健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第5話 対面

あたしは封鎖領域を展開し、リンカーコアを持つ魔導師を探す。

(見つけられれば100頁ほどは稼げるんだ)

やがてあたしは、ビルの建っている場所を歩く人影を見つけた。

「見つけたぞ!!」
「え?」

そいつはあたしを見てなぜか驚いたような様子だった。
そいつは短めの黒髪が特徴のやつだった。

「あ……あれって……」

そいつはあたしの持つアイゼンを見て、おびえたような様子だった。

(なんだ、こいつ?)

あたしは一瞬勘違いかと思ったが、魔力を持たないやつがここにいるわけがないので、すぐにその考えを捨てた。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

あたしはそう答え、誘導弾を放った。

「ッ!!?」

だが、そいつは横に避けた。
その次の瞬間、轟音と共にそいつの経っていた地面が抉れた。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

あたしは、そう言ってアイゼンを構え直す。

「抵抗しなければ無傷で返す」

あたしの言葉にそいつは弓を構えてきた。

「なんだ、やる気か?」
「はぁ!!!」

あたしはこっちに向かってくる矢をアイゼンで薙ぎ払った。

「フン!」

そしてあたしは気付いた。

(っち! はったりか!!)

さっきの弓はあたしを狙ったものではない。
つまりあたしをまくために放った威嚇射撃だ。
そしてあたしはすぐに上空に移動した。
それからしばらくしてそいつが屋上に姿を現す。

「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」
「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」

あたしは誘導弾を放った。

「たぁ!!」

そいつは再び矢で攻撃を打ち落とすが、それは計算済みだ。
あたしは奴の背後に回り込み一撃を食らわした。

「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」

そのままそいつは地面に落ちていく。

(あいつ、魔導師じゃねえのか?)

そんなことを考えた時だった。

「え!?」

そいつは突然声を上げると、右手に大きな剣が現れた。
そいつはゆっくりと地面に向かって下りた。
あたしは、それを確認して地面に降り立つ。

「やっぱり魔導師じゃねえか。バリアジャケットも展開しないとは余裕の表れか?」

あたしはそうつぶやき、そいつに向かって飛び込む。

「行くぞ!!」
『プロテクション!!』

すると、アイゼンは障壁に遮られた。

「か、堅ぇ!!」

あたしは、これ以上は無理だと判断して、バックステップで後ろの方に回避した。

「はぁぁあああ!!!!」

今度は相手があたしに突撃してくる。

「喰らうかよ!!」

あたしは上空へと移動する。
すると、奴まで上空にやってきた。

「よし! 飛べた!!」

奴の言葉に少々疑問を感じたが、あたしは攻撃の準備をする。

「行くぞ!!」
「はっ!!」

あたしは奴にめがけて鉄球を放つ。

『プロテクション』
「っち!」

しかし奴はあたしの攻撃を防ぎやがった。

「一刀」

その事実に思わず固まっていた隙を突かれ、あたしは攻撃を許してしまった。

「両断!!!」

あたしは間一髪で障壁を張った。

「やったか?!」
「アイゼン! カートリッジロード!!」

あたしはカートリッジをロードし、アイゼンをラケーテンフォルムに変形させる。

「おらぁ!!」
「ぐぅっ!?」

あたしは奴の障壁を貫こうとするが、堅いために貫けない。
あたしは一旦奴から離れる。

「ゆ、弓?」

突然奴は声を上げた。

「我が生み出しし矢よ」

すると何かを呟き始めた。

「我が言霊を聞き入れたまえ」

(障壁でもはっておくか)

あたしはそう考え障壁を張る。

「その矢は全てを貫きし線となれ」

次の瞬間そいつの地面に丸くて中央に五芒星が描かれている青色の魔法陣が浮かび上がった。

「貫け、ブレイク・イヤー!!」
「は!! そんなことしても無駄――」

あたしはそこから先を言うことが出来なかった。
ガラスが割れるような音と共に、結界が破壊されたのだ。

「なっ!? 結界が抜かれた!」

あたしは慌ててその場を離脱する。

「くそ!! てめえ次会ったときは絶対に倒すからな!!!」

最後にそう言い残して。

(一体なんなんだよ! あいつ!!)

