・ゲイズ中将の部隊」

二人はそれぞれ違った反応を示す。

「もしかしたらスパイやないかと私は考えとる。二人はどう思う?」
「うーん。あの人は私たちのような魔導師をあまり快く思っていないって言うけど……」
「だからと言ってスパイまでよこすようなことをするなんてあまり考えられないかな。もしかしたらちょっとした嫌がらせかもしれないよ」

私の問いかけに、二人は意見を出してくれた。

「そうやね。とりあえずは会ってみないと分からないね」

そんな時だった。

「どうしたんや?」

突然つながった通信に、私はそう問いかけた。

『お忙しい時にすみません。八神部隊長に会いたいと言う人がいるんですけど』

相手はティアナだった。

「うーん……とりあえず連れてきてもろうてええか?」

私は首を傾げながら、ティアナにお願いした。

『はい。失礼します』

そして通信は閉じられた。
そしてそれから数分後。

「八神部隊長。男の人を連れてきました」
「うん、お疲れさ………って、何で引きずっとん!?」

私の元に訪れたティアナとスバルに私は、地面でうつぶせに倒れている男の人のを見て思わずそう叫んでしまった。

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カウンター

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新CM

[03/25 イヴァ]
[01/14 イヴァ]
[10/07 NONAME]
[10/06 ペンネーム不詳。場合によっては明かします。]
[08/28 TR]

ブログ内検索

バーコード

コガネモチ

P R