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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第24話 自分の魔法

「………」

ザフィーラさんが出て行ってから少し経った。
俺は不安を感じていた。

「遅いな」
「何かあったのではないか?」

俺の呟きに、執行人がそう呟いた。
そうだ、なんで気づかなかったんだ!

「ザフィーラさんは異変を察知して行ったんだ。何かがないはずがないじゃないか」

俺はそう言ってソファーから立ち上がった。

「行くのか?」
「もちろんだ!!」

執行人の、問いかけに俺は答えた。

「今回は少々危険が伴うぞ。それでも行けるのか?」
「当り前だ! 魔法を使えるようになってから覚悟なんてできてる」

執行人に俺はそう答えた。
そうだ。
とうに覚悟はできている。

「よし、それでは行――――――」

執行人が行こうと言おうとした瞬間、空間が区切られるような感じがしたと思うと、景色が変わった。
これは……

「結界!?」
「どうやら四の五の言える状況ではないな。急ぐぞ!!」

執行人は、その結界から何かを感じ取ったのか慌てた様子で俺に告げてきた。

「おう!!」

そして俺達は八神家を飛び出すのだった。









外の景色は、やはり結界内のようでモノクロ色になっていた。

「ここら辺一帯に結界が施されているようだね」
「ああ、しかもこの空気はかなり危険だ」

俺の言葉に、執行人はそう答えながらあたりを見回していた。
確かに雰囲気がいつもとは違った。
まるで俺の知らない何かが現れているかのような雰囲気だ。
言うなれば空気自体がかなり鋭いとげのように俺に突き刺さっているような感じだ。
空気自体が重く、それが俺をさらに不安にさせていた。

「とまれ! 真人!!」
「ッ!!?」

執行人の突然の警告に、その場で浮遊する。

「な、何だあれは!?」

俺の視線の先には、こっちに向かって飛んでくる何かがあった。

「プロテクション・ホバー!」

飛んでくるものを受け止める特殊防御魔法を、前方に展開する。

「うわ!!」
「ぐッ!?」

飛んできた何かが防御魔法にぶつかり、少し両腕に圧力がかかる。

「って、健司!?」
「………真人か」

飛んできた人物は、友人でもあり転生者でもある健司だった。

「この結界は何だ!! 一体なにがあったんだ!?」

俺は苦しげな表情を浮かべる健司に、疑問を投げかけた。

「おい、一気に質問をするな。こいつも困ってるだろ」
「悪い………って、あんた誰?」

執行人の言葉にいつものように答えようとして声のした方を見た瞬間、そこには見知らぬ俺と同じくらいの背をした少年がいた。
短めの銀色の髪をして目の色が赤い少年だった。

「誰って……執行人だ、執行人。声で気付くだろ普通」

額に手を当てて呆れていた。

「執行人ってそういう姿をしてたのか」
「お前、俺の力がないから、姿を現すことが出来ないって言ってなかった?」

どこか感心した感じでつぶやく健司をしり目に、俺は執行人に聞いた。

「確かに僕が姿を現すには、お前が力を付けるしかない。そしてお前にはまだそれだけの力はない」
「だったら―――」

執行人の答えに反論しようとするのを執行人が遮るようにして上空を指さした。
その上空には何もない。

「ここは闇の属性で形成された結界だ」
「??」

よく理解できない俺の様子を見た執行人がさらに説明を続ける。

「属性と属性相乗効果は知っているな?」
「ああ」

属性の相乗効果とは、周囲に形成された結界などの属性が同じだと相乗効果で威力が上がるというものだ。

「何だよ?その属性相乗効果って」

健司はよく知らないらしいので、俺と執行人は健司に説明した。

「と言うことは、闇属性の奴に有利っていう事だよな」
「お前の周りに闇属性の奴はいるか?」

執行人が健司に問いかける。

「えっと闇の書の意志だけだ」
「そうか……こっちは僕と真人の二人が闇属性だ」
「え!? 真人も闇属性なのか!?」

執行人の言葉に、健司が驚いたように聞いてきた。

「ああ、こいつは俺の弟子でもあり、マスターのようなものだ。だから俺と同じ属性だ」

執行人は最後に”まあ、それでも僕よりは劣るが”と付け加えた。

「さて、次はそっちの番だ。何があったかを教えてくれ」
「……分かった」

そして健司は、何があったかを語り始めた。





健司の話を要約するとこうだ。
まずなのはとフェイトさんがシグナム達と鉢合わせになってしまい、主が分かってしまった。
そして屋上でなのは達が戦い始めるが、突然現れた仮面の男(おそらくは俺を襲ったのと同一人物だ)がなのはとフェイトさん、健司を拘束してはやてを呼び出した
そして仮面の男ははやてを闇の書の主として、覚醒させたのだ。
その後、空間攻撃を使って攻撃をしてきて封鎖結界を張られた。
この時に俺は外に出たのだろう。
そしてなのはの持つ魔法の砲撃……確か名前は………まあいいか―――をぶっ放した。
その際に、すずかやアリサ達に正体がばれてしまったのだとか。
そしてフェイトさんが闇の所に取り込まれたらしい。

「それで、それを助けようとした健司はここまで吹き飛ばされてきたという事か」
「……ああ」

健司の声は、どこか元気がない。

「情けないよな。魔法を使ってちょっとしか経ってない奴に負けて、勝てるはずの敵にも負けて」
「………」

健司の言葉を俺は静かに聞いていた。

「だったら、このまま消えるか?その方が僕も手っ取り早くて助かるんだが」

執行人が健司にそう尋ねる。
俺は思わず執行人の事を怒鳴ろうとしたが、それを必死に堪えた。
なぜなら、これが俺のやるべき宿命なのだから。

「執行人」
「……どうぞ」

俺の表情から、何を言いたいのかを察した執行人は、そう言うと一歩下がった。

「なあ、健司」
「何だよ」
「健司にとって魔法ってなんなのかな?」

俺は、前に執行人に問いかけられた言葉をそのまま聞いた。
魔導師にとっての根源でもあるその質問を。

「それは………」

健司は答えに詰まった。
どうやら、俺と同じように考えてなかったようだ。

「………あの、執行人さん」
「なんだ?」

健司はしばらく考え込むと、執行人に声をかけた。

「俺にも協力させてください!!」
「………理由を聞こうか?」

突然の言葉に、執行人はしばし考えると、そう返した。

「見つけたいんです。俺の魔法の意味を。だから、もう一度戦わせてください!!」
「………………」

健司の言葉に、執行人は無言だった。

「執行人。俺からもお願いだ」

俺は執行人に頭を下げた。
しばらくすると、”はぁ”というため息が聞こえた。

「前からお前は甘いと思ったがこれは、相当だな。まあ、そんな奴をマスターにしてしまったから仕方ないか」

執行人は後悔しながら、だが表情は嬉しそうだった。

「お前はマスターだ。僕に頭を下げなくてもいいんだぞ。だが、真人のお願いを断るわけにはいかねえな。おい健司」
「はい!」

執行人に名前を呼ばれた健司は、背筋を正した。

「お前の抹殺は今後の経過を見て判断しよう。だがしかし、もし不審な行動をとったらすぐに抹殺するゆえ、気を付けるんだな」

その言葉は、執行人なりのOKだった。

「ありがとうございます!」
「ありがとう!」

俺と健司は執行人にお礼を言った。

「本当に変わってるな。さあ、早く行くぞ! 時間もあんまりなさそうだし」
「了解!」
「おう!」

俺と健司と執行人は、前方に光る白銀の光に向かって飛んで行った。

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