あたしは次こそはと強く思った。


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第4話 初戦

意識が戻った俺が感じたのは、吹き付ける強い風だった。

【真人よ】
「え!?」

突然誰もいないはずなのに声が聞こえた。

【念話のようなものだ。心の中で話し掛けろ。誰にも聞かれずに会話ができる】
【これでいいのか?】

俺の問いかけに謎の声(おそらく男の人)が上出来だと答えた。

【さて、真人は現在進行形で地面に落ちている。このままなら地面に墜落して終わりだな。回避したいのならば、浮遊魔法を使え。使い方は自らが飛んでいる姿を想像してみるといい】

声に導かれるまま俺は頭の中で、自分の飛んでいる姿を想像する。
すると、今まで吹き付けていた強い風がパタリと止んだ。

【上出来だ。そのまま地面に着地しろ】
【あ、ああ】

俺はゆっくりと地面に向かって下りる。

【真人は魔法に触れるのが初めて……まだ戦いと言うものもできないだろう】
【一体あんたは―くるぞー】

その声がした瞬間目の前に、少女が降り立つ。

「やっぱり魔導師じゃねえか。バリアジャケットも展開しないとは余裕の表れか?」
【さて、今回の初戦はあの少女だ。悪いが彼女には実験台になってもらおう】
【実験台って……】

あまりな言いぐさに俺は抗議の言葉を漏らす。

【勘違いするな。ここは戦場だ。戦場に男も女も大人も子供も関係ない。それ位分からなければお前が死ぬだけだ】

男の人の言葉が胸に突き刺さった。

【さて、それでは基本的な魔法戦の使い方を説明しよう】
【お、お願いします】

とりあえずそう言っておくことにした。

「行くぞ!!」
【まずは防御だ。全タイプの魔法には僕が使っていた魔法が初期設定として存在している。今のところはそれを使いこなせばいいだろう。自分の前に盾があるのを想像するんだ】

少女がこっちに向かって突撃してきた。

(盾……盾)

俺は必死に盾を想像する

『プロテクション!!』

すると、右手に握ってあった剣が突然しゃべったかと思うと、少女のハンマーが青い光に遮られた。

「か、堅ぇ!!」
その何かが盾であるのは分かった。
少女は、分が悪いと思ったのか、バックステップで後ろの方に回避した。

【初めてにしては中々だ。では、次だ】

男の人の声は淡々と魔法の使い方を伝えようとする。

【次は攻撃だ。これも最初は初期設定の魔法を使うといい。これは形態によって異なる。剣の場合は爆発を起こる光景を想像しながら、相手を切りつけろ。これを”一刀両断”と言う】
【一刀両断……】

男の人の言葉になぜか俺は理解できた。

【そうだ。他にもいくつか技はあるが、今はこれだけでいいだろう】
(よし、行くぞ!!)
「はぁぁあああ!!!!」

俺は大きめの剣を構えて少女の元に突撃する。

「喰らうかよ!!」

しかし少女はその攻撃から逃げるように上空へと浮遊する。

【戦いは知恵だ。こういった場合はどうするのかは自分で考えろ。ちなみに僕が教えた魔法を応用すれば何とかなるぞ】

男の人の声に、俺は必死に考える。

(上空に向けて攻撃をすればいいのか?でもそれじゃ意味がない……そうだ!)

