辺りに広がるのは一面の雪景色。
「はぁ……はぁ……」
そこで俺は息を切らせて倒れていた。
俺の周囲は赤く染められていた。
(なんでこうなったんだろうな)
俺は心の中で何度目か知らない問いかけをした。
そう、それはほんの数十分前の事だった。
異世界での任務を無事に終え、俺たちは帰還していた。
「任務も無事に終わったね」
「そうだな」
「二人とも、気を抜くなよ? 戻るまでが任務なんだから」
俺となのはにヴィータからの喝が飛んできた。
もちろんだが俺たちは気を抜いてはいない。
そんな時だった。
『マスター、前方にアンノウンです!』
「何だと!?」
「あたしも確認した」
クリエイトからの突然の情報に、俺が慌てているとヴィータは前方を見据えていた。
そこから現れたのは、まるでカマキリのような機械が大量に向かってきていた。
「とにかく早く片付けよう!」
「「うん(おう)!!」」
俺の一声に二人は元気よく返事をすると、アンノウンの撃破を始めた。
それは、非常に順調に進んでいた。
「はぁ!!」
剣状のクリエイトを振りかぶりアンノウンを真っ二つにする。
『お見事です。マスター』
「まあ、それほどでもない……って、あれは!!」
俺が見たのは、なのはの背後に迫るアンノウンの姿だった。
そいつは鋭い鎌のようなものをなのはに向けて振り上げていた。
「なのは! 避けろ!!」
俺は大きな声でなのはに警告を出した。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「ディバインシュータ―!」
私は、目の前にいるアンノウンを倒しています。
「はぁ……はぁ」
今まで無理をしていたためでしょうか、体が重いです。
そんな時でした。
「なのは! 避けろ!!」
突然真人君の叫び声がしました。
私は振り返ります。
「ッ!?」
そこにはあたしに向かって鎌のような刃を振り上げている、アンノウンの姿でした。
避けようと思っても、体が動きません。
(ここまで、なの?)
私は心の中で諦めた時でした。
「このぉ!!」
「きゃ!?」
私は誰かに地面に弾き飛ばされました。
何が何だかわからない私は、弾き飛ばした人を見るべく、頭を上げました。
「…………え?」
私はそれしか口から出ませんでした。
「おい! 大丈夫かよ真人!!」
私の視線の先にいるのは、アンノウンに体を貫かれている真人君の姿でした。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「このぉ!」
「きゃ!?」
俺は、避けようとしないなのはを弾き飛ばした。
自分でも信じられない速さで動けたと思う。
そして俺は………
「グフ!?」
アンノウンの鎌のようなものによって胸を貫かれた。
「おい! 大丈夫かよ真人!!」
「大…丈夫。なの……はを、連れて……かえって」
俺は痛みをこらえてヴィータにそう指示を出した。
「だ、だけど真人が」
「良いから!! 早く!!!」
ためらっているヴィータに、俺は声を荒げた。
「ッ!! すぐ戻るから待ってろよ!!」
ヴィータは何かをわめいているなのはを連れて戻って行った。
「はぁ!!」
俺はクリエイトを振りかぶり、胸に突き刺さったままアンノウンを撃破した。
「がぁ!?」
その時の爆風により、俺は地面に叩き付けられた。
そして、俺はそのまま地面にうつぶせに倒れ今に至るのだ。
(俺、死ぬのか?)
心の中でそう考えていた。
もう体の感覚がない。
寒いのかも、痛いのかもわからなかった。
「せめ……て、なのは…に…好き……だって言い…たかった…な」
心残りであることを話しながら、俺の意識は完全に闇へと落ちて行った。
完
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