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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第13話 正義と悪

3人称Side

翌日のとあるゲームセンター。
そこにあるダンスゲームをプレイする赤髪の少女……杏子がいた。
口にはお菓子を加えていた。
そのゲーム機に『プレイ中の飲食はご遠慮ください』と言う注意書きがあるにもかかわらず……。
そして淡々と軽々プレイしている彼女に、近づく人物がいた

「よう、今度は何さ」

後ろを振り向かずに杏子はプレイしながら後ろにいるであろう人物に用件を聞く。

「この街を、貴女に預けたい」

後ろにいた人物……ほむらの一言に、口にくわえていたお菓子がポキッと言う音を立てて折れた。

「どういう風の吹き回しよ」
「魔法少女には、貴女みたいな子が相応しいわ。美樹さやかでは務まらない」

杏子の言葉に、ほむらはそう答える

「ふん、元よりそのつもりだけどさ。そのさやかって奴、どうする? ほっときゃまた突っかかってくるよ」
「なるべく穏便に済ませたい。貴女は手を出さないで。私が対処する」

曲の方もひと段落つき、杏子はほむらの方へと振り向く。

「まだ肝心なところを聞いてない。あんた何者だ?」
「………」

杏子の問いかけに、ほむらは何も答えない。

「一体何が狙いなのさ」

再び始まった曲に合わせて、再び驚り始める。

「二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」

ほむらの言葉に、杏子の表情が険しくなる。

「なぜわかる?」
「それは秘密。ともかく、そいつさえ倒せたら、私はこの街を出て行く。あとは貴女の好きにすればいい」

優雅に髪を払いながら、答える。

「ふぅん……ワルプルギスの夜ね。確かに一人じゃ手強いが、二人がかりなら勝てるかもなぁ。食うかい?」

曲が終わり杏子はほむらの方に振り向くと、どこから取り出したのかお菓子の入った箱をほむらに差し出す。
それは、二人の間で”同盟”が結ばれた瞬間でもあった。

Side out





夕方、俺達は先日赤髪の少女と交戦した場所に来ていた。

「ダメだ。時間が経ち過ぎている。昨夜(ゆうべ)の使い魔を追う手がかりは無さそうだ」

あたりを調べていたキュウベぇがそう呟いた。

「そう……」

さやかは先ほどからずっと険しい表情をしていた。

「ねぇ、さやかちゃん。このまま魔女退治を続けてたら、また昨日の子と会うんじゃないの?」
「まあ、当然そうなるだろうね」

まどかの言葉に、さやかが答える。

「だったらさ、先にあの子ともう一度会って、ちゃんと話をしておくべきじゃないかな。でないと、またいきなり喧嘩の続きになっちゃうよ」

そのまどかの言葉に、さやかの表情が一変する。

「喧嘩ねえ。夕べのあれが、まどかにはただの喧嘩に見えたの?」
「……え?」

さやかの言葉に、まどかが声を上げた。

「あれはねえ、正真正銘、殺し合いだったよ。お互いナメてかかってたのは最初だけ。途中からは、アイツも私も本気で相手を終わらせようとしてた」
「そんなの……尚更ダメだよ」

確かにさやかの言うとおりだった。
途中からあの佐倉杏子と言う少女は、本気でさやかを殺そうとしていた。

「だから話し合えって? バカ言わないで。相手はグリーフシードの為に人間をえさにしようって奴なんだよ?どうやって折り合いつけろって言うの?」
「さやかちゃんは、魔女をやっつけるために魔法少女になったんでしょ? あの子は魔女じゃない、同じ魔法少女なんだよ。探せばきっと、仲良くする方法だってあると思うの。やり方は違っても、魔女を退治したいと思う気持ちは同じでしょ? 昨日の子も。あと、ほむらちゃんも」
「ッく!!」

まどかの”ほむらちゃん”と言う言葉に、さやかが反応した。

「マミさんだって、ほむらちゃんと喧嘩してなかったら―――――」
「そんなわけない!!」

まどかの言葉を、さやかが大声で叫んで遮った。

「まどかだって見てたでしょ? あの時あいつはマミさんがやられるのを待ってから魔女を倒しに来た。あいつはグリーフシード欲しさにマミさんを見殺しにしたんだ!」
「それ……違うよ」

まどかの言うとおりだ。
俺と暁美さんは馬鹿2号によって拘束させられていた。

「あの転校生も、昨日の杏子って奴と同類なんだ。自分の都合しか考えてない! 今なら分かるよ。マミさんだけが特別だったんだ。他の魔法少女なんて、あんな奴らばっかりなんだよ」
「そんな……」