俺は一つの方法を思いついた。
そして先ほどと同じ要領で頭の中で想像する。

「よし! 飛べた!!」

俺が選んだのは浮遊魔法だった。
これで相手のところまで近づけばいい。

「行くぞ!!」

そして俺は前に進むのを想像して移動を始めた。

「はっ!!」

そんな俺にめがけて少女は鉄球を放つ。
いつもなら逃げるところだが……

『プロテクション』
「っち!」
【ほぅ、多重処理マルチタスクか】

何のことかはよくわからないが、これで俺に好機が見えたことだけは分かった。

「一刀」

そして俺は驚きで固まっている少女の隙を突き、剣を振りかぶった。

「両断!!!」

その瞬間、少女のいた場所が爆発した。

「やったか?!」
【ふん、あれしきでやられるほど軟じゃないだろう】

その声を肯定するように、爆発で生じた煙が晴れ全く無傷の少女の姿があった。

「アイゼン! カートリッジロード!!」

少女の言葉と同時に、ハンマーから何かが排出された瞬間、何かが強まったような感じがした。

「おらぁ!!」

そして俺に向かって武器を振りかざしてきたので、俺は盾を出して防ぐ。

「ぐぅっ!?」

ドリルの形に変形したそれは、前よりも威力が上がっていたのか、圧迫感に襲われた。

【威力が上がったか……このまま続けてもこちらの敗北は確実……であれば】

男の人の声が何かを呟く。

【真人よ、形態を剣から弓に変えろ】
「ゆ、弓?」

俺は、突然の指示に驚きながらも武装を弓に変えた。
その弓は、俺がよく使っているのと同じ形だった。

【矢は魔力を込めながらその形を想像して生成しろ。したら矢の先端に魔力を収束させるイメージを思い浮かべるんだ】
【わ、分かった】

俺は言われるとおりに目をつむって矢を生成させると、先端に魔力が集まるようにイメージする。
目を開けるとそこには矢の先端に集まる青い光のようなものがあった。

【よし、次はそれを上空に照準を合わせろ】
【上空? 敵の方じゃ―いいから合わせろ!ーわ、分かった!】

俺の声を遮るようにして男の人の声が指示を出す。
俺は慌てて照準を上空に合わせる。

【その状態で僕の詠唱に続け】
【お、おう】

とりあえず今はこの声の言うとおりにしておこう。

【我が生み出しし矢よ】
「我が生み出しし矢よ」
【我が言霊を聞き入れたまえ】
「我が言霊を聞き入れたまえ」

俺の詠唱のたびに、力があふれ出すような感触がした。

【その矢は全てを貫きし線となれ】
「その矢は全てを貫きし線となれ」

その瞬間、地面に丸くて中央に五芒星が描かれている青色の何かが浮かび上がった。

【貫け、ブレイク・イヤー!!】
「貫け、ブレイク・イヤー!!」

そこで俺はいつもの感触で弓を射る。

「は!! そんなことしても無駄――」

少女はそこから先を言うことが出来なかった。
ガラスが割れるような音と共に、不思議な空間が少しずつ薄れていく感じがした。

「なっ!? 結界が抜かれた!」

少女が慌てていることから、どうやら結界と言うのを破ったらしい。

「くそ!! てめえ次会ったときは絶対に倒すからな!!!」

少女は最後にそう捨て台詞を言うと、その場を後にした。

「終わった……のか」

緊張の糸が切れたのと同時に、激しい睡魔が襲ってきた。

「ったく、こいつはすごいのだかそうではないのだか」

誰かの呆れたような声が聞こえてくる。
俺はその声に反論することが出来ない。
そしてそのまま俺は眠りについた。

「………しばしの休息を。正統なるマスター、山本真人よ」

そんな、静かで穏やかな声を聴きながら。


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第3話 リピート

12月3日

「はっ!!!」

朝、俺は慌てて目を覚ました。
そして自分の体を確認した。
俺の体は傷一つもない。

(夢……だったのか?)

俺はそう思うことにした。
でなければ、辻褄が合わない。
だが、この動悸だけは全く治まることはなかった

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。

(なんだろう)

胸に何かが使えるような感じが残った。










夕方
借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山田真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやてでええよ”」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。











今日も俺は自室で本を読んでいた。
言い忘れたが、俺の両親は共働きだ。
とはいっても夕食は家族全員でするし、ちゃんと帰ってくるので、大して気にはしていないが。
たまに父さんたちが帰ってこないことがある。
そう、今日がたまたまその日だったのだ。

