俺はすべてを失った。
力も、自由も何もかもを。
でも、それでも俺は前に進まなければいけない。
だから俺は進み続ける。
例えそれが地獄だったとしても。
ここは管理局地上本部
そこの首都防衛隊の隊長でもある、レジアス・ゲイズ中将のいる部屋に俺は向かっていた。
「失礼します■■二等空佐です」
「入りたまえ」
ドアをノックして告げた俺にレジアスさんが入出を許可した。
俺は中に入ると俺に背を向けて外を見ているレジアスさんの後ろの方に移動した。
「何の用でしょうか?」
「お主に新たな任務を頼みたい」
「任務とは、一体どのような物ですか?」
俺は任務の内容を尋ねた。
「そこに資料がある。目を通したまえ」
「古代遺物管理部機動六課………何ですかこれ?」
俺は資料に目を通すと、聞いたこともない部署の名前があった。
「つい最近に立ち上がった部署だ。戦力の偏り、何より部隊を作る事由も見当たらん」
「……確かにこれだけの戦力が集まりしかも理由まで分からないとなると、かなり怪しいですね」
俺は、レジアスさんの言葉に賛同した。
その戦力は平均魔導師ランクがSSはあるほどだ。
明らかに異常で、良からぬことを企んでいるともとられかねない。
「そこでだ、お主にそこに潜入してもらいたい。何をするかは、分かっておるだろ?」
「はい。この部について色々と調べればいいんですよね?」
俺の答えにレジアスさんは俺の方に顔を向けると、満足げに頷いた。
「調べて貰いたいのは、奴らのたくらみやもしあればスキャンダルのネタだ。毎日データにして指定した場所に報告をするように」
「はい!」
俺は、レジアスさんの言葉に返事をした。
要するに俺はこの機動六課にスパイ行為をするのだ。
心が痛まないと言えばうそになるが、何かがあってからでは遅いのだ。
「くれぐれも、ばれることの無いようにな? それだけじゃなくてもお主は体に問題があるのじゃからな」
「ご心配ありがとうございます。ですが大丈夫です。たとえ何が起ころうと、任務は成し遂げて見せます」
心配そうに注意をしてくるレジアスさんに俺は安心させるように明るく答えた。
俺は8年前のある事故がきっかけでからの自由をすべて失っているのだ。
「そうか。では、■■二等空佐。これより出向任務に当たれ!」
「了解!」
こうして、俺は潜入調査の任務にあたることになった。
それは、俺にとっての運命を変える1年の始まりでもあった。
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