(こいつ………)

俺はさやかがかわいそうな人間に見えた。
なぜかは分からないが。

「夕べ逃した使い魔は小物だったけど、それでも人を殺すんだよ? 次にあいつが狙うのは、まどかのパパやママかもしれない。たっくんかもしれないんだよ? それでもまどかは平気なの? ほっとこうとする奴を許せるの?」
「さやかちゃん……」
「私はね、ただ魔女と戦うだけじゃなくて、大切な人を守るためにこの力を望んだの。だから、もし魔女より悪い人間がいれば、私は戦うよ。例えそれが、魔法少女でも」

さやかは、まどかにそう言い切ると、去って行った。
それを俺は追いかけた。





「さやか!」
「……何? 渉」

呼び止められたことに、不快感をあらわにしながら答えるさやか。

「これは、お前の友人として言わせてもらう。もし彼女を恨み、倒すのであれば、俺もその対象になるのか?」
「それは……」

俺の言葉に、さやかが言いよどむ。

「何だ?お前の理屈だと、俺も巴さんを見殺しにしたんだぞ?助けられる力もあるのにな」

さやかは先日の俺の戦いぶりを見ているはずだから、それは重々承知だろう。

「で、やるの? やらないの?」
「………なんで」

さやかが口を開いた。

「なんでマミさんを助けなかったの!?なんで見殺しに!!」
「なぜって?そんなの……俺は100人死にかける者がいれば100人全員を救うなんて言う愚かな思想は持っていない。それにこの世界はね、さやか。一人の人間を助けると関係ない人が一人死ぬことになるんだ」
「どうしてよ!!」

俺の言葉に、さやかが反論してくる。

「それが、世界のおきてだ。生きているものが多くなったら、地球はパンクだ。だから人を救えばその分誰かが不幸になり、やがては変わりに死んでいく。それをしてでも、さやかは巴さんを救ってほしかったか?」
「理不尽じゃない。なんであいつらだけ……」

さやかのこの言葉に、俺は甘いと思った。
世界は常に理不尽で、弱い奴から消していくものだ。

「どうでもいいことだ。それに、もし助けることが出来ても俺は馬鹿や愚か者、生きる価値のない奴は、見殺しにする。まあ生きる価値なしの場合はこっちから殺しに行くまでだけど」
「………」

俺の言葉に、さやかはものすごい形相で睨みつけると、俺に背を向けた。

「……さやか、お前は正義の味方になると言ったな?」

俺はさやかにそう問いかけた。

「そうよ。私はあんたとは違う」
「………やめておけ」

俺は一言そう告げた。

「え?」
「そのくだらない目的を捨てろと言ってるんだ」
「なんでよ!!」
「あのな、正義なんてものはこの世にはないんだ。船体ヒーローとか良い例だろ?家屋を壊しても、戦闘中だからと言う理由で周りはヒーロー扱いさ」

俺の嫌な予感はどうやら当たっていたらしい。
この世界には正義なんてものはない。
そもそも何が正義なのか、そういう定義が全くないのだ。

「もしそのまま突き進んだら、お前は無名の偉人のような目にあうぞ」
「……私はあんな奴のような馬鹿なことはしない。打算で友達を殺すなんてそれこそ生きる価値ないよ。もしなるとしても私はちゃんとした形で偉人になる」
「…………」

俺は、殴りかかりそうになる気持ちを落ち着かせた。

「そう。なら、無名の偉人のように、永遠に人々から蔑まれて遺骨を踏みつけられるような風にはならないことだね」

俺はそう言うとさやかに背を向けた。

「言っておくが。そのままで突き進めば、お前………世界から消されるぞ」
「え!?それはどういう――――――」

俺はいう事だけ言ってさやかの言葉を無視して歩いた。
強靭な力は、”世界”にとっては害でしかない。
そのような力を持つ者は、やがて世界から排除(ころ)されるのだ。
無名の偉人のように。

(どっかでこの胸のむかむかを晴らすか)