「お、もうそろそろ寝ようかな」

そして俺はいつものように、ベッドにもぐりこみ、寝るのだった。
これで今日という平凡で、刺激のない1日が終わりを迎える。





―本当にそうなのか?ー










「ん?!」

眠りに落ちてどのくらいたったのかは全く分からない。
突然の違和感に俺は目を覚ました。

「……?」

まだ目が覚めていないからなのか、それとも違和感が気付きにくいからなのか、俺は何がおかしいのかが分からない。

「でも、普通なわけではないんだよな」

俺はベッドから出て明かりをつける。
別段不自然なところはない。

「あれ? 何かが違うような……」

明かりをつけた時、俺はさらなる違和感を感じた。

「……気のせいかな?」

俺はそう決めることにした。

「とりあえず父さんたちに電話しよう」

俺はそう考えると、父さん達が帰ってきているかを確認するために、玄関へと向かった。





「靴がないということは、父さんたちはまだ仕事かな?」

靴がないのを確認した俺は、電話をかけるためにリビングに向かった。

「えっと番号番号は」

俺は父さんの携帯の番号に電話をかけることにした。
その方がいいと思ったからだ。

「あれ?」

番号を押したのにもかかわらず、なぜかつながらないのだ。
番号が間違っているわけでもない。

「一体何がどうなってるんだ?」

俺はなぜかこれを知っていた。
そうこれは■■■■■だ。

「っく……とりあえず、ここから逃げよう」

思い出そうとするたびに頭痛が襲う中、俺はそう決意した。

「よし!」

俺は一回気合を入れて、自室に戻って弓矢を持ち出した。
これでも俺は昔、地区大会で準優勝の成績を残しているのだ。
だから少しばかり弓矢の腕に自信があるのだ。

「さて、行きますか」

俺は矢を50本(競技用なので、殺傷能力はない)が入った入れ物を背負うと家を飛び出した。




「それにしても何だか静かで不気味だよな……」

俺は今オフィス街を歩いていた。
聞こえるのは風の音だけ。
それ以外の音は聞こえなかった。

(そうか!! 違和感の正体はこれだったんだ!!)

そこで俺は気付いた。
静かすぎるのだ。
出る前に見ると時間は午後10時。
人はいなくとも、車の一台でも通っていてもおかしくはない。
しかし車は通っていない。
だが明かりはついている。

(そういえば周りの色もおかしい)

よくよく見ればわずかに色が変だ。
まるで何かを通してみているかのようなくらいに、白い家だったものが黄色っぽくなっていたのだ。
つまり、これから言えることは……。

「ここは俺の知っている世界じゃない……という事か」

なぜ今まで気づかなかったんだという後悔をしつつも結論を出す。
だとしたら電話が繋がらないことも、納得がいく。

「とりあえず、歩いていけば抜け出せるか」

俺はそう考えるとそのまま歩き出した。










「見つけたぞ!!」
「え?」

しばらく歩き商店街のような場所に出た時、俺は背後から突然かけられた声に慌てて振り返った。
そこにいたのは赤いゴスロリのような服に身を包んだ少女だった。
その姿から普通の人だと思われる。
でも、俺はこの少女を知っていた。
そう、こんな風に出会った。
そして俺は殺された。
すがる気持ちで俺は、少女の持つそれを見た。

「あ……あれって……」

それはかなり大きめのハンマーだった。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

少女の言葉に俺は混乱する。

(なんだよリンカーなんとかと、蒐集って……それにどこかで聞いたような)

俺が混乱している時だった。

「ッ!!?」

俺は不穏な気を感じ、横に避けた
その次の瞬間、轟音と共に俺が今まで立っていた場所に”何か”が命中した。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

俺は言葉を失った。
俺はそれを知っている。
これは……そう魔法だ。

(何を言ってんだ?俺は)

自分の考えていることに思わずおかしく思ってきた。
俺はこの少女と初対面のはず、なのに前に会ったような気がするのだ。

「抵抗しなければ無傷で返す」

俺は素早く弓矢を少女に向けて構える。

「なんだ、やる気か?」

なぜか俺は落ち着いていた。
狙うのは彼女ではない。
少女の脇を掠めるようにする。
少なからず少女の動きは止まる。
その隙に俺は横に運よくあるビルの中に逃げ込もうと考えていた。

「はぁ!!!」

そして俺は矢を射た。
その矢は狙い通りにまっすぐに少女の脇に向かう

「フン!」

少女はその矢をハンマーで思いっきり弾いた。
それが一番無駄な動き。
それるようにしたものを自ら弾く際の行動のロスが生じた。

(よし今だ!!)

そして俺は一目散にビルに逃げ込んだ。
俺は背後から追いかけられているのを気にして、ひたすら階段を上る
やがて俺は屋上へと出た。

「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」

俺の頑張りもむなしく、少女は上空にいた。

(そうだったよな。魔法って空を飛ぶこともできたんだよな)

俺は今まで忘れていた自分に恥ずかしく思った。

「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」

放たれたのは鉄球だった。

「たぁ!!」

もうその攻撃にこなれた俺は、それを矢で難なく打ち落とす。

「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」

鉄球に気を取られていた俺は、背後から奇襲してきた少女の攻撃をもろに食らう。
さらに悪いことに俺は、そのまま屋上から落ちていく。
不気味な浮遊感を感じた。

(あぁ、俺死ぬんだな)

