12月24日
「ごめんねはやて、毎日来れなくて」
はやての病室に、シグナム達全員がお見舞いに来ていた。
「ううん。元気やったか?」
「めちゃめちゃ元気!」
病室にどことなくのどかな雰囲気が漂っていた時だった。
コンコン
突然病室のドアがノックされた。
「ん?」
「こんにちは~」
「っ!!?」
外から聞こえてきた声に、ヴィータ達はドアの方を見る。
「あれ? すずかちゃんや……はい、どうぞ!!」
はやての声と同時に、病室のドアが開く。
『こんにちは~』
「っ!!」
ヴィータも入ってくる人を見て息をのんだ。
「あれ、今日は皆さんお揃いですか?」
「こんにちは、皆さん初めまして」
なぜなら、アリサとすずかが入って来て、その後に入ってきたの人物が……
「「っ!!?」」
フェイトとなのはだったからだ。
「あ、すみません。お邪魔でした?」
雰囲気が重いのを感じたアリサが、謝りながらシグナム達に聞く。
「あ、いえ」
「いらっしゃいみなさん」
シグナムとシャマルは表面上では穏やかな表情で歓迎した。
「なんだ、よかったぁ」
「ところで、今日はみんなどうしたん?」
ほっとしているすずかにはやてが聞いた。
「「えへへ……せーの」」
合図を出して取り出されたのは、いかにもなプレゼントの箱だった。
「サプライズプレゼント~♪」
それにはやては嬉しそうな表情を浮かべた。
「ぁ……」
なのはは怯えていた。
なぜならばその視線の先には、やくざもびっくりな形相で睨んでいるヴィータの姿だった。
「なのはちゃんどうしたの?」
「あ、ううん何にも」
「ちょっとご挨拶を……ですよね?」
なのははから笑いしていた。
「はい」
「あ、みんな、コート預かるわ」
『は~い』
シャマルの言葉に全員返事をする。
「………………」
「えっと、あの……そんなに睨まないで」
さて、未だに睨まれ続けているなのはは、ヴィータにそうお願いする。
「睨んでねえです。こういう目つきなんです」
「こらヴィータ、嘘はアカン! 悪い子にはこうで」
「んぅー! んぅー!」
はやてがヴィータの鼻をつまむ。
それによって病室内の雰囲気は多少だが改善された。
★ ★ ★ ★ ★ ★
今、俺は八神家にいるのだが。
「………」
「………」
シャマルさん達がはやての所にお見舞いに行くと言うことで、俺とザフィーラの二人でお留守番をすることになったのだ。
お互いに何も会話がなく、ものすごく居心地が悪い。
「真人」
「は、はい!」
突然声をかけられたので、思わず声が裏返ってしまった。
「そう構えなくてもよい」
「あ、はい」
ザフィーラさんに突っ込まれてしまった。
「………お前は何のために戦う?」
「え?」
予想外の問いかけに、俺は一瞬固まった。
「お前たちの戦う理由が分からなくてな。執行人に理由を聞いたが、言いたくないとの一点張りだったのだ」
「当り前だ。なぜ僕が、答えなければいけないのだ?」
「あ、あはは……」
執行人の言葉に、俺はただ笑うしかなかった。
そういう意味では執行人らしいと言えば言えるが。
「俺の戦う理由………ですか」
俺はふと考えてみる。
俺が魔法の力を手に入れたのは、アクシデントに近かった。
簡単に言えば、生きるために力を手にしたようにも思える。
でも、それは違うような気がする。
それじゃ、俺の責務をこなすため?
それも違う。
全ては後付けの言い訳のような気がする。
「………無理に答えを出さなくてもよい。だが、いつかその答えがとても必要になる時が来ることは覚えておけ」
ザフィーラさんの言葉には、重みがあった。
「はい」
俺に出来たのは、ただそう答えるだけだった。
「それにしても、シャマル達と念話が通じない。様子を見てくる」
「あ、俺も!」
俺はザフィーラさんが立ち上がったのを見て立ち上がるが、それはザフィーラさんの右手に阻まれた。
「いや、真人は良い。俺が行く。しばらく待っていてくれ」
ザフィーラさんはそう言うとリビングを後にした。
(何だか、いやな予感がする)
俺はそんな予感を感じながら、ザフィーラさんが戻ってくるのを待つのであった。
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