【真人君!! これは一体どういう事!!!】
シャマルさんから大声の念話が入った。
【もしかしてメールが来たんですか?】
【ええ。さっきシグナムと話したんですが、私たちはお見舞い中は席を外して置こうと思うんです。それよりも、あの白い魔導師と真人君とは一体どういう関係ですか?】
俺はシャマルさんの問いかけに正直に答えることにした。
【クラスメイトです】
【そう。でもどうしましょう……】
【そのことだが、ちょっと良いか?】
シャマルの言葉に、突然執行人が念話で割り込んできた。
【はい、何でしょう?】
【その件だが、ここは僕に任せてはもらえないだろうか?】
【何かいい方法でもあるのか?】
俺は執行人に聞いた。
【ああ、はやてからシャマルさん達の名前が出ないようにすればいいんです】
【そんなことが出来るのか!?】
執行人の案に、俺は思わず大声で聞いた。
【そう大きな声を出すな。僕のワード封印魔法でならできます】
【その封印魔法がなんなのかはよくわからないけど、お願いします】
シャマルのその一言で、念話は終了した。
そして俺は授業を受けるのであった。
放課後、俺達は病院に来ていた。
コンコン
「はぁ~い。どうぞ」
中からはやての声が聞こえ、俺達は病室に入った。
「「「「こんにちは~」」」」
「こんにちは、いらっしゃい」
はやては俺達が押しかけても嫌な顔一つもせずに応対した。
「お邪魔します。はやてちゃん大丈夫?」
「うん、平気や! あ、みんな座って、座って」
「ありがとう」
俺はちょっと遠慮して壁に寄り掛かるだけだった。
「コート掛けそこにあるから」
「うん」
「あ、これうちのケーキなの」
なのはが思い出したように手に持っていたケーキをはやてに渡した。
「それにしても驚きやわ~、まさか真人君がすずかちゃんとお友達だったんとはな」
『えっ!?』
早速はやての衝撃のカミングアウトがやってきた。
「ま、真人君はやてちゃんのお知り合いなの!?」
(うは~……)
俺は体中のtからが抜けたような気がした。
【記憶操作……開始】
執行人が小さな声でつぶやいた。
「そうなんよ。この間図書館で本を取ってもらってな、それから友達になったんや」
「まあ、そんなところだ」
はやての言葉に、俺は合わせるように頷いた。
【ワード封印……シャマル、闇の書、シグナム、ザフィーラ、ヴィータ】
さらに執行にが何かを呟いた。
【何をやったんだ?】
【相手の記憶を操作する記憶操作に、特定の単語を言えなくするワード封印だ】
何とも便利なものだと俺は思った。
「そんなところに立ってないで、こっちに来なさいよ」
「そうだぜ! 真人!!」
俺は健司によって強引にはやてのそばまで歩かされた。
その時の健司の表情は、何かが吹っ切れた様子だった。
そのあと少しして俺達は、病院を後にした。
【闇の所がはやてちゃんを浸食する速度が上がっているみたいなの。このままだともって一月……ううん、もっと短いかも】
その日の夕方、シャマルからそう伝えられた。
(そんな事絶対にさせない。絶対に!!)
俺は心の中でそう誓いながら、蒐集を続けた。
★ ★ ★ ★ ★ ★
管理局本局のある部屋で、モニターを見ている白髪に白髭の老人……ギル・グレアムがいた。
「父様。あんまり根を詰めると体に毒ですよ」
「そうだよ」
グレアムに声をかけたのは彼の使い魔のリーゼ姉妹だった。
「リーゼか……どうだい?様子は」
「まあ、ぼちぼちですね」
「クロノ達も頑張っているようですけど……まあ、相手は闇の書ですので」
グレアムの問いかけにリーゼ姉妹が答える。
「そうか……すまんなお前たちまで付き合わせてしまって」
「何言ってるの、父様」
ロッテが身を乗り出して反論する。
「あたしたちは父様の使い魔。父様の願いはあたしたちの願い」
グレアムの謝罪に終いは反論した。
「大丈夫だよ父様。デュランダルももう完成しているし」
「闇の書の封印……今度こそきっと大丈夫ですよ」
その部屋からリーゼ姉妹の笑い声が聞こえる。
彼女たちの陰謀も、佳境に入っているようだ。
[0回]
PR