それを理解した瞬間、俺の意識は闇に落ちた。










―どうだ?ー

再び声が聞こえる

―同じ日を繰り返しても大して変わらなかったー
”ああ、俺には手も足も出なかった”
―……ではそなたは力を手に入れたら立ち向かうのか?ー
”あればいくらでも立ち向かってやる”
―それが例え、そなたが望まないものでもか?ー
”俺は現実しか見ない。で、今現実でそれが起こっている。それだけで十分だ”
―………おめでとう。貴殿が試験の合格者第1号だー

突然聞こえてきたおかしな声に、俺は意味が分からなかった。。

―合格した証に、特別な力を渡そう。今現実で起こっている真実に立ち向かう強大なる力をー

その瞬間俺は体中に力が湧き上がるのを感じた。

―さあ、そなたの名を聞かせておくれー
”俺は、山本 真人”
―では真人よ、使う武器の形態はどれがいい?二つ指定が出来るー

俺は使いたい武器を考えた。
やがて思いついたのは。

”弓と剣が良い”
―なるほど、近中距離か。和風の弓に洋風の剣とはなかなか愉快なマスターだ。では、そんなマスターにもう一つプレゼントしよう、どれほど離れている敵にでもダメージを与えられる超長距離型の形態をー

俺はその声を怪しむ何て物は頭の中から消えていた。
怪しむなんてものが無駄なことだと感じたからかもしれない。

―さあ、呼び出したまえ。そなたの武器ともなり右腕ともなる相棒の名を……クリエイトをー
”クリ……エイト?”

その瞬間俺の視界はまばゆい光に包まれた。
どうやら、ここからが始まりのようだ。


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第2話 襲撃

12月3日



寝起きの俺を襲ったのは、突然の動悸だった。

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。
これが俺が初めて感じた些細な日常の異変だった。










夕方
借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山本真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやてでええよ”」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。











今日も俺は自室で本を読んでいた。
言い忘れたが、俺の両親は共働きだ。
とはいっても夕食は家族全員でするし、ちゃんと帰ってくるので、大して気にはしていないが。
たまに父さんたちが帰ってこないことがある。
そう、今日がたまたまその日だったのだ。

「お、もうそろそろ寝ようかな」

そして俺はいつものように、ベッドにもぐりこみ、寝るのだった。
これで今日という平凡で、刺激のない1日が終わりを迎える。


――はずだった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


とある場所にて、一人の少女が上空に立っていた。

「この辺か?」
【うん、そこの近くに強力な魔力反応があるの。それを収集できれば2,300頁は稼げるわ!!】
「分かった」

少女がそう答えるのと同時に、赤色の魔法陣が展開される。

「封鎖領域、展開」

その瞬間、あたりの世界は一変した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「ん?!」

眠りに落ちてどのくらいたったのかは全く分からない。
突然の違和感に俺は目を覚ました。

「……?」

まだ目が覚めていないからなのか、それとも違和感が気付きにくいからなのか、俺は何がおかしいのかが分からない。

「でも、普通なわけではないんだよな」

俺はベッドから出て明かりをつける。
別段不自然なところはない。

「あれ? 何かが違うような……」

明かりをつけた時、俺はさらなる違和感を感じた。

「……気のせいかな?」

俺はそう決めることにした。

「とりあえず父さんたちに電話しよう」

俺はそう考えると、父さん達が帰ってきているかを確認するために、玄関へと向かった。





「靴がないということは、父さんたちはまだ仕事かな?」

靴がないのを確認した俺は、電話をかけるためにリビングに向かった。

「えっと番号番号は」

俺は父さんの携帯の番号に電話をかけることにした。
その方がいいと思ったからだ。

「あれ?」

番号を押したのにもかかわらず、なぜかつながらないのだ。
番号が間違っているわけでもない。

「一体何がどうなってるんだ?」

俺はなぜか無性に恐ろしくなった。

「とりあえずここから逃げた方がいいかも」

俺の直感が告げていた
このままここにいたら危ないと。

「そうだ!」

俺はあることを思いつき、自室に戻って弓矢を持ち出した。
これでも俺は昔、地区大会で準優勝の成績を残しているのだ。
だから少しばかり弓矢の腕に自信があるのだ。

「さて、行きますか」

俺は矢を50本(競技用なので、殺傷能力はない)が入った入れ物を背負うと家を飛び出した。










「それにしても何だか静かで不気味だよな……」

俺は今オフィス街を歩いていた。
聞こえるのは風の音だけ。
それ以外の音は聞こえなかった。

(そうか!! 違和感の正体はこれだったんだ!!)