俺はそんな事を考えながら路地を抜けるのだった。










「そう、さやかさん。そんな事を」
「ああ。このままいくと心配だ」

自宅兼対策本部に戻った俺は、巴さんとティータイムを楽しんでいた。
巴さんの服装は私服なのだろうか、青を基調にしたジャケットに白と黒のスカートだった。

「ところで巴さ―――――」
「マミ」

俺の言葉を遮って巴さんがそう呟いた。

「私の事はマミで構わないわ。それが嫌なら私はあなたの事を渉様って呼んじゃうわよ?」
「………俺が様付けで呼ばれるの嫌だと知って言ってるだろ……マミさん」

俺の言葉に、マミさんは万弁の笑みで”合格ね”と返した。

「……ところでマミさん。ひとつ聞きたいことがある」
「何かしら?」

俺は一つだけ気になることを聞いた。

「なんでお前は俺のサポートをしてくれるのだ?確かにここから出るなと言ったのは俺だが、手伝えとは言ってない」
「……罪滅ぼし……かしらね」

マミさんはそう呟いた。

「私はあの二人を危険な目に合わせる世界へと、引きづり込もうとしていたわ。それにまさかソウルジェムがあんな意味を持っているなんて知らなかった……だから少しでもこうして罪滅ぼしをしたいのよ」
「………」

俺は何も言えなかった。
マミさんは涙を流していた。
そんな彼女に、俺は何て言えばいいんだ?
自業自得だと言うのか?
それは、あまりにもひどすぎだ。

「嘆く時間があるのなら、手を動かせ。調査を進めないとこっちにも時間がないんだ」
「……そうね」

俺の言葉に、マミさんはそう答えると、俺の横にあるモニターとにらめっこをしながらキーボードを打っていく。

(くそ!魔女のできる過程がなかなか見つからない)

俺は気になっていたことの一つでもある、魔女の誕生の秘密を調べていた。
なぜかは分からない。
だが、これが分かることが俺の目的を成し遂げられるカギになるのではないかと言う予感がしたのだ。
そんな時だった。

『まどか、まどか!急いで、さやかが危ない!!ついてきて!』

テレパシーでキュウベぇの言葉が聞こえてきた。

「……マミさんはそこで待機。俺がいく」
「分かったわ。気を付けてね」

俺はマミさんの言葉に、片手をあげるとそのまま家を飛び出した。





「まどか!」
「わ、渉君!?」

まどかが俺がどうしてここにいるの?と言いたげな表情をしていた。

「キュウベぇのテレパシーが聞こえたんだ。キュウベぇ、早く行った方がいいか?」
「もちろんだよ。一刻を争う事態だよ!」

俺の問いかけに、キュウベぇはそう答えた。

「まどか、最初に謝っておく。すまない」

俺はそう言うとまどかのそばで膝をつくと、片腕をまどかの膝にのせもう片方の腕をまどかの上半身に乗せるようにして抱き上げた。

「え?何が……って、えぇ!?」
「声を出すな! 舌をかむぞ!!」
「う、うん」

なぜかまどかの顔が赤い。
だが、今はそれよりも早く駆けつけることだけだ。

「リミットブレイク・ブート1!」

俺は封じられた力を開放した。

「しっかり掴まれよ!」
「え?……きゃああああ!!!?」

俺はまどかに声をかけ全速力で走った。
その速さは、そばを走る車と同じぐらいの速さだ。

『まどか、さやかが話を聞きそうにない時の対処法を教える』
『た、たた……対処法?』

何だか、落ち着きがないまどかをよそに、俺は説明を続けた。

『さやかのソウルジェムを、さやかの体からできるだけ離すんだ』
『離すだけでいいの?』
『そう。そうすれば、さやかの動きを止めることが出来る。でも、それはかなり危険な行為だ。一歩間違えればさやかの命まで危うくなる。やるのならちゃんと考えて』
『わ、分かった』

俺の忠告に、まどかは頷いた。
俺は、この時知らなかった。
この助言が、まどかにあんな行動をとらせるなんて。





まどかSide

私は、渉君にお姫様抱っこをされながら、さやかちゃんがいるところに向かっていました。

(あうう~、頭が真っ白になりそう)

こんな時に、そんな事を考えている自分が、とても恥ずかしくていやでした。

(でもどうしよう。もしさやかちゃんが話を聞いてくれなかったら)

私は渉君の出した提案について考えていました。
一歩でも間違えれば、さやかちゃんを危険な目に合わせてしまう。
でも……

『本当に他にどうしようもないほどどん詰まりになったら、いっそ、思い切って間違えちゃうのも手なんだよ』

ママの言葉が頭をよぎりました。

(そうだね。たまには、思い切って間違えよう。さやかちゃんも謝ってくれれば許してくれるはず……たぶん)

私は心の中でそう決心しました。

「着いたぞ」
「あ……」

到着したのか、渉君が私を地面に降ろしました。
ちょっと残念だと思う私がここにいました。
そして、私の目の前には、さやかちゃんと昨日の魔法少女が向かい合って立っていました。
そんな二人の所に、私は走って行くのでした。
自分の決意が、どうなるのかも知らないで。

Side out

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