そこで俺は気付いた。
静かすぎるのだ。
出る前に見ると時間は午後10時。
人はいなくとも、車の一台でも通っていてもおかしくはない。
しかし車は通っていない。
だが明かりはついている。

(そういえば周りの色もおかしい)

よくよく見ればわずかに色が変だ。
まるで何かを通してみているかのようなくらいに、白い家だったものが黄色っぽくなっていたのだ。
つまり、これから言えることは……。

「ここは俺の知っている世界じゃない……という事か」

なぜ今まで気づかなかったんだという後悔をしつつも結論を出す。
だとしたら電話が繋がらないことも、納得がいく。

「とりあえず、歩いていけば抜け出せるか」

俺はそう考えるとそのまま歩き出した。










「見つけたぞ!!」
「え?」

しばらく歩き商店街のような場所に出た時、俺は背後から突然かけられた声に慌てて振り返った。
そこにいたのは赤いゴスロリのような服に身を包んだ少女だった。
本当ならようやく人に合えたことの嬉しさで駆け寄るところだが、俺の体が動かない。
それどころか俺の中で危険信号を発している。
逃げろ!
逃げろ!!
逃げろッ!!!
そして俺は少女の持つそれを見た。

「あ……あれって……」

それはハンマーだった。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

少女の言葉に俺は混乱する。

(なんだよリンカーなんとかと、蒐集って)

俺が混乱している時だった。

「ッ!!?」

俺は不穏な気を感じ、横に避けた
その次の瞬間、轟音がしたかと思えば俺が今まで立っていた場所に、”何か”が命中した。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

俺は体が震えた。
今のは目の前にいる少女が放ったのか?
あり得ない! 信じられない!!
そのような感情が頭の中を占める。
夢じゃないかとも思う。
これは夢で起きれば新しい朝がやってくる
でも、焦げたような匂いと、辺りに立ち込める何かがそれを否定する。

「抵抗しなければ無傷で返す」
「く、来るな!!」

俺は怖くなり、とっさに背中に背負っていた弓矢を少女に構える。

「なんだ、やる気か?」

恐怖のあまりに手が震える。
だが俺は根性で矢を引いた。

(一瞬でもいい、逃げる隙が出来れば!!)

俺はそれを放ってどこかに隠れようと考えていた。

「はぁ!!!」

そして俺は矢を射た。
その矢はまっすぐに少女に向かって

「フン!」

行かなかった。
ハンマーで思いっきりはじかれてしまった。

「この!! この!! このぉ!!!!」

俺は無我夢中で矢を射た。

「だから無駄だ……くぅ!?」

どうやら俺が射た矢の一つが少女に命中したらしい。

(よし今だ!!)

そして俺は一目散に逃げ出した。
そして適当な路地に入ろうとした瞬間、体に一瞬痛みが走ったかと思うと、俺の体は意志とは関係なくそのまま地面に倒れた。

(な、なんで!?)

俺は突然の事態に何も理解できなかった。

「てりゃああああ!!!」
「がぁああああ!!!?」

考える間もなく、俺は少女の叫び声と同時に伝わった衝撃で吹っ飛ばされた。

「あ……ぐぅ!?」

どこかの壁にぶつかったのか、背中が痛かった。
そして俺は見てしまった。
自分の体に開いた4つの穴を。
疑問が頭の中をぐるぐる駆け巡っている中、唯一分かったことは

(あぁ、俺死ぬんだな)

そのことだけだった。
少しずつ意識が遠のいていく。

「な!? てめぇ、魔導師じゃねえのかよ!!」

そんな中少女の慌てるような声を、聞いたような気がした。
そして俺の意識は闇に落ちて行った。










なぜ?
そんな疑問を思う時間が残っていたようだ。
俺はただ自然に生活をして幸せに過ごしていたはず。
それなのに、なぜおれは死ななければいけなかったんだ?
なんでこんなことになってしまったのか?

―お主は知りたいのか?ー

声が聞こえたような気がした。

だから俺は答えた。

”ああ、知りたい”と

―左様か、ではこれより試験を始めるー

”試験?一体なんのだ?”

聞こえてきた声に俺は疑問を投げかける。

―良い結果を待っているぞー

俺の疑問に答えずに声はそう告げると、今度こそ俺の意識は闇に落ちて行った。


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第1話 日常

12月2日

「真人~ご飯よ」
「は~い!」

朝、俺はいつものように下から聞こえてくる母さんの声に返事をした。
俺の名前は山田やまだ 真人まさとどこにでもいる普通の小学生だ。
って、誰に説明しているのだろうか、俺は?
そんなこんなで俺は制服に着替えて、リビングに行った。





朝食を食べ終えて、少しだけゆっくりしている時、俺達家族はテレビのニュースを見ていた。

『続いてのニュースです。4月に発生した原因不明の市街地の壁などが突然壊れた事件ですが、未だに原因が分かってはおりません』

ニュースでは『市街地破壊事件』(俺命名)が取り上げられていた。
その事件は4月に入って少ししてから起きた。
突然市街地の壁が壊れたのだ。
電柱は折れ曲がっていたと言われていた。
それからしばらくして今度は町中に木の幹が出現した。
少し経ったら消滅したが、環境問題による現象や、地球の終わりだとか色々な憶測が飛んだ。
結局答えなどは出なかったが……。
さらには連休中にも光が飛び交うのを見たという目撃証言まで飛び出したりした。
そのため、一時期海鳴市は怪奇な街と呼ばれるようになってしまった。
まあ、そっち関係での観光客は増えたみたいだったが。

(それにしても、一体なんだろう?)

俺はふと考え込んだ。

「嫌だわ、近頃は物騒で」

俺の考えを遮ったのは、母さんのぼやきだった。

「そうだな、真人も気を付けるんだぞ」
「はーい、父さん」

俺はそう答えたものの俺にとっては無関係だった。
そしていつも通りに学校へと向かうのだった。





――そういつも通りに。










「お、真人おはよう」
「おはよう」

クラスの友人が教室に入った俺を見つけて声をかけてくる。
それに対して俺はいつも通りに答える。

「なあなあ、やっぱり今年のミス聖翔は高町さんで決まりだよな」
「おいおい何を言ってんだよケンジ、それならバニングスさんだよ」
「いやいや月村さんという線も」

三人はそのまま討論を始めてしまった。
俺はその三人から離れることにする。
周りを見れば案の定三人を冷たい目で見る女子たちの姿があった。

「あ、おはよう真人君」
「おはよう、なのは」

挨拶をしてきたなのはに俺も挨拶をした。
別に俺となのはは知り合いだとかそういうのではない。
家が隣だからとか近所だからとかはない。

(そもそも学校からバスに2,3分くらい乗って乗って5分程度歩けば家だし)

なのになぜかこういう風に自然に話せるぐらいの中なのだ。
ちなみに呼び方は、彼女自身が指定してきた。
思い当たるとすればたまたま席が隣で元気がない時に、俺が元気づけてあげたりしただけだ。
まさかそれだけで仲良くなれるのであれば、今も俺にひしひしと感じる男からの殺気はないはずだし。

「そう言えばなのははどう思う?」
「え?何が?」

俺はとりあえず気になったことを聞いてみることにした。

「ほら、4月にあった市街地の壁が突然壊れた事件」
「さ、さあ?」

俺の言葉になぜかなのはは慌てていた。
なぜ?

「は~い、皆さん席についてくださいね」

理由を聞こうとしたが先生が来たため打ち切りとなってしまった。
結局その後、市街地破壊事件に関して聞くことはできなかった。










「ふぅ……」

夜、俺はいつものように自分の部屋で本を読む。
読んでいるのは、ごく普通の少年が魔法使いの学校に行くという内容の本だ。

「いいなぁ、魔法って」

一通り読んだ俺はそう呟いた。
やっぱり俺でも魔法というものにあこがれる物さ。

「もし魔法が使えたら好きなお菓子を、いっぱい食べたいな」

俺はそんな現実味のないことを口にする。
でもそれは所詮、作り物。
この世に魔法なんてものは存在しないのだから。

「……寝ようっと」

そして俺は眠りにつくのだった。


―日常崩壊まで残り1日ー


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